新築一戸建ての工事中のチェックポイントを工程ごとにご紹介する本連載、最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。
前回に引き続き、今回も新築一戸建て工事中の現場のチェックポイントをご紹介します。
第3回は、さくら事務所の工事中の第三者現場チェックサービス「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」ではもちろん、現場の管理者や、社内検査、第三者機関が現場のチェックを行う項目にはほとんど入っているという重要な工程「配筋」について、ホームインスペクター(住宅診断士)がご紹介します。
配筋~コンクリート打設までの手順
基礎を作る準備ができたら、建物にとって非常に重要な基礎工事が始まります。
基礎の工事は「基礎屋さん」と呼ばれる専門の業者が行うのが一般的。大手のハウスメーカーと契約した方でも、実際の作業を行うのはその地域の基礎屋さんになります。
チェックポイントの前に、基礎コンクリート工事の手順を説明しておきましょう。
①配筋
設計図に沿って鉄筋を配置していくことを「配筋(はいきん)」といいます。
配筋作業は、現場で手作業によって行われます。部分的にはあらかじめ組み立てられている鉄筋も使いますが、ほとんどは手作業。
一戸建ての配筋作業は、1人~2人の職人さんですべてを行うことがほとんどです。手作業が多い工程なので、職人さんの力量によって配筋の出来上がり具合は大きく異なります。
②ベースコンクリート打設
配筋に問題がなければコンクリートを流し込みます。これを「打設(だせつ)」といいます。
基礎の形状は、逆Tの字をしている「布基礎」か、底面を全てコンクリートで埋めた「ベタ基礎」の2つ。
最近は、ベタ基礎を採用する一戸建てが多いようです。
コンクリートは、ベース(底面)と立ち上がりの部分を2回に分けて打つのが一般的。ただ、ハウスメーカーの中には1回で打ってしまうところもあります。1回で打った場合、コンクリートの継ぎ目ができないために水が入りにくかったり、強度の低下が少ないというメリットはあるものの、施工には技術が必要です。
③立ち上がり部分の型枠準備
底面のコンクリートが固まったら、立ち上がり部分のコンクリートを打設する準備を行ないます。
まず、固まった底面のコンクリートの上に、基礎の位置を決定する線を引く「墨出し(すみだし)」作業から始まります。
次に、墨出しで書いた線をもとに型枠を立てていきます。型枠は何度でも使うことができる鋼製のものが主流。
型枠を立てるときは通常「アンカーボルト」という基礎と土台を繋ぐ金物をあらかじめ取り付けておきます。
④立ち上がり部分の打設
型枠が準備できたらその中にコンクリートを流し込みます。
立ち上がり部分には鉄筋が多く、底面の打設と比べてコンクリートの充填不良箇所が出やすいため、注意が必要です。
コンクリートが固まった後、型枠を外したら基礎コンクリートが完成。
配筋時のチェックポイントと問題が起きやすい箇所
配筋時のチェックで指摘されることが多い問題は以下のようなもの。
- 鉄筋を包み込むコンクリートの厚み(かぶり厚)不足
- スリーブや配管と鉄筋が密着している
- 基礎と土台を繋ぐ金物(アンカーボルト)の不足、位置の間違い、ずれ、傾き
次回は、コンクリートのかぶり厚のチェックポイントについてご紹介します。