見た目ではわからない!中古マンション購入の注意点をプロが解説

  • Update: 2021-05-23
見た目ではわからない!中古マンション購入の注意点をプロが解説

近年、新築マンションの価格が高騰している影響を受け、リノベーション済みの中古マンションが人気を集めています。 ところが、中古マンション購入にまつわるトラブルが後を絶ちません。

具体的にどのようなトラブルが起きているのか?なぜ起きてしまうのか?そして、それらを防ぐにはいったいどうすればいいのか……。

本記事では、住宅現場を良く知るプロのホームインスペクター(住宅診断士)がよくあるトラブル注意事例と、その対策方法について解説いたします。

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よくあるトラブル事例について

まずは、よくあるトラブル事例について画像付きで解説をしていきます。ショッキングな画像も多いかもしれませんが、誇張ではなく、現場ではこのような状況になっていることが少なくありません。

<トラブル①>  内壁がカビだらけ!?

トラブル① 壁内のカビ

これから内壁に壁紙(クロス)を貼っていくという工程です。壁に紫の部分がありますが、これが何かおわかりになりますでしょうか? 実は画像に映っているのはすべてカビです。

壁紙で隠れていたけど内壁はカビだらけだった……というトラブルです。

<トラブル②>  給水管がサビだらけ!?

トラブル② 排水管のサビ

写真右は、給水管の中にサビが詰まってしまった状態です。人間で言うと、血管が詰まってしまっているような感じです。また、写真左は、給水管が劣化しすぎて穴が開いてしまった様子です。いずれも、水漏れの原因になりえます。

 

<トラブル③>  コンクリートの床に穴!?

トラブル③ コンクリート床に穴

これは、上の階のコンクリートのスラブ(床)がぶち抜かれ、そこが板で塞がれていたという事例です。意外と現場では発見される事例になりますが、これでは、下の階で火事が起きた時に、このコンクリートの穴から火が上階に回ってしまいます。また、耐震面を考えても、良いとは言えない状況でしょう。

<トラブル④>  トイレにキノコ!?

トラブル④ トイレにキノコ

トラブル④2_トイレにキノコの原因

本当にびっくりですが、これは便器の脇にキノコが生えていた実際にあった事例です。

なぜこんなことが起きるのか。キノコをはじめとする菌類が繁殖するということはつまり、湿気が高かったということです。下の写真はトイレの物件とは異なる物件のものですが、このように、水漏れによる染みができてしまっています。この水漏れに気づかずにリノベーションをした結果、見た目は綺麗なのにキノコが生えてきてしまった、という信じられないことが起こってしまうのです。

<トラブル⑤>  マンションの外壁に穴が……しかも勝手に!?

写真はリノベーションしたマンションの外壁です(外壁にフードのようなものが見えます)。これは室内の空気を外に出すための排気ダクトで、そこにカバーがついているのです。見た目の違和感はまったくありませんが、実はこれが、リフォーム事業者が勝手に開けてしまった穴だとしたら……?

マンションの軀体に穴を開けるという行為は、マンションの管理規約に違反している可能性があります。また、耐震上の悪影響も考えられます。このように、知らないうちに業者に勝手に穴が開けられてしまうことが少なからずあります。

<トラブル⑥>  知らぬ間に、遮音性能が低い床に!?

トラブル⑥1 遮音性能が低い二重床

トラブル⑥2遮音性能が低い二重床

マンションの床構造に「二重床」というものがあります。コンクリートのスラブ(床)の上に空間を挟んでフローリングの床が設けられる仕様です。間には、フローリングの振動を下に伝わりにくくするための支持材が縦に入ります。図にすると以下のようなイメージです。

2重床のイメージ

上からの振動が伝わりにくくなるように、この支持材は遮音性能が高いものでなくてはいけません。しかしこの事例では、遮音性能の低い素材が支持材に用いられていました。このまま工事が進められてしまった場合、日常生活によるほんのわずかな音でも、下の階の住人にとっては騒音に感じられてしまっていたかもしれません。

トラブル続発の原因はビジネスモデルにあり?

ここまでよくあるトラブル事例について紹介してきました。では、なぜこんなことが中古マンション販売の現場で続発しているのでしょうか?

実は、リノベーション済みマンションのビジネスモデル自体が、こういった不具合を誘発していると言えます。ここからはその問題点について解説いたします。

まずは、リノベーション中古マンションが販売されるまでの流れを見てみましょう。

中古マンション販売までの流れ

販売までの流れ

① 仲介、競売といった形で「買取再販事業者」が物件を仕入れます。

② 仕入れた物件を買取再販事業者が商品化します。
※商品化とは、仕入れた中古のマンションをリノベーションして売れる状態にしてから販売するということです。

買取再販事業者の多くは不動産会社ですが、自社では建築工事ができないことが多いため、リフォーム事業者に依頼してリノベーションをしてもらいます。

③ 買取再販事業者が顧客に販売

<問題点①>  買取再販事業者は、必ずしも建築の細かい部分まで精通しているわけではない

多くの買取事業者は不動産会社になりますが、すべての買取再販事業者が必ずしも建築の細かい部分まで精通しているわけではありません。

そのため、建築については良く分からないのに、欠陥が発生するリスクをあまり考えずに一定予算で、リノベーション専門会社に作業を簡単に丸投げするケースが非常に多く存在しています。

結果として、プロの目から見ると驚くような欠陥が後ほど見つかるなどの現状となっています。

<問題点②> リフォーム事業は 法律規制が少なく、参入障壁がとても低い

2つ目は、中古マンションのリフォーム事業自体に、法律的な規制がほとんどなく、誰かのチェックを受けたり、というプロセスを経ることなくできなくなっている点です。

そのため、この買取再販事業はとても参入障壁が低く、さまざまな会社が入ってきています。もちろんしっかりした事業者もありますが、中には、リフォーム事業者に対して相場よりかなり低い金額でリフォームを丸投げしてしまっている事例もあるのです。

言い方は良くないですが、利益が最大の目的になっているリフォーム業者がいた場合、なんとかして安く済ませようとします。本来なら給水管などを替えなくてはいけないのに、費用を抑えるためにそういった工事をやめて、目に見えるところ、つまり壁紙、トイレ、洗面台、キッチン、そういうところだけリフォームをして買取再販事業者に納めてしまうことになります。

このように、本来やらなくてはならない工事をやっていないことに気づかないまま、販売してしまう。残念ですが、これが今の業界で起きていることです。

 注意すべきは「水漏れ」!築年月のチェックで防ごう

注意すべきは「水漏れ」!築年月のチェックで防ごう

では、購入者はどうすればいいのでしょう?ホームインスペクションの活用がベストではありますが、ご自身でもできるチェック方法をここではお伝えしたいと思います。

数ある不具合の中でも最も起きてしまってはいけないのが、「水漏れ」です。マンションで水漏れが起きると本当に大変で……。自分の家がビショビショになるだけならいいのですが、下の階の住人にとんでもない迷惑がかかってしまいます。

※『現場における水漏れ事例』についてはこちらの記事でも解説しています

1ページで分かるホームインスペクションとさくら事務所とは

補修費用がなんと『1億円』…

水漏れイメージ

水漏れイメージ

これは実際に起きた話ですが、1フロア6住戸ほどのマンションで、上の階の1つの住戸で水漏れが起き、下の階の住戸が全て水浸しに……その補修費用が1億円を超えてしまったということがありました。

費用がかかるのはもちろん大変なことですが、万が一、下の住戸が水浸し、プール状になってしまって、そこに赤ちゃんが寝ていたとしたら……? そこに身体の不自由なお年寄りが寝ていたとしたら……? 数ある住宅欠陥の中でも、水漏れは絶対に防がなくてはなりません。

年代によって給水管の耐用年数が異なる

では、どうすればいいのか。まずは、「その物件がいつ建てられたものなのか」をチェックしましょう!あくまで形式的なものですが、この方法なら簡単に確認ができます。

例えば、こちらの図をご覧ください。

年代別の設備配管類

給水管にはさまざまな素材が用いられていますが、何年くらいにどんなものが使われていて、それぞれの耐用年数はどれくらいなのかを示した図です。

リノベーション済みマンションにはかなり築年数が経っているものが多いため、1970年から1985年あたりを見てみましょう。例えば鋼管(鉄の管)が使われ始めて主流になってきたのがちょうど同じくらいの年代です。そして、これらの耐用年数は20年から長くとも30年くらい。では2021年の現在において、1985年、つまり築36年のマンションを買おうとした場合、給水管が替えられているのか、それとも替えられていないのか……。これは購入者が積極的に情報を集める必要があります。

給湯管・排水管についても考え方は同様です。

リノベーションによって見た目が綺麗になっていたとしても、安心はできないということですね。総じて言えば、1990年より前に建てられた物件で配管を交換した形跡がない場合、相当に危険です。ただ、1990年前後からは配管の素材に樹脂が使われるようになってきており、これらは耐用年数が長いので、そういったケースではこの限りではありません。

不動産ポータルサイトを見ても分からない!?

ポータルサイトのキャプチャ例

配管を交換しているか、していないか。この情報は、不動産ポータルサイトなどを見ても載っていないことがあります。

例えばこちら。某有名ポータルサイトのキャプチャー画面です。築年月は1989年1月、内観も綺麗で、販売価格3,190万円。リノベーション済みマンションのようです。リフォーム情報の欄を見てみると、キッチン、浴室、トイレといった水回りの設備は交換済み、部屋の壁や床の内装リフォームが済んでいる、といったことがわかります。

水回りの設備が交換されていると見ると、配管も交換されているはずだと思ってしまいがちですが、これは別の話。積極的に問い合わせて確認する必要がありますので、ご注意ください。

 

中古住宅の購入こそ、ホームインスペクションを活用

ホームインスペクションの活用

中古住宅の在庫不足の流れもあり、選ぶ物件はどうしても築年数などに妥協し、気づかないうちに欠陥リスクが大きめの物件を検討していることが多いようです。

中古物件の欠陥リスクは上述した通りですが、特に、床下や屋根裏内部の状態、構造材の施工不良などは、建築知識がなければ「見たのに気付かなかった」ということもありえます。

そんな方におすすめしたいのが、住宅診断のプロであるホームインスペクター(住宅診断士)に調査をしてもらうことです。オートレーザーなどのチェックに必要な機材を持参し、お客様と確認しながら調査を行っていきます。ホームインスペクター(住宅診断士)は建物に精通したプロフェッショナルですので、ホームインスペクションを依頼することにより売主や施工会社の説明の誤りやごまかしもしっかり判別します。