「建売住宅を購入して後悔した…」という声を聞くことがありますが、実際のところ建売住宅にはどのような問題が潜んでいるのでしょうか?
まずお伝えしたいのが「建売住宅だから品質が悪い、手抜き工事が多い」ということはなく、注文住宅より安価ながら、品質や性能が良い建売住宅も販売されているという事です。
そもそものお話として、私達さくら事務所が2019~2020年にかけて大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く工事中の施工ミスを集計・分析した結果、おおよそ8割近く発生しており、重大な欠陥も少なからず含まれるなど、建売・注文の比較の前に、新築だからといって品質に安心できるわけではありません。
また、そのような中でも「買った建売住宅でこんなトラブルが起きた」「契約時に聞いていたのと全然違うスペックだった」など、後悔や失敗談を綴った体験記がSNSやブログで書かれていたり、供給会社のレビューに不満が一定数かき込まれることがあるのも事実です。
よって、最も大事なことは「建売だから良い・悪い」ということではなく、『その物件がどうなのか』です。
価格は購入を決める重要な要素ですが、それだけでは後悔することになりかねないため、事前に必要なチェック項目は多くあります。今回は、建売住宅で後悔しがちな事例と、チェックしておきたい基準についてご紹介しますので、ぜひ参考にしていただけると幸いです!
建売住宅における「よくある6つの後悔」
①住宅の性能が十分でない
建売住宅で後悔することが多いのは、建物の性能が十分ではないという点です。手抜き工事とは異なり、設計通りに建てられているにもかかわらず、思ってもみなかった悪い住み心地でショックを受けたというもの。
<断熱性能の低さ>
断熱性能のスペックが低いと、冬に寒く夏に暑いなど外部温度の影響を受けやすく快適性は損なわれます。さらには暖房や冷房の効率も悪くなるため、光熱費が膨らみ家計の負担も大きくなってしまうでしょう。
「一戸建てを買う前に住んでいた賃貸マンションのほうが遥かに快適だった」という声を聞くことは珍しくありません。
<耐震性の低さ>
「スペックが低いことを知らなかった」と言われることが多い性能のひとつが耐震性です。 「新築だから地震に強そう」と思い、購入時の営業担当者とのやり取りでも「地震には強いですよ」と言われていたのに、法律の最低基準の耐震性だったことを後から知ったという方も。
確かに建築基準法に定められた最低基準で建てることに問題はありませんが、この強さだと大地震時にはかなり大きく変形し、建て替えが必要な程度まで破損する恐れがあります。そのことを知らず、「これで地震のときも安心」と期待して購入した方は、事実にがっかりされるでしょう。
②あとから欠陥や不具合が見つかる
仕上がりはきれいでも、見えない部分にあった欠陥や不具合で悩まされているケースは多くあります。 特に注意しておきたいのは雨漏りです。
<雨漏りについて>
建物にとって湿気・水分は大敵であり、カビやシロアリの発生、あるいは構造部の腐朽などの原因にもなるきわめて深刻な事案です。 雨漏りは、表面化して所有者が気付くまでに時間がかかるケースも多く、発見したときにはすでに壁の中の柱や梁が水分で強度が弱まっていたり、断熱材もぐしょぬれでカビだらけだったりと、被害が甚大で大がかりな修繕工事になってしまったケースは少なくありません。
<その他の不具合や欠陥>
雨漏りの他にも、重要な構造である柱や梁、耐力壁などに配管を通す穴があけられていたり、天井や壁の断熱材に欠損があったりすることなども。
建売住宅によらず、多くの住宅が手作りのため、「うっかり」「偶然」に施工ミスが生じることはありえるものの、建売住宅の場合、コストカットのために工事現場の監督の人員を削減していたり(1人の現場監督があまりに多数の施工現場を担当していて見に来られないなど)、工事中の現場検査を省き、施工ミスに気づいたり直したりすることなく次の工事に進んでいるなどの事案は多数見られます。
壁紙やフローリングの傷や汚れといったものは、現場監督でなくとも販売スタッフや購入者でも容易に気付けることから手直しされ、見た目に綺麗になっている家はたくさんあります。しかし、住み続けることに支障が出かねない大きな不具合は、目に見えない部分にこそ取り残されているものです。
③間取りや物置の位置が変更できない
間取りや、物置の位置は、いったん建築してしまうと、変更がききません。建売住宅は、個々の家族の事情までは反映できていないものです。
「もう一部屋ほしかった」、「この押入れはもっと広いほうがよかった・・・」といった、後悔や不満はつきものです。こういった不満は、実は、注文住宅でも多いものです。まして自分の意見が反映されていない建売住宅ではなおさらです起こりうることです。
④設備や内装のグレード
一般に建売住宅の設備や内装は、注文住宅よりもグレードの低いものが採用されています。これはコストの観点から、致し方ないでしょう。
狭いキッチン、エコノミーグレードの壁紙、バスルームも必要最低限。これが建売住宅のイメージです。企業努力でキッチンも広めのものを、バスルームも大きめのものが入るようにはなってきたものの、メーカーによっては物足りない部分もあります。
⑤外壁の劣化が早い
最近の建売住宅では、光触媒や汚れにくい外壁が登場しました。最近はこうした高機能な外壁を建売住宅で導入している事例もあります。
ただ、建売住宅の中には、早い時期から外壁が汚れはじめ、早い段階で外壁塗装のし直しを余儀なくされている住宅もあります。これは建築時に外壁の種類を安いものにしたことが原因です。安い外壁は、新築時はきれいでも、コストを押さえた結果、劣化が早いため、かえってお金がかかるケースもあります。
⑥「安さ」だけに惑わされないようにしよう!
建売住宅は、多数の部材をまとめて購入したり、1現場で複数棟を同時に建てることでコストダウンが図れ、注文住宅と比較するとリーズナブルなことが大きな強みとなっています。
一方で、「この価格で一戸建てが買える!」ということがセールスポイントになりすぎて、販売する不動産会社は、購入者は建物の性能など気にしないだろうと、最低限のスペックで建物を企画しがちです。 購入を予定している建売住宅が、どの程度の性能を有しているのか事前に把握し、納得のうえ買うことが重要です。
建売住宅は文字通り、「建てて売る住宅」。完成品として販売されています。一方、注文住宅は、購入者が自分の意志で建築した住宅です。両者の一番の違いは、購入者や所有者の意向が反映されているか、という点にあります。注文住宅は、家族構成や家に対する考え方を反映させやすいのです。一方で建売住宅は住宅メーカーがターゲットとなる家族構成を推測し、使いやすい間取りや設備を設置しています。
購入時に必ず確認したい『3つの場所』
新築時の建売住宅はとてもきれいな状態です。しかし、住宅をチェックし、是正をしてもらう機会は、購入時しかありません。もっと言えば、引き渡し前に指摘事項を伝えないと、対応してもらえない場合もあります。建売住宅購入時のチェックポイントについてみていきましょう。どれも重要なポイントです。
①床下や天井裏
普段は、床下や天井裏をのぞくことはありません。ですが、購入時にはかならず確認しましょう。床下の断熱材が脱落していることもありますし、天井裏で雨漏りしているかもしれません。
壁の内部は見えないですが、床下や天井裏は建物を支える躯体部分が見える数少ない場所です。こうしたところをチェックすることで、その住宅メーカーの仕事ぶりを垣間見ることができます。
②建具
「扉やドア」のことを建築用語で『建具』といいます。この建具は、購入時にすべて開閉してみましょう。
建具は微妙なバランスの上に成り立っているため、わずかなズレでもドアが勝手に開閉してしまうおそれもあるのです。玄関扉から始まり、キッチンの引き出し、物置の扉にいたるまで、すべて開閉してチェックしましょう。場合によっては、その場で修繕を依頼することも考えましょう。
③給排水
ウソのような話ですが、水道を流したら排水管が外れていて床や床下が水浸しになった、という事例もあります。実は、引き渡し前の段階では水道やガスが使えないこともあり、引き渡し前のチェックができない場合もあるのです。また、バスのお湯張りができなかった、台所ではお湯が出なかったという事例もあります。
引き渡し前のチェックが望ましいものの、やむを得ない場合は引き渡し後、すぐに給排水設備を確認しましょう。
効率的なチェック方法としての『フラット35S基準』
効率的にチェックするために覚えておきたいこととして「フラット35S」の基準を満たしているか?という非常に重要なことがあります。
【フラット35Sとは?】
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンのことです。
フラット35は、返済の全期間で金利が固定されている点が大きな特徴で、将来の返済額に増減がなく計画を立てやすいことが魅力のひとつです。 フラット35には金利優遇を受けられるいくつかの商品が用意されており、そのひとつが「フラット35S」です。
「フラット35S」には「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、利用するにはそれぞれ設定されている基準を満たす必要があります。
省エネルギー性や耐震性など高い性能を有する住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間について引き下げる制度ですが、建売住宅を購入するときに満たしておきたい基準として、ひとつの目安になるのがフラット35Sの「金利Bプラン」です。
フラット35で住宅ローンを組まない場合でも、建物の性能の把握のため、この金利プランの適合要件をどのくらい満たすのかを確認してみるのです。
【フラット35Sの金利Bプランの技術基準】
以下の『6項目の技術基準のうち1つ以上』を満たす住宅は、金利Bプランの金利優遇が受けられます。
<省エネルギー性>
①断熱等性能等級4の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
②建築物エネルギー消費性能基準を満たす住宅
<耐震性>
③耐震等級2以上の住宅
④免震建築物
<バリアフリー性>
⑤高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
<耐久性・可変性>
⑥劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅
建売住宅を購入するときには、これら項目をより多く満たす住宅が望ましいでしょう。
<問い合わせ方法について>
その建売住宅がどんな性能を持っているのか知りたいときは、販売会社や売主に「フラット35S」の「金利Bプラン」の基準を満たしているか問い合わせ、満たしている場合にはどの性能に該当しているのかを直接問い合わせするのが良いでしょう。
ただ、建売住宅においてリーズナブルさは売りでもあり、すべての項目を満たす物件ばかりではないのも事実。ここで重要なのは「あなたはその性能で満足できるのか、また、将来困ることはないのか」を考えることです。
買う時にはそれでいいと思っても、いざ他の地域で大きな地震が起きれば耐震性が心配になるでしょうし、また、断熱性を気にしないと思っていても社会的に省エネ住宅が注目され、将来的に省エネのレベルが融資条件となり売却のしやすさに直結することも考えられます。
足りない基準を将来的にリフォームで補うとするなら、それが可能なのかということも考慮しなくてはならず、上記項目の中でも断熱性と耐震性を向上させるには、大規模な工事が必要になることを知っておきましょう。
必ず確認したい「スペック確認」と「施工の第三者チェック」について
建売住宅は注文住宅と比べると比較的コストが安いというメリットがある反面、性能や品質に不安があるケースも少なくありません。 また、建物のスペックはあらかじめ決まっていて、工事も終わってからの販売が多いことから、購入者が建物の何かを変更したり品質を向上させたりすることは難しいでしょう。
ですから、購入後に後悔しないために、事前にわかる範囲で性能・仕様を質問しておき、見られる範囲でホームインスペクション(住宅診断)を行っておきましょう。
ホームインスペクターに依頼すれば、漏れなく調査ができる
ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの改修アドバイスまでサービスに含まれ、物件価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジができるため、ご利用の検討を強くおすすめしております。
ご依頼実績57,000件(業界1位)をこえる、さくら事務所の過去のご依頼者様宅でも、内覧会同行(引渡し前チェック)サービスご利用時に、給水管水漏れによる床下の水たまり、換気扇ダクトのつけ忘れ、断熱材の外れを発見するなど、新築とはいえど施工ミスが後をたちません。
新築住宅の場合、インスペクションを入れるベストなタイミングは『申込み後~契約前』となり、他の時点でも入れることは可能ですが、注意点も多いため、お急ぎの方はまずは一度お問合せください。
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