2023年10月05日(更新日:2026年10月02日)

柴尾 竜也

監修者:柴尾 竜也

さくら事務所 執行役員/プロホームインスペクター

住宅の販売、仲介、現場施工管理、工事監理と一戸建て住宅に関連する業務に従事。その後、さくら事務所に参画。神奈川県を拠点として東日本に対応。

上棟前後にずっと雨…建物に影響あり?注意点や対策法を住宅診断のプロが解説!

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上棟前後にずっと雨…建物に影響あり?注意点や対策法を住宅診断のプロが解説!

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「上棟したばかりなのに、ずっと雨。このまま工事を進めても大丈夫?」柱や床が濡れている様子を見ると、家の傷みやカビが心配になりますよね。

雨に濡れたからといって、すぐに木材の交換が必要になるわけではありません。大切なのは、濡れた場所や状態を確認し、必要な排水・乾燥を行ってから次の工程へ進むことです。

この記事では、上棟前後の雨が建物に与える影響と、工程ごとの確認ポイントを紹介します。施工会社に何を聞けばよいか整理したい方も、参考にしてみてください。

上棟前後の長雨で木材が濡れた…品質に影響はある?

上棟前後は、屋根や外壁の雨を防ぐ施工がまだ終わっておらず、木材が濡れることがあります。表面が一時的に濡れた場合と、内部まで濡れた状態が長く続く場合とでは、確認したい点が異なります。

木材の表面が一時的に濡れただけなら、過度に心配しない

柱や梁などの製材品は、表面がある程度濡れたとしても、その後の施工期間中に乾燥する場合があります。雨に当たったという理由だけで、すぐに品質に問題があると決まるわけではありません。

ただし、住宅の建設に用いられる含水率(木材に含まれる水分量)が20%以下の乾燥材でも水分を吸収します。「乾燥材だから雨に濡れても大丈夫」と一律に考えず、雨よけの養生と、濡れた後の状態確認が大切です。

木材が長期間湿潤状態の場合は要注意

長雨で内部まで濡れた場合は、十分に乾燥させてから施工を進める必要があります。表面のカビと木材が腐ることは同じではありませんが、見た目だけで状態を判断するのは難しいものです。

気になる変色や濡れがあれば、場所と日付が分かる写真を施工会社に共有し、乾燥状況や対応方法を確認すると話が進めやすくなります。

上棟前後の工程で雨が降りつづいた際に押さえたいチェックポイント

ここからは、以下の4つの工事のタイミングで長雨が降った場合の、チェックポイントを詳しく解説します。それぞれの工事のタイミングで、どのような確認が必要なのか、どのポイントをどのような見方でチェックすればいいのかを詳しく解説しているので、参考にしてください。

  • 基礎工事中
  • 建方工事中
  • 上棟後
  • 外壁工事完了後

「今はどの工程なのか」「この後、何が施工されるのか」を知りたい方は、着工から引き渡しまでの流れをまとめたこちらの記事も参考にしてみてください。

基礎工事中

基礎工事中

長雨がいつどのタイミングで何日続くかは、人間にはコントロールできないことです。しかしチェックするべきポイントと長雨時の対策を知っておくことで、影響を最小限にできる可能性が高まります。基礎工事中に長雨が降った場合は、以下の2つのポイントをチェックしましょう。

  • アンカーボルトの状態をチェック
  • コンクリートの排水状況をチェック

それぞれ詳しく解説します。

アンカーボルトの状態をチェック

鉄筋に関しては多少のサビがついても過度に心配する必要はなく、工事を再開する際に、適宜ワイヤーブラシなどで清掃する程度で基本的には問題ありません。

しかし、コンクリートの打設後、基礎と建物をつなぐアンカーボルトがサビていないかという点には注意が必要です。アンカーボルトはサビ防止の加工がされていますが、長時間、雨にさらされた場合は、表面の加工が剥がれてサビてしまうことがあります。場合によっては交換が必要になるかもしれません。完成後の建物の耐久性に影響がでる可能性がありますので、工事再開の際には、このアンカーボルトの状態を確認しておきましょう。

コンクリートの打設時は雨を避ける

コンクリートの打設(流し込み)中に大雨が降ると、コンクリートの品質が下がってしまいます。小雨程度なら気にする必要はありませんが、大雨になる場合は品質確保のため、コンクリートの打設が予定より大幅に遅れることがあります。

基礎の打設後は、雨をうけて基礎の中が水たまりになっており、驚かれるケースがありますが、実はコンクリートは完成後、急激な乾燥によるひび割れを防ぐために、むしろ多少の水がある方がいいくらいなので、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、水たまりが乾燥する前に床を貼り始めると、床がカビたり変形することもありますので、水たまりができていたらしっかりと排水した上で、床の工事を始めてもらいましょう。

建方工事中

建方工事は、柱や梁などの骨組みを組み立てる工程です。雨の日に工事を進めるかどうかは、天候や作業の安全性、材料の保護などを踏まえて施工会社が判断します。中断する場合の養生と、再開前の確認について聞いておくと安心です。

雨で工事中断した場合、雨養生がされているか

ブルーシートなどで雨を防ぐ「養生」がされているか、現場監督に確認してみてください。シートが外れているように見えても、ご自身で足場に上がったり直したりせず、気になる場所を伝えるとよいでしょう。

合板の凹凸がないか

床下地の合板は、柱や梁の製材品とは分けて状態を確認します。乾燥後もふくらみや波打ち、表面の剥がれが残っている場合は、仕上げの床材を張る前に担当者へ相談しましょう。

変色だけで問題の有無を決めたり、カビがあれば必ず交換と判断したりせず、使っている材料の仕様と現場の状態に応じた対応を確認することが大切です。

上棟後

上棟後に雨が続いた場合は、木材の乾燥状況と床下の水たまりを確認したいところです。床や壁で隠れる前に、現場監督に次の点を聞いてみてください。

  • 濡れた木材の乾燥状況を、どのように確認しているか
  • 床下に水が残っていないか、排水や乾燥が必要か

構造体の乾燥状況を確認する

木材に含まれる水分の割合を「含水率」といいます。表面が乾いて見えても、内部の状態まで分かるとは限りません。

必要に応じて含水率の測定を依頼し、測定した場所や結果、次の工程に進む判断の根拠を確認しましょう。特定の数値だけで「この家は大丈夫」と判断せず、材料の仕様や施工段階も含めて説明を受けることが大切です。

雨で内部まで濡れた木材は、表面が乾いても、時間がたってから内部の水分が表面に移動することがあります。送風などで乾かした直後の測定結果だけで判断せず、必要に応じて時間を置いて再確認することも大切です。「いつ、どこを測ったのか」「再確認は必要か」まで担当者に聞いておくと、乾燥の状況を把握しやすくなります。

雨に濡れた柱や床下地の見方、乾燥状況を確認するときの注意点は、こちらの動画でも詳しく解説しています。

床下に水が溜まっていないか

上棟前後の長雨の影響は、床下に及ぶこともあります。もし床下に水が溜まっている場合は、早急な排水と乾燥が必要です。水が溜まったまま、あるいは水分が十分に乾燥しきれていないままだと湿潤状態が続き、土台や床材のカビや腐食の原因につながります。土台や床材も柱と同様、建物の構造体なので建物の強度に大きな影響を与えてしまいます。

床下部分が濡れていることがわかった場合は、現場の責任者にその旨を伝え、早急な対処を求めましょう。雨の後の状態について、施工会社の説明だけでは判断に迷う場合は、第三者に確認を依頼する方法もあります。

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外壁の施工まで終わって工事が中断した場合

工事が中断しても、外壁の施工まで完了していれば、雨の影響を受けることは少なくなります。

ただし、工事再開のタイミングでは室内側に雨染みがないかは念のため確認が必要です。

また、雨で敷地が冠水していると、床下に雨水が浸入している可能性があり、雨水が浸入すると蒸発しにくく、床下でカビが発生するリスクも高まります。したがって工事再開の際は、床下の確認もできると安心です。

窓などの開口部から雨が吹き込むこともあります。工事を中断する際は、戸締まりや雨よけを誰が確認するのか、再開前に室内や床下の状態を確認するのかを、施工会社と共有しておくと安心です。

外壁ができた後も、濡れた木材などが残っていないか確認したいところです。内側の壁を張ると、壁の中の状態は見えにくくなります。雨が吹き込んだ場所がある場合は、壁を閉じる前に、乾燥状況をどのように確認するのか施工会社に聞いてみてください。

建物完成後も要注意!大雨時の水害対策を紹介

完成後の大雨への備えとして、まずは自治体のハザードマップで、敷地周辺の浸水想定を確認してみてください。設計段階なら、想定される浸水の深さを踏まえ、建物や設備の高さなどを設計者に相談できます。

水災の補償は、加入する保険の商品や契約内容、実際の被害によって異なります。基礎の高さだけで保険が使えるかどうかは判断できません。水災補償の有無や支払条件は、保険会社・代理店に確認しておくと安心です。

工事前や工事中でも検討できる対策があります。以下の方法がご自宅に適しているか、施工会社や設計者と相談してみてください。

排水管に逆流防止弁をつける

水害でまわりが水浸しになった時に、水が排水管から逆流して家の中が濡れてしまうことがあります。これを防ぐのが、排水管などに設置する逆流防止弁です。これは工事中に設置することもできます。

バルコニーやベランダにオーバーフロー管をつける

梅雨時期の大雨や台風でバルコニーやベランダが水浸しになった時に、室内に水が入ってくるのを防止してくれるのがオーバーフロー管です。あらかじめバルコニーやベランダの壁に小さな穴を開けておき、大雨で水浸しになった時に排水してくれます。洗面台に水をたくさん溜めると、上の方についている小さな穴から排水されて、洗面台から水が溢れ出ることを防いでくれるしくみと同じです。ご自宅にバルコニーやベランダをつける際は、必ずオーバーフロー管を設置しましょう。

バルコニーの排水口と、壁面に設けられたオーバーフロー管

エアコン用の配管穴(スリーブ管)を先に入れる

梅雨時期の大雨や台風の後に、エアコンの配管を通す穴から雨漏りがした事例があとを絶ちません。よく、家が完成した後にエアコンの配管用の穴をあけるケースがありますが、これが多くの場合、雨漏りの原因となります。

完成後に穴をあけると、せっかく雨が入らないように工事している部分を壊してしまうことになるので、エアコンをつける可能性がある部屋には、エアコンを通すための穴を工事中に開けておく必要があります。その穴を使用しない場合でも、専用のフタをしておけば問題ありません。

外壁の配管用スリーブと、その周囲の防水処理

室外機や給湯器を高い位置につける

もし水害が発生した時に、エアコンの室外機や給湯器が水没してしまうと、すべてを交換することになってしまいます。そのような事態を避けるために、土台を作って高い位置においたり、壁に取り付けるなど、室外機や給湯器は水没しない位置に設置するようにしましょう。

基礎貫通部の隙間を埋める

水やお湯を通すための管や水を排水するための管、ガス管などを通すために、家の基礎にはたくさんの穴が空いています。これらの穴の周りに隙間があると、当然水が入ってきてしまいます。家が完成して引き渡しされる前に、そういった穴の周りに隙間が空いていないかを確認しましょう。隙間が空いていれば、しっかり埋めてもらう必要があります。

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上棟前後に雨が続いたら、濡れたこと自体を心配するだけでなく、工事を再開する前に何を確認するのかを施工会社と共有しておくと安心です。例えば、次のように聞くと状況を整理しやすくなります。

  • 「床下の水は残っていませんか。排水や乾燥はどう進めますか?」
  • 「濡れた木材や床下地は、次の工程に進む前に何を確認しますか?」
  • 「雨による工事の遅れは、今後の工程や引き渡し日に影響しますか?」

施工会社の説明を聞いても判断に迷う場合は、第三者に確認を依頼する方法もあります。現場の状態を整理し、必要な対応を施工会社と共有するために、ホームインスペクションを利用できます。

第三者による確認を希望する場合は、さくら事務所の新築工事中ホームインスペクションへご相談ください。現在の工事の段階や、雨の後に気になった場所を伝えていただくと、確認したい内容を相談しやすくなります。

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柴尾 竜也

監修者柴尾 竜也

さくら事務所 執行役員/プロホームインスペクター

住宅の販売、仲介、現場施工管理、工事監理と一戸建て住宅に関連する業務に従事。その後、さくら事務所に参画。神奈川県を拠点として東日本に対応。

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