近年、1時間に50ミリ以上の雨が降る「短時間強雨」の発生が増えています。特にこれから迎える9月、1日に100ミリ以上の大雨が増加する傾向にあります。各地での度重なる被害状況を見ても、今後は地震対策だけでなく「住まいの雨対策」も考えておく必要があるでしょう。
今回はホームインスペクター(住宅診断士)の見地から、大雨被害を抑えるために日頃から気をつけておきたい戸建てのポイントをご紹介します。
側溝、排水口のゴミは、冠水外周の水はけ注意
まずは、外回りから。
側溝や排水口、雨樋は日頃から掃除して水はけを良くしておきましょう。ゴミがたまっていると排水ができず、水が溜まってしまうことも。湿った状態が続くと防水層(雨水の浸入を防ぐために表面に施工されている層)の劣化を早めることにもなります。
また、バルコニーで排水ができないと、階下に漏ってしまったり、構造躯体に影響することもあります。
たとえばこちらの写真。バルコニー下ではありませんが、水漏れ跡が確認できます。このまま放置しておくと内部の木材が腐ってしまいます。
風で飛ばされそうな物は固定する、もしくはしまっておく
ベランダに物干しや鉢植えを置いている場合、雨風が強まる前に室内に入れるか、固定しておきましょう。万が一、風で飛んでしまった場合、自宅や近隣の窓ガラスを破損させてしまう可能性だけでなく、通行人に怪我をさせる恐れも。
台風が来てから外に出るのは危険なので、あらかじめ予報の段階で対応しておきましょう。
外壁でチェックすべきはシーリング部分
サイディングなどの外壁材の目地(写真矢印)や、エアコン配管などの貫通部、サッシまわりなどは、シーリングという防水材が充填されていますが、ここが劣化していると、建物への被害が大きくなる可能性があります。ひびが入っていたり、固くなっていたら要注意。埋めるなどの補修や、時期によっては打ち替えも検討しましょう。隙間から壁内部に雨水が浸入すると、こちらも構造躯体の腐食につながります。
外壁の貫通部の防水は、実際のインスペクションでも必ずチェックする重要な項目です。
室内での対策は、避難経路の確保から
洪水ハザードマップで床上浸水を予測されるエリアや、大きな河川沿いでは、室内の対策もチェックしましょう。
大事なのは室内避難経路の確保です。大きめの家具は避難経路におかない、家具は固定しておく、など地震対策にも共通しますが、ご入居の際にぜひ参考になさってみてください。
いかがでしたでしょうか?
9月の長雨シーズンを前に、戸建てにお住まいの方はぜひチェックしてみてください。
検討中の物件やご自宅の災害リスクを知りたい方は「災害リスクカルテ」のご検討を

さくら事務所の災害リスクカルテ(電話相談つき)は、知りたい場所の自然災害リスク(台風・大雨、地震etc)を地盤災害の専門家がピンポイントで診断、ハザードマップがない土地でも、1軒1軒の住所災害リスクを個別に診断します。内水氾濫を含む水害リスクの可能性も、地形情報や対象地付近の標高差などから評価。建物の専門家がそれぞれの災害による被害予測も行い、自宅外への避難の必要があるかどうかなどをレポートにします。
災害リスクレポート+専門家による電話コンサルティング
で、あなたの調べたい場所の災害リスクを完全サポート
- 災害と建物の専門家が具体的な被害を予想
- 最低限の対策や本格的な対策方法がわかる
- 災害対策の優先順位がはっきりわかる
国内唯一の個人向け災害リスク診断サービスです。
※全国対応可、一戸建て・マンション・アパート対応可
災害リスクカルテは、過去345件超の物件で発行しています。それらの傾向から、約47.3%の物件で何らかの災害リスクが「高い」という結果となり、水害に関しては55%の物件で「浸水リスクがある」(道路冠水以上、床下浸水未満を超える可能性あり)という結果が得られています。
災害リスクとその備え方は、立地だけでなく建物の構造にもよります。戸建て住宅でも平屋なのか、2階建てなのか、また地震による倒壊リスクは築年数によっても大きく変わってきます。
レポートだけではない!建物の専門家による電話相談アドバイスも

既にお住まいになっているご自宅や実家のほか、購入や賃貸を考えている物件、投資物件の災害リスクや防災対策が気になる方におススメです。特に、ホームインスペクションを実施する際には、併せて災害への備えも確認しておくとよいでしょう。災害リスクカルテの提出はご依頼から概ね3日で発行が可能です(位置の特定・ご依頼の後)。不動産の契約前や、住宅のホームインスペクションと同じタイミングなど、お急ぎの方はまずは一度お問合せください。
■記事執筆者(災害リスクカルテ監修)
横山 芳春 博士(理学)
だいち災害リスク研究所所長・地盤災害ドクター地形と地質、地盤災害の専門家。災害が起きた際には速やかに現地入りして被害を調査。広島土砂災害、熊本地震、北海道胆振東部地震、山形県沖地震、逗子市土砂災害等では発生当日又は翌朝に現地入り。
現地またはスタジオから報道解説も対応(NHKスペシャル、ワールドビジネスサテライト等に出演)する地盤災害のプロフェッショナル。