戸建の耐震化で家族の安心を!耐震補強のポイントや注意点

  • Update: 2019-07-04
戸建の耐震化で家族の安心を!耐震補強のポイントや注意点

近年、地震をはじめとする自然災害が多く発生していますが、同時に生活の基盤であるマイホームが損壊するといったニュースを耳にすることもあります。
そこで、被害を未然に防止するための住宅耐震化への関心が高まり、また必要なリフォームを施すことを検討する世帯も増えているようです。

生活する家族の安心のために住宅を耐震補強するポイントや注意点についてご紹介いたします。

地震の多い日本における住宅耐震化の必要性

頻発する自然災害に対する備えのなかでも突然発生する地震に対する備えは優先度が高く、早い段階で取り組むことが望ましいといえるでしょう。
過去日本で発生した大規模地震において、住宅やブロック塀の損壊による人的被害が発生していますが、その多くは耐震性が不十分であったことがわかっています。

建築基準法には耐震基準が定められておりますが、1981年に改正された基準を「新耐震基準」、それ以前を「旧耐震基準」として区別されています。
「新耐震基準」で建築された住宅は地震による被害が非常に少なかった一方で、重大な被害を受けた住宅では「新耐震基準」を満たさないものに集中している傾向にありました。

大規模地震は今後も発生するおそれがあり、その対策として、耐震性の不十分な住宅は耐震化を進めることが大事な家族を守るうえで大きな課題といえるでしょう。

住宅・建築物の耐震補強を促進するための法律「耐震改修促進法」の基本方針

新建築基準を満たしていない建築物に対し耐震診断および耐震のための改修を促すことを目的とする法律「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が1995年に施行されました。

そして2006年に改正され、病院・学校・旅館などの建築物や住宅の耐震診断および改修を素早く進めるため、耐震化率目標を導入した耐震改修促進計画の策定を自治体に義務付けています。

さらに2013年の改正では、不特定多数の人が利用する建築物のうち大規模なものなどに対し、耐震診断の実施を義務付け、結果を公表することが決定されました。

「耐震改修促進法」の基本方針には住宅に関する内容も含まれております。
住宅の耐震化率を2020年までに少なくとも95%に、2025年までには耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することをなどが目標として設定されています。
これらの目標を達成するため、耐震診断および耐震改修の費用に対する助成など支援制度を設け積極的な取り組みも行われています。

地震の多い日本においてできるだけ被害を減少させるため、国を挙げて現在の耐震基準による耐震改修および建て替えを促進しているというわけです。

自分の家は大丈夫?地震に弱い家の特徴とは


住んでいる家が大きな地震によって倒壊した場合、物的な被害にとどまらず人的被害に発展することがあるため注意が必要です。地震に弱い家にはどのような特徴があるのか、そのいくつかについて解説いたします。

現在の耐震基準以前に建築された家

現在の耐震基準とは1981年に改正され定められたものでいわゆる「新耐震基準」になります。
「新耐震基準」と「旧耐震基準」の大きな内容は下記の通りです。

  • ■新耐震基準
    • 震度6強~7程度の大規模地震で倒壊しない
    • 震度5強程度の中規模地震でほとんど損傷しない
  • ■旧耐震基準
    • 震度5強程度中規模地震で倒壊しない

大規模地震が発生した場合、1981年以前に建築された家は、現在の耐震基準で建築された家よりも被害が大きくなる可能性が高いといえます。
また木造住宅においては2000年に基礎や接合部、耐力壁に関することなど新たな変更が付け加えられています。
したがって2000年基準で建築された木造住宅はより信頼性が高いということです。

壁が少ない、開口が多い家

壁には地震の揺れを受け止める役割があります。壁が少ない、あるいは窓などの開口が多い家は、強度が不足し地震の揺れに対する抵抗力が劣ることがあります。

構造体に腐食や劣化がある

築年数に関係なく柱や梁、土台部分などにおいて、雨漏りや浸水によって腐食や劣化が進行していたり、またシロアリが発生したりするような症状があった場合、家の耐震性能を脅かすことにつながります。コンクリートの基礎やブロック塀でも、ひび割れや施工不良などが原因で内部に水分が浸透し鉄筋が錆びることがあれば、膨張し徐々に脆くなるため強度は損なわれます。

軟弱地盤に建築された家

適切な地盤改良が行われていない軟弱地盤のうえに建築された家は、耐震化していても地震によって沈下したり傾いたりする場合があります。

安心への近道!耐震補強のポイントについて


住宅の耐震補強にはいくつかの方法がありますが、どのような方法があるのか解説いたします。

耐力壁の設置

耐力壁とは構造的に横からの力に対して抵抗力を持つ壁をいい、地震の揺れを受け止め耐えるという重要な役割を担います。築年数の多い、また新耐震基準以前の住宅は壁が少なく強度が不足しているものも多く存在します。耐力壁を増設することで強度を向上させることが可能ですが、構造的に必要となる位置に設置しないと意味がありません。
したがって適切な耐震診断を行い、構造計算などの根拠に基づいた耐力壁の設置が必須です。

接合部に耐震金物の設置

木造住宅は柱や梁、土台などを組み合わせてつくられていますが、それぞれの接合部分が地震の揺れで外れたり損傷したりすると軸組みとしての機能は一気に衰え倒壊の原因となります。過去の大規模地震においても、接合部の強度不足が原因による被害が多発しています。
柱や梁、土台などの接合部に対し耐震金物を設置し補強することによって、地震の揺れで外れてしまうことなくしっかりと固定することが可能です。

基礎の補強

新耐震基準以前の基礎には強度が十分でないものも多く、鉄筋が入っていないコンクリート基礎なども存在します。
基礎の上に乗る建物を耐震化しても基礎の強度が不十分であった場合、地震発生時には建物を支えるための機能を果たすことができないケースもあります。基礎のコンクリートを増し打ちするなど、状況に応じて適切な補強をすることによって強度を増すことが可能です。

建物を軽量化

建物の重さは耐震性との関連が強く、建物の重くなるほど地震の力は大きく影響します。屋根の材料が瓦など重い材料であれば金属やスレート系などの軽いものに葺き替えることで建物を軽量化し耐震性を高めることが可能です。

まとめ

いつ発生するかわからない地震への対策は、不安を少しでも取り除くためにも、できるだけ早く始めることがよいでしょう。
家族の安心のために、大切なマイホームの耐震診断をされてみてはいかがでしょうか。