【建売住宅VS注文住宅】そもそも選ぶ必要がない!?知らないと後悔する注意点

  • Update: 2021-08-03
【建売住宅VS注文住宅】そもそも選ぶ必要がない!?知らないと後悔する注意点

この記事はプロのホームインスペクターが監修しています

「一戸建てがほしい!」と思った時に、多くの方がまず直面するのが建売住宅・注文住宅どちらが結局いいの?という事ではないでしょうか?

実際は、検討しているエリア・予算・家を買ううえで何を重視するか?などによって、自ずと選ぶ道が決まってくるものですが、初めて家を買う方にとっては悩み所となるでしょう。また当然、それぞれに建築物上の特徴を考慮せずに購入した結果、後悔した…なんて声も多く寄せられているなど、ますます判断に迷われる方は多いかと思います。

最終的に納得して家を購入できるよう、今回は数多くの住宅購入に携わってきたプロのホームインスペクター(住宅診断士)が、建売住宅・注文住宅の選ぶ基準はもちろん、検討の際の注意点まで解説していきたいと思います。ぜひ参考にしてみてください!

新築一戸建て引き渡し前チェック(内覧会立会い・同行)

判断ポイントは、まず土地を持っているかどうか

建売住宅か、注文住宅かを検討するにあたり、特に重要になるのが「土地を持っているかどうか?」という点です。

土地には多額のお金がかかるため、 親族からの土地を相続された方などであれば、注文住宅が現実的ですが、これから土地・建物の両方を買う方の場合、建売住宅のみの検討になることも十分に考えられます。

土地購入には以下の費用がかかりますので、最低限の知識として抑えておきましょう。

●土地代金

※不動産は高額なため、まずは契約時に5~10%の手付金、決済時に残代金を支払うのが一般的です。

●諸費用

  • 【仲介手数料】土地の売買を仲介した不動産会社に支払う費用
    物件価格が400万円を超えた場合、物件価格の3%+6万円が上限
  • 【収入印紙代】不動産売買契約書に貼ります
    ※物件価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は1万円
  • 【解体撤去費用】建替えの場合や購入した土地に建物・古屋が建っている場合に必要

 

ちなみに、一戸建てにおける建売住宅と注文住宅の比率は首都圏と地方で大きく異なります。

首都圏で販売している一戸建ての70%~80%(平成30年住宅支援機構調べ)が建売住宅なのに対して、例えば長野では92%、島根に至っては100%が注文住宅となっています。
また、地方の中核都市である宮城・広島・静岡・京都・福岡における建売住宅と注文住宅の比率は50:50程度です。

【注意点】注文住宅編

その①:土地選びのポイントは「災害リスク」

土地も含めて家を買うときに一番覚えておいて頂きたいのは、土地は「後で容易に変えられないものである」という点です。

近年土地を選ぶうえで最も注目されているのが災害リスク。
特に、都市部の土地は余っておらず、かなり開発し尽くされているので、今から新たに注文住宅を建てるために買おうとする土地は、水害や土砂災害が発生する可能性が高いことがあり、必ずハザードマップは確認する必要があります。

水害(洪水・内水氾濫)のハザードマップ、海に近いところであれば高潮・土砂災害のハザードマップ、液状化・大規模造成地などのハザードマップもあります。

そういったハザードマップで災害リスクは必ず確認し、特に永住志向の方は先々のリスクを十分に考えて検討しましょう。

その②:人口の減少が著しい場所は選ばない

注文住宅が欲しい方の中には、豪華な建物を建てたい方もいるでしょう。ただ、豪華になるほどに建設費用がかかりますので、結果的に土地についてはある程度不便な場所や郊外などを選ぶケースが多くなります。

このように建物を豪華にしたい!と、周りは古くから住む高齢者ばかりで空き家が増えている、スーパーなども撤退し始めている、駅からバスで何十分というような、郊外のベッドタウンを選ぶ方もいます。

そこで注目したいのは、人口が急激に減っていく、住民が高齢化していく、空き家が多くなっていくような場所を選んでしまっていないかということです。

特に地方や郊外のベッドタウンなどは人が大幅に減って学校が閉鎖されるかもしれない、バスの本数が減るかもしれない、下手をすればバスがなくなる可能性も…というリスクが潜んでいるのです。

自分が住む街が30年後スラム化しているなんてことがないよう、国が公表している人口動態の統計データなどをチェックしてから土地を選ぶようにしましょう。

2019年、2020年の当社が提供する新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスにおける構造検査では、両年とも検査を行った100件弱の新築住宅のうち、なんと82%以上の住宅で耐震性に関わる重要な構造部分の施工不良が見つかっています。

その③:重要な構造部分の施工不良がなんと82%以上も!?

工程別不具合発生率

2019年・2020年、当社が提供する新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスにおける構造検査では、両年とも検査を行った100件弱の新築住宅のうち、なんと82%以上の住宅で耐震性に関わる重要な構造部分の施工不良が見つかっています。

「構造」とは住宅における骨組みの部分のことで、コンクリートで作られる「基礎」が建物全体を支え、柱や梁、耐力壁といった「構造」が地震に耐える役割を果たしていますが、人の手で作られるものなので、一定の割合で何らかのミスは発生し得ます。金物や釘を1本打ち忘れた、こうしたミスがミスのまま放置され、「施工不良」のまま内装材などで覆われて見えなくなって潜んでしまうわけです。

注文住宅の場合、すでに建築済みである建売住宅と違い、本来施工ミスを防ぐ最も良いタイミングである工事中にこのような箇所をプロの目によるチェックを入れることで施工不良を防ぐことができるため、ぜひサービス検討をおすすめいたします。

※【業界実績No.1】さくら事務所の「新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービス」はこちら

※発生率についての詳しく解説コラムはこちら

その④:30年後もライフラインが断たれない場所を選ぶ

意外と着目されていないのが、ライフラインです。

選んだ場所が水道管の維持、管理、消防署、病院、掃除、ゴミの収集などそういった生活に欠かせない行政サービスを30年後も利用できるエリアかどうかまでを見極めなくてはいけません。

もちろんそれは判断しにくい部分ですが、行政サービスが行き届かなくなるということは住民の減少から自治体経営が成り立たなくなってきている現れであると考えられます。

よって先ほどの項目で述べた、人口動態の統計を確認することで先の状況をある程度予想をすることは可能です。今後そういった過疎化していく地域はどんどん価値が落ちていくので、その場所にこだわりがあって永住志向な場合はいいのですが、そうでない場合は要注意です。土地選びからの注文住宅建築は夢が膨らみますが、現在だけでなく30年後の未来の住みやすさまで考えて土地選びをするようにしましょう。

【注意点】建売住宅編

その①:最良のスペックを求めるのは難しい

建売住宅の場合、販売する不動産会社が建築コストを抑えようとすることが多く、ものすごく良いスペック(建築仕様、グレード)を望むというのは難しいのが現実です。

例えば、耐震、断熱や気密に関わる部分はすでに作られているものなので自分たちで細かく選ぶことができません。さらに新築の建売住宅は不動産会社や建築会社が土地代、建物代を含めた総額の価格で販売しているので、建物の価格が抑えられれば抑えられるほど利益が出るという構造になっています。

したがって一般の方(消費者)が気にしそうな見た目や水まわりなど以外の、目に見えない耐震や断熱などのスペックを落としていることが一般的です。

では、このようなことを理解した上でどのように家選びをしていけばいいのか?次の項目で解説していきます。

その②:一番に気にするべきは「耐震性能」

前の項目で解説したような理由から、ある程度のスペックは諦めざるを得ないとしても、最低限気にして頂きたい部分は「耐震性能」です。なぜなら後で変えるのが容易ではないからです。

耐震性能を後で上げようとすると、家の中に工務店の方が来て、壁を剥がしてそこに筋交いや場合によってはダンパーなどを入れていき、建物の中を解体しなくてはいけません。場合によっては床や天井も剥がさないといけないのでかなり大掛かりな工事になります。

それを住みながらやるというのは精神的にも負担がかかり、金銭的にもその分余計なコストがかかってしまうので、耐震性能を後で簡単に上げられるとはあまり考えないほうがいいでしょう。

その③:目に見えない部分に施工不良が!

工程別不具合発生率

注文住宅と違い、すでに建築済みである建売住宅では工事中のチェックはできませんが、新築建売の場合、床下の水たまりや、換気扇ダクトの取り付け忘れ、天井裏(小屋裏)の束の取付忘れなど、仕上がりは綺麗でも、見えない部分にあった欠陥や不具合で悩まされているケースは多くあります。 

※新築一戸建てで見つかった不具合事例はこちらから 

中古戸建の場合は、特に注意しておきたいのが雨漏りです。雨漏りの他にも、重要な構造である柱や梁、耐力壁などに配管を通す穴があけられていたり、天井や壁の断熱材に欠損があったりすることなども。

建売住宅によらず、多くの住宅が手作りのため、「うっかり」「偶然」に施工ミスが生じることはありえるものの、建売住宅の場合、コストカットのために工事現場の監督の人員を削減していたり、工事中の現場検査を省き、施工ミスに気づいたり直したりすることなく次の工事に進んでいるなどの事案は多数見られます。

このような施工ミスが心配、安心して引き渡しを受けたいという方は、ホームインスペクション(住宅診断)の検討をするのが良いでしょう。

ホームインスペクションでは、施工間違いがないかをプロのホームインスペクター(住宅診断士)が調べ、契約に一切関わらない中立な立場から、客観的に施工状況をチェックします。建売住宅を購入で後悔しないためには、建物に関する事前の確認がきわめて重要です。

工事途中もしっかりチェックしておくことがベストですが、完成してからしか売り出されない建売住宅が多いことから、せめて、床下や天井裏などの完成後でも見られる場所の調査を行うと良いでしょう。

※【業界実績No.1】さくら事務所のホームインスペクション(内覧会立ち合い・同行)はこちら

その④:「断熱性能」は後から上げられる

一方で断熱性能に関しては、最低限の「断熱等級4」というのをクリアしておけば後で一定程度スペックを上げるということは可能です。

超高機能な断熱性能までスペックを上げるのは予算や工事の手間の面でかなり難しくなってきますが、「この部屋寒い…」といったような不満は、後からインナーサッシ(二重窓)を入れる、天井の断熱材を足す、床下の断熱材をより高レベルなものに変える、または換気扇を交換して熱の損失を減らすといったようなことを、後からでも比較的容易に行うことができます。

壁を剥がすこともなく、長期間の工事になるわけでもないので、一回住んでみて「やっぱり暮らしづらい…」とか「光熱費がものすごくかかる…」ということであれば、断熱性能を後で上げるということも可能です。

したがって建売住宅を買う方はまずは耐震性に注目する、その後住みづらかったら耐熱性能を上げていくというような選択肢もあるのです。

※断熱等性能等級については以下の記事で詳しくご紹介しているので、気になる方は是非ご覧ください。 断熱等性能等級とは?「断熱性」を比較する基準と新設の等級6・7も解説

その⑤:狭小住宅には必ずメンテナンスを

建売住宅を買う方に注意してほしいこと、それはメンテナンスを怠らないということです。

最近、20坪くらいの土地に3階建てを建てるなどの狭小住宅が流行していますが、そういった建物は悪いわけではありません。ですが、実は傷みやすい建て方をしていることが多いため、メンテナンスにとても気を遣う必要があります。

狭小住宅と呼ばれるものの多くは3階建てで、屋根が壁からせり出す幅(軒や庇の出幅)がとても小さく、雨が壁や窓にとても頻繁に降りかかります。雨が壁や窓にかかる範囲が大きくなるほど、ちょっとしたひび割れや隙間からの雨漏りリスクが飛躍的に上がるのです。

したがって狭小でかつ3階建てのような住宅を選ぶ方は、点検とメンテナンスには通常の住宅よりも細心の注意を払っておく必要があります。

アフターサービスの対象になるかどうかでトラブル発生も

アフターサービスについて

建売住宅や注文住宅では、機能不良については部位や事象に応じて2年のアフターサービス保証がついており、誤った使い方をせずに発生した不具合は無償補修が受けられます。
※なお、雨漏りと構造上主要な部材に関する不具合は10年の保証となります。

このアフターサービス期間中にしっかり点検をしておくことで、万が一不具合が出てきた際にも保証を受けられるため安心です。

ただし、不具合ならアフターサービスでなんでも直してもらえるわけではありません。地震や台風など天災地変の影響による変化は無償補修の対象外ですし、住まい手の使い方の不備による不具合も、同様にアフターサービスの対象外です。

アフターサービス期間内だからと売主不動産会社や施工会社に無償修繕を依頼したのに「これを直すのは有償です」と無償対応を断られてしまうケースは実は珍しくありません。

「これは手抜き工事なのでは」「まさか欠陥住宅だったらどうしよう…」と不安に思うのに対し、売主などにアフターサービス対象外だと突っぱねられ、その判断に納得がいかないまま数万円~数十万円以上の費用を出費することになった新築住宅購入者はたくさんいます。

その不具合が一般的によく起こるものなのか、または、施工が正しくなかったから起きているものなのか。建築の専門知識がないことで不動産会社や施工会社との話し合いがうまく進まないというトラブルに見舞われている方は少なくありません。

一戸建てのメンテナンス頻度と費用

メンテナンスは、建売住宅や注文住宅の種類に関係なく必要です。

代表的な一戸建て住宅のメンテナンスとして、主に10年から15年に一度の外壁の再塗装をおすすめします。100万円~150万円くらいの予算を見込んでおくといいでしょう。

また、バルコニーの防水施工も必要です。こちらも10年から15年くらいの間に大体目安として10万円から15万円くらいは費用がかかることを念頭に置いておきましょう。

それらは1回だけでなく、10年から15年ごとのサイクルで実施していくことになりますから、大体30年で800万円くらいはかかると考えておきます。

定期的にきちんとメンテナンスを実施していないと築後数十年経っておらずとも雨漏りしやすくなってしまい、雨漏りすれば1000万円ほどの補修費が掛かることもあります。そうなる前に予防的に定期メンテナンスをしっかりとやっていくことがとても大切なのです。

安心して住み続けられる住まいを

建売住宅も注文住宅もぞれぞれのメリット、デメリットがありますし、災害リスクなども選んだ地域やその場所によりそれぞれ違います。

自分にとってどんな住まいが合っているのか、客観的な意見を聞いてみたい場合は、中立な不動産コンサルタントやホームインスペクターなどの住宅の専門家に相談が可能です。

住まいは利便性や間取り、インテリアなどだけでなく、災害リスクや施工不良、メンテナンスなど、その後に起きうるリスクなどにも注意を払う必要があります。正しい情報を得ながら、安心して住み続けられる住まいを見つけてください。

さくら事務所は業界No.1!経験年数20年以上のプロ集団が対応

さくら事務所は、国内におけるホームインスペクション普及のパイオニア的存在であり、これまでご依頼実績は業界No.1(累計65,000件超)、満足度98%(Google口コミ☆4.8)と非常に有り難い評価をいただいております。

弊社理念の核でもある「第三者性・中立性」を保持しながら、建築・不動産・防災・マンション管理など、あらゆる難関資格を持つメンバーが連携、サービスご利用後にもあらゆる住まいのご相談に対応するための「永年アフターフォローサービス」もご用意これから暮らす住まいの安心に加え、心強い建築士と末永いお付き合いをいただける内容となっております。

ご依頼から概ね3日~1週間以内での調査実施が可能です。お急ぎの方は、まずはお問合せください!


ホームインスペクター 柴尾 竜也
監修者

さくら事務所 プロホームインスペクター

柴尾 竜也

住宅の販売、仲介、現場施工管理、工事監理と一戸建て住宅に関連する業務に従事。その後、さくら事務所に参画。神奈川県を拠点として東日本に対応。