新型コロナ感染拡大が大きな影響をもたらしたこの1年、新築戸建ての工事現場も例外ではありません。
春先の住宅設備の欠品・納品遅れに始まり、5月には緊急事態宣言発令により工事の中断を余儀なくされた現場もありました。
これらの状況はとうに解消されたかのように見えますが、その皺寄せはまだまだ他の現場に影響しています。現時点でも工期の遅れが予想されるハウスメーカー・工務店の声が耳に入ります。
また、二度目の緊急事態宣言が発令される中、住宅業界はまさにこれからが繁忙期。多くの会社が決算を迎える3月に向け、営業活動や工事現場の着工、お引き渡しが一年で最も活発になりますが、多忙な営業マンと現場監督とのコミュニケーションミスや、工期を急いだための施工不良や、引き渡しの遅れなどのトラブルが続出する季節でもあります。
大雪などの天候不良で工事がさらに遅れる、といったケースもあるでしょう。
さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)が、1月・2月・3月に新築一戸建てのお引渡しを予定されている方に向け、引渡しまでのスケジュールチェックリストを作成しました。
お引渡し時期のスケジュールから計算し、いつの時点でどの工程まで終わっているべきなのか?それぞれの引渡し予定の方に合わせて、解説します。
チェックリストに該当したら、まずは現場監督に連絡し、工事の進捗を確認しましょう。回答がないようであれば、ご自身で現場を確認しにいってもいいでしょう。
チェックリストをPDFで見るにはこちら
※工期目安は、さくら事務所の新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスをもとに、大手ハウスメーカーによる一般的な木造新築一戸建てを想定しています。
(着工からお引渡しまで、一般的な時期で4~5カ月、現在のような繁忙期だと3~4か月)
3月末に新築一戸建てのお引渡しを予定されている方
①地盤調査
②地業(じぎょう)・遣り方(やりかた)
③基礎工事
現時点で、これより遅れていたら、要注意です。
3月末に引渡しであれば、現時点で基礎工事までは完了しておきたいところ。
また、ギリギリ間に合っていても、今後の設備等の納期遅れで工事遅延の可能性があります。
それぞれの工程のチェックポイント
新築一戸建て工事中のチェックポイント ① 基礎工事(準備編)
新築一戸建て工事中のチェックポイント ② 基礎工事(根切り~捨てコンクリート)
新築一戸建て工事中のチェックポイント④ コンクリートのかぶり厚
新築一戸建て工事中のチェックポイント⑤ コンクリートのかぶり厚の注意点
2月末に新築一戸建てのお引渡しを予定されている方
④上棟(建て方)
⑤木工事
⑥屋根工事
⑦外壁防水工事
基礎工事が終わったら、上棟(建て方)も、もうすぐです。
木工事をへて、屋根工事・外壁防水工事と続きます。
防水工事は、完成後にはわかりませんが、木造住宅の大敵「水」から住まいを守るために重要な工程です。
ここで突貫工事や施工ミスがあると、完成後に雨漏りをひきおこすなど、品質の低下につながります。
2月末に引渡しであれば、現時点でサッシの取付けまで完了、防水紙の施工まで完了しておきたいところです。
それぞれの工程のチェックポイント
1月末に新築一戸建てのお引渡しを予定されている方
⑧外壁工事
⑨断熱工事
⑩内装下地工事
1月末に引渡しであれば、現時点で壁紙を貼る前の内部石膏ボードは貼り終えておきたいところ。
断熱工事も防水同様、建物の品質を左右する重要なポイントです。
それぞれの工程のチェックポイント
もうすぐ完成!でも新型コロナの影響を受けやすいのはここ
⑪設備取り付け/家具/内部建具工事
★内覧会・竣工検査
⑫是正工事
既に、内装下地まで終えてお引渡し目前のスケジュールの方もいらっしゃると思います。
ですが、今一番新型コロナの影響が懸念されるのがここです。
各工程が間に合っていても、設備や内部建具が納品されないと取付ができません。
1月末にお引渡しを予定されている方は、内覧会・竣工検査が20日以降に設定されている場合も要注意です。
内覧会・竣工検査で見つかった不具合など、きちんと是正して頂き、安心してお引渡しを受けるには、この間は最低でも1週間から10日は欲しいところです。
竣工検査・内覧会を迎えるにあたって
お引渡し遅れで懸念されるのはこんなこと
予定していたお引渡しが遅れた場合、新設活スタートはもちろん、いろいろな方面に影響がでてくることも考えられます。
- 保育園入園手続き
- 賃貸住まいの方は契約の続行 ・引っ越し業者の再手配
- つなぎ融資の利息支払い
※引渡し遅れで融資実行が遅れた場合、つなぎ融資の利息分支払いが発生します。一般的に、工期が遅れた場合の遅延損害金は約款に記載があるため確認が必要です。
ですが、やはり何より怖いのが突貫工事による施工品質の著しい低下でしょう。
仕上りに満足できないままお引渡しを受けてしまうばかりか、知らない間に欠陥住宅に住んでいた・・・なんてことも考えられます。
工事が完全に終わるまで、お引き渡しは受けず、残金の支払いもお勧めしません。
完成、仕上りを確認した上でお引渡しを受けるのが基本ですが、止むを得ない事情でお引き渡しを受ける場合は、残工事をいつまでに終わらせるか必ず書面で確認を取りましょう。
工事の進捗や施工状況に不安をお持ちの方は、さくら事務所にお気軽にお問合せください。