冬場に効果的な電気代高騰対策をプロが解説

  • Update: 2023-10-19
冬場に効果的な電気代高騰対策をプロが解説
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さくら事務所 編集部

現在ウクライナや中東での紛争など不安定な状況も重なり、ライフラインコストが大幅に増加しています。今回は特にこれから冬にあたり懸念されている電気代高騰で有効な対策についてホームインスペクターの見解を伺いました。

暖房費の考え方

冬場の電気代高騰対策としてもっとも大切なことは、できるだけ暖房の負荷を下げられる取り組みを考えることです。

 

▽夏と冬を比較した空調の負荷について

Point:夏の冷房よりも冬の暖房のほうが負荷が掛かります。

 

<夏の場合>

夏場冷房を使用する場合は、気温が30〜35℃前後のときに25℃〜28℃ぐらいだと想定すると、冷やす温度は5〜8℃くらいと10℃まではいかないぐらいの温度差で収まることがほとんどです。

<冬の場合>

冬に暖房を使用する場合は、気温0℃近いところを20℃ぐらいまで温度を上げることを想定すると、必然的に夏場に比べて2倍以上も温度を上げることは明白なので、結果的に冬のほうが負荷が掛かることがわかると思います。

この比較からも分かるとおり、夏よりも冬に電気代が掛かるため、その電気代をできるだけ押さえるために対策を考えることが大切です。

断熱性を上げる上での注意点

この冬、少しでも暖房の負荷を下げるためには家の断熱性を上げることが重要になってきます。どんな人でもちょっとした裏技やTipsを発信できるようになった結果、これが効くと言われているものでもプロの視点で見るとオススメできないものがあります。ここでは実際に断熱性を上げるうえでの注意点について解説します。

▽梱包材のプチプチによる断熱方法

Point:あまりオススメできない

よく手軽なTipsとして紹介されやすいのが梱包材のプチプチを使った断熱方法です。YouTubeで検索しても様々な紹介が出てくると思います。梱包材のプチプチの効果がまったくないと言うわけではありませんが、例えば部分的に貼っても意味をなしません。

プチプチを貼っていないところから冷気が入ってくる可能性があります。プチプチすべてに空気が入っているといいのですが、そうではない部分もあり効果があまり発揮されない場合だったり、貼っていない場所で結露による湿気を溜め込んでしまった結果、カビの繁殖を招きやすい状態になる可能性もあり、プチプチによる断熱方法についてはあまりオススメできないのが実情です。

▽部屋と部屋のあいだのドアの下に空いている隙間に入る風を止めるためのテープ

Point:圧倒的にオススメしない

ドアの下に空いている隙間から入る風は「必要な風」です。

2003年以降の比較的新しい家には「24時間換気」という設備が入っており、空気が淀んだり、シックハウス症候群にならないように換気扇で換気を促す仕組みがあります。

換気扇で強制的に空気を捨てる分、空気を取り込む必要もあるので給気口などから屋外の空気を取り込めるようになっています。その入った空気を流すためにドアの下に隙間が設けられていて、そこを伝って家中に空気が流れ、また換気扇から排出されるような経路になっています。そのためドアの下の隙間を埋めてしまうと換気を止めてしまうことになるので、これは圧倒的にオススメできません。

▽アルミシートを敷いて床の寒さを低減させる

Point:断熱性や省エネ効果は期待できるが、取り扱い要注意

たしかにアルミシートは温かく一定の効果があります。しかし通気性は悪くなる可能性が高まります。つまりアルミシートを敷いている下は空気が動かなくなるため、そこには湿気がたまりやすい状況が生まれます。その湿気がたまりやすい空間は、アルミシートを敷いている上下で温度差が生じることになります。湿気がたまり且つ温度差が生じることで結露が発生しやすい状況となり、格好のカビの繁殖しやすい環境が整ってしまうことを意味します。

カビの繁殖しやすい状況を回避するためには、アルミシートに関して定期的にめくって風を流す必要があります。そのためアルミシートは一定の断熱性・省エネは期待できるが、取り扱いには注意しなければいけません。

断熱性を上げるためにできること

安直な断熱対策よりは予算感が上がるものの、確実に断熱性を高める効果が期待できるのは「窓」への対策です。ここではホームインスペクターがオススメする断熱性を高めるための「窓」に関する対策を紹介します。

1.ハニカムシェード

ハニカムシェードは、1つ1つが六角形の筒状になったものを窓に垂れ下げていきますので、窓に対して面で空気の膜を作ることができるので、窓の外からの熱の出入り口を防ぐ効果が期待できます。

2.内窓

当たり前ですが窓をサッシごと変えるのは費用がかなり掛かります。そのため今ある窓はそのままで内窓を付けることで費用を抑えながらも高い効果を出すことが出来ます。工事も1日で終わることがほとんどです。ただハニカムシェードよりはもちろん金額はそれなりに掛かります。

しかし国などで省エネ対策に対する補助金などが出ているため、うまく活用して実施することが大切です。実際にホームインスペクターも補助金を活用して昨年内窓を取り付けました。

※省エネの助成金等は毎年度、情報が更新されます。制度が実施されていても受付期限などもありますので、インターネットなどで直近の情報をご確認ください

▽内窓を付けるといい場所

予算の関係で内窓を取り付ける場所を絞りたい場合は、浴室や洗面室はヒートショックにもつながる場所なので、断熱性の改善が必要であれば対策をするといいでしょう。基本的にはリビングや居室など、比較的そこに滞在する時間が長く、冷暖房を使用する部屋についても、内窓設置場所として優先してやることが望ましいです。

他にも気をつけておきたいこと

冬場の低湿度はNG

 季節性のインフルエンザは冬に流行することが多く、その要因として湿度があると考えられています。湿度の尺度は「相対湿度」と「絶対湿度」があり、インフルエンザウイルスが流行する要因としては「絶対湿度」が基準になるとされています。大まかにいえば、絶対湿度が低いとインフルエンザの生存率が上がり、絶対湿度が高いと生存率が下がると報告され、その目安は「絶対湿度 11 g/m3」です。

また、湿度が低いと気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。厚生労働省によると「特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つ」ことが効果的としています。(引用:https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html )

適切な換気

加湿だけでなく室内の換気が重要です。

・2003年7月以降の住宅には必ず24時間換気が付いているので、原則24時間365日稼動させる

・24時間換気がない住まいは、1~2時間に5~10分程窓を開けての換気を。短めでも良いので、こまめに窓開け換気した方が効果的

窓は2か所以上、できれば離れた位置の対角にある窓を開けるのがベスト

・石油ファンヒーターやガスファンヒーターなど火を使う暖房器具を使う場合は、換気回数や換気時間を伸ばす

動画もあわせてご覧ください