三大ショックが引き起こす「未完成住宅」の引き渡し

  • Update: 2022-07-21
三大ショックが引き起こす「未完成住宅」の引き渡し

コロナや戦争などを背景とした、ウッド・アイアン・オイルなどのショックが同時に発生し、現在、様々な資材価格が上昇しています。それによる住宅の建築価格の値上がり傾向も顕著です。また、当初予定していた「住宅の建築費用」よりも高い見積りを提示されるといったケースがあることも事実。住宅設備においては、現在、値上げや入荷待ちといった状況にあり、なかには「未完成」な状態での住宅の引き渡しが行われているというケースも散見されます。

本記事では、多くの相談を受けてきた、プロのホームインスペクター(住宅診断士)がそういった状況にどう向き合っていくべきかを解説します!

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「ステルス値上げ」にご注意

今年は建築資材の値上げにより、建築価格が上昇し、さくら事務所が確認できた範囲でも、コロナ前だと3,000万円ほどで建てられた住宅が、最近だと3,800万円以上も費用がかかるというケースもありました。

 最初に提示された金額より高い費用を請求される場合もあるようですが、契約の特約に、契約後の価格上昇についての特約が無ければ、基本的には支払う必要はありません。ただし、実際に資材価格などが上がると、施主の知らない間に「ステルス値上げ」をされる可能性はあります。

たとえば、値段はそのままに、勝手に資材を安いものに変えられてしまったり、職人さんの人件費を削ったりといったような対応などが考えられます。そのため、いくら契約書に価格上昇のことが書かれていなかったとしても、住宅会社に状況を確認し、必要に応じて話し合って落としどころを見つけることが大切です。

価格上昇が長引いていることから、住宅会社側が特約などに「経済事情の激変等で価格が上がったときには、理由を明示して必要と認められる請負代金額の変更を求めることができる。」などの一文を入れて対応していることが多く、これは国交省の中央建設業審議会の「民間建設工事標準請負契約約款」にも記載されており、こうした特約は一般的だと言って差し支えありません。

このような状況を踏まえ、契約する時に、使う資材をきちんと確定させて書面に記載しておくことが重要になります。

例えば、使われているトイレはどのメーカーのどの種類なのか、使われている外壁の材料の品番は何かなど、「仕様書(しようしょ)」といって、使われる材料が一覧化される図面にそういった記載をすることが一般的です。契約時にきちんと記載しておけば、工事中に「建設費用が300万円上昇しました」と言われても、素人でもその上昇が妥当なものかどうかをある程度ネットなどで判断することができます。

引き渡されたマイホームが「未完成」

この場合の「未完成」というのは、電気や水道もきちんと使えて、一応、住むことはできますが、「当初の計画通り100%まで完成していない」ままに引き渡される住宅のことを指します。

例えば、

・最初の計画ではキッチンに「最新の食器洗浄機」を設置する予定だったのだが、その食器洗浄機が準備出来ないので、引き渡し後、その洗浄機が入荷したら取り付ける。

・希望していたトイレ、照明器具などの入荷が遅れており、仮に一時的にトイレを設置する、あるいは照明器具は後で希望の商品が入荷したら工事しなおす。

といったような対応が必要となる状態のことです。

住宅の引き渡しシーズンである、今年の3月に、さくら事務所が同行した新築住宅の内覧会ではその10%以上が「未完成」な状態でした。 

その背景には、大手メーカーのユニットバス、トイレ、食器洗浄機は中国などの海外で製造されているものも多く、コロナでロックダウン、戦争による経済制裁などが発生してしまうと、工場も製造を停止したり、輸送できなくなってしまうという事情があります。

「未完成住宅」の引渡しによるトラブル

例えば「未完成」で引き渡された後で、何週間かして希望していた「食器洗浄機」が届いて、据え付けられたとします。最初は、問題なく使えるのですが、そのうち水漏れなどの不具合が発生する…といったトラブルが起こる可能性があります。

もちろんこういったトラブルは、計画通り完成済みの新築でも起こりえますが、「未完成住宅」での引き渡し後に行われる工事のケースで発生する確率が高くなっています。

 理由としては、新築で100%当初のプラン通り完成して引き渡す場合は、作業した職人さんだけでなく、現場監督、販売した設備メーカーなどにより、時間をおいて念入りに何重ものチェックをされますが、「未完成引き渡し」の場合、そうした何重ものチェックが行われずに、据え付け作業が完了してその場で問題がなければ「問題なし」と見なされて、そのまま対応完了となることが多くなります。

しかし、水回りの場合、つなぎ目の接続が甘かったりすると、一定時間が経過してから徐々に水漏れが発生することも多いため、使用し始めている中で不具合に気付くといったことも珍しくありません。

未完成だったらどうすればいい?

改めて新築住宅の引き渡しまでの基本的な流れを振り返ると、

完成→社内検査→内覧会・施主検査→引き渡し

というのが適切な引き渡しまでのフローとなります。

まずは100%完成してから引き渡してもらえるように、引渡し予定までに全ての工事が完了しないようであれば引き渡しを遅らせることを検討しましょう。ただ、仕事や学校、前の住居などの関係で、どうしても引き渡し日をずらせないという方は以下のことを確認しておきましょう。

完了約束日を書面に起こす

担当者との口頭での約束になってしまうと、途中で担当者が変更になってしまったり、認識の違いがあったりした場合に、言った言わないなどのトラブルになりかねません。口約束ではしっかりとした記録が残らないので、約束をする場合にはきちんと書面に残すようにしましょう。

完成してから再確認会

引き渡しを受けてからそのままにしてしまうと、後からなにか不具合が出てきても対応してもらえない場合があります。引渡し後であっても、未完成部分が完成したらすぐに再確認会を行うようにしましょう。

遅延損害金について確認

住宅を建ててもらう時の契約では多くの場合「●月までに終えます」という工期の設定がされています。もし、その工期に間に合わなかった場合には、規定の計算に基づいて遅延損害金を支払うという旨が契約書上の「約款」という部分に記載されていることが一般的です。したがって工期が遅れそうな場合には、一旦契約書を確認し、遅延損害金について、ハウスメーカーや施工会社の方に一度相談してみることをおすすめします。

補償期間についての確認と記録

やむを得ない事情で「未完成」での住宅の引き渡しを受けてしまった場合、その時点で書面上では引き渡しを受けていたとしても、実際にはその後も工事は続くことになります。住宅を購入した際には、通常引き渡し後、定期点検のアフターサービス期間が設定されています。1年目、2年目、5年目、10年目という期限が設けられていることが多く、この期間内であれば、補修箇所によっては、無償で不具合を直してもらえることもあります。「未完成」での引き渡しを受けた場合、このアフターサービス開始の時期をいつからとするのかをしっかりと確認し、書面に残すようにしましょう。

まとめ

ここまで「未完成住宅」の引き渡しについてお伝えしてきましたが、コロナ禍やインフレで現在、住宅の建設やリフォームは予算や期間が当初の計画通りいかない可能性が非常に高いです。そういったことまで考えてお金や期間に関して、余裕をもって計画しておくことが重要だといえるでしょう。

それでも未完成のまま引き渡しを受けなくてはならず不安があったり、もうすでに引き渡しを受けてしまっているといった方でも、新築一戸建て引き渡し前チェック(内覧会立会い・同行)で、ホームインスペクターが間に入ってきちんと施工が正当になされているか調査し、その後の進め方までアドバイスすることが可能です。もし少しでも不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。