3.11~東日本大震災から9年 見えてきた課題と今後の備え<後編>

  • Update: 2020-03-12
3.11~東日本大震災から9年 見えてきた課題と今後の備え<後編>

地震・災害への備え

ハザードマップを確認

簡単に地震・災害の可能性を知るには、自治体が発行しているハザードマップを見ることをお勧めします。「わがまちハザードマップ」では、各自治体のハザードマップがまとめられているので便利です。どのような災害の被害を受ける可能性があるか検討することに役立てましょう。
ただし、ハザードマップを見て「安全だ」と判断するのは望ましくありません。ハザードマップは住宅ごとに安全かどうかを評価する目的で作成されたものではなく、想定された地震や地図の誤差などもあることから、専門家への相談などをお勧めします。

土地のなりたちを知ること

液状化は埋立地や池・沼だった場所、盛土の崩落は谷あいを埋めた造成地で起こりやすいなど、災害の被害の受けやすさは「土地のなりたち」によって大きな差があります。古くから住宅街として使われている土地は、高台など比較的安全な場所が多い一方で、近年まで水田や山林であった場所は、被害を受けやすい土地であることも心配されます。
古地図を見ると、昔の土地の様子が地図で見ることができます。「今昔マップ」という古地図を見ることができるサイトでは、今の地図と見比べながら年代も選べて過去の様子をチェックできますのでお勧めです。

家の周囲の状況を見る

地図情報だけではなく、今お住まいの住宅であれば、周囲を歩いてみて地面や擁壁などを見ることも宅地の防災につながります。地盤が沈下し続けているような場所では、地面にひび割れや陥没が生じていることもあります。
さらに、これから買う予定の土地であれば、下見をしっかり行い、建物だけでなく、土地もしっかり見てください。天気の良い日だけでなく、大雨の日に下見をすると、水はけや雨水が集まってくる場所かどうかを見極めることができます。
さくら事務所では、ご自身でできる「地盤のチェックリスト」を作成していますので、我が家の、また購入を検討している土地のチェックにご活用ください。

起こりうる災害を想定した備えを

地震や災害はいつ来るかわかりません。自宅や職場などがどのような災害の被害を受ける可能性があるか。ハザードマップや、土地のなりたち、過去に起きた災害の情報などをもとに、事前に想定しておくことが大切です。地震によって揺れやすい土地であれば、住宅の耐震補強や家具の転倒防止をする、土砂災害警戒区域が近い場合は、雨が強くなる前に避難所に避難することを検討するなど、適切な対策について備えを行いましょう。
地震や災害を、「対岸の火事」として自分とは関係ないととらえるか、「自分ごと」としてとらえるかで、いざ大地震、大災害があった時に命を守り、生活が早く復旧できるかが大きく変わってくるでしょう。
3.11、東日本大震災から9年のいま、ぜひ地震、災害を「自分ごと」としてとらえ、対策を考える1日になれば幸いです。

地盤のゆれやすさを調査する新手法「微動探査」

地震が起きた際、その揺れ方は住宅の建つ地盤によって大きく異なってきます。高台の、地盤の良い揺れにくい場所の地盤で、震度5強の地震があったとします。そのすぐ近くで、海や川を埋めた場所や「盛り土」地など、ゆれやすい地盤があった場合に、地震のゆれが震度6弱、6強などに大きくなるような現象が知られています。また、1995年の兵庫県南部地震でクローズアップされた、特に戸建て住宅でゆれが「共振」して大きなゆれ方をする地盤もあることがわかっています。

従来の住宅建築時の地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験など)は、「建物の重さに地盤が耐えられるかどうか?」を調査するもの。このような地震時の地盤のゆれやすさは調査することはできず、地盤のゆれやすさの情報が住宅の建築にも活かされてきませんでした。  最近では、宅地ごとで地震発生時のゆれやすさがわかる地盤調査方法の、「微動探査」が一般化されてきてきています。「微動探査」では、1宅地につき1時間ほど、地面に機材を置くだけで調査ができます。住宅ごとの地盤のゆれやすさの特徴を知って家づくりをすることが可能となり、大地震でも倒壊せず住み続けられる家づくりができるようになっています。

検討中の物件やご自宅の災害リスクを知りたい方は「災害リスクカルテ」のご検討を

災害リスクカルテ(電話相談つき)

 さくら事務所の災害リスクカルテ(電話相談つき)は、知りたい場所の自然災害リスク(台風・大雨、地震etc)を地盤災害の専門家がピンポイントで診断、ハザードマップがない土地でも、1軒1軒の住所災害リスクを個別に診断します。液状化リスクの可能性も、地形情報やハザードマップ(場合により近隣地盤データ等)から判断、建物の専門家がそれぞれの災害による被害予測も行い、自宅外への避難の必要があるかどうかなどをレポートにします。

災害リスクレポート専門家による電話コンサルティング
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  • 災害と建物の専門家が具体的な被害を予想
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※全国対応可、一戸建て・マンション・アパート対応可

 災害リスクカルテは、過去345件超の物件で発行しています。それらの傾向から、約47.3%の物件で何らかの災害リスクが「高い」という結果となり、液状化では36.3%と1/3以上の物件で「液状化リスクがあるという結果が得られています。

 災害リスクとその備え方は、立地だけでなく建物の構造にもよります。戸建て住宅でも平屋なのか、2階建てなのか、また地震による倒壊リスクは築年数によっても大きく変わってきます。

レポートだけではない!建物の専門家による電話相談アドバイスも

災害リスクの判定・予測をもとに専門家がアドバイス

 既にお住まいになっているご自宅や実家のほか、購入や賃貸を考えている物件、投資物件の災害リスクや防災対策が気になる方におススメです。特に、ホームインスペクションを実施する際には、併せて災害への備えも確認しておくとよいでしょう。災害リスクカルテの提出はご依頼から概ね3日で発行が可能です(位置の特定・ご依頼の後)。不動産の契約前や、住宅のホームインスペクションと同じタイミングなど、お急ぎの方はまずは一度お問合せください。


地盤災害ドクター
横山 芳春博士(理学)

地形と地質、地盤災害の専門家、災害が起きた際には即現地入りし被害を調査。
広島土砂災害、熊本地震、胆振東部地震、山形県沖地震等では当日又は翌朝に現地入り。
現地またはスタジオから報道解説対応も(NHKスペシャル、ワールドビジネスサテライト等に出演)する地盤災害のプロフェッショナル。