住宅購入時に、建物の仕上がりや経年劣化など建物のコンディションについてホームインスペクション(住宅診断)を利用する方は増えていますが、住宅購入時に気になるのは建物のコンディションだけではありません。
立地環境による災害リスク、土地の形状から注意すべきこと、マンションであれば修繕積立金や長期修繕計画といった管理の問題、そもそも契約内容に問題がないかといったところも気になるところでしょう。
また、内閣府発表の2020年7~9月期の家計の貯蓄率(季節調整値)が11・3%と高水準にあり、先が見えない新型コロナ感染拡大を前に、消費に対する慎重さも見て取れます。
取引の当事者以外の専門家にセカンドオピニオンを求めることは安心を得るだけでなく、リスクヘッジにも繋がります。
さくら事務所の専門家相談サービスでは、建築士・宅地建物取引士・マンション管理士など、国家資格を持つプロが第三者として中立な立場からアドバイスを行います。
ここでは、実際にさくら事務所の専門家相談に寄せられた購入・売却についてのご相談事例を専門家のアドバイスとともにご紹介します。
- 感染防止のためにもできるだけ内見物件は絞り込みたい。販売図面しかないですが、注意すべき点はありますか?
- タワーマンションの購入を検討中、「高層階の広い部屋」と「中層階のちょっと手狭な部屋」どっちにすべきか悩んでいます・・・
- 割安な旗竿地の中古戸建を購入検討中。ネットで「旗竿地はリスクが高い」と読んだのですが、何か注意点はあるのでしょうか?
- 自然豊かな環境で希望の物件がありました。思うような家が建てられなかったら…リスクヘッジする方法はありませんか?
- マンション売却検討中。実は機械式駐車場が壊れてます。これも事前に言わなきゃダメですか?
- 売却中ですが「高いから値段を下げましょう」と言われました。下げたほうがいいでしょうか?
感染防止のためにもできるだけ内見物件は絞り込みたい。販売図面しかないですが、注意すべき点はありますか?
「新型コロナ感染防止のため、できるだけ事前の情報で物件を絞り込んで効率的に内見したい」ということから、販売図面で読み取れるリスクについてのアドバイスをご希望でした。
マンションの販売図面からまずわかったのは、マンションの築年数や戸数を考えると修繕積立金の徴収額が低く設定されているということ。
将来的に大幅な金額の見直しの可能性や、修繕が立ち行かなくなる可能性も考えられます。
過去の修繕履歴、特に築年数からそろそろ実施時期と思われる給排水管の交換が行われたかどうかの確認をお勧めしました。
また、立地環境から水害リスクも懸念されましたので、過去の水害でマンション共用部など被害にあっていないか?を確認の上、ある程度ご自身でも備蓄などの災害の備えをしておく必要があります。
また近年は、短時間集中豪雨による機械式駐車場に駐車中の車両の水没事故が度々起きています。車両保険加入の検討もおすすめしました。
タワーマンションの購入を検討中、「高層階の広い部屋」と「中層階のちょっと手狭な部屋」どっちにすべきか悩んでいます・・・
希望する新築のタワーマンションで、なかなか住戸が絞り切れないというご夫婦からの相談でした。
専有面積も広く高層階にあり見晴らしもよさそうな住戸と、中層階でちょっと手狭ですが明るい印象の住戸。
販売資料から、高層階の住戸は午前中の日当たりはいいものの窓の配置からあまり採光が望めないい可能性があり、柱・梁の形状から、大きなレイアウト変更を伴うリフォームは難しいようでした。
一方、中層階の部屋は眺望こそ高層階に劣るものの、ワイドスパンで日中長い間、採光が期待できました。
また、壁を撤去するなどのリフォームもしやすい間取りだったため、将来的にお子さんの独立後など、部屋数を減らし開放的な広い空間に変更できる可能性が高くなります。
生活スタイルや今後のライフプランと照らし合わせ、検討を進めていただくことになりました。
割安な旗竿地の中古戸建を購入検討中。ネットで「旗竿地はリスクが高い」と読んだのですが、何か注意点はあるのでしょうか?
道路から狭い通路の先に整形地が広がる「旗竿地」。
「一般的に近隣相場と比べ割安」というイメージがあるかも知れませんが、実質利用可能な敷地面積で計算すると近隣より若干高めな設定でした。
建物は、築年数から建物がひどく劣化している可能性は一般的には少ないものの、雨漏りを起こしやすい屋根の形状だったため、購入時には雨漏りの有無を重点的に確認するようアドバイスしました。
自然豊かな環境で希望の物件がありました。思うような家が建てられなかったら…リスクヘッジする方法はありませんか?
緑豊かな理想の環境に土地を見つけたが、契約内容に少し不安があるため、セカンドオピニオンをしてほしい、というご希望でした。
境界トラブルも懸念されていたため、測量図を取得していただき、境界標の設置を写真で確認、境界確認書が取得されていることも確認し、境界紛争となるリスクは限りなく少ないことがわかりました。
ただ、農地法にかかる土地であったため、現況の農地から住宅を建てる「宅地」としての利用を可能にするために農地法転用の手続きが必要な土地でした。
契約にあたり、農業委員会から宅地利用の許可を得られることを売買契約の特約として停止条件設定する必要があるとアドバイスしました。
マンション売却検討中。実は機械式駐車場が壊れてます。これも事前に言わなきゃダメですか?
所有のマンションを売却しようと思っているが、実はマンションの機械式駐車場が故障していて使えない状況、とのご相談でした。
売却にあたり不利になってしまうかもしれないが、お伝えしないとダメでしょうか?とお悩みでした。
珍しいケースですが、今回ご相談いただいたマンションは、機械式駐車場が地主の所有と管理規約に明記されていました。
よって、管理組合として修繕積立金を利用しての修繕が不要であることや長期修繕計画で今後の修繕を計画する必要がないこと、あわせて告知事項として地主所有の機械式駐車場が利用できないこともお伝えするようアドバイスしました。
駐車場の利用を希望する方が知らずに購入していたら、トラブルになっていた可能性もあります。
売却中ですが「高いから値段を下げましょう」と言われました。下げたほうがいいでしょうか?
仲介会社に売却活動をお願いしているが、なかなか買い手がつかず、担当者から「価格の見直し」を提案された、というケースです。
売却活動について伺ったところ、内見希望者は多いことから、他の物件と比較して価格が高い印象を持たれている可能性は低いと思われました。
とはいえ、「図面で見るよりも狭い」という声も耳にされるようです。
日頃使わないものは押し入れにしまうなどの整理とともに、広さを実感してもらえるようなリビングダイニングのレイアウト変更をお勧めしました。
よりよい買い手に見つけてもらうためには、物件の良さをきちんと伝えることも重要なポイントです。