住みたい場所の液状化現象リスクを調べるには

  • Update: 2018-09-11
住みたい場所の液状化現象リスクを調べるには

2018年9月6日に発生した北海道胆振(いぶり)東部地震では、清田区という内陸にある街で大きな液状化現象が発生し、多数の家が傾いています。

「液状化現象」という名前を有名にしたこの数十年の大地震では、阪神淡路大震災では神戸市の六甲アイランドやポートアイランドといった人工島、東日本大震災では千葉県の舞浜などの埋め立て地といった「海に近い」「人工の地盤」での発生が目立っていました。

ところが、今回の地震では地図上は明らかに内陸部。多くの方が海沿いの街で起きるイメージを持っていたでしょうから、驚いた方もいることでしょう。
実は北海道では内陸部の液状化現象は過去にも起きており、1968年、2003年の十勝沖地震でも内陸部での液状化現象被害が報じられています。

これから住まいを探す方は「内陸部であっても起きることがあり、見た目で液状化するかしないか分からない。どうやって調べればいいのか」という不安に思われるかもしれません。

ここでは、液状化現象について知っておきたい情報や対処策をご紹介します。

【液状化現象の被害】

広範囲で液状化現象が起きれば、水が地上に浮くと同時に、吐き出された水の分だけ地盤が沈下します。その影響で街中の配管類が破損してしまうことがあり、仮に自分の家は特に配管類の破損がなくてもしばらく水やガスが使えなくなる可能性があります。

また、平坦であった歩道や建物の出入口に大きな段差が生じ、被害が出た場所ではベビーカーや車いすが使いづらくなったり、足が不自由な方が動きづらくなることも。

住まいの直下で地盤沈下が発生すれば家は大きく傾き、部分的に破損したり、表面上大きな破損は見られなくてもいずれ倒壊する恐れもあり、地盤ごと直さない限り居住するには危険を伴うと判定されることがあるのです。

地盤補強にかかる費用は百万円単位と言われており、建物の補修費用まで合わせれば多額の費用が必要となります。

【液状化現象が起きる原因】

液状化現象は、以下の条件が揃うと発生するとされています。

  • 「弱い(締め固まっていない)細かい砂(細砂)」が地盤(地中)の一部にある
  • その「細砂層」に水が多く含まれている
  • 上記の層に強い揺れが加わる

逆の言い方をすれば、これらのうち一つが欠ければ液状化被害は起きないということ。埋め立て地であっても細砂層を含まず、たとえば「粘土質」の地層だけで構成されていれば液状化しにくいのです。

【液状化しやすい地域は公表されている】

日本は多くの地域の地盤調査データを保有しており、行政ごとで地域の液状化予想マップを作成しています。
ですから、これから住む家や地域を選ぶといった方は、まずは液状化予想マップでその地域がどの程度の危険性なのか見ておくのがおすすめです。
【市区町村名+液状化マップ】といったキーワードで検索してみましょう。

(東京都の例)
建物における液状化対策ポータルサイト

【住みたい場所が液状化の可能性があったら】

住まい選びにおいて防災は重要な検討項目。ですが、通勤・通学のしやすさ、育った街である、親戚が近くにいるなど、そのほかの要素もやはり重要であり、住みたい家が液状化リスクありとされる地域にあるという方も少なくないでしょう。

街全体の液状化リスクは回避できないとしても、せめて自分の家だけは対策したい!という場合には、その土地の地盤データを調べます。

【地盤調査報告書】

建物を建てるとき、地盤調査会社から地盤報告書が発行されていることが多いです。マンションなどの大きな建物と一戸建てでは調べ方も異なりますが、いずれも予定された建物に対してどんなリスクがある土地なのかの考察が書かれているのが一般的です。

建設中の物件では工事会社が報告書を保有していることが多く、閲覧できる可能性が高いです。ただし、考察が書かれているといってもデータ自体は難しい情報が多く、簡単には読めないことも。そういった場合は、建築士など詳しい人に見てもらいましょう。

中古物件の場合は所有者が持っていなければその土地ピンポイントのデータを入手することは難しく、近隣の調査データを調べることになります。ホームインスペクションなどの際に地盤調査データも調べられないか、相談してみてください。

 

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■記事執筆者(災害リスクカルテ監修)

横山 芳春 博士(理学)
だいち災害リスク研究所所長・地盤災害ドクター

地形と地質、地盤災害の専門家。災害が起きた際には速やかに現地入りして被害を調査。広島土砂災害、熊本地震、北海道胆振東部地震、山形県沖地震、逗子市土砂災害等では発生当日又は翌朝に現地入り。
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