台風時の工事は大丈夫?長雨中の新築工事チェック

  • Update: 2021-08-19
台風時の工事は大丈夫?長雨中の新築工事チェック

「100年に1度の大雨」というワードを毎年のように聞いている今日この頃、台風時の基礎工事の進捗や、上棟の品質などについて不安に感じるのは当たり前のことです。

そこで、せっかくの注文住宅が欠陥住宅になってしまわないために、さくら事務所の多数の施主(竣工)検査・内覧会に立ち会ってきたホームインスペクター(住宅診断士)が、台風時の基礎工事や上棟時に確認しておくべきポイントを具体的に解説していきます。

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基礎工事中

基礎工事中

まずは基礎工事中のチェックポイントです。着工後、基礎の鉄筋までは組んだものの、コンクリートの打設(流し込み)がされないまま、雨で工事が中断してしまった場合、鉄筋がむき出しの状態に雨が吹き付けている様子を想像すると「鉄筋がサビてしまうのでは?」「建物自体に悪影響なのでは?」と心配される方も多いはずです。それでは気にするべきポイントをチェックしていきましょう。

アンカーボルトの状態をチェック

鉄筋に関しては多少のサビがついても過度に心配する必要はなく、工事を再開する際に、適宜ワイヤーブラシなどで清掃する程度で基本的には問題ありません。

しかし、コンクリートの打設後、基礎と建物をつなぐアンカーボルトがサビていないかという点には注意が必要です。アンカーボルトはサビ防止の加工がされていますが、長時間、雨にさらされた場合は、表面の加工が剥がれてサビてしまうことがあります。場合に寄っては交換が必要になるかもしれません。完成後の建物の耐久性に影響がでる可能性がありますので、工事再開の際には、このアンカーボルトの状態を確認しておきましょう。

コンクリートの状態をチェック

コンクリートの打設(流し込み)中に大雨が降ると、コンクリートの品質が下がってしまいます。小雨程度なら気にする必要はありませんが、大雨になる場合は品質確保のため、コンクリートの打設が予定より大幅に遅れることがあります。

基礎の打設後は、雨をうけて基礎の中が水たまりになっており、驚かれるケースがありますが、実はコンクリートは完成後、急激な乾燥によるひび割れを防ぐために、むしろ多少の水がある方がいいくらいなので、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、水たまりが乾燥する前に床を貼り始めると、床がカビたり変形することもありますので、水たまりができていたらしっかりと排水した上で、床の工事を始めてもらいましょう。

上棟前

上棟の前には、基礎の上にその土台となる木材を敷き(土台敷き)、床下地となる合板を貼っていきます。上棟まであと少しのこのタイミングで、工事が中断してしまった場合はどんな点に注意すればいいのでしょうか?

合板の凹凸をチェック

1階の床下地となる合板は濡れないよう、しっかりと養生をしてもらう必要があります。通常は木材が濡れても乾燥すれば問題ありません。

最近では、内部の奥まで乾燥した「乾燥材」と呼ばれるものを使用しており、表面が濡れても、水分が奥に染みこむのには時間がかかります。雨が上がれば乾燥し始め、ほぼ元の状態に戻るでしょう。

茶色に変色している程度なら問題ありませんが、乾燥した後も凸凹していたり、水を吸って異常にふくらんでいたり、波打っている場合は要注意です。特に、一度濡れて乾ききらないうちにまた雨が降り、濡れた状態で放置されてしまうと凹凸ができやすくなります。

合板の上にフローリングを敷くので、合板は真っ直ぐであることが大前提となります。下地が凹凸のまま、フローリングが張られてしまうと、床鳴りの原因にもなります。床下地となる合板のカビ、変形、剥離があれば交換をしてもらいましょう。

合板の含水率をチェック

過去には職人不足という事情もあり、合板の養生まで手が回らなかった、という残念なケースもあったので、ブルーシートなどでしっかりと養生されていることをチェックしておく必要があります。

木材を乾かして使用するなら、「含水率(がんすいりつ)」を計測してもらいましょう。含水率とは、木材がどれくらい湿っているのかを数値化するものです。乾燥していると判断される目安は「数日間、含水率が20%を下回っていること」です。

木材を急いで乾かすと、中は濡れているのに表面だけ乾いている状態になります。その場合、数日経って中から水分が染み出してきて、実は乾燥していなかったことが発覚することも…。特に扇風機などで急速に乾かすと表面だけ乾いた状態になりやすいので注意しましょう。

上棟後に工事が中断した場合

上棟が済んでいる場合、雨ざらしになっていてもそこまで心配する必要はありませんが、木部など、変色しているところがないかしっかり確認をするようにしましょう。上棟はしたものの、防水工事をしないまま雨水が溜まってしまっていたり、湿った状態が続いたりすると、カビや腐食の原因になります。

ここでも床下地合板に変形などがないか、一度確認しておくといいでしょう。工事再開時には、念のため木材の含水率を確認しましょう。目安は、数日間20%を下回っていることです。

このタイミングでよくあるトラブルが、木部を乾燥させる前に断熱材や壁・床を取り付けてしまうケースです。雨水を吸い込んでしまい、断熱材が本来の性能を発揮できなくなってしまうこともあります。

さらに、壁の中に湿気がたまり、完成後に壁の中がカビだらけになったり、結露で柱などが腐って家の寿命がものすごく短くなってしまう事例も相次いでいます。まず濡らさない、そして濡れたらしっかり乾かす、というのを徹底しましょう。

外壁の施工まで終わって工事が中断した場合

工事が中断しても、外壁の施工まで完了していれば、雨の影響を受けることは少なくなります。

ただし、工事再開のタイミングでは室内側に雨染みがないかは念のため確認が必要です。
また、雨で敷地が冠水して、床下に雨水が浸入している可能性があり、雨水が浸入すると蒸発しにくく、床下でカビが発生することもあります。したがって工事再開の際は、床下の確認もできると安心です。

さらに、最近はコロナウイルスの感染対策で、窓を開けっ放しにしている現場も少なくありません。職人さんが帰る時に窓の戸締まりを忘れてしまうと、夜に雨が降った場合、建物や壁の中がびしょ濡れになってしまいます。特に梅雨時や台風が接近しているときなどは戸締まりを徹底してもらいましょう。

まだ間に合う、新築一戸建ての水害対策

まずはハザードマップの確認をしましょう。浸水想定エリアに該当しているなら、できるだけ水害の対策をしたり、水害用の保険を検討しましょう。

もし、ご自宅が設計段階なら「基礎の高さを45センチ以上」にできるか確認しましょう。なぜなら水害用の保険は「45センチ未満」で家が水に浸かったときには、保険の適用外になる可能性があるからです。

すでに設計が終わり、工事前や工事中でも、これから対策できることはたくさんあります。

排水管に逆流防止弁をつける

水害でまわりが水浸しになった時に、水が排水管から逆流して家の中が濡れてしまうことがあります。これを防ぐのが、排水管などに設置する逆流防止弁です。これは工事中に設置することもできます。

バルコニーやベランダにオーバーフロー管をつける

梅雨時期の大雨や台風でバルコニーやベランダが水浸しになった時に、室内に水が入ってくるのを防止してくれるのがオーバーフロー管です。あらかじめバルコニーやベランダの壁に小さな穴を開けておき、大雨で水浸しになった時に排水してくれます。洗面台に水をたくさん溜めると、上の方についている小さな穴から排水されて、洗面台から水が溢れ出ることを防いでくれるしくみと同じです。ご自宅にバルコニーやベランダをつける際は、必ずオーバーフロー管を設置しましょう。

エアコン用の配管穴(スリーブ管)を先に入れる

エアコン用の配管穴(スリーブ管)を先に入れる

梅雨時期の大雨や台風の後に、エアコンの配管を通す穴から雨漏りがした事例があとを絶ちません。よく、家が完成した後にエアコンの配管用の穴をあけるケースがありますが、これが多くの場合、雨漏りの原因となります。

完成後に穴をあけると、せっかく雨が入らないように工事している部分を壊してしまうことになるので、エアコンをつける可能性がある部屋には、エアコンを通すための穴を工事中に開けておく必要があります。その穴を使用しない場合でも、専用のフタをしておけば問題ありません。

専用のフタ

室外機や給湯器を高い位置につける

もし水害が発生した時に、エアコンの室外機や給湯器が水没してしまうと、すべてを交換することになってしまいます。そのような事態を避けるために、土台を作って高い位置においたり、壁に取り付けるなど、室外機や給湯器は水没しない位置に設置するようにしましょう。

基礎貫通部の隙間を埋める

水やお湯を通すための管や水を排水するための管、ガス管などを通すために、家の基礎にはたくさんの穴が空いています。これらの穴の周りに隙間があると、当然水が入ってきてしまいます。家が完成して引き渡しされる前に、そういった穴の周りに隙間が空いていないかを確認しましょう。隙間が空いていれば、しっかり埋めてもらう必要があります。

2021年のウッドショックによる深刻な影響

2021年のウッドショックによる深刻な影響

注文住宅の建設に関する大きなトピックスとして、ウッドショックと呼ばれる木材価格の高騰があります。これは、コロナの影響により、アメリカで住宅ローン金利を下げたことや、住宅需要が増えたことが原因で起こった現象で、日本の住宅業界にも大きな影響を及ぼし、様々な問題を引き起こしています。

続いては、ウッドショックと梅雨や台風の時期が重なるとどんなリスクがあるのかを見ていきましょう。

木材やその他の部材のレベルを落としてコストダウン

木材価格が上がって家の価格が上がるのを防ぐため、部材のレベルを落としてコストダウンをしたり、設計図面と違う部材や材料が使われている現場が確認されています。

工事を急ぐあまり違う部材を使って工事を進めようとすることは、契約違反になる可能性もあります。もし、使われている部材が違うのでは?と疑問を持たれた場合は、遠慮せず施工会社に確認してみましょう。

工事のストップ

基礎工事が終わったのに、木材が入ってこないため工事がストップする、といった現場もあります。もし工事がストップしてしまう場合は、長雨や台風で資材が濡れないように保護されているか、工事再開時にボルトなどが著しく錆びて腐食していないか、基礎の中に雨水が溜まったたままになっていないか、などをチェックしましょう。

上棟後に工事が止まった場合は、材料が濡れないようになっているか、戸締まりはされているかの確認をしましょう。

着工遅れ

家の柱や梁などを作るためのプレカット図面(構造部材の配置位置や寸法等を表す図面)の作成が遅れたり、部材がなかなか入ってこないことで着工が遅れ、工期が延びてしまっている現場もあります。

また、工事の遅れを挽回するために突貫工事になり、工事が雑で品質が低下する恐れもあります。工事が遅れる場合は、ある程度は引渡しが遅れてしまうことも想定しておきましょう。

お子さんの保育園や学校、転職、賃貸住宅の更新など、後ろの期日が決まっている場合は工事の遅れがないかを確認し、遅れる可能性がある場合はあらかじめ対策を検討しておく必要があります。多少の遅れがあったとしても、一生の家が欠陥住宅になってしまうことだけはなんとしても避けたい事態です。

新築工事における「第三者チェック」はさくら事務所にご相談を

新築工事における「第三者チェック」はさくら事務所にご相談を

これらの注意点に加え、もし工事を中断している間に災害があった際、工事現場の巡回などをしてもらえるのか、などを事前に確認しておくとより安心です。足場が掛かった状態で台風などの突風にさらされた場合、足場が倒れてしまう可能性もあります。

また、どんな対策をとっていても、どうしても工事のやり直しや、完成・引き渡しが遅れる場合が想定されます。工事再開時、無理に引き渡しに間に合わせるような突貫工事を生まないためにも、工程への影響や引き渡しまでのスケジュールについても、状況に応じて把握しておく必要があります。

建物への影響や今後の施工に工事に不安を感じる方は、さくら事務所にお気軽にご相談ください。さくら事務所の工事中インスペクションでは、新築工事中の現場をホームインスペクター(住宅診断士)が第三者の目でチェックを行っています。工事直前や工事中のお急ぎのご相談にも対応致します。工事中の家が濡れているのが心配、といったピンポイントのご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。