どの家にもある「傾き」、プロが見るのはここ!

  • Update: 2016-08-16
どの家にもある「傾き」、プロが見るのはここ!
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さくら事務所 編集部

住宅の傾斜

家が傾いている・・・なんていうと「欠陥住宅!?」とみなさん驚くかと思います。
ですが、建物に傾斜が有るか無いか?と聞かれれば、『どの建物にも傾斜はあります。』

いきなり言い切ってしまいましたが、厳密に視れば、ということなのです。
人の造るものの精度には限界があり、どんなにきれいに、慎重に造っても、多かれ少なかれ曲がったり歪んだりしているものです。

住宅は人の手によってつくられるもの

例えば、建築設計図面の数値を0.00と、コンマ数ミリまで詳細に設定したとしても、実際には図面に表れない接着剤の厚みや部材の歪みが施工現場では現れます。
そんな僅かなズレや違いを、職人さんの腕や感覚、積み重ねられてきた現場の施工技術といったもので、形にしてしまいます。
ですので、住宅の床なども拡大して視てみれば、上がったり、下がったり。凸凹があったりするのです。

『そんな事だったら世の中には曲がった建物ばかりが氾濫しているのか!』というと、そんな訳はなく、建築物はある一定の秩序に基づき、その範囲内で建ててあります。

その秩序の最たるものが、『 安全性 』です。

傾きの程度と建物全体で判断することが大事

建築物の設計や施工は、人命の保護を最優先として施行されていますので、極端に曲がってしまったり、歪んだりといった不良建築物は建ててはいけない事になっています。

「床にビー玉を転がしたら、転がったんです!」はい、転がります。

若干転がったとしても不思議ではありませんし、問題はないかもしれません。その度合いや方向性を建物全体で判断しないと問題は抽出できないからです。

建築のルールでは、材料の精度、施工の精度における僅かなズレや歪みは、予め生じるものだと見込んで、許容値を設定しています。その範囲内であれば、想定の範囲内。

安全性に対する準備もOKということです。ですので、建物の傾斜は、有る・無し、ではなくて、許容範囲内か否か、となるのです