住宅の新築工事において、工期の遅れや手抜き工事が大きな問題となっています。
せっかく建てたマイホームで、手抜き工事が発覚し不具合が発生するようなことがあると、ショックははかり知れないばかりか生活にも支障をきたすかもしれません。引き渡し後に問題が発生することがないよう、事前に手を打っておきたいものです。
じつは、私達さくら事務所が2019~2020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く工事中の施工ミスを集計・分析した結果、おおよそ8割近く発生しており、重大な欠陥も少なからず含まれるなど、購入者側も最低限のことは理解しておきたい部分でもあります。
そこで今回は、新築工事現場で手抜き工事が増えている原因をもとに、効果的な対策を考えてみたいと思います。
手抜き工事が増えている原因
現在、新築工事現場で手抜き工事が増加傾向にあるのは理由があります。
まず、一般的に手抜き工事が起こりやすい環境には以下の2つが挙げられます。
- 工期に余裕がない
- 施工管理者のチェックが十分でない
新築工事現場において、これら環境が生まれることで手抜き工事が増加しやすくなります。
ではどうして、現在このような環境が生じているのでしょうか?
この点も大きく2つの要因が考えられます。
- 慢性的な人手不足
- 新型コロナウィルスによる社会活動の停止
これら2つの要因が、どうして新築工事現場で手抜き工事が起こりやすい環境をつくることになるのか深掘りしてみたいと思います。
慢性的な人手不足
建築業界は、慢性的な人手不足が深刻化し、大きな課題となっています。
そして、住宅の新築需要に対して労働力が不足していることで、工事の遅れや品質の低下につながっているのです。
住宅の新築工事は各工事のスケジュールが工程表で管理されており、ひとつの工程に遅れが生じると後工程にも影響してしまいます。
また、工事業者が抱えているのはひとつの工事だけではありません。
人手が不足しているうえに工程のズレが発生してしまうと、その後のすべてのスケジュールを見直す必要があるなど、ダメージは甚大なものになる可能性があります。
そのため、時間のロスをなくすことを優先するがあまり、品質監理を後回しにして結果的に手抜きとなってしまう場合があるわけです。
さらに人出不足を理由に、充分な技術を得ていない若年の施工業者が現場を任せられ、知識や技術不足による品質の低下も問題視されています。
そして、人手不足は大工など施工従事者だけではなく、工事現場の工程や品質、安全を管理する施工管理者も同様に足りていません。
施工管理者は、能力を超えるほどの現場数を担当しているケースも多く、負担が大きくなっている傾向にあります。
施工管理者においても、知識や経験不足のまま現場を任され、管理が出来ない施工管理者が多くいることも問題です。
本来は、施工管理者の厳しい目があることで、大工を始めとする多くの施工従事者の気持ちが引き締まり品質確保につながります。
ところが、検査など本来やるべき業務が疎かになると、施工従事者の気持ちがゆるみ手抜きが起こりやすい環境をつくってしまいます。
また、事前に詳細な打合せが出来ないまま各業者が施工を進めてしまうため、配管を通すために梁を欠くというあり得ない施工や、分電盤に物干金物がぶつかるなど、完成して初めて気付くミスが様々起こってくるのです。
このように、人手不足が住宅の新築工事現場に悪循環を生んでいるのです。
新型コロナウィルスによる社会活動の停止
新型コロナウィルスの世界的な流行によって、社会活動が大きく制限された時期があったことで、住宅の新築工事現場にも多大な影響が及んでいます。
製造や物流などあらゆる機能がストップし、工事に使用する建材や設備に欠品や遅延が多発しているのです。
この件に関連して、国土交通省からも「新型コロナウィルスの感染拡大に伴う建築設備の部品供給の停止等への対応について」という通知が発表されています。
この通知は、おもに「工事が未完成でも柔軟に引き渡しが行われるようにする」という内容で、大きくは住宅会社への救済措置になります。
とはいえ、工事の遅延にともなう品質の低下という点は最大の関心事になるでしょう。
材料が入らないことで工程が遅れたり、また出戻りが必要になったりすることがあります。
そうなると、ますます時間に余裕がなくなり、焦りによる間違いや手抜き工事につながりかねません。
安易に引き渡しを受け入れるよりも、しっかりとした品質を確認することが重要になるでしょう。
新築工事での大工さんの人数って通常どのくらい?
一般的な住宅新築工事の大工の人数は、上棟は別として1~2人のケースが多いでしょう。
工期に余裕がない場合などは人数を増やすこともありますが、この場合は品質確保という点では逆効果に働いてしまうことがあります。
というのも、まず人数が増えることで現場が雑然としてしまうことが挙げられます。
例えば、ひとつの作業が終わったらまず片づけて次の作業に取り掛かるなど、ルーティンに従って丁寧に進める大工は、多くの人がいるとペースが乱れ集中力も途切れやすくなるでしょう。
また責任の所在が不明確になる点も大きな問題です。
ひとつの現場に多くの大工が入って作業をすると、完成後に不具合があっても責任の所在がわかりにくくなります。
「不具合が起こっても自分だけが責められるわけではない」という心理から、手抜きが起こりやすくなるのです。
逆に、非常に高い品質で完成したとしても評価が分散され、「自分だけ努力しても報われない」ことから手抜き工事につながる場合もあります。
品質を確保するという点では、役割と責任を明確にし、そして結果に対する正しい評価が行われる少数での工事体制のほうが、より効果を発揮できるのかもしれません。
大工さんの手抜きを見分けるポイント
大工の手抜きを見分けるポイントについてご紹介したいと思います。
大きくは2つの視点からチェックすると効果的です。
- 工事現場の状況
- 工事管理の状況
工事現場の状況
まずは工事現場の状況について、整理整頓がされているかという点は非常に重要なポイントです。
工事現場が乱雑な場合、道具や材料がどこにあるかわからなくなることもあるなど効率を悪くしていまいます。
ゴミを片付けない現場は材料に汚れやキズが付きやすく、とくに仕上げ材にキズが付くと補修などが必要となり品質の低下につながります。
また、仮設トイレや玄関、アプローチなど、いつ施主がやって来ても気持ちよく見学できる状態にあることも重要です。
きれいな現場は、信頼関係の構築につながり、工事に関わるすべての人が気持ちのよい環境をつくるという意識が品質向上において重要な要素になります。
その他にも、挨拶や工事車両の駐車状況など、周囲への配慮ができるかどうかということも、仕上がりに現れてくるものです。
工事管理の状況
住宅の新築工事で適切な品質を確保するには、適切な工事管理が行われることが重要になります。
適切な工事管理とは、重要な検査が体系的に行われていること、そして現場にルールがあり秩序が保たれていることなどです。
工事の進行にともなって節目ごとに施工管理者が検査を行い、合格をもって次の工程に移行しなくてはいけません。
また現場に最低限のルールを設け、厳しく引き締めなければ品質だけでなく安全を確保することも難しくなるでしょう。
つまり、組織として工事管理体制が確立されているかということがポイントになるのです。
これらが十分でないと、気が付いたら欠陥住宅に住んでいたということになりかねません。
施主の立場として、施工管理の状況を監視していくことも重要です。
完成後に発見できない重大欠陥に「工事中の第三者チェック」を!
新築工事の段階ですでに「約80%」の施工ミスを発見!
冒頭でもご説明しましたが、2019~2020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く工事中の施工ミスを集計・分析した結果、おおよそ8割近く発生していることがわかりました。
新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスは、本来施工ミスを防ぐ最も良いタイミングである工事中に、完成後には発見できない基礎・構造など建物の重要箇所について、建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が複数回の検査をし、引き渡し時の完成検査(内覧会同行チェック)も併せて行います。
施工ミスの原因は、現場監督が「法律や規定を知らなかった」「うっかり間違えた」など、初歩的なことが多いです。しかし、工事中の施工不良は住宅完成後に立ち戻り検査をすることができなく、時限爆弾式に10年以上たってから大きな不具合が発生するなどのケースも多々あり、欠陥住宅を未然に防ぎたいお客様には、当サービスを強くおすすめしております。
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