ホームインスペクションを嫌がる理由とは?不動産会社の本音と入れるべき理由を徹底解説

  • Update: 2022-10-10
ホームインスペクションを嫌がる理由とは?不動産会社の本音と入れるべき理由を徹底解説

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「中古住宅の購入のためホームインスペクションを入れたいと営業さんに言ったら断られた」
「建売住宅の施工不良が怖かったのでインスペクションの話をしたら、あからさまに嫌な顔をされた」

などなど…さくら事務所に舞い込む相談にホームインスペクションを断られる事例が数多くあります。

なぜ、不動産会社がホームインスペクションを嫌がるのか?本コラムでは、多くの不動産コンサルタントを抱えるさくら事務所が解説いたします。

また、過去ホームインスペクション実績65,000組を越えるさくら事務所では、数々の住宅の施工不良、劣化事象をみつけており、その経験からホームインスペクションを入れるべき理由も解説いたします。

本記事を読むことで、ホームインスペクションの重要性がわかり、住宅売買後のトラブルなく、安心して住めるようになりますので、最後までご覧ください。

中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)

不動産会社がホームインスペクションを嫌がる理由

不動産会社は、なぜホームインスペクションを嫌がるのでしょうか?さくら事務所では、以下が主要な理由だと考えています。

  • 結果次第では購入してもらえなくなる
  • 他の買主に買われてしまう可能性がある
  • 不具合に気付いている
  • 売主への配慮

1つずつ解説していきます。

①結果次第では購入してもらえなくなる

上の写真は、さくら事務所のホームインスペクションでみつけた不具合事例です。

床を支える重要な部材の大引きを、給排水管が貫通してしまっている施工不良なのですが、このような施工不良や劣化事象がホームインスペクションを実施してみつかると、不動産会社は買主が購入してくれなくなると思っています。

不動産会社は物件が売れることが第一です。だとすると、ホームインスペクションを実施することなく売ってしまいたいというのが本音なわけですね。

②他の買主に買われてしまう可能性がある

当たり前の話ですが、住宅物件はホームインスペクションを実施している間に、他の買主に買われてしまう恐れがあります。建売住宅や中古住宅を仲介している不動産会社は、他の不動産会社が仲介した買主に購入されてしまうと売上になりません。

ホームインスペクションを実施せずに早く売ってしまいたいという、不動産営業マンとしての心理が働くため、ホームインスペクションを拒否するわけですね。

③手配や補修が面倒

不動産営業マンは、ホームインスペクションの手配や施工不良・劣化事象の補修を面倒に感じています。ホームインスペクションを実施しなければ、インスペクションの手配はもちろん、発見されていない施工不良や劣化事象の補修をする必要はないからです。

物件を条件や間取り、内覧をするだけで売れる方が楽であるという理由で、インスペクションを拒否するのですね。

④不具合に気付いている

上の写真もさくら事務所のホームインスペクションでみつけた不具合事例です。

中古住宅のインスペクションで、地盤沈下により「梁(はり)」が傾いてしまっていた事例ですが、不動産会社がこのような物件の不具合に気付いていることもあります。

物件に致命的な雨漏りや家の傾きなどがあることに気付いていると、買主にバレずに高く売りたくなるのが、不動産会社側の心理となるわけです。

⑤売主への配慮

売主への配慮、いわゆる「忖度」が働くことがあります。

ホームインスペクションを入れて不具合がみつかると、買主から減額交渉や修理を依頼されてしまいます。売主は少しでも高く売りたいと考えますから売主に忖度するためにホームインスペクションを拒否したいと考えるわけです。

~実際のお客様の声をご紹介~

実際にさくら事務所の相談で、ホームインスペクションを拒否された事例をご紹介します。

通称「仲介ブロック」と呼ばれるもので、売主はインスペクションを拒否していないのに仲介の不動産会社に拒否される事例となります。

買主の方は建築士であったにも関わらずインスペクションを実施しなかったことで設備の不具合を見抜けず、購入後に10万円かけて交換した事例になります。

【お客様からの声】仲介さんにホームインスペクション(住宅診断)を拒否されてしまいました・・・

ホームインスペクションは必要!

工程別の不具合発生率データ

実は、2019?2020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店までの過去の診断結果を幅広く集計・分析した結果、新築工事の段階でおおよそ8割近くで不具合が発生していることがわかっております。

※【参考コラム】新築工事の時点で8割に欠陥が!?工程・タイミング別チェックポイント

給水管水漏れによる床下の水たまりや、換気扇ダクトの接続忘れ、断熱材の外れなど、新築でも施工不良は多く見られ、おそらく多くの人が新築に抱くイメージとは大きくかけ離れた施工状況ではないでしょうか?

さくら事務所のホームインスペクションをご利用いただければ、上記のような施工不良の発見だけでなく、ご入居後に行うと良いメンテナンスへのアドバイスなども行っております。

また、サービスご利用後にもあらゆる住まいのご相談に対応するための「永年アフターフォローサービス」もご用意、これから暮らす住まいの安心に加え、建築士の他、不動産・防災・マンション管理のプロが、契約前後も住まいのお悩みを幅広くサポートいたします。

ホームインスペクションを入れるベストなタイミングとは?

では実際にホームインスペクションを入れるベストなタイミングはいつでしょうか?
新築戸建ての購入を例にみていきましょう。

※中古住宅購入でのベストなタイミングはこちら

 

まず、一般的な住宅購入の流れは下のようになります。

ベストタイミング「申し込み後」から「契約前」

購入に時間があり余裕をもって検討できる状況であれば、ホームインスペクションを行うタイミングは、「申し込み後」から「契約前」までの時期がベストです。

  • 申し込み前
    申し込み前であればインスペクションの結果を受けて、契約するかしないかを自由に判断できます。
    申し込み前ですのでホームインスペクション中に、他の方に購入されるリスクはあります。
  • 申し込み後
    申し込み後では申し込み金(1~10万円程度)の返還がされないだけで無条件で申し込みを解消することができます。
    申し込みをしているので、原則他の方に購入される心配もありません。

契約後(購入後)から引き渡し前

売買契約が終わってから心配になり、ホームインスペクションを依頼したい場合もあります。

物件の契約後にホームインスペクションを行う場合は、引き渡し前に行うようにしましょう。

契約後のインスペクションで建物に不具合があっても、契約解除をすることはできません。

不具合箇所を直して引き渡すのが原則です。

引き渡し後(入居後)

引き渡し後も瑕疵担保責任期間であれば、売主が補修の責任を負うことになります。

引き渡し後にホームインスペクションを実施する場合は、引き渡し後できるだけ早期の実施をおすすめします。

アフターサービスや瑕疵担保責任期間(「構造耐力上主要な部分等」と「雨水の浸入を防止する部分」は10年)は多くの場合2年となっています。

ホームインスペクションのタイミングについて詳しくは↓のコラムから
ホームインスペクションのベストタイミングはいつか?

時期別の権利やその他のタイミングについてのより詳しい解説はこちら
中古住宅のホームインスペクションは不要?時期別の権利やタイミングも解説

ホームインスペクションを断られた時の対処

実際にホームインスペクションを断られてしまった際は、どのように対応するのが良いのでしょうか?

物件購入の際にホームインスペクションを行うことは一般的になってきており、購入後のトラブルを防ぐためにも売主・買主の双方にメリットがあります。

インスペクションが普及している欧米では約8割で実施されています。

ご参考:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会

2018年に施行された改正宅建業法では、中古住宅の売買においてホームインスペクション業者のあっせん(紹介)可否を告知し、インスペクション結果を説明することが義務化されました。

先ほど解説した、新築工事の段階でおおよそ8割近くで不具合が発生しているデータや、基本的ホームインスペクションの実施を国が施策として推進していることなどを踏まえると、インスペクションを断ること自体がおかしいとも言えます。

そのため、これから住む家のリスク回避としてホームインスペクションが必要だ、という毅然とした態度を示すことも大事です。

国土交通省「既存住宅市場の活性化について

 

交渉する

ホームインスペクションを実施させてもらえるように交渉しましょう。

居住後に不具合がみつかった際のトラブルを避けるために、ホームインスペクションの実施は売主・買主にメリットがあることを説明して実施の許可を交渉しましょう。

ホームインスペクション業者の手配が面倒と感じる営業の方もいますので、インスペクションの手配を買主が行うことで実施できることもあります。

拒否される物件を無理に買おうとせず、だめなら購入をあきらめるつもりで明確にホームインスペクション実施の意思表示をしましょう。

不動産会社を変える

仲介する不動産会社を変えてしまうのも手です。

建売住宅や中古住宅では複数の不動産会社が仲介している場合が多くなっています。

仲介の不動産会社を変えても物件は変わりませんので、ホームインスペクションを実施させてくれる不動産会社に変えてしまうのが良いのです。

テレビでも話題になった「正直不動産」ですが、ホームインスペクションを入れて正直に物件を売っている不動産会社が増えています。

さくら事務所のホームインスペクションを利用して頂いている「リアル正直不動産」の事例は↓になります。

他の物件を購入する

交渉や不動産会社を変えるようなことをしても拒否されてしまう場合も。

ホームインスペクションが入れられない物件の購入は非常にリスクがあります。一生に一度とも言える高額な買い物である家を、リスクがあって購入するのは避けるべきですし、無理をしてリスクのある住宅を購入する必要はありません。

業界No.1!経験年数20年以上のプロ集団が提供


さくら事務所は、国内におけるホームインスペクション普及のパイオニア的存在であり、これまでご依頼実績は業界No.1(累計65,000件超)、満足度98%(Google口コミ☆4.8)と非常に有り難い評価をいただいております。

弊社理念の核でもある「第三者性・中立性」を保持しながら、建築・不動産・防災・マンション管理など、あらゆる難関資格を持つメンバーが連携、サービスご利用後にもあらゆる住まいのご相談に対応するための「永年アフターフォローサービス」もご用意。これから暮らす住まいの安心に加え、心強い建築士と末永いお付き合いをいただける内容となっております。

※ご依頼から概ね3日~1週間以内での調査実施が可能です。お急ぎの方は、まずはお問合せください!

ホームインスペクター 豊泉 元
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター
さくら事務所 住宅診断プランナー

豊泉 元

大学工学部卒業後、建設会社に入社。ものづくりを現場で経験するため、住宅の基礎やマンション躯体の施工業務に職人(多能工)として従事。その後、大手リフォーム会社の現場管理者として、既存住宅及びマンションの改修工事に携わる