ご存知ですか?「都度贈与」!

  • Update: 2022-06-07
ご存知ですか?「都度贈与」!

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

お孫さまの教育費をご祖父母様が直接支払う場合は新制度を使わなくとも贈与税がかかりません。同居・別居は問われません。その都度、1回に全額使い切ってしまえば贈与税はかからない、という事です。これを「都度贈与」といいます。

今回は、この「都度贈与」をご紹介していきます。

「都度贈与」とは!

「都度贈与」とは、その都度、ある目的のために1回で全額使い切ってしまえば贈与税はかからない、という制度のことです。

例えば、大学の入学金・授業料併せて1,000万円かかったとします。それをご祖父母様が支払ったとしても贈与税はかかりません。

その他にも、

  • 通常必要な生活費・教育費
  • 出産資金
  • 結婚資金・新居にまつわる家具資金等
  • 子供や孫の家賃

なども「都度贈与」に含まれます。

「都度贈与」の注意点!?

贈与を受けたものを目的以外の事に使ってしまった場合、その部分には贈与税が課せられてしまいます。 例えば、生活資金や教育資金を数年分一括して贈与する、といったケースです。 大学の授業料や生活費を一括して贈与を受けますと、一度には使いきれません。その資金を貯金したり、株の購入や車の購入といった贈与の目的以外に使った場合は、目的以外に使った部分に贈与税が課せられてしまいます。

ご祖父母様から授業料等の贈与を受ける場合も、贈与をされる方が直接学校に振込をされることが望ましいですが、ご両親さま名義の振込を指定される学校もございますので、その場合は贈与を受けましたら全額授業料振込みに使い切ってください。

そして、授業料支払いのための都度贈与であったことが証明できるようにしておきましょう!

ここからが不動産にまつわる話「贈与」の話題です。

まず大前提として都度贈与は、住宅や不動産購入には使うことができません。贈与に関するもので、私たちが住宅や不動産購入で使える節税制度は以下のとおりとなります。

暦年課税

暦年課税に関しては年間の基礎控除額110万円分を利用して、住宅取得資金を贈与したり、相続税対策として110万円の権利持ち分を分け与える行為です。※

※注意
ずっと反復継続的にこの行為を行っている場合、たとえば1,000万円を10年間100万円ずつ贈与するような行為は、本来は1,000万円の贈与だと税務署から認定されて贈与税の対象になってしまいます。基本的にはその都度、贈与契約を取り交わす必要があります。

住宅取得資金贈与の特例(2023/12/31まで)

親子間の住宅取得資金に係る贈与が発生した場合に、耐震や省エネなど一定基準を満たす住宅は1,000万円までは非課税枠になります。

それ以外の住宅に関しては500万円まで非課税枠になります。

☆これは基本的に利用できる場合には、利用が望ましい制度になります。

この対象になるのは直系の親と祖父母(3親等以内)です。

※暦年課税制度も同時に利用可能です。

住宅取得資金のための相続時精算課税制度

相続時に改めて最後に精算する制度になります。

  • 2,500万円までが非課税額になります
  • あくまでも資金用途はマイホーム購入のための贈与に限定

<対象>

直系尊属(親・祖父母)

贈与をした年の1月1日時点で、20歳以上の推定相続人である子か孫に対してのみ。

※もし贈与額が2,500万円を越えてしまった場合は、20%が一律で課税されます。

相続時精算課税制度

この制度はもともとある制度でマイホームに限定されず、すべての相続財産に対して2500万円までが非課税枠として決められています。それを超過すると20%が一律課税されます。

<対象>

60歳以上の直系尊属が20歳以上の推定相続人である子か孫が相続した場合に適用。

<注意点>

住宅取得資金のための相続時精算課税制度も通常の相続時精算課税制度も、それを選択した時点で、暦年課税制度は使用できなくなります。つまり110万円の贈与枠がなくなります。

そのためここで紹介する制度を活用する場合は、考えて利用することが求められます。

おしどり贈与

婚姻期間20年以上の夫婦間で、マイホーム自体の持分の受贈や、マイホームの購入資金を贈与する場合は、2,000万円までが非課税枠になります。これには暦年課税制度も利用できるため、2,000万円+110万円までは1年間で贈与として利用することが出来ます。

※一生に一度でしか使えないため注意が必要です。

もし今回紹介した贈与に係る制度について利用する必要がある場合は、2や5の贈与に関係する制度は、対象に該当する場合は積極的に活用することをオススメします。

もしも不明点が多い場合は、専門家による無料相談を活用することもオススメします。

ホームインスペクター 柴尾 竜也
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター

柴尾 竜也

住宅の販売、仲介、現場施工管理、工事監理と一戸建て住宅に関連する業務に従事。その後、さくら事務所に参画。神奈川県を拠点として東日本に対応。