ハザードマップを見る利点は?注意すべきことはある?

  • Update: 2022-02-22
ハザードマップを見る利点は?注意すべきことはある?
災害リスクカルテ

ハザードマップがなぜ重要なのか

近年多くなっている災害

 なぜハザードマップが重要なのでしょうか?最近では、毎年のように大きな水害、土砂災害、大地震が発生して、多くの被害が発生しています。地球温暖化の影響などで、下の図のように水害や土砂災害の原因となる集中的な豪雨は年々発生回数が増加する傾向にあります。地震も30年以内に首都直下地震で70%、南海トラフ地震で80%の確率で起こるとされています。大きな災害は、今や遠い未来の話や、違う世界の話ではないといえるでしょう。

資料の出展: 国交省HP

 

ハザードマップを見る利点

 これらの自然災害が発生した時に起こる被害は、決して「どこに住んでいても変わらない」ものではありません。下の図は、地形によって被害を受けやすい災害の種類を表したイメージ図です。立地によってどんな災害が起きやすいか、また大きな被害を受けやすい場所であるかは明らかで、場所により大きく異なっています。洪水など水害であれば、川沿いや周りより低い水が集まる低い場所で起き、高台でも周りより低い場所では、周囲から水が集まって排水されないと内水氾濫が発生することがあります。がけ崩れなど土砂災害は崩れる可能性のある崖の近くなどで起きやすく、危険性がない場所を避けることもできます。地震では、揺れやすいゆるい地盤の地域では地震の揺れが大きくなって被害が拡大することがあります。ハザードマップを見ることで、どの場所でどんな災害の被害が、どの程度(浸水の深さなど)発生することが想定されるかの目安にすることができるのです。

図の出典:横山芳春(2017)「住まいとでんき」に一部加筆

 

 住んでいる立地、住もうとしている立地がどんな災害に遭う可能性がどれくらいあって、どの程度の被害を受けるかがわかっていれば、事前に行う対策や、災害が迫ってきている際に避難することなどで、被害を最低限に抑えることも可能になります。

 例えば地震で被害を受けやすい立地であることを地震が起きる前に知っておけば、可能な対策が出てくるでしょう。最新の地盤調査法「微動探査」で、本当に揺れやすい地盤かを調査することもできます。究極的には移転することも選択肢ですが、建物の耐震性を高めるため耐震診断耐震補強をしたり、制震ダンパーを設置したり、建て替えや新築の際であれば構造計算を行って地震に強い家づくりをすることで倒壊などの被害を防いで被害を軽減することや、地震保険やその他の保険などで事前で備えるなどもできます。

 

ハザードマップを見るときの注意点

 このように、ハザードマップは非常に便利なツールですが、ハザードマップ使う上での注意点もいくつかあります。

 

①色がついていない地点は安全?

 ハザードマップは、災害が起こることが想定される場所に色が付けられており、どのような被害を受ける可能性があるかの目安にすることができます。色がついているところは注意すべきといえますが、色がついていないところは安全と考えていいのでしょうか。

 答えは、色がついていないところ=安全、とは言い切れません。例えば、下の図のように地震があったときの地盤の揺れやすさマップで、250m四方を1つの単位として評価していることがあります。250m四方の評価ではゆれにくい側であったとしても、細かく家1軒の単位で見ていくと、実際にはゆれやすい地盤の場所がある、というような事例は多くみられます。

 洪水ハザードマップ内水ハザードマップは、降水量はある想定のもとに作成されているので、想定以上の雨などがあれば、想定外が起きえます。また、盛土や土地の掘削など、マップ作成後の人工的な土地の高さの改変などは、想定に含まれていません。排水施設の故障や溝が詰まった、またせき止められたことで水があふれるという現象も発生します。

 ハザードマップは、まず色がついているところは要注意です。一方で、色がついていない場所安全が担保された場所ではないことに注意が必要です。とくに、色がついている地点との境目付近で、ギリギリセーフ、のような場合には注意が必要です。想定を超えた雨が降った場合などに被害を受けやすいことや、地図の作図や精度の関係で、実際にはリスクがある側とみられることがあります。ハザードマップの注意事項でも、安全を保障するものではないことなどが記載されています。

例えば、松戸市内水ハザードマップの注意点には、
・地図面の浸水の想定図は、あくまでも浸水シミュレーション結果であり、実際の浸水状況とは異なる場合があります。
・雨の降り方によっては、想定する浸水深さを超えたり、浸水想定外の場所(地図上で無色の場所)でも、浸水の可能性はありますので、もしもの時の備えとしてご活用ください。
と記載されており、塗られた色の表示が絶対的なものでないことが示されています。

 ピンポイントの評価については、その土地の造成や改変の状況など立地の問題と、建物の構造(木造、RC造など)、階数などにも影響しますので、専門家への相談をお勧めします。

 

②水害に関するマップは複数ある

 水害に関するハザードマップは、主に川の洪水のほか、大雨による内水氾濫、沿岸の高潮のほか、農村部ではため池のハザードマップなど、種類が複数あります。地震による津波も水による被害といえるでしょうか。「水害 ハザードマップ」などで検索すると、自治体によっては大きな川の洪水を対象としたマップしかなく、小さな川の洪水が想定されていないことも少なくありません。また、近年では都市部で大雨による内水氾濫が起きることがありますが、想定されたハザードマップが作られていないこともあります。

 このように水害のハザードマップは複数のものがあることから、洪水ハザードマップでは浸水しない想定地域でも、内水氾濫高潮で浸水の可能性がある地域だった、ということは少なくありません。まずは、その地域である限りのハザードマップを確認しましょう。

 地震ハザードマップでも、地域によっては想定地震ごとにマップが作られていることもあります。その地域で揺れが小さい想定の地震と、大きい想定の地震では、被害想定が大きく変わってくることがあります。

 

③避難先、避難ルートのリスクにも注意

 自宅や勤務先などがハザードマップで浸水などが想定され、避難が必要である場合の注意点です。例えば土砂災害や河川の氾濫で自宅から避難をする必要がある場合には、まずお近くの避難所などが、それら災害の避難を対象とした場所かを確認しましょう。

 次に、避難所に行くルートにそれら災害の危険性が大きなところがないかも注意が必要です。特に浸水深が深い(先に浸水している、深くなっている可能性)、土砂災害警戒区域土砂災害特別警戒区域等になっていないかも確認が必要です。

 

ハザードマップを見てどう行動すればいいか

 ハザードマップは自治体でも複数のマップがあることや、読み取りが難しい場合があります。マップを見て、災害リスクをどのように考えればよいか。我が家や購入しようとする家の被害はどの程度が想定されるか、避難は必要なのか、どのような対策が必要かなど、判断が難しいこともあります。そのような場合は、専門家へのご相談をお勧めします。「災害リスクカルテ」では、ハザードマップに加えて地形や災害の起きた履歴などから、地盤と建物の専門家が1軒ごとに災害リスクと被害の程度を評価し、15分の電話相談も付いていますのでご活用ください。

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 さくら事務所の災害リスクカルテ(電話相談つき)は、知りたい場所の自然災害リスク(台風・大雨、地震etc)を地盤災害の専門家がピンポイントで診断、ハザードマップがない土地でも、1軒1軒の住所災害リスクを個別に診断します。液状化リスクの可能性も、地形情報やハザードマップ(場合により近隣地盤データ等)から判断、建物の専門家がそれぞれの災害による被害予測も行い、自宅外への避難の必要があるかどうかなどをレポートにします。

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 災害リスクとその備え方は、立地だけでなく建物の構造にもよります。戸建て住宅でも平屋なのか、2階建てなのか、また地震による倒壊リスクは築年数によっても大きく変わってきます。

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