【緊急事態宣言】コロナ禍で建築中の一戸建て注意ポイント

  • Update: 2021-01-20
【緊急事態宣言】コロナ禍で建築中の一戸建て注意ポイント

未だ収束が見えず、拡大の一途をたどっている新型コロナウイルス。
感染を拡大させないよう「人が集まること」「人が移動すること」を控えることが求められ、緊急事態宣言も再発令されました。

  • 「大工さんや工事監督さんは工事現場に行ってくれているのだろうか」
  • 「工事現場でクラスターが発生したらどうなるんだろう」

こんな疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一戸建ては、工場で作られた部材を現場で組み合わせて作っていくため、工事現場に人が立ち入らなければ工事が進みません。複数の人が同時に集まることから、コロナ禍は工事現場にとって非常に厄介なものです。

ここでは、緊急事態宣言発令下で施主が確認しておくべきチェックポイントをご紹介。積極的に現場監督に質問しておきたいこと、工事が遅れる場合の対策など、コロナ禍の建築中の新築一戸建てで注意したいことをご説明します。

※『これから購入を検討される方』はこちらの記事をご参照ください
【2021年版】コロナ時代に新築戸建ては買うべき?買う際の注意点・ポイント】

チェックリストPDF版はこちら

仕様や現場の打ち合わせに関するチェックポイント

仕様で未確定のものはないか?

通常なら営業や設計の担当者と頻繁に打ち合わせするところが、人との接触を控えることでコミュニケーションの回数が減り、仕上表や仕様書など契約内容に関わる打ち合わせが先延ばしになってしまうことも。

まだまだ時間があると思っていても、油断は禁物。大事な内装や性能スペックなどを慌てて決めることにならないよう、オンラインでの打ち合わせに対応してくれるのか確認するとともに、「決めなくてはいけないものは他にありませんか?」と積極的に担当者に質問しておきましょう。

なお、そもそも仕上表や仕様書が手元にないという場合には、早急に作成を依頼します。

上棟式や電気設備打ち合わせなど、通常は行なうのにコロナ禍だからと中止となるものはないか?

従来は工事現場に施主や施工会社(工務店)、ハウスメーカー・設計の担当者が集まって行われていた打ち合わせやイベントが、新型コロナウイルス感染拡大防止の目的で中止になるケースも増えています。

上棟式やコンセント・スイッチの位置の打ち合わせなど、施主も現地に訪問する打ち合わせなどが無くなるのかどうか、確認しましょう。

工事の工程や工期に関するチェックポイント

工事の進捗に遅れは出ていないか?

建築現場において、工事が中止・休止する理由として挙げられるのは、職人が体調不良で現場に来られないというもの。人の手作業で工事が進む一戸建て建築現場では、予定していた人数が減ることは工事の遅れにつながります。

これまでは多少体調が悪い程度だと作業していた職人でも、新型コロナウイルス感染拡大防止策の規定により、現場出勤を禁止されることもあります。

そのほかにも、部品・建材を作る工場で新型コロナウイルスのクラスターが発生したり、人数を減らして操業することで、出荷がいつもより遅くなったりすれば、工事の遅れにつながります。作業する職人が工事現場に来られても、使う建材や機器が現場に届いていなければ、工事が進められないからです。

ある一つの種類の工事が中止・休止になれば次の工事が行えず、工事全体が止まってしまうことも。予定していた完成・引き渡しの時期に影響が出る可能性も。

不動産会社や施工会社、ハウスメーカーなどの担当者に、あらかじめ作られた工程表通りの進捗になっているのかどうかを頻繁に確認しておきましょう。工程表がもらえていない場合は、工程表の写しをリクエストします。

もし工事が遅れていれば、遅れを見込んだ工事計画を立て直してもらわなくてはいけません。修正後の工程表を必ず提出してもらうようにするとともに、引き渡し予定日が変わるほど工期が変わるならば、かならず「覚書」や「合意書」を取り交わしましょう。

工事期間(工期)が著しく短くなっていないか?

工事が一時止まっていたり遅れていたりするのに、「引き渡しの時期は変わらない」と施工会社などから言われる場合があります。こういったときは、着工から完成までの全体の工事期間が当初の計画より短くなっていないかを確認します。

工法や規模にもよりますが、一戸建ては4~5ヶ月程度の工期で設定されていることが多く、途中の工事が遅れているのに引き渡しの時期が変わらなければ、結果的に工期が3~4ヶ月と短くなっている可能性があります。

この場合、何かの工事を急いで行う、本来必要な検査を間引いて行うというように、本来なら行うべき何かの手順を省くことが前提になっているかもしれません。要は、引き渡しの時期を変えないために品質確保がおろそかになるかもしれないということです。

工期が著しく短くなっていることがわかった場合、どうやって遅れを取り戻すのか具体的な方法を聞くとともに、その説明に合理性が感じられず納得できない場合には、品質確保を優先し、引き渡しの延期も視野に入れましょう。

大工や現場監督に関するチェックポイント

職人は予定通り確保できているか、入れ替わりは激しくないか?

体調不良や高齢の職人の外出自粛などで、急遽、代替要員を調達することになれば、腕の良し悪しによらずとにかく来られる人を呼んできたり、工事内容の引き継ぎ不足により予定とは異なる施工が行われたりといったことにより、施工の間違いが起きる可能性は上がってきます。

また、どうしても代替要員の職人がつかまらないときには、通常は異なる種類の工事を行っている職人に別の工事を依頼することもあり、それが理由で施工ミスが発生してしまうことも。

たとえばツーバイフォー(2×4)工法の建築現場では、職人の知識不足により建物の耐震性が低下してしまった事案があります。

ツーバイフォーの内装下地として使われる石膏ボードは、規定通りのビスの間隔(ビスピッチ)で固定しないと耐震性能が設計通りに発揮されません。

ところが、ツーバイフォー専門の職人が足りず、ビスピッチの規定を知らない内装工事専門の職人が応援に駆けつけて内装材と同じ間隔で固定してしまった結果、多数の壁で強度が足りない施工になってしまったというわけです。

突発的な人の変更は、コロナ禍でないときにも当然起き得ますが、特に健康や人との接触に配慮が求められる時期であるがゆえに、通常より人の入れ替わりが発生する頻度は高い可能性があります。

職人が予定どおり確保できているのかどうか、念のために聞いておきましょう。もし、施工会社の努力をもってもどうにも人が調達できないといった事情があれば、品質確保のために工期延長なども視野に入れます。

現場監督の巡回ペースは変わらないか?

一戸建ての建築現場では、施工会社の現場監督が週1日から数日、現場をチェックしに行きます。
現場監督が来ていない時は職人だけで工事を行うわけですが、手を抜く人がいないとも限らないのと、誠実に工事を行ってくれる人であっても手作業ゆえに間違いが発生することはよくあるため、定期的に工事をチェックする役割は非常に重要です。

例えば基礎の鉄筋を組む工事では、もし工事に間違いが多数あった場合、それに気づかなければコンクリートが流し込まれて見えなくなりますし、外壁の防水工事などでは防水紙の張り方を間違えていることに気付なければ、外装材を貼る工事に進んでしまいます。

現場監督に体調不良者が出たりするなど欠員が発生すると、稼働できている現場監督が担当する工事現場数が増えていつもの頻度では回り切れないといったことも考えられます。

ご自身の住まいの工事現場にどのくらいの頻度で訪問できているのか、たまに確認しましょう。もし、現場巡回の頻度が極端に低いようであれば、施工会社やハウスメーカーに改善を求めます。

現場でのコロナ対策は?

工事現場で感染が広まってしまうと、その建物の施工がわかっている現場監督や職人が一斉に仕事ができなくなるため、工事が止まる可能性があります。

工事現場で感染が広がらないよう、国土交通省が出す建設業向けのガイドラインなどを参考に対策が行われているかどうか、具体的な実施内容とともに教えてもらうといいでしょう。

内覧会や施主(竣工)検査、引き渡しに関するチェックポイント

内覧会や施主(竣工)検査日は決まっているか?

工事が終わればすぐ引き渡しというわけではなく、本来はその家を所有する方が引き渡し前の工事完了確認を行います。

内覧会や施主検査、竣工検査などと呼ばれますが、注文した仕様や間取りになっているのか、適切な工事が行われているかを確認し、もし直すべきところがあれば引き渡し前に手直し工事を行ってもらうのが一般的な流れです。

ところが、前述のように工事が遅れていたり、内覧会や施主検査を担当できるスタッフが足りていなかったりということがあれば、日程がずれこんで引き渡しぎりぎりのタイミングになってしまうかもしれません。

コロナを言い訳に、引き渡し前の最終確認のチャンスがうやむやにされてしまわないよう、仮の予定でもいいので、工程表や引き渡しまでのスケジュールなどにあらかじめ内覧会・施主(竣工)検査の日程を入れてもらいましょう。

そうすれば、工事に遅れが出たときにも「内覧会(施主検査)も遅れるのか?」という質問がしやすくなります。

内覧会から引き渡しまでに最低1週間の余裕はあるか?

工程表や引き渡しまでのスケジュールに内覧会や施主(竣工)検査を明記してもらう場合、引き渡し日(代金決済日)までに最低でも1週間以上の余裕がある日程になっているかを確認します。

内覧会や施主(竣工)検査で施工の間違いが見つかった場合、内装材の傷や汚れであれば数日で直るかもしれませんが、中には部材を交換したり、大がかりな解体を伴う工事を行う場合も出てきます。

ホームインスペクションで実際にあった事例としては、屋根裏に進入して調べたところ、断熱材の施工方法に間違いがあることがわかり、一部建材を解体して断熱材を施工しなおしたことがありました。1週間では修繕が終えられない施工不良が見つかることもあるのです。

ですから、内覧会や施主(竣工)検査は引き渡し予定日の1週間以上前、できれば2週間前までに行えるよう、工程表や引き渡しスケジュールに盛り込んでもらいましょう。

引き渡しが遅れる場合、工事が遅れた理由は?遅延損害金等の取扱いは?

大地震など天災地変により工事が遅延した場合、「不可抗力」によるものとして損害遅延金は発生しない取り決めが一般的ですが、新型コロナウイルスなど感染症による影響も、不可抗力として扱われるケースが多いようです。そのことを明文化している契約書もあります。

世界的な疾病であり、感染拡大防止のためやむを得ず工事が止まることは十分考えられますが、一方で、実際は新型コロナウイルスは何も関係しておらず、単に工事が遅れているだけのものまで「コロナ禍」として不可抗力と主張してこられるケースも考えられます。

施工会社などから工事遅延により引き渡しを遅らせてほしいという要望が出る場合には、工事が遅れた理由、施主に発生する余分な負担金や損害遅延金などをどのように取り扱うのかを確認するようにしましょう。

自分だけでは不安な場合は、相談できる専門家も活用しましょう

イレギュラーな出来事は、工事品質に影響を及ぼしやすいものです。また、一戸建てを建てることに慣れている方はそう多くはなく、通常の工事期間や引き渡しまでのスケジュールを知らなければ、今起きていることが普通なのか、それとも異常なことなのか、判断がつかないでしょう。

また、工事期間に余裕がなくなると、いずれ隠れてしまう構造や防水、断熱などの工事や床下や屋根裏など見えづらい部分の工事にしわ寄せが出がちです。

契約した通りの仕様になっているのか、正しい施工ができているのかなど、心配ごとがあれば、一戸建て建築に精通した第三者を活用するのもお勧めです。さくら事務所にお気軽にお問合せください。