工事中じゃないと確認できない!一戸建ての大事な「配筋」

  • Update: 2017-02-25
工事中じゃないと確認できない!一戸建ての大事な「配筋」

「契約前やお引渡し前に建物のチェックをプロに依頼する」というケースはだいぶ広まったようですが、ここ数年のさくら事務所では、「建築段階から工事現場をチェックしてほしい」という要望も増えています。
構造部分は完成してからでは、確認ができません。図面通りに正確に施工されているのでしょうか?そんな不安を抱えている方が多いようです。

そこで、今回はホームインスペクター(住宅診断士)が第三者現場チェックサービス「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)」でもチェックする重要なポイント「基礎工事」の配筋について解説します。

そもそも、「基礎」がなぜ大切か、その理由をご存知ですか?
基礎には2つの重要な役割があります。それは、①建物を長期に渡ってまっすぐに保つ役割 ②地震のときに働く横向きの力を受け止める役割 です。
そんな大事な役割を担う基礎だからこそ、適切な工事をして頂きたいものです。

配筋のチェックポイントはこの4つ

鉄筋コンクリートは、まず鉄筋を組んで骨組みを作り、その周りに型枠を組んでコンクリート(生コン)を流し込んでいきます。この鉄筋コンクリート工事において設計図どおりに鉄筋を配置することを「配筋」と呼ぶのですが、ここでポイントになるのが、この配筋がきちんとなされているかどうかなのです。
コンクリートは重くて固い、強い素材に見えるかもしれません。ですが、コンクリートは押しつぶそうとする力に対しては強いのですが、引っ張る力や曲げる力に対しては弱い素材です。その弱点を補うために、引っ張りに対して強い鉄筋を組み合わせて強度を確保します。ですので、配筋検査でもし正確な配筋工事がされていないことがわかれば、是正してもらうことになります。コンクリートを打ってしまってからでは確認できないので、注意しましょう。それでは具体的にどんなことを調べていくのかをご説明したいと思います。

①鉄筋の太さ、間隔

設計者は基礎に所定の強さを持たせるために、必要な鉄筋の太さや間隔を計算します(基礎の大きさによって太さや間隔を定めた一覧表を使用する場合もあります)。下の2枚のうち、上はD13と呼ばれる鉄筋(直径が13㎜)の写真で、下は基礎の底盤の配筋がタテヨコ30㎝の間隔であることを示した写真です。

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②鉄筋の重なり長さ

鉄筋の長さは一定であり、どれもみな同じ。下の写真のように鉄筋を継ぐ必要が出てきます。このとき、2本の鉄筋が重なっている長さが、鉄筋の径の40倍以上なければなりません。写真の鉄筋の径は13㎜ですので、13×40520㎜必要となります。以下の写真では、重なりが700㎜あるのでOKです!

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③補強筋

基礎立上りの角の部分には強い力がかかることがあるので、鉄筋を補強しておかなくてはいけません(必要な重なりの長さは30cm以上だったり、径の40倍以上だったりします)。一定の太さ以上の配管が貫通する箇所や、人が通る穴の周囲には補強の鉄筋を入れることになっています。

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④アンカーボルト

基礎には土台を締め付けるためのアンカーボルトと、地震時などに柱が引き抜かれるのを防ぐためのホールダウン金物用のアンカーボルトが設置されます。配筋検査の際には、位置や太さ、埋め込み深さ等を確認します。

写真はホールダウン金物用で、基礎に415㎜埋め込まれていなければならないものです。この箇所の基礎の高さは550㎜で、先端が底から80㎜程度の位置にあります。55080470㎜埋め込まれる計算になりますので、OKとなります。

ankerbolt

コンクリートが流し込まれてからは確認できない!

いかがでしたでしょうか?「配筋」だけでも、かなりのチェックポイントがありますね。
「配筋」はコンクリートが流し込まれてからでは確認できなくなってしまう部分です。
工事に不安をお持ちの方は、プロのチェックポイントを勉強してみてはいかがでしょうか?