安心して新生活を迎えるために 通勤・通学中に被災した時のケース別対処法

  • Update: 2023-04-07
安心して新生活を迎えるために 通勤・通学中に被災した時のケース別対処法

安心して新生活を迎えるために 通勤・通学中に被災した時のケース別対処法

 新年度を迎える4月入学入社、また転勤転校引っ越しなどで新たな環境での毎日をスタートさせた方も多いことでしょう。これまでと異なる会社や学校に通勤・通学される方もいらっしゃると思います。これまで慣れ親しんだルートや行き先から、慣れない行き先にガラリと交通手段が変わる方や、お子様が一人で通学されるようになる、初めて電車やバスで通学するなど、環境の変化が大きい方も多い時期になるでしょう。そんな新生活を迎える4月、新たな環境へ通うときに気を付けたい災害リスクと、通勤・通学中に被災した時のケース別対処法について、徒歩・自転車、自動車、公共交通機関ごとにまとめました

徒歩・自転車の通勤・通学で気を付けること

 徒歩・自転車の通勤・通学で気を付けたいことは、主に4つあります。①地震の時に倒壊・損壊する住宅などへの注意②豪雨の際に浸水する場所への注意③豪雨・地震の際に崩れる可能性が有るがけ・斜面などへの注意④津波による浸水への注意です。公共交通機関を利用する人も、自宅から駅やバス停、また勤務先、学校まで歩く際には徒歩の区間もあるでしょう。徒歩では身を守るものがなく、自らルートを選択して歩く、また自転車を漕ぐ移動となります。巨大な地震が発生した際には、自分の身を守るという行動が必要になるでしょう。徒歩・自転車での移動時にどういったことに気を付ければよいか、順番を追って解説します。

①地震の時に倒壊・損壊する住宅など

 地震があると、古い住宅などは道路に倒れ込んでくる場合があるほか、ブロック塀の倒壊、擁壁の損壊なども発生します。通勤、通学路に古い家屋やブロック塀などがある場合には、なるべくそれらの前を通らないことが望ましいです。どうしても通る必要がある際は、道路の反対側を通ることや、緊急地震速報の受信や地震の揺れを感じたら、近くから離れることなど気を付けることが良いでしょう。学校であれば通学路の安全点検や、場合によりルート変更なども考えても良いでしょう。初めて学校に通う際などは、事前に家族で歩いてチェックしてみることをお勧めします。

地震で倒壊したブロック塀。通勤・通学中の被害も発生する
(2016年熊本地震の例 横山芳春撮影)

 ブロック塀については、2018年6月に起きた大阪府北部地震で、通学中の小学生が倒壊したブロック塀の下敷きになって亡くなるという痛ましい事例もありました。大阪府北部地震の教訓~ブロック塀のチェックポイント の記事で詳しく記載していますが、ブロック塀のチェック項目は以下の通りです。とくに、高すぎるブロック塀、1.2m以上(通常7段以上)のブロック塀で「控え壁」がないブロック塀などは注意が必要なブロック塀であると考えらえます。通学路、通勤経路にあるブロック塀チェックの際に活用ください。

ブロック塀のチェック項目

□ 1.塀は高すぎないか 
 塀の高さは地盤から2.2m以下か。

□ 2.塀の厚さは十分か
  塀の厚さは10cm以上か。
 (塀の高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)

□ 3.控え壁はあるか。 (塀の高さが1.2m超の場合)
  塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した

□ 4.基礎があるか
  コンクリートの基礎があるか。

□ 5.塀は健全か
  塀に傾き、ひび割れはないか。

□ 6.塀に鉄筋は入っているか<専門家に相談しましょう>

②豪雨の際に浸水する場所

 近年、集中的な豪雨が増えていることなどから、道路が冠水・浸水する被害が発生することがあります。台風など事前に洪水の危険が予測できる場合ばかりでなく、ゲリラ豪雨などと呼ばれる突発的な豪雨があった場合、急に川の水位の上昇や冠水・浸水が発生することがあります。いつもは普通に通れた道が、浸水して通れなくなるケースも発生します。下の動画も、川から離れた高台にある通学でも使われる道で、急な豪雨があった直後に浸水があったケースです。

 大きな川の洪水は洪水ハザードマップが参考になりますが、洪水と異なりゲリラ豪雨などによる都市部の水害は「内水氾濫」と呼ばれるものです、川がない場所や高台の土地でも、周りより低い場所では水が集まって排水できず、内水氾濫が起こることがあります。内水氾濫のハザードマップは十分に整備されていない地域も多くありますが、まずは自治体の内水ハザードマップを確認しましょう。次に、歩いてみて周りより低い場所や、標高が分かる地図(地理院地図など)で凹地のようになっている場所では、内水氾濫の可能性がある場合があることに警戒が必要です。

高台の台地で起きた内水氾濫の事例(横山芳春撮影)

 浸水・冠水しているでは、マンホールのふたがズレて開いているケースや、側溝と道路の区別がつかずに落下したりするおそれもあります。どうしても冠水・浸水している場所を通る際は、傘や足先などで深さや安全性を確認しながらゆっくり歩くことが良いでしょう。自転車でも走行していると見えない段差にぶつかる、落ちることがあります。自転車では押しながら歩くかゆっくり走行することをお勧めします。筆者も高潮浸水地域を自転車走行中、歩道から低くなっている車道が見えずに落ちて、バランスを崩したことがあります。

 線路や大きな道路の下をくぐるアンダーパスでは、周りより低いために水が溜まって冠水していることがあります。自動車道のアンダーパスの歩道は車道より少し高いところにあることも多いですが、排水が悪い場合や地下道や歩行者用のアンダーパスにおける死亡事例もあります。冠水する可能性がある場所や、アンダーパスを通らずに迂回して通勤・通学できるルートもあらかじめ確認しておくと良いでしょう。

線路の下をくぐるアンダーパスは冠水に注意(横山芳春撮影)

③豪雨・地震の際に崩れる可能性が有るがけ、斜面など

 高低差の大きい地域では、豪雨・地震の際に崖や斜面が崩れるおそれがあります。稀な例として、2020年2月には地震や豪雨がなくとも崖が崩れて通学中の高校生が亡くなるという事故(神奈川・逗子の死亡事故 )もありました。通勤・通学路で崖や斜面沿いを通る場合、崩れてくる可能性について警戒が必要です。まずは、自治体の土砂災害ハザードマップで土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域に該当するがけや斜面がないかチェックしましょう。区域に指定されていないがけ、斜面が崩れることもあるので、歩いて有無や状況を確認することが良いでしょう。

2020年2月に発生した逗子市の土砂災害現場(横山芳春撮影)

 土砂災害のうち、最も身近で起こりやすいものは、「がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)」です。がけ崩れが起きる前には、前兆現象がみられることがあります。がけ崩れの前兆現象の例としては、がけや斜面に1)ひび・亀裂が入っている、2)小石がパラパラと落ちてきた、3)湧き出していていた水が止まった、4)濁った水が湧き出してきた、などがあります。

 これらの現象を見かけた場合、近隣は通行しないか、難しい場合は道路のがけ側ではなく、車道を挟んだ反対側を通行するなどの対応策が考えらえます。逗子市の事例でも斜面に亀裂があった という報道もあり、道路を通行禁止やがけ・斜面側の歩道を通行できないようにしていれば、事故を防げた可能性があります。もし可能であれば、前兆現象を見つけた場合には個人的な避難だけでなく自治体・管理者等への連絡や、地域や学校と連携して近隣を通行しないなどの措置がとれるようであればベストでしょう。

がけ崩れの前兆現象の例

④津波による浸水

 海底を震源とする大きな地震があった時には、津波が発生することがあります。揺れを感じなくても、震源が遠い場所で起こる津波や、稀な事例としては火山噴火などによって発生する津波もあります。気象庁津波が想定される場合には地震発生後3分以内を目標に、その最大の波の高さにより大津波警報、津波警報、津波注意報を発表します。

 沿岸部や川沿いなどで大きな揺れを感じたら、また大津波警報等を見聞きしたら、すぐに高台などの津波避難場所や津波避難ビルなどへ避難することが必要です。通学・通勤先や、その経路が津波で浸水する想定がある場所かどうか、また近くにある津波避難場所や津波避難ビルの場所と経路を確認しましょう。お住まいや勤務先、学校、通勤・通学路に津波で浸水が想定される区域がある場合、避難ルートや避難先について家族で共有しておきましょう。

 津波避難ビルの例(横山芳春撮影)

徒歩・自転車で移動中に揺れを感じたら?

 徒歩で移動中に大きな揺れを感じたら、まずは身を守ることが重要です。建物の近くは、窓ガラスや外壁のタイル、屋根瓦、看板などあらゆるものが落下してくる可能性が有ります。耐震性の低い建物や、ブロック塀や擁壁なども倒れてくる場合があります。建物や塀などからなるべく離れ、車が突っ込むような場所を避けて姿勢を低くして、持っているかばんや上着などで頭を守ることが良いでしょう。がけや斜面からは離れましょう。揺れに対しては、広場、公園のような場所や、新しいビル内などは比較的安全なことが多いでしょう。

 自転車乗車中に大きな揺れを感じたら、そのまま運転すると揺れや道路の変状、落下物などで危険なことも想定されます。慌てずに減速して安全な場所に移動し、姿勢を低くして頭を守ることが良いでしょう。車道は車が突っ込んでくるころもあるので、歩道などに移動することが望ましいでしょう。徒歩の際と同様、窓ガラスや看板、瓦などが落下しそうな場所や、ブロック塀が倒れてきそうな場所は避けましょう。地震後には、路上にタイル、ガラスなどの落下物のほか、路面の段差、道路の陥没などが発生していることがあります。ゆっくりと走行するか、手で押して移動することが望ましいでしょう。

 通勤路や通学経路も可能な限り危険な場所を避けることや、「今地震が起きたらどう行動するか」「どこに避難するか」をシミュレーションしてみることも有効です。ルート上や近くにある公園や広場などの位置も確認しておきましょう。

自動車での通勤・通学時の注意

 自動車での通勤・通学は、徒歩・自転車移動に比べて移動する距離が長いことが多いでしょう。複数の自治体をまたがって運転することも多く、場合によっては街を抜け、川沿いや山を越えるなどのケースもあることでしょう。最近では、国土地理院の「重ねるハザードマップは、洪水、高潮、土砂災害、津波などのマップを複数重ねて閲覧できるので便利です。内水氾濫や一部の津波ハザードマップなどが掲載されていない点には注意が必要ですが、リスクが大きい場所の目安に役立ちます。

 ここでは、浸水や地震の時にどうすればよいか、また事前に行っておきたい対策について解説します。

車の浸水による故障・脱出不能に注意

 自動車の災害リスクとして、「浸水による故障や脱出不能になるケース」があります。国土交通省によると、水深が自動車の床面を超えると電気装置が故障し自動のドア・窓が開けられなくなるおそれ、マフラーや吸気口から水が浸水するとエンジンが停止し再始動しなくなるおそれ、水深がドアの下端にかかると水圧により開けることが困難になり、ドア高さの半分を超えると内側からほぼ開けられなくなるおそれが指摘されています。車種にもよりますが、概ね30㎝以上の浸水が想定される場所は走行しないことが望ましいでしょう。

自動車が冠水した道路を走行する場合に想定される不具合(国土交通省

 水圧差がなくなるまで浸水するとドアを開けることができますが、映画の脱出シーンのような事態で冷静に動くことは難しいでしょう。脱出が難しくなった際には、シートベルトが外れなくなっている場合もあるので、シートベルトカッター付きの緊急脱出ハンマーを、運転席から手の届くところに置いておくことが望まれます。浸水の危険がない地域に住んでいるという方でも、家から離れた場所での被災を考え、オプションで装着されていない場合には備えておくことをお勧めします。

 道路が冠水している場合には、川や水路、側溝、水田などとの境目が見えづらくなっており、脱輪や落水する危険もあります。普段通れたはずの道路でエンジン故障に至るような冠水がある場合や、とくに線路の下をくぐるアンダーパスでは死亡事故にもつながることがあります。アンダーパスには浸水深の目安のラインや、冠水時の警告灯・電光掲示板などがあることがありますが、停電時や夜間など水面が見えづらいこともあります。慎重な運転と、無理に突っ込まないことが重要です。アンダーパスを通らずに通行できるルートも確認しておくと良いでしょう。浸水が想定される地域では、高台の方向や建物の2階以上などにある駐車場の場所などを控えておくと、いざというときに避難先にできる場合もあります。

アンダーパスの冠水被害のイメージ

地震があったときにはどうする?

 運転中に巨大な地震があった際はどうすればよいでしょうか。警察庁によると、できるだけ安全な方法により道路の左側に停止させる、停止後は、カーラジオ等により地震情報や交通情報を聞き、その情報や周囲の状況に応じて行動する、運転するときは道路の損壊、障害物に注意する、車を置いて避難するときはできるだけ道路外か左側に寄せて駐車し、エンジンを止め、エンジンキーは付けたままとするか運転席などの車内の分かりやすい場所に置いてドアはロックしない、ということを求めています。

 とくに津波などでは、「車を捨てて高台やビルの上階に避難する」というケースも想定されます。車を捨てて逃げるような異常事態が発生するとは、人間の心理的にはなかなか考えられないこともあります(正常性バイアス)。しかし、現実に東日本大震災などではそのような現実も起きています。今後、南海トラフ巨大地震などでは、車を捨てて避難する事態が発生する可能性も頭の片隅に入れておくことが良いでしょう。

 また、原則として車での避難は、やむ得ない場合を除いてできないことが一般です。ただし、近年では津波や火山災害から避難する際、地域によっては車による避難が可能な自治体もあるので、自治体の情報も確認しておきましょう。

 

立ち往生やガソリンが補給できない場合の対策も

 自動車による通勤・通学では、川の増水や土砂崩れで通行できない場合や取り残される場合のほか、豪雪により車内で立ち往生してしまうケースも考えられます。身一つで移動できる徒歩や公共交通機関と異なる点でしょう。筆者の経験では、ある大きな事故現場の近くで別の事故があり、数時間車内に閉じ込められたこともあります。エンジンを止めた場合でも寒さ対策ができるようなブランケットや、水、食料、そして非常用トイレの準備を日常から行っておくことをお勧めします。タオルやトイレットペーパー、ビニール袋など、日常に様々な使い方ができる物品もいざという時に役立つことがあります。

 自動車では走行だけでなく、エアコンの作動やカーラジオやカーナビのテレビでの情報収集等を行うためには燃料(充電)が必須です。2011年の東日本大震災の後は、関東でも1か月以上にわたってガソリンなどの燃料が不足していたことを記憶している方もおいででしょう。その後の各地の地震でも、被災地ではガソリンスタンドに給油待ちの長蛇の列ができていました。大災害後は、燃料の補給が難しいことがあります。車は、場合によっては第2の家のような形で避難所の駐車場で生活する空間となることもあり、「燃料が半分以下になったら補給」するようにすると、急な災害発生時にも燃料が少なくて慌てることがなくなるでしょう。

大きな地震後にはガソリンスタンドに長蛇の列・給油できない場合も
(2016年熊本地震の例 横山芳春撮影)

公共交通機関を利用する場合には?

 通勤・通学に電車、バスなど公共交通機関を利用する方も多いでしょう。移動を公共交通機関の運転手にゆだねていることや、決まったルートしか走れない、多くの乗客と一緒に移動するなど徒歩・自転車や自動車と異なる特性があります。都市部では複数の公共交通機関がありますが、台風や地震時には運休などが発生することも多くあります。長い通勤・通学時間をかけて移動する方もあり、公共交通機関を使う際の注意点は以下の通りです。

事故・故障などの対応にも備えた複数ルートを確認

 公共交通機関は、台風発生時には強風や増水、架線支障のほか、崖崩れなどで運休することがあります。大雪や沿線の火災による運休もあるでしょう。大きな地震後には、安全確認が取れるまで運転を再開しないことも想定されます。まず、発生する頻度が高い強風などによる運休への備えとしても、1つの路線で運休があった場合でも、複数のルートで通勤、通学および帰宅できるルートを確認しておくことが望ましいでしょう。強風で止まりやすい路線や区間、また増水によりある区間だけ運転を見合わせることもあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

 また、運休がある際には普段より出社、登校や帰宅に時間がかかることも想定されます。日ごろから、通信手段であり情報収集源ともなるスマホを充電するためのモバイルバッテリーや、万一の停電時には電子マネーやクレジットカードによる買い物もできなくなる可能性が有るので、小銭を持っておくことなどをお勧めします。

 有る路線で運休や大幅な遅延がある際、定期券があれば「振替輸送」が行われることが多いでしょう。しかし、振替先の路線でも混雑が発生していたり、台風や大雪、大地震時には地域の多くの路線が運休となることも想定されるでしょう。行き帰りの途中や乗換駅を含めて、公共交通機関が使えなくなった際、滞在できる友人、知人や親戚宅や漫画喫茶、宿泊施設の位置なども確認しておくと良いでしょう。

台風による鉄道運休の状況(横山芳春撮影)

電車・バス乗車時に地震があったら?

 電車、バス乗車時に大きな地震の揺れを感じたらどうすればよいでしょうか。立っている場合にはつり革や手すりに摑まる、姿勢を低くするなどで転倒や万一の脱線、事故の衝撃に備えることが現実的でしょう。椅子に座っている際にも、可能な限り手すりなどにつかまり、吹き飛ばされにくい姿勢の保持が求められます。網棚からの物の落下対策には、カバンや雑誌、上着などで頭を保護することができるでしょう。

 停車後は係員の指示に従いましょう。特に電車では、勝手に線路に降りて避難を開始してしまうと危険です。別の線路を走っている電車にひかれてしまうことや、特に地下鉄では線路わきのレールのような場所に電気を通している場合には感電のおそれもあります。バスなどでも、運転士が安全な場所に停車するまでは身を守って飛び出さないなどが必要でしょう。

 また、公共交通機関などで都心に通う方は、通勤・通学先から「むやみに帰宅しない」ことも大切です。国の想定では、首都直下地震では帰宅困難者が約 650万人(東京23区で350万人)発生すると想定されています。地震発生時には、建物の倒壊や損壊、火災の発生、交通網の寸断、道路などの破損など、様々な危険な状況が発生します。人の移動により、消防や救急の活動にも影響し、助かる命が助からなくなることもあります。国は内閣府のパンフレットにおいて、「むやみに移動しない」「安全な場所にとどまる」、帰宅については「安全に帰ることができるか確認したら帰宅を開始」ということを薦めています。モバイルバッテリーや小銭等の持参や、会社等に歩きやすい靴や非常用の飲食料なども備えておくとよいでしょう。

大地震時の一斉帰宅抑制を促すポスター(JR上野駅にて横山芳春撮影)

いずれのケースでも気を付けたいこと

 以上、新生活を迎える人も多い春に、通勤・通学の方法に応じた気を付けたい災害リスクについて紹介しました。いずれのケースでも、水害や土砂災害の危険がある場所を通行するか、また地震が起きた際にはどう行動するか、津波から迅速に避難をすることが重要になってきます。

 家族と連絡がつかない場合の避難先や、避難ルートについて、場合によっては会社や学校から帰宅できない場合の対応について、話し合うことも重要だと考えられます。家の災害対策を万全にして、いざというときの行動、また連絡手段などについて共有できていれば、家族が心配で無理に危ない場所を通って被災するということもなくなくなるでしょう。

 とくにお子様の通学については、入学前に実際にルートを歩いて危ない場所や行動について話し合うことも適切です。大人の通勤、通学であれば、ご自身でスマホなどで情報を収集し、最適な避難を判断することも可能です。しかし、義務教育の小中学生、とくに小学生などではスマホ等の端末も持たず、自身で判断して行動することが難しいこともあるでしょう。平時のうちに、実際に確認することが重要です。

 例えばご自宅と学校との間に内水氾濫で浸水が想定される場所や、がけ崩れの危険がある場所がある場合にはどうすればよいか。通学時にどの場所までは自宅に帰り(ご自宅に家族がおいでになる場合)、どの場所から先に行っていれば学校に向かうなどといった、具体的な取り決めをしておくとよいでしょう。

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