根切り工事は一戸建ての基礎工事の序盤で行われる、地面に穴を掘る工程です。一般的に基礎工事は以下の流れで進められます。
(1)地縄張り・遣り方工事
(2)根切り工事
(3)地業工事
(4)防湿シート敷き
(5)捨てコンクリート打設
(6)配筋工事
(7)型枠工事
根切り工事は安定した基礎を作るうえで欠かせません。正しく実施されないと住宅の耐震性にも悪影響を与えてしまいます。
そこで本記事では、「根切り工事」~「捨てコンクリート打設」までの基礎工事のチェックポイントを紹介します。
そもそも基礎工事とは何か、知りたい方は下記記事を参考にしてください。
【図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介
根切り(ねぎり)工事とは
根切り工事は、家の土台を作る基礎工事に先だって実施される工程のひとつです。建築物の土台や地下施設を設置する過程で、地表を適切な深さまで掘削して空間を形成し、基礎用のコンクリートを施工できる状態に整えることを目的としています。
空間の深さが適切でないと、その建物の構造的な安全性や耐震性に悪影響を及ぼす可能性があるため、計画的に適正な深さに掘削することが重要です。
一般的に根切りは、バックホウなどの大型機械を活用して行われます。
根切り工事は大きく分けて3種類
根切り工事は大きく分けて以下の3種類に分けられます。
- つぼ掘り
- 布堀り
- 総堀り
ここからは根切り工事の種類ごとの特徴について詳しく解説します。
つぼ堀り
つぼ堀りは、柱の下に限定して基礎を作る「独立基礎」の場合に採用される方法です。柱のサイズを精密に測定しながら、適切な形状と深さに穴を掘ります。つぼのような形の単独の穴が複数個掘られるのが特徴です。
傾斜の激しい土地に一戸建てを建築する場合や大型商業施設を建築する際に、独立基礎を用いるケースが多く、一般的な一戸建てではあまり見かけません。
布堀り
布堀りは、布基礎または基礎梁の特定箇所だけを掘削します。「布基礎」とは、柱や壁の下に逆T字の鉄筋が入ったコンクリートを埋め込まれた基礎です。布堀りはつぼ堀りと違い、独立した穴ではなく、線状に細長い空間ができるように掘削されます。
杭を設置するための準備として、布堀りが用いられることもあります。
総堀り(ベタ堀り)
総堀りはベタ掘りと呼ばれることもあります。名前の通り、ベタ基礎で採用される方法です。ベタ基礎は住宅の床面全体を鉄筋コンクリートの基礎で支えます。基礎が必要な区画全体を掘削するため、ひとつの大きな空間ができるのが特徴です。
3種類の中でもっとも大がかりな根切り工事が必要になります。
根切り工事の3つのチェックポイント
ここからは根切り工事における以下の3つのチェックポイントを解説します。
- 地盤の強度は確保できているか
- 根切りの深さや幅は適切か
- 根切り底は平滑になっているか
なぜチェックする必要があるのか、どのような視点でチェックすればよいのかを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
(1)地盤の強度は確保できているか
地盤強度や基礎形状などは、あらかじめ計画建築物の重量などを基に想定された地盤調査の結果と考察に合わせて設定され、それが地盤対策になるため非常に重要な部分になります。
そのため根切り工事を実施する前には、地盤の強度が確保できているかを広範囲で確かめるステップが不可欠です。
この確認作業が不十分な場合、地震や洪水のような自然災害が発生した際に建物が倒壊する危険性が高まります。地盤に不備が検出されたケースでは、状況に合わせて、補強工事が求められることが多いです。さらに根切りをおこなったあとに、基礎のベースと改良体にずれがないかも確認しておきましょう。
(2)根切りの深さや幅は適切か
根切り工事において、深さと幅は選定された基礎タイプに応じた最適な数値が設定されます。深さが不足すると、新しく建設する建物の構造的安全性や耐震能力に問題が生じることも一方で掘削が過度に深い場合は、埋め戻しという手段で調整が必要となる場合もあります。同様に、幅も設計図に則っているか、寒冷地ではとくに凍結深度を考慮した深さになっているかを確認することが重要です。
(3)根切り底は平滑になっているか
根切り工事がひと通り終わったとき、根切りされた底表面が平滑な状態になっているかどうかを確認しなくてはいけません。凹凸があると、基礎の仕上がりに影響するためです。また地中内にゴミやコンクリートの塊といった廃棄物が埋もれていないことも確認してください。ゴミが埋まっていると、ゴミの影響で地質に影響が出ることがあるため、根切り作業中に出た産業廃棄物が適切に処理されていることも合わせて確認しましょう。
根切り工事後の流れ
根切り工事のあとの流れは以下のとおりです。
- 地業工事
- 防湿シート敷き
- 捨てコンクリート打設
それぞれどのような工事なのか、チェックポイントとともに紹介します。
地業(じぎょう)工事

「地業」とは、建築基礎の支持を確実にするために、砂利や砕石(さいせき)を敷いたり、地面を加工したりする作業です。建築地の土壌は必要な深度まで掘削されるため、その領域は安定していない状態になります。
このように掘られた土は、隙間が多くて沈下しやすい性質を持っているため、砕石を配置してしっかりと締固める必要があるのです。
地業工事には以下2つのチェックポイントがあります。
- 敷かれた砕石の厚さは適切か
- 平らに敷いているか
(1)敷かれた砕石の厚さは適切か
国土交通省が公表している公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版(23ページ)によると、「砂利及び砂地業の範囲及び厚さは、特記による。特記がなければ、厚さは 60mm とする。」と定められています。そのため、地業工事においては割栗石(砕石)が60mmの厚みで敷き詰められていることを確認しましょう。もし厚みが不足していたり、厚すぎたりする場合は、再度工事が必要です。また厚みが300mmを超える場合は、300mmごとに締固めという処置が必要です。
(2)平らに敷いているか
地業工事においても根切り同様に「平ら」であることは重要です。基礎の精度に影響することから、地業工事においても平らに敷かれていることを必ず確認しましょう。さらに沈下防止のために締固めが行われているか、目潰し砂利が敷かれているかどうかも確認してください。
防湿シート敷き
防湿シートとはその名の通り、対象物を湿気から守ることを目的としたシートのことです。防湿シートを敷くことで、床下の湿度を制御して木製部分の腐朽を防ぎ、床下下地周りの耐久性をより維持しやすいものにします。特に土台、大引き、根太などの木材は湿気で腐りやすいため、この措置が重要です。
一方で、ベタ基礎を採用する際には、コンクリートの厚みによって透湿抵抗(湿気の移動のしにくさ)が達成できる場合があります。そのため、床下換気がしっかりと行われている状況では、防湿シートは不要と判断されるケースもあります。
防湿シート敷きのチェックポイントは以下の2つです。
- 使用材料は適切か
- 重ね合わせの幅は適切か
上記2点については施工上のルールが存在します。もしルール外の施工を行っていた場合、防湿シート本来の性能を発揮できず、構造体がの腐朽しやすくなる恐れがあるためしっかり押さえておきましょう。
(1)使用材料は適切か
防湿シートは0.2mm以上の厚みがあるポリエチレンフィルムが用いられることを確認しましょう。0.1mmでは薄く、破れやすく、防湿の役割を果たせなくなることがあるため、0.2mmのシートであることが理想です。
(2)重ね合わせの幅は適切か
防湿フィルムの重ね幅は、100mm以上や150mm以上、300mm以上などと多様化しているため、仕様に合っていることが求められます。そのため防湿フィルムの重ね幅もチェックしておきたいポイントです。仕上げとして防湿フィルム全面が乾燥した状態の砂や砂利もしくはコンクリートで押さえられているかどうかも確認しましょう。
捨てコンクリート打設

捨てコンクリートとは、地盤や基礎下、さらにはスラブ下や地中梁の下に注入されるコンクリートのことです。捨てコンクリートは主に強度よりも高さを整える、型枠の位置出しをしやすくする、配筋作業をしやすくするといった目的で使われます。
捨てコンクリート打設のチェックポイントは以下の2つです。
- 捨てコンクリートが打設されているか
- コンクリートが乾いてから次工程に進んでいるか
(1)捨てコンクリート打設されているか
捨てコンクリートは構造強度に直接関わらないため、施工会社によっては捨てコンクリートの工程を省略するケースもあります。しかし基礎の配置や鉄筋作業の精度に影響が出るため、品質を高く維持するには捨てコンクリートは重要な工程です。基礎工事が始まる前に捨てコンクリートをするかどうかを確認し、必要であれば捨てコンクリートの施工を依頼しましょう。
(2)コンクリートが乾いてから次工程に進んでいるか
捨てコンクリートの施工が完了した後は、基礎の配置を決定する作業に進みます。ただし次の作業に入る前にコンクリートが十分に乾燥しているかをチェックする必要があるのです。季節によって異なりますが、通常コンクリートが完全に乾燥するまでに1日から3日程度必要です。
なお捨てコンクリートには鉄筋がないため、クラックが出る可能性は高いですが、基礎工事の初期段階で使用されることから、クラックが問題になることはほぼありません。
根切りなどの基礎工事は工事中の検査で初期不良を防ごう
根切り工事などの基礎工事は、完成後には検査できず、万が一初期不良が分かった場合も補修するのが非常に難しいです。さらに初期不良があったからといって、すぐに不具合などの症状が現れるわけではないため、気がついたときには深刻な状態になっていることも少なくありません。
今まさに工事が始まろうとしている、または、根切り工事がすでに始まっている場合は、基礎の段階で専門家の検査を入れるのがおすすめです。
さくら事務所では、新築工事中のホームインスペクション(第三者検査)をおこなっています。住宅完成後には確認できない基礎・構造・防水・断熱などの工程で、建物に精通したホームインスペクターの検査を入れられるため、初期不良の防止に効果的です。
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