ベタ基礎ってどんな基礎?メリットデメリットや布基礎との比較を紹介

  • Update: 2023-07-31
ベタ基礎ってどんな基礎?メリットデメリットや布基礎との比較を紹介

基礎とは、地面と建物をつなぐ部分で主に鉄筋やコンクリートでできています。基礎の主な役割は二つあります。ひとつは建物を支え、地面に建物の荷重を均等かつ効率的に流すことです。そして二つ目は湿気を建物に侵入させないことです。

基礎で多く用いられているのがベタ基礎と布基礎。住宅は布基礎が多く用いられていましたが、近年ではベタ基礎が多くなりました。高い耐震性に加え、湿気やシロアリ被害にも強いからです。その一方で布基礎もコストの面から今でも採用されています。今回は布基礎との比較をしながらベタ基礎のメリットやデメリットをみていきます。

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ベタ基礎とは?

ベタ基礎とは基礎の工法のひとつで、底板がすべて鉄筋コンクリートで造られている基礎のことです。床下すべてで建物の重量を受け止め、支えています。地面をコンクリートで覆ってしまうため、湿気を防ぎ、シロアリ被害も少ない工法です。

布基礎とは?

ベタ基礎よりも以前からある工法として布基礎があります。布基礎は鉄筋コンクリートの基礎を柱や壁などの下に打ち込む工法です。横から見ると逆T字状の断面を持ちます。面で支えるベタ基礎に対して布基礎は立ち上がり部分によって線で支えます。布基礎も底面にコンクリートを施工することもありますが、これは防湿のためで建物を支える強度はありません。

法律で決められたベタ基礎・布基礎の違い

ベタ基礎と布基礎。ふたつの工法には形状以外にも違いがあります。それは根入れの深さや底板の厚さなどの点です。建築基準法で決められた基準であり、専門的な部分ではあります。ただ、工法を選択する際には違いを知っておくのは有益です。コストや形状だけではない、ベタ基礎と布基礎の違いをみていきましょう。

根入れ深さ

異なる点の一つ目は根入れ深さ。根入れ深さとは基礎が地中に埋まる深さのこと。木の根が深いほど樹木が安定するように、根入れ深さは深ければ深いほど基礎が安定します。根入れ深さの基準はベタ基礎で120mm以上、布基礎は240mm以上です。布基礎の方が根入れ深さを大きくするように定められています。これは布基礎が線で支える構造であるため、より深く根入れして安定させるためです。

基礎の底盤厚さ

相違点の二つ目は基礎の底板厚さです。底板とは基礎の床面を指し、建物の荷重を地盤へ伝える役割があります。底板厚さはベタ基礎で120mm、布基礎で150mm以上です。ベタ基礎は面で建物を支える構造。このため圧力が分散されるため厚みが薄くなっています。ベタ基礎は底板にも鉄筋を入れるため、底板が薄くても強度は十分です。

ベタ基礎のメリット・デメリット

ベタ基礎は耐震性に優れ、今では多くの建築会社で採用されています。大手建築会社の中にはベタ基礎が標準仕様のところも増えました。この他にも湿気やシロアリ被害にも強いなど多くのメリットのあるベタ基礎。その反面、コストがかかり、寒冷地には不向きともいわれています。ベタ基礎のメリットとデメリットをまとめました。

メリット

・優れた耐震性

・湿気やシロアリ被害の防止

デメリット

・コストがかかる

・寒冷地には不向き

メリット

ベタ基礎は耐震性に優れています。立ち上がり部分だけでなく、底板部分にも鉄筋が使われており、耐久性を上げやすいのが主な理由です。建物荷重を基礎全体で支えるため、力を分散させやすいのがベタ基礎。この結果、特定の場所へ過大な負担がかからなくなります。

ベタ基礎は耐震性だけでなく、湿気やシロアリ被害にも強い構造です。ベタ基礎は底面と立ち上がり部分がすべてコンクリートで覆われています。地面と建物の上部構造物が直接接していません。柱や根太など木造部分が地面から離れており、湿気やシロアリから守られます。もちろん、ベタ基礎といえども鉄筋やコンクリートの量や質、施工精度で強度は左右されます。

デメリット

デメリットとしてはコストがかかる点です。立ち上がり部分と底面部分にふんだんに鉄筋とコンクリートを使用するため材料費が布基礎と比べて多くかかります。またベタ基礎はその形状から残土の発生も布基礎よりも多い点もコストがかかる理由のひとつです。

加えてベタ基礎は寒冷地に不向きと言われています。理由は冬に地中が凍結すると基礎が持ち上げられ、建物にダメージを負うことがあるためです。これを防ぐには凍結しない深さまで基礎を埋めなければならないのですが温暖な土地よりもコンクリートや鉄筋量が増え、コストがかかってしまいます。そのため寒冷地ではベタ基礎が避けられることがあります。

布基礎のメリット・デメリット

続いては布基礎のメリットとデメリットをみていきましょう。布基礎の具体的なメリットデメリットは以下の通りです。

メリット

・コストを抑えやすい

・寒冷地に向いている

デメリット

・耐震性はベタ基礎と比べて不利

・ベタ基礎と比べて湿気やシロアリ被害を受けやすい

それぞれについて内容を見てみましょう。

メリット

布基礎はコストを抑えやすい工法です。その理由は使用する鉄筋やコンクリートの量がベタ基礎よりも少ないからです。

特に底板に鉄筋を入れないことでコスト削減できます。また、寒冷地に向いているのが布基礎。ベタ基礎のデメリットで紹介したように寒冷地は基礎を凍結しない深さまで埋める必要があります。布基礎はその形状から立ち上がり部分を深くするだけで対処できます。

ベタ基礎と比べてコストダウンできることから寒冷地でよく使われる工法です。

デメリット

一方、布基礎は耐震性がベタ基礎よりも劣るとされています。建物の重量を面で支えるベタ基礎に対し、布基礎は立ち上がり部分の線で支える構造です。立ち上がり部分に重さが集中することから、地震の際には不利だと言われています。実はこの点は立ち上がり部分を厚くする、強度の高いコンクリートを採用するなどして克服も可能です。 

また、布基礎は湿気やシロアリ被害を受けやすいともいわれています。確かに底板部分の地面がむき出しであれば湿気やシロアリの侵入を防げません。これも防湿コンクリートを施工することでクリアできます。布基礎が不利だと言われる点は、工夫次第でベタ基礎と遜色のない性能にできます。

ベタ基礎と布基礎どっちを選ぶべき?

最終的にベタ基礎と布基礎、いずれを選ぶべきでしょうか。結論から言えば、どちらも工夫次第で有用なので総合的な判断で選ぶべきです。一般的にはコストパフォーマンスで選ぶなら布基礎、シロアリ対策や耐震性能を優先するならベタ基礎、と言われています。両者の性能は昔ほど離れていません。ベタ基礎のデメリットであるコスト、布基礎が弱いと言われる耐震性能や湿気対策もそれぞれ克服されてきました。建築会社とも相談の上、地盤の強さやどの性能を優先したいかによって決定すればよいでしょう。

工法だけでなく、工事品質も重要

ここまでベタ基礎と布基礎の特性についてみてきました。いずれも採用されるに足る性能を有しています。ただ、これらの性能が発揮されるには工事がしっかり行われることが大前提です。設計通りの性能は設計通りの工事をしなければ発揮できません。

とはいえ工事が適正に行われているかは一般の方にはなかなかチェックできないものです。そのため建築工事では管理やチェックの専門家の力を借りるのもひとつの選択肢です。

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