【図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介

  • Update: 2021-02-14
【図解ガイド】基礎工事とは?種類や工程もすべてご紹介

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

住宅購入を考える際に「間取りはどのようにするか?」「費用はどれくらいがいいか?」といったことを考える方は多いと思いますが、基礎工事となると「なんだか良く分からない…」と悩む方が少なくありません。

住宅の基礎は目に見えない部分だし、完全に業者におまかせ…となる気持ちも分かりますが、基礎工事は『家づくりの土台となるとても重要な部分』です。

じつは、私達さくら事務所20192020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く工事中の施工ミスを集計・分析した結果、おおよそ8割近く発生しており、重大な欠陥も少なからず含まれるなど、購入者側も最低限のことは理解しておきたい部分でもあります。

そこで本記事では、図解を用い基礎工事について解説いたします!

また最後にはプロのホームインスペクターが、工事途中の検査の重要性についても解説しますので、ぜひ最後まで目を通していただけると幸いです!

そもそも基礎工事とは?目的は?

基礎工事とは、文字通り地面と建物のつなぎ部分にあたる”基礎”を造るための工事のことであり、地盤と建物をつなぐ重要なパイプ役となります。

役割として、建物の重さなどの垂直な力や、地震の揺れなどによる水平な力を建物から地盤に伝えることで、建物の一部分だけ沈んで傾いてしまう不同沈下(ふどうちんか)を防ぐことがあげられます。

基礎は鉄筋コンクリートでつくられ、底盤(ていばん)や立上り、地中梁(ちちゅうばり)、杭などで構成されています。これらの基礎をつくる工事を総称して「基礎工事」と呼びます。

基礎工事とは①

基礎工事の種類と役割について

基礎工事はまず地盤調査を行うことから始まり地盤の状態や建物の性質によって基礎工事の種類がわかれます。例えば、地盤が軟弱な場合は、地盤の固い部分にまで杭を打つなどの地盤改良を行った上で工事を行います。

ここでは、その種類と特性について学んでいきましょう。

基礎工事は大きく2種類に分かれる

基礎工事の種類は大きく以下の2種類に分かれます。

①柔らかく軟弱な地盤で採用される「杭(くい)基礎」

②固くしっかりした地盤に直接基礎を作る「直接基礎」

基礎工事は大きく2種類に分かれる

①杭基礎

地盤が軟弱な場合には、「杭」を直接地面に差し込む杭基礎を採用します。
杭基礎の中でも種類が分かれ、柱状改良や鋼管杭などが使われる「支持杭(しじぐい)」と「摩擦杭(まさつぐい)」に分かれます。

支持杭と摩擦杭

支持杭は、地盤が柔らかかったり弱いときに使われることが多く、柱状改良や鋼管杭などと呼ばれる杭を硬い地盤まで打って基礎を支えます。

摩擦杭は、地盤の軟弱な部分が厚いなどの理由で、杭を硬い地盤まで打つことが難しい場合などに利用されます。杭を凹凸形状にして地盤に打つことで、杭と土の間に発生する大きな摩擦力で基礎を支えます。そのため、硬い地盤まで杭を打つ必要はありません。実際には、杭基礎だけのことは少なく、後述する布基礎やベタ基礎などの下に杭を設置することが多いです。

②ベタ基礎

地盤に基礎を直接設置させる「直接基礎」の一種で、床下全面をコンクリートで覆い、基礎全体で建物から地盤に力を伝えます。

ベタ基礎

雪の上を「かんじき」で歩くイメージに近く、地盤の強度が比較的小さくても利用することができます。使用するコンクリート量は多いが、基礎をつくるために土を掘る量や型枠使用量が少なく、施工がしやすい、といった特徴もあります。

③布基礎

地盤に基礎を直接設置させる「直接基礎」の一種で、主な柱や壁の下に連続して基礎を設置します。
布基礎

ベタ基礎よりも地盤に接する面積が小さいため、地盤の強度が比較的大きな土地で利用することができます。ベタ基礎と違い、床下に土がむき出しになることもあるため、床下の湿気対策をする必要があります。

④独立基礎

地盤に基礎を直接設置させる「直接基礎」の一種で、主な柱の下にだけ基礎を設置します。

独立基礎

布基礎よりも更に地盤に設置する面積が小さいため、地盤の強度が大きな土地であれば独立基礎を利用することができます。現在の住宅では使われることが少なくなりました。

ただし、非住宅の建物では「ほとんどが独立基礎」を採用しているということもあります。

分類図

工事途中からのご相談も承っています
まずは、お気軽にご相談ください!

施工ミスを防ぐ最も良いタイミングである工事中。気になる工程があれば、ご自身で撮影した画像をお送りいただければ、オンラインの無料相談でアドバイスさせていただけます。

基礎工事の工程・流れを知ろう!

①地縄張り・遣り方工事

地縄張り・遣り方工事

地縄張りとは、実際の敷地に縄やビニール紐などを張って建物の位置を確認する作業のことです。着工後最初の工程で、とても重要な作業です。地縄張りが終わると遣り方を出します。遣り方とは、図面に記載されている建物の位置や基礎の高さなどの情報を、実際の敷地に写すためにつくられる仮設物(木の杭など)のことです。この作業を「遣り方を出す」と言い、建物の正確な位置を決める重要な作業です。

②掘削工事

掘削工事

掘削工事は「根切り」とも呼ばれます。基礎をつくるために地盤を掘り起こします。

③砕石敷き

砕石敷き

根切り後に砕石と呼ばれる石を敷き詰め、ランマーと呼ばれる機械を使って地盤を締め固めます。地盤をしっかりと締固めることで、建物がすぐに沈んでしまうことを防止します。地盤を占め固める作業のことを「地業」と呼びます。

④捨てコンクリートを流す

捨てコンクリート

地業で地盤を固めたのち、建物の基準を書いたり職人さんの作業がしやすくなるようにコンクリートを流すことがあります。このときに流すコンクリートのことを「捨てコンクリート」と呼びます。捨てコンクリートは建物の強度に直接関わりませんが、工事を進めやすくする上でとても大切な作業です。

⑤配筋

配筋

工事現場でいわゆるよく見るこの鉄格子のようなもの。この組み立てを「配筋」と呼びます。
基礎は鉄筋コンクリートでできており、配筋は鉄筋コンクリートに必要な鉄筋(鉄の棒)を図面通りに組み立てていく作業になります。配筋は基礎の寿命や強度に直接影響がある非常に重要な工程で、建築基準法などでも様々なルールが決められています。

※まだ基礎は完成ではないですよ~!

⑥型枠を組み、コンクリートを流す

型枠を組み、コンクリートを流す

型枠とは、コンクリートを流してして固めるために設置する枠のことで、木製や鉄製などの枠が使われます。型枠は設計図に沿って組み立てられます。型枠組が終わると、コンクリート打設前に、アンカーボルトと呼ばれる建物の構造材と基礎をつなぐ金属製の部材を設置します。その後、型枠の中にコンクリートを流し込む「コンクリート打設」を行い、型枠を外すまで一定の日数を置きます。これを養生(ようじょう)と呼びます。

⑦型枠を外し仕上げ

型枠を外し仕上げ

養生期間後に型枠を外し(脱型)、コンクリートに初期の不良が発生していないか、ひび割れや仕上がりの状態を確認します。アンカーボルトがコンクリート打設時にずれたり曲がったりしていないか、なども重要なポイントです。

※ここでようやく基礎工事が完成!長い工程でしたね!

 

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その他、基礎工事のQ&A

 

ここまで、基礎工事の役割や種類、その工程について解説してきました。
ここからは、意外に気になる基礎工事の疑問にQA形式でお答えしていきます。

・基礎工事の単価・費用は?

基礎工事の単価は1㎡当たり15〜20万円ほどで、新築住宅全体の工事費用の約5〜10%程度を占めています。基礎工事の単価はエリアや設計内容によって大きく変わるため、あくまで目安と捉えておきましょう。

・基礎工事には資格が必要?

基礎工事に必ず資格はありません。国が定めた検定制度である型枠技能士や鉄筋技能士などに合格した「技能士」は、一定レベル以上の職人だと判断することができます。

・見学してもいいの?

もちろん、基礎工事の見学を行うことができます。ただし、現場に鉄筋や様々な機材、トラックなどが行き交う可能性があるため、安全には十分留意しましょう。見学前は日程や時間を必ず現場監督に伝え、可能であれば一緒に現地を見学しながら、基礎工事のことを教えていただくと良いでしょう。

・工事中に雨が…大丈夫なの?

大雨の日にコンクリートを打設すると、まだ固まっていないコンクリートの中に水が入ってしまい、強度が低下する可能性があります。大雨の際は、工事が多少長引いたとしても、コンクリート打設を延期してもらいましょう。

関連記事:新築一戸建て工事中の雨対策は?タイミング別チェックポイント


また以下の動画でも基礎工事の注意点について、検査のプロが詳しく解説しています。 気になる方はぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=1ByjsYIdQZ8

完成後に発見できない重大欠陥に「工事中の第三者チェック」を!

工程別の不具合発生率データ

新築工事の段階ですでに「約80%」の施工ミスを発見!

冒頭でもご説明しましたが、20192020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く工事中の施工ミスを集計・分析した結果、おおよそ8割近く発生していることがわかりました。

新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスは、本来施工ミスを防ぐ最も良いタイミングである工事中に、完成後には発見できない基礎・構造など建物の重要箇所について、建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が複数回の検査をし、引き渡し時の完成検査(内覧会同行チェック)も併せて行います。

施工ミスの原因は、現場監督が「法律や規定を知らなかった」「うっかり間違えた」など、初歩的なことが多いです。しかし、工事中の施工不良は住宅完成後に立ち戻り検査をすることができなく、時限爆弾式に10年以上たってから大きな不具合が発生するなどのケースも多々あり、欠陥住宅を未然に防ぎたいお客様には、当サービスを強くおすすめしております。

※工事途中からのご利用も問題ありませんので、お急ぎの方はまずは一度お問合わせください。

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さくら事務所は、国内におけるホームインスペクション普及のパイオニア的存在であり、これまでご依頼実績は業界No.1(累計68,000件超)、満足度98%(Google口コミ☆4.8と非常に有り難い評価をいただいております。

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ご依頼から概ね3日~1週間以内での調査実施が可能です。お急ぎの方は、まずはお問合せください!

参考:※新築でもホームインスペクションは必要か?

ホームインスペクター 豊泉 元
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター
一級建築士

豊泉 元

大学工学部卒業後、建設会社に入社。ものづくりを現場で経験するため、住宅の基礎やマンション躯体の施工業務に職人(多能工)として従事。その後、大手リフォーム会社の現場管理者として、既存住宅及びマンションの改修工事に携わる