省エネ基準の適合義務化が決定!それでも安心できない理由

  • Update: 2022-08-24
省エネ基準の適合義務化が決定!それでも安心できない理由

ご存じの方も多いかもしれませんが、2022年6月13日、住宅に関わる法律が改正されることが決まりました。

その法律とは、「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)」。政府は2050年までにカーボンニュートラルを実現させること、2030年度に温室効果ガス排出量46%削減(2013年度比)を実現させること、この2つを目指しており、そのための具体策として同法の改正が決められた、というのが背景です。

この改正によって何がどう変わったのか。一言で言うなら、「2025年度より、戸建て住宅を含めた全建築物の省エネ基準への適合が義務化」されました。つまり、「改正建築物省エネ法」の施行後に建てられる全ての新築住宅は、「断熱等級4」の適合を含む、省エネ基準をクリアしていなくてはならない、ということです。

断熱性能を考えた時に、「断熱等級4」というのは決して高い基準ではありません。しかし、たとえ低い基準ではあっても、これがすべての新築住宅に義務づけられる「省エネ基準の適合義務化」は、私たちにとって大きなニュースだと言えるでしょう。

少なくとも2025年時点においては、すべての新築住宅が「断熱等級4」をクリアしている。この事実は、家を探す時にかなり心強いポイントになるはずです。

……しかし。

それなのに、2025年に断熱性能が基準を下回る新築住宅が市場に出ている可能性があるのです。しかも、このままいけば、その確率は81.08%というとんでもない数字。これって、どういうことでしょう。

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「断熱」に絡む施工ミスが81.08%の高確率で発生している!?

私たちさくら事務所では「新築工事チェックサービス」というサービスを行っています。これは新築住宅の工事中にホームインスペクター(住宅診断士)が検査をするというもので、建物が完成してからではなかなか見つかりにくい施工ミスを工事段階で防ぐことを目的としています。

その「新築工事チェックサービス」の検査結果を見ると、「断熱」に限った部分で2019年には全体の75.68%、2020年には86.49%の確率で施工ミスが見つかりました。2年間の平均、81.08%です。

断熱関係の施工ミス 第1位 断熱材が欠損している/隙間がある

具体的にどのような施工ミスがあったのでしょう。特に多いものを3つ、ご紹介していきます。

まずは第1位、不具合のうち68.92%を占めたのが「欠損、隙間」です。

成型された断熱材をサイズ通りにカットし、壁の中に埋めるのが一般的な工法なのですが、壁に通る配管や換気扇、窓枠の周りに隙間ができることがよくあるのです。断熱材のカットが雑、いい加減であるため、材料が欠損し、その結果として隙間が生じてしまっている、というわけです。断熱材の欠損や隙間については、数値的な基準がなく、施工に曖昧な部分がでてきてしまうことが要因のひとつです。

なかには、断熱材の表裏が逆になっていたという信じられない事例もありました。断熱材には表と裏があって、室内側には防湿層という、室内の湿気が壁の中に入るのを防ぐシートがあるのです。それが逆になってしまうと、室内の湿気が全て壁の中に入ってしまいます。あってはならない施工ミスですね。

断熱関係の施工ミス 第2位 断熱材の厚さが足りていない

第2位。16.22%の確率で起きていたのが「吹き付け厚さ不足」です。

断熱材には、先に述べたような成型された断熱材のほかに、機械を使ってシューッと壁に吹き付けるタイプの断熱材(吹き付けられたムース状の素材が膨らんで固まるイメージ)があり、その吹き付け断熱材を使った場合の事例です。メリットとしては、吹き付けた泡が固まるわけなので、第1位として挙げた欠損や隙間ができにくいということ。ただし今度は、厚さが足りないという問題が……。

たとえば10.5cm四方の柱で囲んだスペースに断熱材を吹き付けるとしましょう。この時、設計で求められる断熱材の厚さは通常8㎝~9cmくらいです。10.5cmの厚さに対し、仕上がりの厚さ9cmを目指して泡を吹き付けるのが通常ですが、膨らみが足りない部分が見られ、結果として厚さ不足という問題が起きてしまっています。

多めに吹き付けてから表面を削るのが一般的な工法ですが、家一軒分ともなると部分的に吹付厚さの足りない箇所が出てきてしまいます。

断熱関係の施工ミス 第3位 断熱材の仕様が図面と異なっている

第3位は「断熱仕様間違い」、5.41%です。

これはつまり、図面に書かれている断熱材と現場で使われている断熱材が違うというものですね。上記の画像は、図面ではグラスウールとあったのに対して、現場では吹付ウレタンが施工されていた事例のものです。

材料の不足や遅延によって代替品を使ったのが原因だと思われますが、断熱材にはその断熱性能によっていくつもの種類があるので、必要な知識がなければ、仕様よりも低い性能の材料を使ってしまうことがあります。

施工ミスを未然に防ぐには

ここまで3種類の施工ミスを見てきましたが、いずれも、「もっとしっかり工事してくれていれば……」と思ってしまうものばかりですよね。こうした施工ミスが見過ごされてしまうのは、ひとえに、検査体制が不十分だからです。

構造や雨漏りに関わる工程と比べて、断熱材については施工会社以外の第三者が検査をするケースは稀で、施工会社や職人さんの仕事を誰かがチェックする仕組みになっていないことが多いのです。

これを防ぐためには、工事時点から第三者機関を活用し、検査を入れることが有効です。ここまで見てきたように、断熱に関連する施工ミスは、工事が済んで壁紙が貼られてしまってからでは、なかなか見つけにくいものです。新築住宅の工事中に検査を行う「新築工事チェックサービス」をご利用いただければこのような施工ミスを未然に防ぐことができますので、ぜひ一度ご検討ください。