2023年08月21日(更新日:2026年08月23日)

豊泉 元

監修者:豊泉 元

さくら事務所プロホームインスペクター/一級建築士

大学工学部卒業後、建設会社に入社。ものづくりを現場で経験するため、住宅の基礎やマンション躯体の施工業務に職人(多能工)として従事。その後、大手リフォーム会社の現場管理者として、既存住宅及びマンションの改修工事に携わる。

第三者機関による新築一戸建ての検査費用を解説|必要性や不具合事例も紹介

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第三者機関による新築一戸建ての検査費用を解説|必要性や不具合事例も紹介

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

新築一戸建ての第三者機関による検査(ホームインスペクション)の費用は、完了検査で4~8万円です。工事中の検査の場合は、1検査あたり5~6万円、検査回数によりますが、総額だと20~60万円が目安になります。

  • 新築なのだから第三者の検査は不要なのではないか
  • 住宅ローンの返済や新生活に向けた家具・家電などの購入で出費がかさむなか、検査費用をかけるべきなのか

上記のように、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

一方で、第三者機関として累計8万組以上の住宅を検査してきたさくら事務所の統計では、完成後の検査で8割を超える住宅に不具合が見つかっています。

第三者機関による検査で見つかる不具合の多くは、引き渡し前であれば無償で是正を求められるものです。

さくら事務所の検査では、将来的に高額な補修費用につながる施工不良を発見できたケースもあります。重大な不具合がなかった場合でも、施工会社への信頼感と住まいの安心を手に入れられるため、決して無駄な費用にはなりません。

本記事では、新築一戸建てにおける第三者機関の工事中検査および完成検査の費用相場やオプション費用を解説します。実際に見つかった不具合事例も紹介するため、ぜひ参考にしてください。なお、実際の費用は検査機関やエリア、住宅の広さ、検査内容などによって異なります。掲載している金額はあくまでも目安としてご理解ください。

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新築一戸建ての第三者機関検査(ホームインスペクション)の費用相場

新築一戸建ての完成検査は、4~8万円が相場です。一方で、「新築工事中」の第三者機関による検査費用は、1検査あたり5~6万円で総額20~60万円(※検査回数による)が相場になります。

エリアや住宅の広さなどにより費用は異なるため、「実際にいくら費用がかかるのか」知りたい方は、検査機関に直接相談しましょう。

ここからは、工事中の検査と完成検査について、詳細を解説します。

工事中の検査

工事中の検査は、完成後には見えない重要箇所を工事の途中で検査します。1検査あたり5~6万円が相場ですが、複数の検査項目がセットになっていたり、自由に組み合わせられたりと料金設定は検査機関によってさまざまです。

【主な検査内容】

  • 基礎配筋・基礎立ち上がり型枠(耐久性に影響)
  • 構造金物(耐震性に影響)
  • 屋根や壁の防水(防水性に影響)
  • 壁や天井の断熱(断熱性に影響)
  • 足場解体前の塗装やシーリング(防水性・耐久性に影響)

上記は、住宅の耐久性・耐震性・防水性・断熱性に直結する重要な部分です。しかし、多くは完成後に隠れてしまうため、引き渡し後にその部分が原因で、何らかの不具合が表れた場合に、原因の特定や是正が難しくなることがあります。

住宅性能にこだわって設計されていても、施工の段階で不備があれば、想定していた性能を発揮できない恐れがあるため、工事中の段階で第三者機関による検査を受けることが重要です。

完成検査

完成検査は、工事完了後、引き渡し前の施主検査(内覧会)に第三者機関が同行する形で実施される検査です。

検査項目は検査機関によって異なりますが、大きく以下に分類されます。

【おもな検査項目】

  • 外回り
  • 室内
  • 設備関係
  • 床下・屋根裏など

基本的には目視での検査ですが、プロのインスペクター(住宅診断士)は単に汚れや傷を見るのではなく、建物の構造的な歪みの傾向や施工不良の兆候(クラックの入り方やビスの留め方など)をわずかな違和感から見抜きます。

また、検査機関によっては、レーザー墨出し器(傾き計測時に使用)などの専用機材を活用することもあります。さらに、基本検査に加え、より詳細な点検ができるオプションが用意されていることも珍しくありません。

完成検査でよくあるオプションの費用相場は以下のとおりです。

【よくあるオプション】

  • 床下詳細調査(進入調査):3万円前後
  • 屋根裏詳細調査(進入調査):1~2万円
  • サーモグラフィーカメラによる調査:1~3万円

オプション以外にも特殊な条件(面積超過など)による追加料金、交通費やキャンセル料といった費用が生じるケースもあります。

住宅の種類別の費用やオプションの詳細については、下記記事でまとめているため、参考にしてください。

ホームインスペクションの費用を大公開|オプション価格や格安サービスの注意点も

【独自統計】新築で第三者機関の検査に費用をかけるべき理由

新築住宅は経年劣化による不具合がないため、「わざわざ高い費用をかけて第三者機関に検査を依頼する必要はないのでは」と感じる方もいるでしょう。

しかし、実際には、耐震性に関わる構造部分の施工不良や、断熱・防水といった住宅性能に影響を及ぼす不具合が見つかるケースも少なくありません。

さくら事務所が独自に集計したデータを基に、工事中検査と完成検査でどの程度の不具合が見つかっているのかを見ていきましょう。

【工事中検査】不具合指摘率は6割を超える項目も

下記の表は、2024年(265件)および2025年(360件)の1月~12月の期間で、さくら事務所が実施した、新築戸建て工事中の第三者検査における不具合指摘率です。

新築戸建て 工事中ホームインスペクション 会社規模別 不具合指摘率 2025

全体的に見ると、2025年は2024年と比べて不具合指摘率が減少しており、大手の施工会社は準大手・中小規模の施工会社よりも指摘率が低い傾向にありました。

しかし、それでも多くの住宅で不具合が見つかっています。とくに外壁防水は、2025年時点でも大手の会社で39.3%、準大手で54.6%、中小規模の会社では62.0%の住宅で指摘がありました。また、基礎配筋や構造金物についても、約3~6割の現場で不具合が確認されています。

これらは、単なる見た目の問題ではありません。基礎配筋は建物の耐久性、外壁防水は雨漏りリスク、構造金物は耐震性に直結する重要な部分です。不具合を放置すると、将来的に住宅性能の低下や高額な補修工事につながる可能性があります。

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【完成検査】不具合指摘率は全体の8割超え

さくら事務所が、2025年の1年間で実施した新築一戸建ての完成検査を集計したところ、82%の住宅で何らかの不具合が指摘されていました。

具体的な指摘内容は、以下のグラフのとおりです。

新築一戸建て ホームインスペクション 部位別指摘率 2025
※2025年1月1日~12月31日の期間でさくら事務所が実施した新築一戸建てホームインスペクションの検査結果
※n=1,370

具体的な指摘内容を見ると、外壁仕上げ(31.9%)や屋外面の基礎(22.6%)、基礎・床下面(35.5%)など、住宅の耐久性や防水性に関わる部分で多くの不具合が確認されました。

なかでも注意したいのが、雨漏りにつながる可能性のある外装仕上げに関する不具合です。雨水の浸入を放置すると、柱や梁などの構造材が腐朽し、建物の耐久性が大きく低下する恐れがあります。

実際に、被害が構造材まで及んだケースでは周辺の壁や天井を解体して補修する必要があり、1,000万円を超える修繕費用が発生した事例もありました。構造材まで被害が及ばなかった場合でも、100〜200万円程度の修理費用がかかることは珍しくありません。

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【事例】新築工事中・完成後の第三者検査の現場で実際に見つかった不具合

さくら事務所が行った、新築工事中と完成検査で実際に見つかった不具合事例を5つ紹介します。

1.構造金物のビスの入れ忘れ

新築一戸建て工事中に発覚した不具合

工事中の第三者検査で発覚した、構造金物のビスの入れ忘れです。構造金物は耐震性に大きく影響しますが、写真のようにビスの入れ忘れがあると、設計通りの耐震性を確保できないことがあります。

構造金物の取り付け場所によっては、住宅完成後には見えないことがあるため、工事中検査でしっかり見ておきたいポイントです。

2.防水紙の破れ

防湿シートの破れ

上記の写真は、外壁や屋根の内側に施工された防水シートの一部が破損している事例です。防水シートは雨水の浸入を防ぐ最後の砦ともいえる重要な部材です。

ところが、工事中検査における外壁防水の指摘事項では、防水シートの穴や破れが最も多く見られます。小さな損傷でも雨水の浸入や雨漏りにつながる可能性があるため、発見した際は、確実に補修・是正することが重要です。

3.サッシ周りの断熱材の入れ忘れ

断熱材 入れ忘れ

上の写真も、新築工事中の第三者検査で発覚した不具合です。サッシ周りの赤枠斜線部に、断熱材が入っていない状態でした。

設計に問題がなくても、施工時にこうしたミスがあると、本来の断熱性や気密性を確保できません。温度差により内部結露が生じると、カビ発生の原因になる可能性があるため、しっかり対処しておくべき不具合です。

4.部材(通気胴縁)の配置ミス

通気胴縁 配置ミス

上記の写真は、完成検査で見つかった不具合事例で、サッシ横の外壁を下側から撮影したものです。写真に写っている外壁材の裏側の木材は、「通気胴縁」と呼ばれる部材で、外壁内部の湿気を排出するための通気層を確保する役割があります。

本来は、サッシから30mm以上離して施工し、空気が流れるための隙間を設ける必要がありますが、この事例では通気胴縁の配置に誤りがあり、十分な通気経路が確保されていません。

通気が妨げられると、壁内に湿気が滞留しやすくなり、下地材の腐食やカビの発生につながる恐れがあります。

5.排気ダクトの穴

排気ダクト 穴

上記は、完成検査で見つかった、浴室やトイレ、洗面所などの換気に使用されるフレキシブルダクトに穴が開いていた事例です。

ダクトに穴があると排気が途中で漏れ、湿気を含んだ空気が天井裏へ流れ込んでしまいます。その結果、結露やカビの発生、木材の腐朽につながる恐れがあります。

検口から覗くだけでは検査が難しいことがあるため、専門家による点検口からの進入調査が有効です。

他にも、一般の方が見落としやすい不具合は、多々あります。下記動画でも、よくある不具合について紹介しているため、参考にしてください。

【よくある誤解】新築で第三者機関の検査が不要と考えられる理由

ハウスメーカーや工務店などに第三者機関による検査について相談すると「必要ない」と言われるケースも少なくありません。ここからは、第三者機関の検査が不要と考えられる以下の理由ごとに「本当はどうなのか」を解説します。

  • 建築確認や瑕疵保険の検査を受けている
  • ハウスメーカー側で検査を入れた
  • 保証やアフターサービスがある

順に見ていきましょう。

建築確認や瑕疵保険の検査を受けている

「建築確認や住宅瑕疵保険の検査を受けているから、第三者機関の検査は不要では?」と考える方もいます。しかし、これらの検査は、第三者機関の検査とは目的が異なるため、代わりにはなりません。

検査の位置づけと目的は、以下の表のとおりです。

検査の種類位置づけ検査の目的
建築確認(中間・完了)の検査必須建築基準法への適合確認
住宅瑕疵保険の検査実質必須(※)瑕疵保険への加入
フラット35適合の検査利用時必須フラット35の利用
住宅性能評価の検査任意性能等級の評価
第三者機関による検査(ホームインスペクション)任意施主目線での不具合確認
※新築住宅の供給事業者には、保険への加入または保証金の供託による資力確保措置が義務付けられていますが、実務上は多くの事業者が住宅瑕疵保険を利用しています。

上記のように、建築確認や住宅瑕疵保険などの検査は、施主目線での検査ではありません。

一方、第三者機関による検査は、施主の立場で施工不良や不具合の有無を確認します。建築確認や住宅瑕疵保険などの検査は、多くの住宅で実施されていますが、施工品質を施主目線で細かく点検する検査は、第三者機関による検査ならではです。

ハウスメーカー側で検査を入れた

ハウスメーカーから「当社で第三者機関の検査を入れています」と説明を受けることがあります。すでに検査済みと言われると「お金をかけてまで検査する必要がないのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、ハウスメーカーが依頼する検査機関は、ハウスメーカーの関連会社や取引先であるケースも見受けられます。

その場合、一定の検査品質は期待できるものの、施主と施工会社の双方から独立した「完全な第三者」とは、位置付けが異なります。

また、検査項目や結果は、共有されることが多いものの、実際にどのような基準でどこまで詳細に確認されたのかを、施主が把握することは容易ではありません。

より客観的な視点で住宅の品質を確認するためにも、改めて施主自身で、ハウスメーカー側と一切の利害関係がない第三者機関に検査を依頼することを検討しましょう。

保証やアフターサービスがある

雨漏りや構造部分の不具合は、品確法により10年間保証されます。また、多くの施工会社では建具や設備の不具合に対する独自のアフターサービスもあります。

しかし「経年劣化」や「使用による変化」と判断されると、保証対象外になるケースも少なくありません。

また、壁の解体を伴うような不具合は、居住後の修繕になると家具の移動や工事への立ち会いなど、施主の負担も大きくなります。工事中に発見・是正できたはずの不具合は、引き渡し後ではなく、施工中の段階で対処するのが理想です。

第三者機関の検査に関する疑問やお悩み

第三者機関による検査に関して、以下のような疑問や悩みを持つ方が多く見受けられます。

  • 第三者機関の検査を入れるタイミングは?
  • 不動産会社や施工会社に断られることはある?
  • 施工会社との関係が悪化しそう

下記で回答するため、第三者機関の検査を検討している方は参考にしてください。

第三者機関の検査を入れるタイミングは?

第三者機関の検査は、工事中のできるだけ早い段階に実施するのが理想です。施工途中で不具合が見つかれば、完成前に是正しやすいためです。

とはいえ、第三者検査の存在を後から知り「すでに工事が進んでしまった」というケースもあるでしょう。その場合でも手遅れではないため、安心してください。

工事の進捗状況によっては、基礎・構造・防水・断熱などを確認できます。また、工事中の検査が間に合わなくても、完成検査を受けることは可能です。

完成検査では、工事中の検査ほど確認できる範囲は広くありませんが、床下や屋根裏の調査、サーモグラフィーを使った検査などにより、目視できない部分の状態も一定の範囲で確認できます。

第三者機関の検査は、工事中から完成後まで幅広いタイミングで利用できるため「着工が近い」「途中からでも依頼できるのか不安」という方も、まずはご相談ください。

不動産会社や施工会社に断られることはある?

不動産会社や施工会社にホームインスペクションを断られることもありますが、さくら事務所の場合は、95%ほどの現場で許可を得られています。

さくら事務所のスタンスは、施工会社をバックアップし、お施主様を交えた三者で一緒に品質を担保していくサポート体制を作ることです。施工会社にも第三者検査の目的を丁寧に説明し、施工者側の「良い家を作りたい」という想いをリスペクトする姿勢が、信頼につながり、受け入れられる最大の理由となっていると考えます。

第三者機関によるホームインスペクションは、あくまでも施主側の任意で行うため、不動産会社や施工会社に断られたら実施できません。

万が一断られた場合は、まずその理由を聞いてみましょう。理由としてよくあるのが、工期の遅延です。確かに工期を守ることは大切ですが、安全な家であることが大前提です。

工期を理由に断られた場合は、実際の工程を把握するために、現段階での工程表を提出してもらいましょう。実態を踏まえ、第三者機関の協力を得たうえで、工期に影響の出ない範囲で検査に入れることをわかってもらえれば許可してもらえることがあります。

ただし、繁忙期などで引き渡しに間に合わせるために、本当に工期に余裕がないこともあるでしょう。その場合は、引き渡し時期を延ばすなど、施主側も譲歩する必要があります。

施工会社との関係が悪化しそう

「第三者検査を依頼すると、施工会社との関係が悪くなるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、建築現場では、建築確認検査や住宅瑕疵保険の検査などが日常的に行われています。そのため、検査そのものが問題になることはほとんどありません。

一方で、検査機関によって現場でのコミュニケーションや対応に差があるため注意が必要です。高圧的な態度や一方的な指摘は、現場との信頼関係を損なう原因になりかねません。

第三者検査を依頼する際は、工事の妨げにならないようどのような配慮を行っているのか、施工会社とのコミュニケーションをどのように取っているのかを、事前に確認しておくと安心です。

適切な対応を行う検査機関であれば、施工会社との関係悪化など、大きなトラブルにつながる可能性は低いでしょう。

検査機関を選ぶ際のポイントは、下記記事でまとめています。

【2026最新】ホームインスペクションのおすすめ会社8選|失敗しない選び方・費用相場を紹介

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新築一戸建ての第三者機関による検査費用は、完成検査で4~8万円、工事中検査は1回あたり5~6万円が相場です。

一見すると高く感じるかもしれませんが、さくら事務所の調査では工事中・完成後ともに多くの住宅で不具合が見つかっており、なかには耐震性や防水性、断熱性など住宅性能に大きく影響を及ぼす可能性があるものも含まれています。

こうした不具合は、引き渡し後に発覚すると修繕費用や新生活への影響が大きくなりますが、工事中や引き渡し前であれば無償で是正してもらえるケースがほとんどです。

そのため、第三者検査は単なる「安心料」ではなく、将来的なリスクを抑えるための費用対効果の高い投資といえるでしょう。

さくら事務所では、基礎・構造・防水・断熱などを確認する工事中検査、完成検査を行っています。新築住宅の品質に不安がある方や、専門家の目でしっかり確認してほしい方は、お気軽にご相談ください。

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大学工学部卒業後、建設会社に入社。ものづくりを現場で経験するため、住宅の基礎やマンション躯体の施工業務に職人(多能工)として従事。その後、大手リフォーム会社の現場管理者として、既存住宅及びマンションの改修工事に携わる。

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