近年、「空き家をお得に買って、自分好みにリノベーション」「空き家状態のボロ物件を買って、不動産投資を始めよう」という方が増えているようです。
放置されていた空き家が活用され、また、購入者としても比較的安価で購入できることもあり、いいことづくしのように聞こえます。
ですが問題は建物のコンディション(状態)。
住宅は人が住まなくなると、劣化がより進行します。長期間に渡り、人の手が入れられてこなかったような物件は要注意。
表面的にはリフォーム、リノベーションでキレイにすることはできますが、隠れた不具合に気付かず放置してしまうと、劣化はどんどん進行していきます。
市場に出される前にリフォームされた、いわゆる「フルリノベ物件」でも、こういった不具合や修繕すべき劣化がそのままに、表面の内装だけリフォームされているケースが多々あります。
住宅の売買において建物の状態の確認は不可欠ですが、中古物件、特に空き家だった物件ほど重要です。
劣化・不具合に気が付かないまま購入して、後になって高額な修繕費用を払う羽目になったという方は後を絶ちません。
ここでは、さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)が一戸建てを例に、空き家になった物件がどこからどう劣化していくかを解説します。
これから空き家を購入しようと思う方、若しくは相続した物件を空き家にしている方も、参考にしていただければと思います。
STEP1.まずは換気扇などの設備や水回り!
まず、換気扇などの設備機器が動かないなどの不具合が起きるでしょう。
さらに、問題が現れるのが水回り。排水管は長く使用しないことで管の内部にゴミが付着し排水不良や劣化の原因にも。
可能であれば、見学の際に実際に水を流してみて漏水している様子がないかチェックしましょう。
また、排水管で問題になるのは「封水切れ」。
排水管は通常、下水から臭気が上がってこないよう、排水トラップ内で蓋の役割をする水を貯めます。
長期間使用されていない排水管は、この水が蒸発してしまい、下水からの臭気が上がってきてしまう可能性があるのです。
空き家の内覧や見学で、臭いが気になるような物件はこれが原因かもしれません。問題が封水だけであれば、水を流せば自然に排水トラップに溜まります。
また、使い始めは「赤水」といって、給水管内の錆が水中に溶け出した赤っぽい水が蛇口から出てきます。
しばらく流し続けることで、赤っぽい色はなくなりますが、いくら流しても赤いまま、という場合、水道の管に問題があるかもしれません。
STEP2.空気の循環がないので、内装にカビが発生!
人の出入りがないため、換気が行われず、室内で空気が滞留してしまいます。
さらに湿気や結露が原因で壁や床にカビが発生するなど、内装材が劣化していきます。
また、扉や引き戸などの建具も反って開閉がしづらくなっているケースも。
見学の際は、遠慮がちにそーっと開け閉めするのではなく、普段使うような力で開閉してみましょう。
STEP3.外壁・軒天・バルコニーから雨漏り、動物が住み始める・・・
台風や大雨にさらされ点検もされないままだと、どこかで漏水している可能性も。
住んでいればすぐに対処・修繕できますが、空き家ではなかなか気がつきません。
木造建築に水分は大敵。雨漏りを放置しておくと、気がつかないうちに建物の耐久性まで損なっているかもしれません。
また、ここまで劣化が進行してしまうと、ちょっとした隙間から動物が侵入して棲みついていることもあります。
ハクビシンやネズミなどの動物が棲みつくと、糞尿がさらに建物の劣化を早めます。
いかがでしたでしょうか?
今回は特に「空き家だった期間が長い物件」で劣化するポイントに絞ってご紹介してきましたが、中古物件のチェックポイントはまだまだあります。
築年数だけではなく、住まい方、メンテナンスの仕方で、中古物件の劣化状態はさまざまです。
見えないところの不具合までチェックできるか不安、という方はホームインスペクター(住宅診断士)にご相談ください。