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完成物件の限界
新築マンションの内覧会では、完成している部屋なわけですから、壁の中、床の下、天井の裏など内装材で隠れている部分については、どのような施工状態なのかわかりません。
漏水のように、水染みの跡などが、クロスやフローリングにくっきり出ていれば、「あれ?」と気付くことができますが、そうでもなければ、これら隠れている部分は、永遠に謎のままとなります。
お部屋の各所には、点検口といって、中を覗くことができる開口部がありますが(古い建物だとない場合もあります)、せいぜい30㎝四方程度です。部屋全体が見渡せるわけではありません。
ホームインスペクターが建物の調査にお伺いしても、基本的に目視での調査となりますので、当然、壁や床を壊したり、解体して調べることはありません。また点検口内にしても、目で見て確認できる範囲は、カメラ等を用いて写せる範囲内に限られます。
見えない場所の不具合の可能性
目では見えない、完成した建物を調べるには、視覚に加えて、聴覚が意外と使えます。
例えば、天井、まずは下から眺めて、問題がないか目で見ます。
新築であれば、クロスの貼り具合に凸凹がないか、継ぎ目が目立ってないかなど、中古であれば、水染みの跡や、カビ・剥がれがないかなどです。
写真の物件は、築6年の中古マンションですが、見た目には特に問題がなく、せいぜい、クロスの継ぎ目が目立ち始めているかな、といったところでしょうか。
続いて今度は、脚立に上って天井面を押し、耳をすませてみると、「カタカタ・・カタカタ・・。」という音が聞こえてました。二重天井は、軽量鉄骨材や木材など、天井内の骨組みのようなものに石膏ボードが固定されています。
先ほどのカタカタ音は、おそらく、この天井下地(骨組み)が鳴っているのだろう、と予想されます。
本来、これら下地は、それぞれが強固に固定されており、音がするものではないため、何かしら下地の固定に緩みや不具合が生じている可能性があると思われます。
音のサインを見逃すな
天井の他にも、カウンターなどの固定物や、扉などの開閉動作による音、サッシなどの風切音など、室内には異常を知らせてくれる音がいろいろ存在します。
もちろん、すべての音が異常事態というわけではなく、温湿度などの季節的な要因によって変化するものも中にはあります。
何はともあれ、購入前or入居前の室内チェックは、動かせるものは動かし、触れるものは触れてみる、というのが基本です。
完成しているものを、見える範囲でチェックすることには、もちろん限界がありますが、本来鳴るはずのない音や、耳障りな音は、何かそこに異常があるぞ、というサインの可能性もあるのです。
お見逃しなく!