【東急電鉄目黒線】地盤災害ドクターの「災害低リスク」推しステーション

  • Update: 2021-09-03
【東急電鉄目黒線】地盤災害ドクターの「災害低リスク」推しステーション

住みたい街、路線、駅などで新居の候補物件を検索する方が多いですが、よく使うあの路線、気になるあの駅の「災害リスク」について考えたことはありますか?

同じ路線でも、エリアにより地形や地盤は大きく特徴が異なり、災害リスクは駅ごとで見る必要があります。

そこで、水害と地震による揺れやすさの2つの災害リスクについて、だいち災害リスク研究所所長・地盤災害ドクターの横山芳春が首都圏人気路線の災害リスクをデータからリサーチ。路線別にリスクが低い駅のランキングを出してみました。

※他の路線についてはこちらから
【横浜市営地下鉄ブルーライン】編
【京王電鉄井の頭線】編
【東急電鉄東横線】編
【東急電鉄田園都市線】編

災害リスクカルテ

■東急目黒線【地形概要】

目黒線は地形的に見ると、武蔵野台地の上にある目黒駅の地下ホームを出発すると、目黒川の谷へと向かって周囲の標高が下がっていくため(目黒駅地上は標高約30m、目黒川沿いは標高約4m)、目黒線の線路は一度地上に出て、高架橋で目黒川を超えます。

目黒川の低地を横断すると、台地斜面にある不動前駅を経て、台地上の武蔵小山駅(駅地上の標高約28m)に達する前に、地下化されたこともあって台地中腹の地下に潜っていくように見えます。

台地上の武蔵小山駅を超え、西小山駅付近では立会川の谷底低地に達します。立会川は暗渠化されていますが、周囲の台地より少し標高が低く(駅地上の標高約26m、周囲の台地の標高30m)なっています。台地上にある洗足駅を超え、目黒線の線路は洗足池に続く細い谷の手前で目黒線の線路が地上に出てくると、台地上の大岡山駅へ向かいます。

大岡山駅を出発すると呑川の谷を超えて、台地上の奥沢駅、田園調布駅へ到着します。

このように、目黒線の都内区間の多くは台地の下を地下化されていますが、地上部の高低差によって、幾つかの谷を越えて多摩川へと向かっていきます。

多摩川駅に向けて多摩川の谷底に下っていき、多摩川を渡って川崎市に入ると、多摩川低地にある新丸子駅、武蔵小杉駅、元住吉駅に達します。元住吉駅を出発して矢上川を超えると、終点日吉駅に向かって標高が高くなり、下末吉台地上にある日吉駅に到着します。

■東急目黒線【水害低リスク推しステーション】

1位(浸水想定区域外) 不動前駅
武蔵小山駅
洗足駅
田園調布駅
5位(想定浸水深:0.02~0.2m) 日吉駅
6位(想定浸水深:0.1~0.5m) 大岡山駅
奥沢駅

※同順位の場合、目黒駅から下りの駅順で記載

【地盤ドクター 横山芳春の解説】

同点1位は4駅あり、不動前駅、武蔵小山駅、洗足駅、田園調布駅が浸水想定区域外。5位は日吉駅の想定浸水深0.02~0.2m。6位タイは大岡山駅、奥沢駅の想定浸水深0.1m以上0.5m未満でした。

これらの駅はいずれも台地(不動前駅は台地斜面)にあり、川沿いに位置する標高の低い低地ではなく、高台に位置する台地の浸水リスクの低さが際立ちました。

【集計方法】
各市区が公開している水害に関するハザードマップ(洪水、内水氾濫が別の場合はそれぞれを確認して最も大きな浸水深のマップを使用)し、例えば想定される浸水深が0.5~3.0m未満、の場合は最大値である3.0m(実際は未満ですが)を集計しています。駅構内または駅に隣接するメッシュで浸水深が最も深いメッシュの想定浸水深を読み取っています。

■東急目黒線【地震の揺れやすさ低リスク推しステーション】

1位(震度6強確率:6.0%/増幅率:1.29) 目黒駅
2位(震度6強確率:7.1%/増幅率:1.34) 大岡山駅
3位(震度6強確率:8.5%/増幅率:1.39) 日吉駅
4位(震度6強確率:8.4%/増幅率:1.41) 不動前駅
5位(震度6強確率:8.6%/増幅率:1.42) 武蔵小山駅
6位(震度6強確率:9.4%/増幅率:1.46) 洗足駅
7位(震度6強確率:14.0%/地盤増幅率:1.65) 奥沢駅

 

【地盤ドクター 横山芳春の解説】

1位目黒駅、2位大岡山駅、3位日吉駅、4位不動前駅、5位武蔵小山駅、6位洗足駅、7位奥沢駅でした。これらの駅はいずれも台地(不動前駅は台地斜面)にあり、比較的地盤が安定している高台である、台地で揺れやすさが小さいというセオリーと一致していました。

これらの駅の近傍でも、高低差のある敷地などでは盛土などで部分的に揺れやすい地盤の地域などもあります。

【集計方法】
国立研究開発法人防災科学技術研究所が公開する地震ハザードステーションJ-SHIS Mapより、250m×250mメッシュで地盤の揺れやすさと地震の起きやすさから算出されている「今後30年間に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」の数値(%)および、「その場所の地盤の揺れやすさ」を示す地盤増幅率をもとに集計しています。

■まとめ

首都圏だけでなく、日本はあらゆる場所で大地震が起きるリスクが指摘されています。また、地球温暖化に伴い短時間あたりの降雨量が増加し、過去に例がない水害がさまざまな町で起き得るようになりました。

本ランキングは各駅地点の地震ハザードステーションJ-SHIS、自治体の水害ハザードマップに基づき、同一路線内で「相対的」にリスクが低いことを表しているため、災害が起きないわけではありません。

地形や地盤は少しの距離でも性状が変化するため、ピンポイントの場所の災害リスクを把握しておくことが望ましいと言えます。

そこで、さくら事務所ではご希望の住所に関して、災害リスク度合いと、そのリスクに対する対策をアドバイスする災害リスクカルテサービスを開始。

リスクの結果をレポートにまとめてお送りしたうえで、その場所に住むなら建物や生活でどんな注意が必要なのかをホームインスペクターが電話で直接ご説明いたします。住みたい場所の災害リスクがどうなのか、どんなリスクヘッジ方法があるのかを知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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