上手な暖房の使い方とは?暖房費の節約方法、住まいの専門家がコツを伝授!

  • Update: 2022-10-31
上手な暖房の使い方とは?暖房費の節約方法、住まいの専門家がコツを伝授!

今年の冬は平年よりも寒いと予想されており、原油価格の高騰に円安がかさなり、 電気・石油代の上昇で「暖房費が増えそう」と心配する声が多く聞かれます。実際に昨年と今年の電気料金を平均額を比較すると、1か月あたり前年比+2,158円、約3割アップしています。

参照:東京電力Webサイト、2021年8月と2022年8月の平均的家庭の電気使用料より抜粋

暖房費を抑えながら、暖かく快適にすごすためにはどうしたらいいのでしょうか。住宅に精通したさくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)に聞きました。

「寒い季節を快適にすごすためには、室内の暖かい空気が外に逃げないように、外気の冷気が中に入らないようにすることが大事です。住宅に隙間があると、室内外で空気が移動します。この空気の移動を少なくするために、壁・床・屋根・窓などの隙間を減らす”気密対策”が肝心です。暖房の使い方を工夫し、家の気密性を高めて、効率よく家を暖めましょう。例えていうならば、住宅を魔法瓶のポットのように断熱性を高めることで、効率的に暖房を使うことができます。」

エアコンと換気を上手に活用

暖房器具を使うときには、室内の空気を汚しにくいエアコンやオイルヒーターなどを使いましょう。換気は、家の給気口を開けておくことで、2時間に一回のサイクルで、暖かさを保ちながら家の空気を入れ替えられます。

給気口(壁に設置されており、形は住まいによります。左は丸型、右は四角型です。)

 

エアコンを効率的に使うには、サーキュレーターを併用しましょう。置く位置はエアコンの温かい風が吹き出す周辺で、ファンは真上に向けます。エアコンの熱とサーキュレーターの風で室内の暖かい空気と冷たい空気を混ぜて、天井に溜まる温かい空気を自然と部屋全体に行き渡らせることができます。

ガスヒーターや石油ストーブなど燃焼させる暖房器具は、空気が汚れやすいのでこまめな換気が必要です。1時間に1回、約5分間窓を開けることで室内の空気は入れ替わりますが、室温が急激に下がってしまい温度差が気になります。

電気カーペットは、床に断熱材が入っていなければ熱が逃げてしまうので、効率がよい暖房器具とはいえません。あくまでも補助的な役割であり、部屋全体を暖めることは難しいでしょう。

熱は窓から逃げる

断熱材を使っていない場合、暖房をつけても屋根・天井・外壁・床・窓などから約80%の熱が逃げ、中でも50%もの熱が窓を通じて出入りしています。窓枠の素材はアルミサッシがよく使われていますが、アルミは熱の出入りがしやすく、ガラスも外の冷気で冷えきっています。つまり、省エネには窓の改善が最も効果的です。冬場の窓にはカーテンをつけましょう。断熱素材カーテンが最適ですが、薄手のレースカーテン一枚でも効果はあります。窓の上部から足元まで覆うようにかけると、さらに保温効果が高まります。

窓ガラス用の断熱シートも有効ですが、貼るときは隙間が出来ないように気をつけましょう。窓が結露した時にカビの原因になります。

断熱効果が大きい窓リフォームもおすすめです。窓のサッシを樹脂に替えたり、インナーサッシ(内窓)をつけて、二重窓にする方法があります。樹脂はアルミに比べて熱伝導率は1400/1程度と断熱効果に優れた素材であり、複層ガラスの断熱効果は、単層ガラスの約2倍です。二重窓は保温効果を高め、結露、カビ予防にも適しており、防音面でも効果を発揮するので効果が大きいといえます。

出所: YKK AP公式サイト トップページ(https://www.ykkap.co.jp/)「窓の教科書(https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/products/articles/mado_textbook/insulation/)」より引用

 

窓リフォームは1日で施工できるので、まずはリビングなど使用頻度の高い部屋だけ試してみてもよいでしょう。費用は窓の大きさにもよりますが、1箇所10万円程度であり、現時点では国土交通省こどもみらい住宅支援事業の対象になっています。また、東京都をはじめ、多くの都道府県や市町村でも改修費用の補助を行っています。

換気扇は「熱交換型」がおススメ

換気扇からも多くの熱が逃げていますので、次に見直すべきは「熱交換型」換気扇への交換です。熱交換とは、熱の移動を利用し、暖かい熱エネルギーと冷たい熱エネルギーを入れ替えることで、換気を行いつつ熱を交換する仕組みです。冬は暖められた空気を逃がさず、夏は室内の空気を冷やし、換気しながら室温を一定に保ちます。

健康のための浴室リフォーム

最後に、命を守る意味で大切なのが、洗面所と浴室です。最近の浴槽は保温性能が大幅に進化しており、追い焚き回数を大幅に減らす事ができます。浴室だけでなく脱衣所にも断熱材を入れることで温度差を減らし、ヒートショック予防にもなります。

まとめ

今回のコラムでは、まず家の気密性を高め、そのうえで暖房機器を使うことで、暖房費を節約しつつ、家の暖かさを保つ方法をご紹介しました。寒い冬を快適に賢く乗り切るために、取り入れてみてはいかがでしょうか。

さくら事務所では、様々な住まいの困り事を解決するための対処方法について、ご相談を承っております。建物に精通したホームインスペクターが、お住まいの現状を伺い、住宅診断の経験に基づいた客観的な立場から、中立なアドバイスをさせていただきます。また、リフォーム・リノベーションご検討中の方向けに、見積もりチェックサービスをご提供しておりますので、お気軽にお問合せください。