早朝に都市を襲ったマグニチュード7.3の直下型地震 阪神・淡路大震災で学んだ5つの教訓

  • Update: 2023-01-16
早朝に都市を襲ったマグニチュード7.3の直下型地震 阪神・淡路大震災で学んだ5つの教訓
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早朝に都市を襲ったマグニチュード7.3の直下型地震 阪神・淡路大震災で学んだ5つの教訓

 1995年1月17日の午前5時46分、兵庫県南部を震源とした、兵庫県南部地震(震災名:阪神・淡路大震災)が発生しました。明日で28年となる兵庫県南部地震は、日本の近代都市が被災した初の直下型地震活断層による地震)で、現地調査から初の震度7が認定された地震となりました。その被害は、6,437名の死者・行方不明者(気象庁資料)、全壊家屋は10万棟を超える被害が生じました。これは、1885年以降の地震の中で5番目に多い死者・行方不明者が多い地震となりました。都市部で震度7という甚大な揺れがあり、多くの方が起きる前の時刻である早朝に発生した地震でもある兵庫県南部地震では、私たちの暮らしや住まいの中で、多数の教訓となる事象がありました。ここでは、地震や地盤・立地に関する点を中心に、5つの教訓を紹介します。

①早朝に発生した地震・・・睡眠時の家具転倒被害対策

 兵庫県南部地震は、朝の5時46分という明け方に発生した地震でした。発生した時間帯から、在宅かつ睡眠中である人も多かったためか、負傷された方は家具等の転倒落下による例が多くみられました。私たちの1日の睡眠時間は6~8時間ということを考えると、人生の1/3~1/4程度は眠っている時間であるということができます。

 寝ているところに家具の転倒などがあると速やかな避難行動がとれないばかりか、大けがによりその時は命を落とすことがなくとも、救助や治療が遅れることで、最悪の場合は死亡に繋がってしまうことも考えられます。いくら耐震性の高い住宅で万全の備蓄や備えをしていても、地震時のゆれによって家具などの倒壊や転倒などで避難ができない状態になることがないよう、備えをしておくことが求められます。

             兵庫県南部地震における家屋内での負傷原因(消防庁 HPより)
            図の出展は日本建築学会「阪神淡路大震災 住宅内部被害調査報告書」

 

 適切な転倒・倒壊防止をするだけでなく、家具・家電の配置も気を付けておくとよいでしょう。とくに転倒、落下するような家具はなるべく居室、寝室に置かないということも有効です。住まいに転倒、落下するような家具がない部屋があれば、地震時に比較的安全な空間にできます。とくに、寝室で被災するのは夜間である可能性も高いでしょう。夜間に停電を伴う地震があった場合に、家具の転倒等があると、何もできないうちに身動きがとれなくなってしまうことも考えられます。

                   地震による家具の動き方のパターン(消防庁 HPより)

②「震災の帯」・・・ゆれやすい地盤における被害

 兵庫県南部地震では、甚大な被害があり震度7と認定された地域が南北2㎞、東西25㎞にわたって帯状に分布しており「震災の帯」と呼ばれることがあります。この「震災の帯」が生じた理由は、建築研究所「兵庫県南部地震最終報告書」によると、地下に活断層があったという説ではなく、ゆれやすい地盤によって地震のゆれが大きく増幅される効果で説明できるとしています。ゆれやすい地盤では、周囲よりも地震のゆれが増幅されて、ゆれにくい場所と比べると震度が1階級、2階級大きくなることがあります。ゆれにくい地盤で震度5強であった地震が、近くのゆれやすい地盤で震度6弱、6強となり、それだけ被害が拡大してしまうという可能性があります。

兵庫県南部地震の際に見られた「震災の帯」(地震本部HPより)

 

 地盤の揺れやすさは、その場所の地盤状況によって大きく異なります。揺れやすい地盤は、人工的に造成をした盛土地盤における被害が大きいことが知られています。近年発生した地震では、家1軒離れた場所でも盛り土地盤では地盤の揺れやすさが大きく盛り土地盤で家屋の被害も大きくなるという事例もありました。このような揺れやすい地盤を実測する微動探査という地盤調査法もあり、宅地ごとの地盤の揺れやすさを知って、耐震性能の向上に生かすこともできます。

近年発生した地震における家屋被害と地盤のゆれやすさ

③地盤の液状化による被害

 低地や埋立地などの地盤には、地下水が浅い場所に含まれています。砂が多い地盤の場合、普段は砂粒同士が支えあい、その間を水が満たしている状態で安定しています。しかし、地震により激しい振動が加えられると、砂粒の支えあいが崩れる「液状化現象」が起こることがあります。液状化現象が起こると「地盤の沈下」「地中のタンクやマンホールの浮き上がり」「建築物の傾き・転倒」「地中にある配管の破損」などの被害が発生します。

 兵庫県南部地震では、神戸市、芦屋市、西宮市の埋立地・低地で多くの液状化被害が発生しました。国土交通省によると、埋立地の護岸に近い地区では液状化により側方流動という現象が発生し、護岸が海側に最大5m以上も前傾・移動し神戸港に壊滅的な被害をもたらしたこと、武庫川下流のデルタ地帯においては、江戸時代に築造された埋立地で液状化が発生し家屋がめり込むなどの被害が発生したとされています。

液状化による家屋・マンション被害のイメージ図(横山芳春原図)

 佐藤・若松(1995)の論文のまとめでは、例えば西宮市南部では震度7があった地点ではほとんど液状化による噴砂がない一方、南部の埋立地で後半に液状化が発生しているとされ、液状化が発生した地域では死亡者がほとんどいなかったという例があります。

 液状化の可能性のある地域(埋立地・低地など)の地盤では、地盤が建物の重さに耐えられるかどうかの地盤調査だけではなく、液状化を対象とした地盤調査と、必要に応じた地盤改良(地盤補強)工事などの対策を行うことが望ましいです。自治体で液状化ハザードマップを示している場合もあるので参考になります。

 液状化による建物の傾斜などの被害が想定される場合には、建物側での対策は難しいといえ、地盤改良工事などを含めた対策が必要なことが大半です。建物建築前に、支持地盤まで小口径鋼管杭を打設することで被害を軽減できる場合があります。ただし、液状化では地域の地下インフラ全体に被害が発生することもあり、特に下水道では復旧に長期間がかかる場合もあることを念頭に置き、液状化は地域全体に被害を及ぼす可能性について心がまえや備えも必要です。

④倒壊家屋の火災による被害

 兵庫県南部地震では、地震後に非常に多くの火災が発生し、被害を拡大しました。内閣府資料によると、地震後には285件の火災が発生、出火点は揺れの大きかった震度6弱以上(特に震度7)の地域に多く、家屋被害と一致しているとしています。同資料をもと、兵庫県南部地震における火災の特徴・教訓をまとめます。

 兵庫県南部地震では、火災の半数以上は地震直後(午前7時までの1時間余)に発生、残りの半数はそれ以降に断続的に発生したとされ、出火原因は不明が大半だが判明した原因では地震直後には電気・ガス関連地震の数時間後以降は電気関連が多かったとされています。電気による火災の多くは、避難中の留守宅の送電回復に起こった火災、いわゆる「通電火災」が多かったとみられます。地震の被害を受けて屋外に避難する際は、可能な限りブレーカーを落として通電時の火災を防ぐことが求められます。

 神戸市長田区などでは火災が延焼拡大し、大規模火災となりましたが、冬季にありながら風が弱いという気象条件などのため、延焼速度は比較的遅かったとされています。とくに乾燥している冬季の地震では、強い風により延焼の速度が速くなると火災の範囲は拡大して被害を急増させます。火災は古い木造家屋の密集、可燃物量の多さなどに加えて、家屋の倒壊・損壊も延焼拡大を助長した面があったとも指摘されています。建物の耐震性を高めることは、直接的な倒壊による被害防止だけでなく、避難の妨げにならないことや、火災時の延焼を防ぐことにもつながるため、重要だと考えられます。

兵庫県南部地震における火災発生状況(地震本部HPより)

⑤斜面や盛土造成地における被害

 兵庫県南部地震で被害のあった地域の北側には六甲山地が東西に延びており、その山すその斜面では分譲地が広がっています。人工的な分譲地は、造成された宅地にあることも多く、たびたび災害の被害で話題となる「盛土造成地」も含まれています。

 内閣府HPでは、「六甲山系の斜面を中心として風化した岩盤よりなる自然斜面の崩壊が生じ、多くの人命が失われた」さらに、「六甲山系の南~東側に開発された住宅地を中心に、宅地造成地の被害箇所は約5300カ所にのぼり、ライフラインの埋設管路に被害が発生した」との記載がありました。さらに、国土交通省のまとめでは、「丘陵地における盛土造成地が宅地造成前の谷底を滑り面として、盛土造成地全体が斜面下部方向へ移動する滑動崩落は100箇所以上確認された」とまとめられています。

 盛土造成地には、自治体の「大規模盛土造成地マップ」に掲載されていないものも少なくなく、「隠れ盛土」とも呼ばれています。古地図などを見るとその場所がわかることもあります。盛土造成地は正確な位置やリスクの評価の行われていないものが多く、その後に発生した各地の地震でも大きな被害が発生しています。高台の分譲地などを中心に、盛土造成地に該当するかどうか、また家屋や周囲の道路等に変状が発生していないかは確認したいところです。

 また、丘陵地などの高低差の大きな立地では、建物の敷地境界に擁壁があることがあります。国土交通省HPによると「神戸市においては、宅地造成等規制法に基づく改善勧告を受けた擁壁が約1,700箇所程度にのぼるなど甚大な被害が発生した。」とされています。大規模もり

 海側の液状化や平地側の軟弱地盤とは別で、丘陵地や盛土造成地では斜面の崩壊、盛り土造成地の滑動崩落、また擁壁の倒壊や被害などが発生することがあります。立地ごとの地震リスクについて確認しておくことが必要です。

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