建物調査には「建物状況調査」と「ホームインスペクション(住宅診断)」の2種類があります。ともに専門知識を持った建築士が調査してくれるものの、調査範囲や項目などに違いが見られます。そのため、どのような違いがあるのかを事前に把握しておくことが大切です。調査対象外の範囲や部位に不具合が発生していて、気づかないうちに劣化が進行する可能性も考えられるでしょう。
そこで本記事では、建物調査の概要について解説します。建物調査を受けるメリットやデメリット、依頼する際の注意点なども併せて解説しているので、最後まで参考にしてみてください。
建物調査は主に2種類存在する
建物調査には、建物状況調査とホームインスペクションの2種類があります。建物調査を依頼するときは、それぞれの調査内容の違いを把握しておかなければなりません。
そこで、まずは建物状況調査とホームインスペクションの概要と違いについて紹介します。
建物状況調査
建物状況調査とは、既存(中古)住宅の現状を把握するために行う調査のことです。国が定めた講習を受けた建築士が、第三者の視点で既存住宅に劣化や不具合が生じていないか検査を行います。
建物状況調査の対象は、既存住宅状況調査方法基準に基づいて以下の3つに定められています。
- 構造耐力上主要な部分(基礎や外壁など)
- 雨水の浸入を防止する部分(屋根や軒裏など)
- 耐震性に関する書類の確認
給排水管路(配管・設備、雨樋など)も同じタイミングで調査を実施できますが、オプション検査となる点に注意が必要です。また、建物状況調査は歩行可能な範囲で目視や計測を行う調査であるため、見えない部分の検査は含まれません。
ホームインスペクション
ホームインスペクションとは、国土交通省の「既存住宅インスペクション・ガイドライン」を元に各調査会社が新築やリフォームにも実施している検査のことです。さくら事務所が行うホームインスペクションは、建物状況調査の内容に加え、独自の調査項目やノウハウを盛り込んで実施しています。
建物状況調査の調査項目が約40であるのに対して、さくら事務所のホームインスペクションの調査項目は100以上です。そのため、建物状況調査では判定が「問題なし」の住宅であっても、さくら事務所のホームインスペクションでは不具合が見つかる場合もあります。
建物調査を行うメリット
建物調査を行うメリットは、買主だけではなく売主にも存在します。それぞれの視点で、どのようなメリットがあるのか確認してみましょう。
買主の場合
建物調査を行うことで買主が得られるメリットは、主に以下のとおりです。
- 契約後のリスクを減らせる
- メンテナンスの予定や予算など今後の見通しを立てられる
- 中立な立場で専門的なアドバイスをもらえる
建物調査を受けると住宅に発生している不具合状況を事前に把握できるため、契約後に莫大な修繕費がかかるなどのリスクを減らせます。大きな不具合が発生していない住宅に関しても「どのようなメンテナンスが必要なのか」「どれぐらいの予算を確保する必要があるのか」といった将来の見通しも立てやすくなるでしょう。
また、建物調査は専門知識を持った建築士が行うため、中立的な立場で住宅の修繕などに関するアドバイスも受けられます。
売主の場合
建物調査を行うことで売主が得られるメリットは、主に以下のとおりです。
- 検査済みの住宅として買主にアピールできる
- 引渡し後のトラブルを回避しやすい
建物調査を行うと検査済みの住宅であることを公言できるため、競合住宅との差別化につながります。調査を受けていない住宅よりも安心して売買ができるでしょう。調査結果で不具合が見つかったとしても、買主は納得したうえで購入を決めていることから、のちのちにトラブルへ発展しにくいのもメリットです。
建物調査を行うデメリット
建物調査を行う際は、どのようなデメリットがあるのかも確認しておかなければいけません。ここでは、買主と売主に生じるデメリットをチェックしましょう。
買主の場合
建物調査を行うことで買主に起こりうるデメリットは、以下のとおりです。
- コストが発生する
- 建物状況調査では細かいところまでチェックできない
建物調査を買主負担で行う場合、コストが発生する点がデメリットです。調査を行う前に誰が費用を負担するかを事前に確認しておくといいでしょう。また、建物状況調査の場合は歩行可能な部分しか調査できないため、すべての不具合を見つけられる訳ではありません。後から劣化や不具合が見つかる可能性も視野に入れておきましょう。
目には見えない部分を含めて、本当に安心できる住宅であるかどうかを確かめたい方は、ぜひさくら事務所のホームインスペクションをご検討ください。
売主の場合
建物調査を行うことで売主に起こりうるデメリットは、以下のとおりです。
- コストを負担する場合は収益が減少する
- 不具合が見つかると更なる費用が必要になるケースもある
建物調査の費用を売主が負担する場合は、物件売却によって生まれる収益が減少します。また、住宅に劣化や不具合が見つかった場合、値下げ交渉をされたり、修繕費用を負担したりするため、金銭的な負担が生じる可能性もあるでしょう。
建物調査を依頼する際の注意点
建物調査を依頼する際の注意点は、以下の3つです。
- 不動産会社からのあっせんの場合は調査会社をしっかり確認する
- 調査項目を事前に確認する
- 新築の建物調査はホームインスペクションを利用する
それぞれの注意点を詳しく解説します。
不動産会社からのあっせんの場合は調査会社をしっかり確認する
建物調査を不動産会社からあっせんしてもらう場合は、どのような調査会社なのかをしっかり確認しましょう。調査する人の経験が浅いと建物の劣化や不具合に気付けない場合があります。そのため、あっせんを受ける際は、以下の項目をチェックしておくと安心です。
- どのような調査会社なのか
- 不動産会社との関係性に問題はないか
- 調査会社や調査する人の実績は豊富であるか
さらに、ホームインスペクションに対応しているかどうかも確認しておくといいでしょう。
なお、建物調査は売主・買主・仲介業者などの特定の誰かに偏ることがないよう公正に実施されます。第三者の視点を大切にしながら、客観性・中立性を担保する必要があるからです。そのため、公正な調査を実施している会社に依頼しましょう。
調査項目を事前に確認する
建物調査を行う際は、調査項目を事前に確認しておきましょう。先ほども解説したとおり、建物状況調査で給排水管路を調査してもらうには、オプションを利用しなければいけません。
また、ホームインスペクションは調査会社によって調査項目が異なるため、事前にどこをチェックしてもらえるか確認しておく必要があります。そのため、建物調査を行う前に調査項目を把握しておき、チェックしてほしい箇所を見てもらえるかを確認しましょう。
新築の建物調査はホームインスペクションを利用する
新築住宅の建物調査は、ホームインスペクションを利用しましょう。建物状況調査は既存住宅を対象とした調査であるため、新築物件は対象外になります。一方、ホームインスペクションは工事過程に合わせて調査を行ったり、引渡し前に仕上がりをチェックしたりできます。安心した住まいを手に入れるためにも、新築物件を購入する際はホームインスペクションを活用しましょう。
建物調査は将来を見据えた調査を行う会社を選ぼう
建物調査を行うのであれば、将来を見据えた調査を実施している会社を選びましょう。建物状況調査は「今」劣化や不具合と定義されるものが、そこに「ある」のか「ない」のかをチェックするのが目的です。
例えば、建物の劣化事象に該当しなければ、無数のヒビが入っていたとしても問題なしと判断されてしまいます。気になる事象があっても「今」問題が起きていなければ見逃されてしまうのです。
しかし、ホームインスペクションであれば、向こう5~10年を見据えたアドバイスを行うため「経過観察」として報告書を作成します。現状の問題点だけではなく、将来起こりうる事象もチェックしてくれるため、ホームインスペクションを活用したほうが安心した住まいを手に入れられます。
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