【京王電鉄井の頭線】地盤災害ドクターの「災害低リスク」推しステーション

  • Update: 2021-09-01
【京王電鉄井の頭線】地盤災害ドクターの「災害低リスク」推しステーション

住まい探しをするとき沿線別で検索をかける方も多いですが、通勤時間や路線の雰囲気などのほかに、路線の特徴についてどんなことをリサーチしていますか?

さくら事務所では、一戸建てでもマンションでも、ぜひ「災害リスク」も見ておくことをお勧めしています。

地震も大雨も、いつ何時起きるかわからない昨今。同じ路線でも、エリアにより地形や地盤は大きく特徴が異なり、災害リスクは駅ごとで異なるからなのです。

そこで、水害と地震による揺れやすさの2つの災害リスクについて、だいち災害リスク研究所所長・地盤災害ドクターの横山芳春が首都圏人気路線の災害リスクをデータからリサーチ。

今回は、京王電鉄井の頭線の災害リスクが低い駅ランキングです!

※他の路線についてはこちらから
【東急電鉄目黒線】編
【横浜市営地下鉄ブルーライン】編
【東急電鉄東横線】編
【東急電鉄田園都市線】編

災害リスクカルテ

■井の頭線【地形概要】

井の頭線の渋谷駅は、JR渋谷駅の谷底低地から西側(道玄坂側)に階段を上った高い場所にあり、武蔵野台地の斜面に位置しています。渋谷で地形を見ると、道玄坂が台地斜面、道玄坂上交番まで上ると台地の上に上がったことになります。

渋谷駅を出てトンネルを出ると、神泉駅は半地下のような場所にあります。この一度トンネルを出た神泉駅東側は標高の低い谷底低地で、神泉駅じたいは台地斜面側にありますが線路の高さは変わらないので、駅が半地下のようになっています。駅の入り口も坂道を上った斜面の中腹にあります。

駒場東大前駅の北側にある東大駒場キャンパスは台地の上にあり、駅が台地のへりにあり、南側に谷があるので南側に標高が下がっています。駒場野公園の水田はこのような谷底低地に造られたものです。

池ノ上駅はかつ手近傍にあったとされる「池の上」という名前の通り、台地の上にあります。下北沢駅は、「サンズイ」の付く駅名ですが駅のある場所は台地~台地斜面の高台日しています。新代田駅付近の「代田」は「ダイダラボッチ」の巨人伝説が残り、巨人の足跡のようなくぼ地に由来する地名ですが、新代田駅は、駅東側にある低地から西に標高が高くなっていく台地斜面にあります。

東松原駅も台地のへりに、 明大前駅は台地斜面に位置しております。渋谷駅を出てから明大前駅までの区間は、線路は幾つかの小さな谷筋を超えていますが、駅は高台側の台地から台地斜面にあるという地形の特徴があります。

斜面にあり起伏の大きな明大前駅を過ぎると神田川の谷を過ぎ、永福町駅から吉祥寺駅は神田川の上流部の台地から谷底低地を並走していきます。永福町駅、西永福駅、浜田山駅は神田川北側の台地上の駅ですが、西永福駅、浜田山駅は台地の上でも少し浅い谷地に位置しています。

高井戸駅は神田川のすぐわきの谷底低地にあります。富士見ヶ丘駅は丘(台地)の上からは斜面を降りてきた谷底低地に近い台地斜面にあります。

久我山駅は「山」と、三鷹台駅は「台」という名前がついていますが、いずれも駅を降りるとすぐに神田川があり、山(丘の上)の台地ではなく、谷底低地にあります。

井の頭公園は神田川の源流部の谷底低地にありますが、井の頭公園駅は神田川の南側にある台地斜面に位置しています。井の頭公園駅を過ぎて高架で神田川を超えると、終点吉祥寺駅は台地の上の平坦地に位置しています。

■井の頭線【水害低リスク推しステーション】

1位(浸水想定区域外) 池ノ上駅
東松原駅
井の頭公園駅
吉祥寺駅
5位(想定浸水深:0.1~0.5m) 神泉駅
下北沢駅
新代田駅
永福町駅
西永福駅
浜田山駅
久我山駅

※同順位の場合、渋谷駅から下りの駅順で記載

【地盤災害ドクター 横山芳春の解説】

1位タイは4駅あり、吉祥寺駅、井の頭公園駅、池ノ上駅、東松原駅が浸水想定区域外でした。これらの駅はいずれも台地の上にあり、川沿いに位置する標高の低い低地ではなく、高台に位置する台地の浸水リスクの低さが際立ちました。

5位タイは7駅あり、神泉、新代田、永福町、浜田山、下北沢、西永福、久我山の想定浸水深0.1m以上0.5m未満でした。久我山駅や神泉駅東側は谷底低地にあることや、西永福駅、浜田山駅は台地でも少し低い場所にあり、水が集まりやすい立地であることが影響しています。

【集計方法】
各市区が公開している水害に関するハザードマップ(洪水、内水氾濫が別の場合はそれぞれを確認して最も大きな浸水深のマップを使用)し、例えば想定される浸水深が0.5~3.0m未満、の場合は最大値である3.0m(実際は未満ですが)を集計しています。駅構内または駅に隣接するメッシュで浸水深が最も深いメッシュの想定浸水深を読み取っています。

■井の頭線【地震の揺れやすさ低リスク推しステーション】

1位(震度6強確率:4.7%/地盤増幅率:1.23) 明大前駅
2位(震度6強確率:4.9%/地盤増幅率:1.23) 渋谷駅
3位(震度6強確率:6.5%/地盤増幅率:1.33) 東松原駅
4位(震度6強確率:6.6%/地盤増幅率:1.35) 高井戸駅
5位(震度6強確率:7.3%/地盤増幅率:1.38) 新代田駅
6位(震度6強確率:8%/地盤増幅率:1.43) 富士見ヶ丘駅
7位(震度6強確率:8.8%/地盤増幅率:1.45) 神泉駅
8位(震度6強確率:9.2%/地盤増幅率:1.49) 井の頭公園駅
9位(震度6強確率:9.9%/地盤増幅率:1.51) 下北沢駅
10位(震度6強確率:10.2%/地盤増幅率:1.52) 池ノ上駅

【地盤災害ドクター 横山芳春の解説】

1位は明大前駅、2位は渋谷駅、3位は東松原駅、4位は高井戸駅、5位は新代田駅、6位は富士見ヶ丘駅、7位は神泉駅、8位は井の頭公園、9位は下北沢駅、10位は池ノ上駅でした。

これらの駅は、いずれも台地の上か台地斜面に位置し、比較的地盤が安定している高台である、台地で揺れやすさが小さいというセオリーと一致していました。

これらの駅の近傍でも、高低差のある敷地などでは盛土などで部分的に揺れやすい地盤の地域などもあります。

【集計方法】
国立研究開発法人防災科学技術研究所が公開する地震ハザードステーションJ-SHIS Mapより、250m×250mメッシュで地盤の揺れやすさと地震の起きやすさから算出されている「今後30年間に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」の数値(%)および、「その場所の地盤の揺れやすさ」を示す地盤増幅率をもとに集計しています。

■まとめ

必ずしも隣り合う駅が近いランキングではないことからも、ほんの少し離れるだけで地質や地形が異なることがわかります。

本ランキングは各駅地点の地震ハザードステーションJ-SHIS、自治体の水害ハザードマップに基づき、同一路線内で「相対的」にリスクが低いことを表し、災害が起きないわけではありません。

また、駅所在地に関するデータから出したランキングのため、実際に一戸建てやマンションを探す場所が少し駅から離れていれば、その地点もまた多少異なる傾向かもしれませんので、ピンポイントの場所の災害リスクを把握しておくことが望ましいと言えます。

さくら事務所ではご希望の住所に関して、災害リスク度合いと、そのリスクに対する対策をアドバイスする災害リスクカルテサービスを開始。

リスク有無の把握に加え、その場所に住むなら建物や生活でどんな注意が必要なのかをホームインスペクターが電話で直接ご説明いたします。住みたい場所の災害リスクがどうなのか、もし住みたい場所の災害リスクが高い場合はどんなリスクヘッジ方法があるのかを知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

★明日9月2日(木)は、「地盤災害ドクターの災害低リスク推しステーション」【横浜市営地下鉄ブルーライン】を公開します。お楽しみに!

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