中古住宅の購入でよくある失敗例12選!後悔しないための対策を住宅のプロが解説!

  • Update: 2022-11-03
中古住宅の購入でよくある失敗例12選!後悔しないための対策を住宅のプロが解説!

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

持ち家を買う場合、新築にするか?中古にするか?という問題が必ず発生します。

中古住宅は、新築より早く購入できたり実際の建物を見ながら決められるメリットがありますが、建物の劣化・コンディションや周辺環境、耐震性のリスクによる不安が大きい方も多いのではないでしょうか?

本記事では、中古住宅選びで絶対に失敗をしないための、よくある失敗事例とその対策についてプロのインスペクターが徹底解説いたします!また、ホームインスペクション(住宅診断)を受けることで、高い安全性を保ちながら、金銭的にもお得に住宅購入をするオススメの方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

建物選びにおけるよくある失敗例と注意すべきポイント

新築住宅の価格の高騰を受けて、中古住宅の需要が増えています。確かに、新築に比べれば物件購入にかかる費用はかかりません。さらに、リフォーム、リノベーションが施されていて品質的にも新築に負けず劣らず…という物件もあります。

しかし、当然ながら世にある全ての中古住宅が品質の高い住宅であるということはありません。中には、「買うんじゃなかった……」と思ってしまうような物件もあるのです。

ここでは、建物選びにおけるよくある失敗例と注意すべきポイントを12例、ご紹介します。中古住宅の購入を検討されている方は、ぜひ注意深くお読みください。

  • ①老朽化、ゆがみなど構造上の問題
  • ②建物の間取り
  • ③雨漏り、シロアリの被害
  • ④水回り
  • ⑤「断熱」「耐震」
  • ⑥リフォーム費用の負担が大きい
  • ⑦場所・周辺環境
  • ⑧想定以上に費用がかかり住宅ローンの返済が難しい
  • ⑨騒音問題
  • ⑩近隣との人間関係
  • ⑪換気しづらく湿気が多い
  • ⑫配管の劣化に後から気づく

①老朽化、ゆがみなど構造上の問題

老朽化

<失敗例>
南側の庭に面した広い縁側があり日差しが入る住宅を購入したところ、縁側のサッシは開閉が難しく、隙間風が入ることが分かった。また縁側の上の2階の床も傾斜を感じられた。

<注意ポイント>
震度6強から震度7の揺れでも建物が倒壊まではせず、最低でも「避難する時間を確保して人の命が守られる」ように建物の設計や構造が強化されている基準を『新耐震基準』といい、この住宅の耐震基準は1981年に旧基準から見直しが行われました。

新耐震基準の建物であっても、木造の場合2,000年に構造上重要な耐力壁の位置のバランスを求められる基準などが追加され、大きな縁側、窓がある建物の場合は、2,000年以降の建築基準法に適合している建物かどうか確認することが重要です。

※「建築基準法」「耐震基準」について詳しく知りたい方はこちら

②建物の間取り

間取り建物

<失敗例>
3階建ての一戸建てのケース。1階の脱衣洗面室に洗濯機を置いていたが、物干しが3階のバルコニーのため、濡れた洗濯物を持って階段の昇り降りしている日常生活が大変に。

<注意ポイント>
住まいを選ぶ際は、日常的に行う脱衣、洗濯、干すなどの生活動線を短くすると生活し易く体への負担も少なくすることができます。

浴室換気暖房乾燥機など機器を用いて解決する方法もありますし、移動に関しても、階段の昇り降りは体への負担が大きいため、特に3階建ての場合の上下階への移動は少ない方が良いでしょう。

③雨漏り、シロアリの被害

雨漏り・シロアリ

<失敗例>
天井に雨漏りの様な染みがあったが、売主が染みに気づいていなかったことから気にせずにいた。後にシロアリが生息していることが分かり、被害のあった箇所の修復とシロアリの駆除に想定外の費用が掛かった。

<注意ポイント>
日本に従来から生息しているシロアリは湿気を好み、雨漏りや漏水などによって水気がある木材は注意が必要です。契約前に売主へ定期的にシロアリの防蟻処理をしているかの確認をしっかりしましょう。

雨漏りや設備漏水、結露などの可能性がある場合には、継続して生じてないか売主に調べてもらうように相談してみましょう。

④水回り

水回り

<失敗例>
築15年物件のケース。引渡し前は、空き室になっていたためガスが止められていたが、引越しの際にガスの開栓をしてもらったところ、給湯器が故障してお湯が出ない状況であることが判明した。

<注意ポイント>
住宅に取り付けられている換気扇や給湯器などの機器は設計上の標準使用期間を10年としているものが多いため、築10年を超えている場合は売主に給湯器を交換した時期を確認しましょう。

10年を超えて使用している場合は故障の際の費用を準備しておくようにすると安心です。

⑤「断熱」「耐震」

「断熱」「耐震」

<失敗例>
住んでみたところ、夏は暑く冬は寒いことが分かった。また、地震の度に揺れを大きく感じることから新築時の工事に何らかの問題があるのではないかと不安を感じた。

<注意ポイント>
室内の温熱環境を左右するのは断熱性能です。断熱性能が良いと屋外の環境に室内は影響され難くなりますが、断熱性能は法律で義務とされていないため、建物によって性能差があります。

建物の揺れは鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造などの構造の違いや立地条件などによっても異なります。しかし、人によって感じ方も異なり、揺れだけで良し悪しを決めるのは難しく、必ずしも施工に問題があるという訳ではありません(任意ではありますが2000年以降に住宅性能表示制度が始まり、断熱や耐震などの性能に等級を付けている建物がありますので、それらの情報を参考にすると良いでしょう)

⑥リフォーム費用の負担が大きい

リフォーム

<失敗例>
すぐに住めると思い住宅ローンにて購入をしたところ、生活に支障のある劣化や不具合があることが分かり、修繕に想定していた以上の費用を支払うことになった。

<注意ポイント>
中古住宅の劣化状況の程度は「建物状況調査」が参考になります。
※建物状況調査について詳しくはこちら

ただし、「建物状況調査」は任意であるため実施してない物件も多く、実施した時期によっては建物の状況が変わっている可能性も考えられます。
その場合、契約前にはホームインスペクション(住宅診断)を行って建物の状況を細部まで調査をしてから売買の判断をされることをお勧めします。

⑦場所・周辺環境

場所・周辺環境

<失敗例>
南側の隣地の土地が空き地であることもあって日差しが良いと思って購入したところ、3年後、空き地に高層マンションが建築されて日差しが入らなくなりました。

<注意ポイント>
現在は空き地や低層の建物でも、新しい建物が建つと状況が変わることが多々あります。どの程度の建物が建てられるか、どのような用途の建物が建てられるのかは都市計画や条例によって決められているため、現在の環境が維持できるのか、変わる可能性があるのかは予測することが可能です。

また、住むエリアを決めるにあたりこれまでは通勤時間を気にしていましたが、テレワークの導入により勤務形態が変わりエリアを気にしない傾向も出てきた点には考慮が必要です。直近の状況だけではなく、現状の職場や仕事環境でテレワークが将来も継続するのかを確認した上で決める必要はあるでしょう。

⑧想定以上に費用がかかり住宅ローンの返済が厳しい

<失敗例>
「今住んでいる賃貸住宅の家賃と同じくらいの費用(支払額)で家が買える!」と考えていたが、想定していなかった費用がかさみ、住宅ローンの返済が厳しくなってしまった。

<注意ポイント>
これは中古に限らないことですが、住宅を購入する/した際に必要となるお金は住宅ローンの返済費用だけではありません。購入時には諸費用(購入価格の3~8%ほど)、引っ越し費用、必要に応じて家電や家具の費用などがかかりますし、購入後は固定資産税や都市計画税、火災保険料、各種修繕費用がかかります。綿密な資金計画が必要です。

⑨騒音問題

<失敗例>
間取りや住宅のコンディションには何の問題もないのに、周囲の騒音が気になってしまい、落ち着いて生活できない…。

<注意ポイント>
特にマンションを購入する場合、防音性の確認は必須です。防音性の低いマンションでは、小さな子どものいる住人が上階に住んでいればドタバタ音が気になってしまうもの。マンションにおいては鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)の防音性が高く、鉄骨造(S造)は低いです。

⑩近隣との人間関係

<失敗例>
30代の夫婦、小学生の子どもが一人。ただ周囲に話の合う同年代の住民がいない上、子どもも少なくて暮らしにくい。

<注意ポイント>
20代、30代の若いファミリー層が多く暮らすエリア、逆にシニア層が多いエリア……と、そこで暮らす世帯の雰囲気はエリアごとに似通っているものです。このような失敗を避けるには、不動産会社に尋ねるのが一番。周囲にはどういった世帯が多いのか、購入前に必ず確認するようにしましょう。

⑪換気しづらく湿気が多い

<失敗例>
購入時は冬だったので気づかなかったが、梅雨時期に入り、湿気の多さが気になるようになってしまった。

<注意ポイント>
カビや結露を引き起こす湿気。この湿気がたまりやすいかどうかは、パッと内見しただけではわかりにくいものです。ポイントとしては、「窓を開けて風通しを確認する」こと。十分に室内に風が通るかどうか、可能であれば異なる時間帯や異なる天候のもとで何度も確認してみてください。

⑫配管の劣化に後から気づく

<失敗例>
内観がきれいにリノベーションされていたので気がつかなかったが、住み始めてから配管が劣化し漏水していることが発覚した。

<注意ポイント>
洗面台やシンクの下など目視できる配管はいいのですが、壁の中にある配管の状況はわかるはずもありません。配管の寿命はおよそ、金属管で20年、樹脂管で30~40年とされていますので、築15年、20年を超えるような中古住宅を購入する場合は特に、ホームインスペクションを活用してきちんとチェックしてもらうようにしましょう。

その他、確認しておきたい対策ポイント

「既存住宅瑕疵(かし)保険」の加入有無の確認

瑕疵保険

「瑕疵保険」とは、中古住宅を購入した後で隠れた不具合により何らかのトラブルが起こったときに支給される保険金のことですが、中古住宅ではすでにこの瑕疵保険に加入しているケースがあります。

新築の場合「瑕疵担保」は義務化されているため、購入者の意思に関係なく付帯してくるものですが、中古物件には瑕疵について保証するものがありません。そのため、購入後に問題が発見されれば、購入者は自費で改修作業をすることになります。

「瑕疵保険」はそのような状況において購入者の負担にならないよう保護してくれるメリットがあるため、事前の加入有無については確認をしておきましょう。

※瑕疵保険について詳しく知りたい方はこちら

※さくら事務所の瑕疵保険について詳しくはこちら

「住宅ローン減税」は中古住宅でも適応可能!

住宅ローン減税

住宅ローン減税(控除)とは、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、住宅ローンの毎年の支払い金額を最大10年間、税金から差し引いてもらえる国が制定している制度ですが、意外にも新築ではなく中古住宅にも利用できることを知っている人は多くないようです。

実は昨年2021年までは、住宅ローン控除は一定の築年数を下回らなければ適用されませんでした。しかし、今年2022年よりこの要件が緩和され、「◆昭和57年(1982年)以降に建築された住宅=新耐震基準適合住宅」であれば、住宅ローン減税適用を受けられることになり、今後の築古物件の購入あっせんが活性化する見込みとなっております。

住宅ローン減税(控除)について詳しくはこちら

<※2021年までの要件>
広さや用途、所得などの条件を満たした上で「木造住宅は築20年以内、耐火構造(いわゆる鉄筋コンクリート造りのマンション)は築25年以内」といった要件に加え、築20年や25年を超えた中古住宅では

●既存住宅売買瑕疵保険に加入する
●耐震基準適合証明書を取得する
●住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得する

上記のいずれかを満たすと、築年数の条件を満たさない中古住宅でも、住宅ローン控除を利用することができました。

住宅ローン減税適用で浮いた費用は、「瑕疵保険」に回すのが得策

今回の要件変更に伴い、仲介側からすると今まで住宅ローン減税適用をウリのひとつにできなかった「昭和57年(1982年)以降に建築された住宅(=旧耐震基準)」が、「住宅ローン減税に適用している=国もお墨付きの安心な住宅」といったウリ文句で、築古物件の営業増加が見込まれます。

築40年の住宅も住宅ローン減税を使えるようになるわけですが、40年も経っていると、メンテナンスが行き届いた良い建物もあれば、雨漏りしているような建物まで、住宅のコンディションはバラバラです。そのため、このような物件購入を検討される際には、住宅ローン減税でお得になった分(※中古住宅の場合は上限140万円)を、瑕疵保険の保険料に回して利用するのがおすすめです。

中古住宅の場合、新築に比べると当然事故(※雨漏りなどの欠陥)率は高く、事故が集中する初年度では検査物件全体の約5%にのぼります。

また、万が一事故が起きた際の補修費用は一般的に200~700万円程度(例:屋根からの雨漏り:最大400万)かかることが多く、これらの数値から考えても、住宅ローン減税が適応できる物件においての瑕疵保険活用の必要性は非常に大きいと言えるでしょう。

事故発生率と不具合発生率データ
出典:㈱日本住宅保証検査機構「既存住宅取引における住宅かし保険の活用と安全確保に向けた商品の普及」2015

ホームインスペクションの利用で、さらに「お得で効果的」な対策が可能

新築一戸建てホームインスペクション・内覧会

ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場からまた専門家の見地から、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行うサービスです。

元々は、住宅ローン減税適用のための瑕疵保険適合検査を検討されている方に、瑕疵保険の調査範囲を含み、かつ一般の方では補修判別が難しい傷・汚れのチェックや床下・屋根裏など、目に見えない不具合などもプロの目でしっかりと確認できる本サービスをおすすめしていました。

ホームインスペクションの検査範囲

2022年から、住宅ローン減税適用のために、瑕疵保険適合は不要になったとはいえ、中古物件は元々欠陥や不具合が多く、千葉大学の研究のデータによると、新築時の段階でおよそ30~40%補修を検討すべき箇所が存在(経年により発生率は上昇し、築10年以上の物件は約60%)します。インスペクションご利用で、よくある雨漏りの可能性の有無、設備機器の不具合はもちろん、建物の傾きチェックなど、居住・売買時のリスクにつながりやすい箇所の劣化状態を、物件価格の約0.2%でリスクヘッジできるため、ぜひ一度検討をしていただくことをおすすめいたします。

中古住宅の売買時に利用できるホームインスペクションは、実に100項目以上にものぼる点検を行います。

[ 調査シート例 ]

[ 調査シート例 ]

目に見える範囲はもちろん、専門の機材などを使って目に見えない範囲でどのようなことが起こっていそうか、いつ、どこに、どれくらいの修繕費用がかかりそうかなど、買って大丈夫そうかだけでなく、買った後に中長期的にどのようなことに注意すればよいか、などをホームインスペクターがアドバイスをします。

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契約不適合責任について理解する

瑕疵保険についてもう少し詳しく解説すると、瑕疵保険により担保される「瑕疵担保責任」の内容は、2020年4月の民法改正で「契約不適合責任」に内容が変わりました。

改正以前は、売主に責任を追及できるのは「隠れた瑕疵」についてのみでしたが、「契約不適合責任」では隠れているかは関係なく「契約に適合しない内容」について問うことができるようになりました。

また売主に対して買主が請求できる権利の幅が広がるなど、売主側はより大きな範囲で責任を負担しなくてはいけなくなりました。

瑕疵保険責任と契約不適合責任

[ 瑕疵担保保険と契約不適合責任の違い ]

 

 

見落としがちな「土地」の調査も大切

土地の調査も重要

日本は地震や台風の被害の多い国ですが、最近ではゲリラ豪雨やより大きい台風の到来により浸水被害が発生しています。建物は浸水に対する法律はなく無防備ですが、行政にて掲示しているハザードマップなどによりどの程度の浸水の可能性があるのか調べることができるので是非活用していきましょう。

また、地震に対しては活発に動いている断層の位置情報も掲示されていますが、近年注目されているのが地震時の揺れやすさの調査です。地盤の固さと共に揺れやすさを調べることにより建物に対策を施すことが可能となっています。

まとめ

中古住宅は新築より早く購入できたり実際の建物を見ながら決められるメリットがありますが、建物の劣化・コンディションや周辺環境、耐震性などのリスクを確認し、メリットとのバランスを納得した上で購入することが大切です。

とはいえ、ほとんどのリスクは事前に減らすこともできます。今回ご紹介したホームインスペクションを利用すれば、多くのリスクを減らしつつ、築20年や25年以上の住宅でも住宅ローン控除を利用できる可能性もあるため、利用するメリットはとても大きいと考えられます。ぜひ中古住宅購入の方は参考にしていただけると幸いです!

ホームインスペクター 柴尾 竜也
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター
一級建築士

柴尾 竜也

住宅の販売、仲介、現場施工管理、工事監理と一戸建て住宅に関連する業務に従事。その後、さくら事務所に参画。神奈川県を拠点として東日本に対応。