防災の日 改めて確認したい、ご自宅の災害リスク

  • Update: 2020-09-01
防災の日 改めて確認したい、ご自宅の災害リスク

9月1日は、「防災の日」です。全国各地では、防災訓練やイベントなど、様々な取り組みが行われていることでしょう。
さくら事務所でも、皆様に安全で安心できる毎日を過ごしていただきたいという想いから、今回は耐震についてお話しいたします。

建物の耐震性とは

さくら事務所にもよくお問い合わせいただく建物の「耐震性」。
耐震性とは、建物が地震に耐える力のことで、耐震診断を行うことにより、その建物の地震に耐える力を調べることができます。
耐震性は、建築基準法で、「耐震基準」として定められています。
耐震基準は大きく分けて二種類あり、旧耐震基準と、新耐震基準があります。
1978年に発生した宮城県沖地震を受けて、建築基準法が大改正され、1981年6月1日より、新耐震設計法が施行されました。
この1981年6月1日より施行されている新耐震設計法を新耐震基準と呼び、1981年5月31日まで施行されていた基準のことを旧耐震基準と呼びます。旧耐震基準では、震度5までの地震しか想定されていませんでしたが、新耐震基準では、震度6~7までの地震が想定されています。

2000年基準とは

1995年の阪神・淡路大震災を受けて、2000年にも建築基準法が改正されています。木造住宅においては、①地盤に応じた基礎の設計、②接合部への金具取り付け、③偏りのない耐力壁の配置など、新耐震基準をより強化するバランスの良い家づくりが義務化されました。
阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことで、新耐震基準をより厳しくしたのです。
<ポイント>
現在のお住まい、または、これから購入を検討している建物について、いつの耐震基準で建てられたのか、不明の場合は確認してみましょう。旧耐震基準で建てられている場合は、耐震診断を行っているか、新耐震基準と同様の強度を保持するための適切な補強を施しているか確認すると良いでしょう。

耐震等級とは

2000年には、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)により、住宅性能表示制度が始まりました。良質な住宅の流通を目指して、住宅の性能をわかりやすく表示する制度です。耐震については、「設計住宅性能評価」10項目のうち、「構造」において「耐震等級」という基準が盛り込まれています。
住宅性能表示制度の「設計住宅性能評価」を取得している物件の場合には「耐震等級」が表示されます。
等級には1~3まであります。

  • 耐震等級1 建築基準法の耐震基準と同等の強さ
  • 耐震等級2 建築基準法の耐震基準の1.25倍の強さ
  • 耐震等級3 建築基準法の耐震基準の1.5倍の強さ

数字は地震に対する住居の強さを示しており、数字が大きいほど耐震性能が高い住宅であるといえます。

<ポイント>
物件を買うときには、まず「設計住宅性能評価」の有無を確認しましょう。
さらに耐震等級が高ければ高いほど耐震性能は高いといえます。

耐震・免震・制震の違い


制震・免震・耐震は、いずれも地震による住宅の損壊被害を防止する建物構造を指します。それぞれ「建物が受ける地震エネルギーを軽減する仕組み」に違いがあります。
マンションだけでなく、戸建でも検討される構造です。

  • 制震構造
    地震エネルギーを「吸収」する構造。建物に制震ダンパーなどを取り付けて揺れが増幅するのを防ぐ。
  • 免震構造
    地震エネルギーを「減衰」させる構造。建物と土地の間に積層ゴムやダンパーを設置して、建物に揺れを伝えないようにする。
  • 耐震構造
    制震・免震以外の、従来型で一般的な構造。筋交いなどを入れて建物を丈夫にする。
  • <ポイント>
    物件の構造種別については、物件のパンフレットなどであらかじめ確認しましょう。
    モデルルームに設置している設計図などでも確認できます。

ハザードマップとは

ハザードマップは、各都道府県・市町村が作成した、災害による被害予測や被害範囲を地図化したものです。ご自宅や購入を検討している土地建物があれば、ハザードマップを使って立地の災害リスクをチェックしてみましょう。
洪水・津波・土砂災害・地震防災危険度・液状化など、どういった災害リスクに晒されているのか、知ることができます。
国土交通省のハザードマップポータルサイト

地盤を知って対策を!

家を建てる上で、「地盤」はとても重要です。
地盤の特性を把握したうえで、その特性に合わせた対策がとられているか確認しましょう。

地盤(地質)の種類


地盤(地質)には、「洪積層(こうせきそう)」「沖積層(ちゅうせきそう)」など、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。同じ層でも地域ごと・場所ごとによって地層や砂質にも違いがあることに注意が必要です。この図では、左にいくほど「強い地盤」の傾向があります。

「台地」「谷地」「埋立地」など地形の違いによっても、地盤としての特徴に違いが生じますので、あらかじめ調べておいたほうがよいでしょう。特に、「谷地」「埋立地」の場合は、耐震性だけでなく水害、液状化など地震以外の災害の可能性も考慮してください。

周辺の地盤に問題がなさそうであっても、お隣の土地が大丈夫だとしても、地盤の強さが異なるケースはあります。そのため、家を建てる土地の「地盤調査」は必須です。なお、法律上も、2000年以降の建築基準法において家を建てる土地の地盤調査の実施が事実上義務化されています。

地盤調査は、更地の場合なら地盤調査会社へ依頼を。中古物件などの場合は建物の傾きなどに地盤の問題が現れやすいのでホームインスペクション(住宅診断)などで調べるのが有効です。

<ポイント>
災害リスクカルテでは、ご自宅や購入を検討している土地ピンポイントで地盤を含む災害のリスクを知ることができます。建築士による面談アドバイス付きで9,800円。お手軽に試せるサービスです。是非一度ご検討ください。

今すぐできるご自宅チェック!

地震で家が揺れたり、ニュース等で災害の情報に触れると、不安になりますよね。
今回は、ご自分でも今すぐできるご自宅チェックの方法をご案内しますので、行動して対策を取り、不安を少しでも減らしましょう!

【一戸建て・マンション共通】

  • 玄関ドアが耐震ドアかチェック
    耐震ドアでなかった場合は、ドアやバルコニーのサッシにクッションを挟むなど、地震で枠が歪み室内から出られなくなることを防ぐとよいでしょう。
  • 水の確保
    ペットボトルでの備蓄はもちろん、マンションの場合は、非常時に貯水槽から水を取り出せる給水栓があると良いでしょう。

【マンション】

共用部分に関することは、基本的に管理組合単位でのチェックや対策が必要となりますが、個人で気をつけられることやチェックすることで管理組合で検討し備えることもできます。

  • バルコニー避難ハッチなどの設備をチェック
    「避難はしごのあるバルコニーの下の階にものがおいてあって使用できない」
    「バルコニーの隔て板の前に植木がおいてあっていざというとき破れない」
    といったケースもあります。共用部分であり避難経路でもある「バルコニー」には私物を置かないこと、防災訓練を定期的にするなど管理組合で住民の意識を高める取り組みを行いましょう。
  • 共用部分の不具合をチェック

    タイルに不具合があり、高所から落下してしまうとマンション住民だけでなく、第三者に怪我を負わせてしまう可能性がありますので、定期的なチェックはもちろん、個人でも気がついたら写真をとって管理組合に報告し、補修を検討ましょう。

自分のマンションに応じた防災マニュアルがあるかどうか、そのマニュアルに応じた避難準備や防災対策をしているかを管理会社に確認してみるとよいでしょう。

【一戸建て】

構造材である柱や金物に不具合があると、建物の強度・耐震性に影響がでてきます。普段から定期的に自宅のチェックをし、不具合があった場合はこまめに補修をするようにしましょう。

  • ひび割れ

    家の外へ出て、建物全体、基礎、屋上やバルコニーなどの外壁部分を確認します。
    細かいひび割れがいくつもないか、名刺の入るような幅(0.5mm以上)の幅のひび割れはないか、等です。大きなひび割れは大地震が来た場合に建物の倒壊に繋がる恐れがあるので、見つけた場合は専門家に相談しましょう。

  • 金物の取り付け
    屋根裏や床下の点検口から覗いてみて、金物部分の緩みや外れがないか、デジカメで写真を撮ってみましょう。しっかりと留まっているはずの金物が外れていたり、本来設置すべき向きと逆に設置されていたり、そもそも設置されていなかったりと、設計上は担保されていたはずの耐震性が、施工時のミス等により、担保されなくなっていることは残念ながらあります。

    金物が外れている例

    本来設置すべき方法と逆になっていることが判明した例


ご自分で見るのが不安な方や、専門家による知見を得たい方は、住宅のプロである建築士がお伺いし、建物全体、また、オプションで点検口から侵入し床下や屋根裏を確認をいたしますので、是非ホームインスペクションをご検討ください。