築15年の中古一戸建てを買うと150万円損をする!?

  • Update: 2022-07-25
築15年の中古一戸建てを買うと150万円損をする!?

中古の一戸建て住宅を購入するときは、「築年数は何年くらいを探せばいいの?」や「築年数以外にどんなことに注目すればいいの?」といったことで悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

中古住宅の購入を検討するときには、売り出し価格だけでなく、その後に必要となる費用についても考慮しておかなければなりません。なぜなら、築年数によっては劣化が進行している可能性があり、一定程度の修繕費用がかかることが予測できるためです。

例えば、築年数が15年程度の一戸建て住宅であれば、まさに節目となるタイミングであり、購入しただけで150万円の損失が生じる恐れがあります。

つまり、中古の一戸建て住宅の購入に際しては、築年数と修繕費用の関係についても理解しておくことが重要になるのです。そこで今回は、中古の一戸建て住宅の購入を検討するときの築年数と修繕費用の考え方について、そして築15年の一戸建てを買うと150万円損をする理由と併せて解説いたします。

中古一戸建てホームインスペクション(住宅診断)

築年数と修繕費用の考え方とは

一戸建て住宅は、経年とともに少しずつ劣化するため、長く使用するためには、状況に応じて修繕していかなければなりません。

そして、修繕のタイミングを検討するときは、5年ごとを区切りとし、長期的な視点で検討することがポイントとなります。

まずは、以下の表をご覧ください。

築年数と修繕費用

これは、築年数ごとに必要とされる修繕費用の目安をまとめたものです。

防蟻については5年ごとに必要となりますが、その他の修繕は15年ごとに大きな節目を迎えることがわかります。

つまり、建物を健全な状態で維持していくためには、15年ごとに一定の修繕費用がかかることを考慮しておく必要があるわけです。

築15年の一戸建てを買うと150万円損をする理由とは

中古の一戸建て住宅を購入するときの築年数は、5年や10年、あるいは15年と、5年ごとに区切って検討することが一般的です。

とはいえ、5年や10年以内など比較的築年数が浅い物件を探しているケースでは、なかなかよい物件と出会えないといったことも少なくありません。

そのような場合に検討するのが築10~15年の物件となります。

ところが、建物のコンディションという視点から見ると、築15年を経過する頃は重要な局面を迎えるタイミングとなります。なぜなら、築15年になると、必要となる修繕の項目が急激に増えるためです。

また、築15年を目安に行われる修繕について、一般的にかかる費用を合計すると以下のようになります。

・防蟻:15万円
・外壁、屋根の塗装:125万円
・バルコニーなどの防水工事:10万円
・給湯器の交換:23万円
・便座の交換:10万円
合計:183万円

このように、築15年の一戸建て住宅を購入すると、購入費用とは別に150~180万円程度の修繕費用を考慮しておく必要があります。

「築15年の一戸建て住宅を買うと150万円損をする」とは、このような理由からです。

築15年の修繕をしないとどうなる?

一戸建て住宅は、築15年を経過する頃になると、大きな節目を迎えることになります。

しかし、この重要な局面で必要な修繕をしなかった場合、さらに高額な費用がかかる恐れがあるばかりか、建物の寿命に深刻な影響を与えることがあるため注意が必要です。

なぜ15年を目安に修繕を行う必要があるのか、また放置することでどの程度の費用がかかってしまうのか、具体的に解説いたします。

15年ごとに修繕を行う必要がある理由とは

建物の大きな修繕サイクルは、一般的に15年ごとが目安とされています。

この修繕の内容といえば、外壁や屋根、防水、そして住宅設備などの劣化によるものであり、そして、その多くは「水」に関わるものです。

「水」は、カビの繁殖や木材の腐朽、シロアリの発生など、建物に深刻なダメージを与える原因にもなります。

そのため、「水」の影響を受けやすい場所は、徐々に劣化が進行し、15年程度のサイクルで修繕が必要なタイミングとなっているのです。

建物に致命的なダメージを与える雨漏り

建物の劣化を加速させる大きな原因として雨漏りがあります。雨漏りは、とくに木造住宅にとって致命的なダメージを与えることがあるため、十分な注意が必要です。

また、雨漏りの発生は、経年とともに増加することが以下のデータの通り、明らかとなっています。

経年に対する雨漏り発生率

このデータによると、雨漏りは築5年を超える頃から徐々に増加していることがわかります。そして築15年になると、20%程度の建物で雨漏りが確認できるようになります。さらに築20年では30%程度、築30年では40%を超えるようになるなど、非常に高い確率で雨漏りが発生しているのです。

また、この雨漏り発生率は、平均値であることに注目しなくてはなりません。というのも、データには、修繕が行われた建物と行われていない建物のどちらも含まれているためです。例えば、築15年程度の重大な局面で修繕が行われない場合、その割合はデータのような緩やかな上昇ではなく、急速な上昇を示すことになるでしょう。

裏を返せば、適切に修繕が行われれば、雨漏りの発生率は低下するということです。そして何よりも、雨漏りのない建物は長寿命化を図ることを可能とし、見た目にもきれいな状態を保てるようになります。

劣化を放置した場合にかかる費用とは

築15年で必要とされる修繕費用の目安は150~180万円ですが、これを実施することなく放置した場合は、さらに大きな費用がかかる可能性があります。

なぜなら、修繕を行わないまま劣化が進むと雨漏りが発生する可能性はより高まり、その補修費用はますます大きくなるためです。

雨漏りの補修は、原因を特定することが難しいケースも多く、発生個所だけでなくその周辺にまで被害が及ぶため、高額になることも少なくありません。

また、雨漏りは、屋根だけでなく外壁やベランダでも非常に多く見られますが、例えば、外壁で発生した場合の平均的な補修費用は以下のようになります。

  • 外壁で発生した雨漏りの平均的な補修工事費用:55~150万円

しかし、築15年で必要とされる修繕を怠った場合の補修費用は、さらに多くの費用がかかるのはもちろんのこと、場合によっては700万円超えになることもあるのです。

これだけの費用がかかることを考えると、雨漏りを防ぐうえで効果の高い15年ごとの修繕がどれだけ重要なのか、よく理解できるのではないでしょうか。

定期的な修繕に備えてホームインスペクション(住宅診断)を

一戸建て住宅を長く、そして良好なコンディションで使うには、15年ごとを目安として状況に応じた修繕を行っていくことが重要です。

しかし、ただ行えばよいというわけではなく、建物の健康状態をしっかり把握したうえで行うことがポイントとなります。そうすることで、より確実に雨漏りを防げるようになるのです。

また、築15年程度の一戸建て住宅を購入した場合は、なるべく早く必要な修繕を実施することをおすすめいたします。

なぜなら、コンディションが悪いまま放置すると、雨漏りが発生する確率は高まることになり、ムダな費用がかかる可能性があるためです。

雨漏りの補修工事の費用は、平均でも55~150万円が必要であり、さらに悪化して700万円を超えるようでは取り返しがつきません。

さくら事務所では、「自宅一戸建てホームインスペクション」のサービスを提供しています。建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者の立場からご自宅の調査を行います。築15年など、ご自宅が重要な局面を迎える場合は、効果的に修繕が行えるようホームインスペクション(住宅診断)の実施を検討してみてはいかがでしょうか。