週末、大きな台風が来ましたね。一見被害がないように見える建物でも、度々の強い風や雨で影響を受けている可能性があります。
そこで、ホームインスペクター(住宅診断士)が、自宅はもちろん購入前にもチェックしておきたい「台風・暴風雨のあとの住まい点検ポイント」をご紹介します!
不具合をチェックして次に備える
●屋根かわらのずれをチェック(一戸建て)
瓦 屋根の住宅の場合、瓦のずれをチェック。強風の影響で瓦がずれてしまうことがあり、すぐに雨漏りを引き起こさないとしても、水が入りやすい状態と言えま す。また、次の暴風時に瓦が飛んでいってしまい近隣の家や車、人などに被害を与えないとも限りません。補修を検討しましょう。
●地下ピットへの雨漏りや屋上の枯葉堆積をチェック(マンション)
管理会社に、屋上や地下ピットなど、住民が日常的には見ない共用部分の目視点検を依頼しましょう。
屋上の排水口に枯葉などが大量に堆積していると、今回の台風では大丈夫であっても次以降の暴風雨では屋上の水があふれ出すなどのトラブル発生の懸念もあります。
また、地下ピットに雨水が溜まると、自然に排水されることは考えづらく湿気が多くなり、1階住戸のカビの原因になることがありますので、点検口を開けて水が多量に溜まっていないか、また、異臭がしないかなど確認・記録してもらいましょう。
そして、機械のセンサー類が故障して誤作動を起こすケースがあります。エレベーターやオートドア、機械式駐車場は住民が毎日のように使う機械ですが、誤作動するとひどいときには人命に関わる事故が発生する可能性も。
いつもと動きが違う、変な音がするなど気づくことがあれば、すぐに管理会社に連絡し、点検などを手配してもらいましょう。
●ガラスの外側に傷やヒビ
ガラスの外側に傷やヒビが入っていないかもチェック。近隣からの飛散物がガラスにぶつかって傷ができていた場合、次に何か物がぶつかれば一気にガラスが割れ て飛び散る恐れもあります。(防犯ガラスなどフィルムが貼られたガラスを除く)傷やヒビが見つかったら、飛散防止フィルムを貼ったりガラスを交換しておく とよいでしょう。
購入前にチェック!情報収集のポイント
●立地の冠水リスクをチェック
地域により下水道整備の状況も異なり、場所によっては道路面に異常に水が溜まって川のようになってしまうこともあります。台風のさなかに物件を見に行ける人 はほとんどいませんので、役所などに被害状況を聞きに行く、検討している建物の近所の住民などにヒアリングしてみるなどして、情報を収集します。
情報収集する際は「この近くの家を買おうかと思っているので、台風時などの町の状況を教えてもらえないか」とご相談されてみると良いでしょう。
ハザードマップと合わせて先輩居住者の声を参考にしてみましょう。
建築中やリフォーム途中の現場の状況をチェック
●屋根がかかっておらず柱や床材などが濡れてしまた場合・・・
一般的には問題ありません。梅雨時期や台風・秋雨時期などに雨が降って柱が濡れた状態はよく見かけます。また、基礎にプールのように水が溜まっているケースも見かけますが、きちんとポンプなどで排水されていれば問題ないケースがほとんどです。
木 材にはある程度の水分が含まれていますので、乾けば強度としての問題はないでしょう。ただし、波打っていたり、膨らんだり、著しい変色などが発見されたら 要注意です。構造強度に影響があるケースも考えられるので、構造強度に問題がないか施工会社に確認されると良いでしょう。
断熱材が施工された場合は要注意です。材種によっては交換が必要な場合もありますので、断熱材が濡れていないか合わせて確認をしてみましょう。
●防水工事中の場合・・・
一般的には台風が通過する前に、強風の対策を行います。
・足場が倒壊しないか?
・足場養生をはずすか?
などを現場では検討します。
対策は、屋根・外周部に養生をすることが一般的です。台風通過後に養生の有無に関わらず室内や外部の木材ががどれだけ濡れてしまったか確認されると良いでしょう。
乾けば問題ないことがほとんどですが、防水工事をする箇所が乾燥されているか、下地材が変色などの異常がないか施工会社に確認されると良いでしょう。防水工事は施工箇所が乾燥状態であることが基本です。
被害の補償を確認
●火災保険の「水災」と「風災」をチェック
ハザードマップで自分の住む地域のリスクを参考に、被害に備え必要十分な補償を検討しましょう。
水災/台風や豪雨などで洪水・高潮・土砂崩れが起こり建物や家財が損害を受けた場合に補償
風災・ひょう災・雪災/台風で屋根が飛ばされた、ひょうで瓦が割れた、竜巻での損害などを補償など
大雨により河川が氾濫したときや、集中豪雨等により想定される浸水の深さが示された洪水ハザードマップ、過去の水害が来記録された浸水履歴図から、浸水が想定されている地域に該当していないかもあわせて確認してみるといいでしょう。
自 然災害リスクの補償は火災保険の保険料の大きな割合を占めるため、補償を選択されない方も多いですが、損害の額が20万円以上の場合に限り補償する「20 万円フランチャイズ」を選択したり、損害発生時に1万円から10万円程度の金額を自己負担することで保険料を下げられますから、火災保険を検討するときは 何社か見積りを入手して慎重に比較・検討されますことをおすすめします。
●建物だけでなく家財の補償も検討しよう
例え建物に被害がなかった場合でも、揺れによって家財は意外と大きな額の被害を受けます。お皿などの食器類や食器棚などの家具類、一般的に一番高価なのはパソコンやテレビ、冷蔵庫といった電化製品も被害を受けやすいものです。
耐震性の高い建物でも、家財の地震保険も検討しておくと安心でしょう。
実際に被害を受けたときに覚えておきたいことは、被害状況をカメラで撮影したりメモしたり、被害に掛かった復旧費用や修復費用の見積書や契約書を必ずもらって保管することも大切です。
※噴火や津波が原因となる火災、破損、埋没も地震保険でないと補償されませんので地域のリスクにあわせた補償を検討しましょう。
また、台風により多数の葉っぱが雨どいに溜まっていることがあります。排水口を落ち葉が塞いでいることを知らないでいると、次の豪雨時などに雨どいから水があふれ出てしまう恐れもあるため、撤去しておきたいものです。窓からのぞいてみたり、棒にデジタルカメラを取り付けて撮影するなどすると 雨どいの状況が見られます。こまめに清掃をするように心がけましょう。