長嶋修が解説!路線価が示す日本の不動産市場のゆくえ

  • Update: 2018-06-29
長嶋修が解説!路線価が示す日本の不動産市場のゆくえ
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さくら事務所 長嶋修

週明け2日(月)に、路線価(相続税路線価)が公表されます。

(路線価にはもう1つ、自治体市区町村の出す固定資産税の路線価がありますが、一般的にいう路線価とはこの国税庁の出す相続税路線価のことを指します)

路線価は、だいたい3月に発表される地価公示(同年1月1日時点の地価)からちょっと掛け値を下げた水準になりますので、「地価が上昇した」「商業地住宅地とも下げ止まり地点・上昇地点が増えた」というような、なんとなく前向きな、景気回復したかのような、そんな論調で語られるでしょう。

どの地域でも「駅距離」の影響大

これらから読み取れることとして、どの地域でも、例えば、東京都心でも都市郊外であっても、駅からの距離で大きく差がついています。駅前・駅近くは高く、そこから離れていくごとに下がっていくということです。

今、私たちは人口減少と少子化高齢化社会に突入して、この基調はますます鮮明になっていくでしょう。

そうなると、今後、不動産価格が経済や市況には左右され、仮に上がって行く場合でも、かつての90年の頃、あるいはリーマンショック前のプチバブルの頃のように、全体として上がっていく、あるいは、(上昇が)外に拡大していくといったことには、基本的にならないでしょう。

逆です。むしろどんどんどんどん縮まっていきます。

これから10年後20年後にまたこのような波が来た場合、不動産価格が上昇したとしても、その上昇エリアはどんどん狭くなっていきます。この狭い上昇地点が、相変わらずすごい勢いで上がったり下がったりしても、波はもう以前のようには広がっていきません。

かつて一様に上がっていた所の波が半分ぐらいになったり、あるいは波が全く外に広がらなかったりというような、長期的に局部化の傾向になるでしょう。

人口減少・少子高齢化の中、自治体選びが鍵に

mother-1171569_1920これからの時代、鍵になるのが「自治体選び」。

これまでは駅からの距離あるいは都市からの距離みたいなことを言われてきましたが、今後は「どの自治体にあるか」ということが非常に大事になります。

これからの人口減少・少子高齢化の流れで、行政サービスができるところ、できないところが確実に出てきます。

短期的ではなく、中長期で見ると「どうゆう自治体に住むのか?」が大きく影響してくるのです。

築年数は関係ない、という時代がもうすぐ来る

coins-1523383_1920不動産は1にも2にも立地ありきですが、一定の立地であれば、もう築年数は関係なくなってきます

これまで「どこに建とうが、建物の価値は25年で0円」と言われてきましたが、これからの時代は違います。立地が一定程度、ニーズのあるところであれば、もう築年数に関係なくコンディションさえよければ評価されるでしょう。

建物コンディションの確認、維持管理がより一層重要な要素になってきます。