新築一戸建て工事中のチェックポイント⑦ 配筋の注意点

  • Update: 2017-11-25
新築一戸建て工事中のチェックポイント⑦ 配筋の注意点

新築一戸建ての工事中のチェックポイントを工程ごとにご紹介する本連載、最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。

さて、ここまで問題の起きやすい箇所について重点的に説明してきました。他にも、さくら事務所の工事中の第三者現場チェックサービス「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」では、配筋の時の注意点を細かくチェックしています。
第7回では、配筋時の注意点についてふれておきましょう。

鉄筋の太さを測る

基礎の鉄筋は場所によって太さが違います。また鉄筋の間隔も、場所によって異なることがあります。 それぞれの鉄筋の太さや間隔は、図面に書いてあります。配筋が図面どおりになっているか、実際に測って調べてみましょう。 図面には「@」の記号があります。これは、鉄筋と鉄筋の間隔(ピッチ)を表しています。@200なら、鉄筋と鉄筋の間隔は200mmで続くということです。

鉄筋をつなげる箇所は規定の長さ以上重なっているか

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一戸建ての基礎に使われる鉄筋の長さは5.5mの長さのものが一般的。建物の基礎が5.5mより長ければ、途中で鉄筋を繋げなければなりません。鉄筋コンクリート造マンションのような建物では鉄筋が太いため、溶接して鉄筋同士をつなぎます。 一方、一戸建ての基礎コンクリートに使われる鉄筋は、1.3cm前後の太さで鉄筋コンクリート造マンションに比べて細く、鉄筋を溶接してつなぐことはありません。溶接で鉄筋をつなぐかわりに、鉄筋同士を横に並べてつなぐ「重ね継手」という方法が使われます。

重ね継手の長さには決まりがあり、一般的には鉄筋の太さ×40倍以上の長さが必要です。チェックをおこなうときは、メジャーで重ね継手の長さを測っておきましょう。継手の位置はすべて同じ位置にするのではなく、ある程度距離を離してバラバラにする(千鳥にする)のが理想です。

隅角部の鉄筋は、30cm以上重なっているか

基礎の配筋の角部分は2つ以上の方向から鉄筋が交わります。このとき配筋の強度を高めるため、お互いの鉄筋を30cm以上重ねる必要があります。鉄筋の重ね長さが30cm以上あるか、メジャーなどで測って確認しておきましょう。※施工会社により仕様が異なる場合があります。

型枠の剥離材は、鉄筋に付着していないか

一戸建ての基礎に使われる型枠は鋼製のものが主流で、何回も使うことができる耐久性の高いもの。基礎コンクリートが固まったあとには型枠を取り外す必要があります。しかしコンクリートは密着性が高いため、型枠を取り付けるときに何もしないと型枠にコンクリートが付着して、取り外すのが難しくなります。

そこで通常、型枠をコンクリートから取り外しやすくするために「剥離剤(はくりざい)」を塗ります。 基礎のコンクリートは、鉄筋とコンクリートが一体となって強さを発揮します。ところがこの剥離剤が鉄筋についてしまうと、鉄筋とコンクリートが剥がれやすくなり、本来の強さを発揮できません。剥離剤を型枠に塗るときは、剥離剤が鉄筋に付着しないよう注意しなければなりません。

剥離剤の塗り方には2通りあります。

1.型枠を組む前に、あらかじめローラーで剥離剤を塗る

ローラーを使い、ペンキを塗るように型枠に剥離剤を塗ったあと型枠を取り付けます。メーカーでは、これ以外のやり方を禁止しているところが少なくありません。

2.配筋が終わったあと、スプレーのように剥離剤を塗る

配筋が終わったあとに噴霧器で剥離剤を吹き付けるやり方ですが、剥離剤が鉄筋に付着する確率が非常に高くなります。このままでは鉄筋とコンクリートが剥がれやすく、すべて拭き取らなくてはいけません。鉄筋への剥離剤の付着が多くて広範囲に広がっているときは、問題のある鉄筋をすべて交換する必要もあります。

次回は、これらを踏まえ、「コンクリート打設の注意」について詳しく解説していきます。