新築一戸建て住宅は一生に一度の購入になり得るため、「絶対に失敗したくない」と感じている方は多いはずです。
新築一戸建て住宅の購入を成功させるためには、チェックするべき部分を見落とさないことが重要になります。
そこで今回は、新築一戸建て住宅を購入する際の注意点や引渡しまでの手順、チェックしておきたいポイントなどを解説いたします。
新築一戸建て住宅購入の手順
新築一戸建て住宅の購入を成功させるには、購入の手順を抑えておく必要があります。
一般的な購入手順は以下の通りです。
①物件見学
②申し込み
③契約
④内覧会
⑤引き渡し・決済
⑥入居
新築一戸建て(建売住宅)の引き渡しまでの注意点
新築一戸建て住宅を購入する際は大きなトラブルに発展する注意点が存在します。失敗を回避するためには、これからご紹介する注意点をしっかり抑えて購入手続きを進めましょう。
購入費用の項目を確認しておく
新築一戸建ての購入費用は大きく分けて以下の4点に分かれます。
本体工事費 |
工務店やハウスメーカーなど施工業者に払うもの。建築工事費(基礎、躯体、屋根、塗装、内外装など)設備工事費(キッチン、浴槽など) |
別途工事費 |
既存の建物の解体・撤去、地盤の改良工事、エクステリア工事、照明器具工事、空調工事など |
設計・監理費 |
建築士事務所などでは、総工事費(本体+別途工事費)に対して一定の比率で見積ります。 |
諸費用 |
不動産登録免許税(不動産登記に納付する税金)、不動産取得税(住宅の新築・増築・改築、土地の購入、贈与、交換などで不動産を取得時納付する都道府県税)、住宅ローン関係費用、引越し費用、地鎮祭や上棟式費用、家具家電製品など |
引用:宮崎県HP 「資金計画 1.住宅の取得に必要な費用は」
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/kenchikujutaku/kurashi/shakaikiban/yutori-net/funds/index.html
建売住宅の場合は諸費用以外の部分をまとめて販売価格として設定されています。ただし、網戸やカーテンレールなどがオプションになっている場合があるため、事前に確認しておきましょう。
住宅が未完成の状態で全額を支払わない
不動産業界のルールとして代金の全額を支払うのは決済のタイミングとなっています。
理由は「決済・引渡しの完了=売買契約の成立」とみなすためです。民法上でも売買契約においては目的物の引き渡しと同時に代金を支払うべきと定められています。
そのため引渡しと決済は同じタイミングで行われます。
代金全額を支払ってしまうと手抜き作業が増えたり、施工不良が発生したりする恐れも考えられます。このように住宅が完成前の代金支払いはトラブルの元です。不動産会社から申し出があっても、未完成を理由にキッパリと断りましょう。
内覧(最終チェック)時は徹底的に不備の確認をする
新築一戸建て引き渡し前に実施する内覧会では、キズや汚れ、不具合などを徹底的に確認しましょう。
なぜなら引き渡し後に生じた補修などの費用は有償となるためです。
引き渡し後は引越しで多くの人や物が建物内を出入りします。そのため入居後に傷を発見したとしても、いつ、誰がつけた傷なのかが明確に判別できません。実際は内覧会時点にあった傷や不具合でも認められない可能性も十分考えられるでしょう。
そのため内覧会で不備を徹底的に確認し、適正な状態で引き渡してもらえるよう依頼する必要があります。
素人では分からない欠損部分はホームインスペクションに依頼する
「自分自身の目だけでは不安…」と感じる方には、第3者の目で品質をチェックする「ホームインスペクション」の利用をオススメします。
さくら事務所の調査によると、一戸建て住宅の新築工事のおよそ8割に施工不良が生じていることが明らかになっています。
施工不良を放置したまま工事を進めると、不良箇所が隠れてしまい、発見が困難です。隠れた不具合は年数と共に建物の劣化を引き起こし、建物の寿命に影響する可能性があります。
もちろんコストはかかりますが、先に紹介したリスクに備えてホームインスペクションは実施しておくと良いでしょう。
まだ物件契約をしていない方はこちらから
すでに契約をしてしまったけど、入居前に住宅診断をしておきたい方はこちらから
新築一戸建て(建売住宅)の物件選びのチェックポイント
新築一戸建て建売住宅を購入する際、まずは物件選びが重要になります。
物件選びには、いくつかのチェックポイントがあり、それらを考慮して決定することで失敗を避けられます。
新築一戸建て建売住宅の物件選びのおもなチェックポイントとは以下の通りです。
- 間取りと部屋数
- アクセス
- 地域の治安と周辺施設
- 地盤・自然災害の可能性
それぞれ詳しくみてみましょう。
間取りと部屋数
間取りの使いやすさや部屋数は多くの方が後悔するポイントです。
- 住んでみたら使いづらい間取りだった
- 部屋数が少なく、子供部屋が作れない
などの不満を感じることもあるでしょう。
そのため新築一戸建て住宅の物件選びでは間取りと部屋数をチェックしましょう。
具体的なチェックポイントは以下の通りです。
- 生活、家事がしにくい箇所はないか
- 部屋数がライフプランに合っているか
- 部屋や収納、バルコニーの広さは小さくないか
上記ポイントを参考にしつつ、物件見学時に実際に建物の中を歩き回ってチェックすると良いでしょう。
アクセス
物件選びの際にアクセスのしやすさは重要なポイントです。例えば高速道路のインターが近い、駅が近い、バス停が近いなど、交通機関の利便性は日常生活に大きな影響を与えます。あなたが日常的に使用する交通機関に関して利便性が高いかどうかをチェックしておくと良いでしょう。
ただし駅からの距離が近いほど土地の価値が上がるため、駅へのアクセスを重視しすぎると予算が合わない可能性が高まります。
予算とアクセスしやすさとのバランスを見ながら判断すると良いでしょう。
地域の治安と周辺施設
治安と周辺施設の良し悪しは、これから生活をしていく上でチェックが欠かせない点です。
スーパー・コンビニなど食材や日用品を購入する施設はもちろんのこと、病院、郵便局などはいざという時に利用するため付近にあると便利でしょう。
治安についても、わざわざ悪い場所に住みたい人はいないはずです。
事前に下記ポイントをチェックしておくと良いでしょう。
通勤・通学経路に人通りが少なく暗い場所はないか
また管轄の警察署が提供している防犯マップで治安状況をチェックする手段もあります。ぜひ活用してみてください。
地盤・自然災害の可能性
物件を選ぶ際は地盤や土地の歴史を確認し、地震や自然災害の際に危険がないかチェックしましょう。
実は建物がいくら耐震性に優れていたとしても、地盤が弱ければ液状化や不動沈下などにより建物の倒壊・損壊のリスクが高まります。
またゲリラ豪雨や大雨の発生が増えている今日では水害に関するリスクも把握しておくと良いでしょう。
地盤・自然災害をチェックする方法は以下が挙げられます。
- 役所のホームページで土地の利用状況の確認
- 国土交通省提供の「ハザードマップポータルサイト」を確認
- 地理院地図の「土地の成り立ち・土地利用」を確認
いずれもパソコンさえあれば閲覧可能なので、事前にチェックしておきましょう。
新築一戸建て住宅購入の内覧時のチェックポイント
満足に行くマイホームを手に入れるためには内覧時のチェックは欠かせません。内覧時のチェックが疎かになると、不具合を放置したまま入居するため将来的にトラブルに発展する可能性が高いです。
内覧時の主なチェックポイントは以下の6点です。
- 仮設の照明器具は設置されるか
- 点検口の有無
- 図面との整合チェック
- 屋外(外回り)のチェック
- 室内のチェック
- 天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
それぞれ詳しく解説します。
仮設の照明器具は設置されるか
シーリング照明など、購入した照明器具を取り付ける箇所は、仮設の照明器具をつけてもらうように依頼しておきましょう。
目的は以下の2点です。
- 電気が正常に点灯するか確認するため
- 傷や汚れをチェックしやすくするため
引渡し後に点灯しないとなると、生活に支障を来してしまいます。万が一、原因として電気配線が断線している場合だと、断線箇所の調査・修繕で大掛かりな工事になりかねません。
また室内が薄暗い状態では、表面のキズや汚れなどの状況を十分にチェックできません。
以上のことから、事前に担当者へ連絡し、仮設の照明器具の設置しておくよう依頼すると良いでしょう。
点検口の有無
床下や屋根裏に点検口があるか、内覧時にチェックしましょう。
点検口とは、不具合発生時に床下や屋根裏へ侵入するために設置されているもので、建物のメンテナンスに必要な部分です。
ただし建物の構造上、点検口が設置されていないケースもあるので、その場合は設置されていない理由を確認しておくとよいでしょう。
なお、点検口の開閉には、ドライバーや脚立など道具が必要な場合があります。当日作動確認ができるよう、事前に担当者へ依頼しておきましょう。
図面との整合チェック
内覧時には、設置物が図面と整合しているかチェックを行います。契約時に受け取った図面と、実際に設置されているものを比べ、間違いはないか、あるいは漏れはないかなど確認する必要があります。
おもにチェックしておきたいポイントは以下の通りです。
- 建具の開閉方向
- 壁や窓、収納などの位置
- 照明器具の位置と数
- コンセントやスイッチの位置と数
屋外(外周り)のチェック
建物外回りの不具合は、雨漏りなどにつながる恐れがあります。そのため内覧時に確認しておく必要があります。
屋根や高所など危険な箇所は、ベランダなど安全な場所から見える範囲で行うとよいでしょう。
屋外のおもにチェックしておきたいポイントは以下の通りです。
- 外壁や基礎表面のひび割れや欠けなどの有無
- 塗装の剥がれやコーキングの切れなどの有無
- 外構工事の未完成部分の有無
- 土地の境界標の有無
- 隣地所有者と共有物の有無
- 越境物の有無
室内のチェック
室内はあなたが長い時間を過ごす空間です。内覧時のチェックが甘いと、例えば床のささくれで足を怪我したり、換気扇が作動しなかったりする、などのトラブルに遭う可能性があります。快適に過ごすためにも、しっかりとチェックを行いましょう。
室内のチェックポイントは主に以下の点です。
- 床や壁、その他仕上げ材のキズや汚れの有無
- 建具や家具の動作不良の有無
- 設備の動作不良の有無
- 歩行中の床鳴りの有無
- 設置物のガタツキの有無
- 床下の漏水の有無
- 床下のゴミの有無
天井裏(屋根裏/小屋裏)のチェック
屋根裏や小屋裏の状況についても内覧時にチェックを行いましょう。雨漏りなどの不具合確認に加え、配管・断熱材の施工状況が確認できます。
天井点検口から屋根裏や小屋裏をのぞき込み、ライトを当てて見える範囲についてのみ確認します。天井に登るのは危険なので避けましょう。
天井裏のおもにチェックしておきたいポイントは以下の通りです。
- 野地板や梁の雨染みの有無
- 断熱材の剥がれやズレなど欠損の有無
- ダクト(配管)の換気扇などへの接続状況
新築一戸建てを購入する際はホームインスペクターを活用しよう
今回ご紹介したように新築一戸建て住宅の購入には、多くの注意点やチェックポイントが存在します。これだけのチェックポイントを全て抑えるのは一般の方には難しいでしょう。
多くの方がマイホームに不満や後悔を感じている点が物語っています。
特に内覧時に行うチェックポイントは理解していても「どのような状況が不具合なのか分からない」という方が多いかと思います。
先に述べたように、さくら事務所の調査データで新築一戸建てのおよそ8割に施工不良が生じていることが分かっています。
これらの施工不良を的確に見つけ出すためには、やはり専門知識を持った人の目でのチェックが必要不可欠です。
これから新築一戸建ての購入をする、検討している方は、できるだけ早いタイミングで住宅診断のプロであるホームインスペクターへ依頼することをおすすめいたします。
まだ物件契約をしていない方はこちらから
すでに契約をしてしまったけど、入居前に住宅診断をしておきたい方はこちらから