横浜市でマンションが傾いている問題が発覚してから、「自分のマンションは大丈夫なのか・・・」「購入する前にわからないのか・・・」ご不安に思われている方も多いのではないでしょうか?
今回のような地中にある杭の施工状態をチェックすることは難しいのが現状ですが、不具合の兆候は、目視でもチェックできるポイントがあります。
購入前に買主が見抜くのは不可能
今回のトラブルは、売り主も、建設会社も問題を見抜けなかったので、買い主がこれを購入前に見抜くことはまず難しいでしょう。
仮に、社内に現場を管理するための一定のチェックシステムがあったとしても、あくまでも予算と実績を管理する「予実管理」や、今回でいえば、地盤調査データとそれに基づいた工事の整合性を確認するといった水準のものであるのが一般的。
「そもそもこのデータは正しいのか」「改ざんされていないか」と、疑いの目を持ってチェックする体制ではなかったでしょう。
こうした事態を防ぐには、
- 常に疑いの目をもってすべてをチェックするような厳しいチェック体制を敷く
- 地盤調査を複数組で複数回行う
- 現場作業にずっと張り付いて監視する体制
などが考えられますが、いずれも人件費がかなりかかってくるため、マンション価格に跳ね返ることに。
兆候が現れる5つのチェックポイント
自分のマンションの構造に不具合がないか、見抜くことは難しいものの、新築時に施工不良があった場合、時間を経ると建物に不具合が潜んでいるサインが出ているケースもあります。
■「室内」のチェックポイント
(1)建具に異常がないか
玄関をはじめ、室内にある各種の扉が、引っかかるなどの不具合はないか、実際に動かして建具にゆがみがないかをチェックしてみましょう。
(2)部屋にゆがみないか
壁 や床が過度に傾いていないかをチェックしてみましょう。建物は手作りなので多少の誤差はどうしてもあるもの。新築マンションの場合は1000分の3、中古 マンションなら1000分の5程度の傾きは許容されています。判断に迷ったら専門家に相談してみましょう。ホームセンターで売られている水平器を使えば、 自分でも傾きをある程度、調べることができるでしょう。
(3)壁にクラック(ひび割れ)がないか
部屋全体を見渡してみて、壁にひび割れがないかを確認。目安は「幅0.3ミリ以上、かつ深いもの」。0.3mmのシャープペンシルの芯が奥まではいるようなひび割れは要注意です。
(4)水回りに水漏れはないか
キッチンや洗面化粧台下の扉を開けると、排水管が見えるでしょう。実際に水を流しながら、この管を触ってみて、水漏れをしていないかチェックしてみましょう。ぽたぽたも漏れてくることもあれば、徐々に染み出る場合もあるのでじっくり観察してみることが大切です。
(5)バルコニーの排水は正常か
雨が降ったとき、あるいは水を流した時に、排水口に向かって水たまりができていないか、スムースに水が流れるかどうかをチェックしてみましょう。
このチェックポイントはあくまでも建物に不具合があるかもしれない「症状」です。その不具合が構造には影響のない表面の仕上げ部分の施工精度の問題なのか、建物全体の問題なのか、これだけでは判断するのは難しいものです。
生活に直ちに支障ない限り、すぐに売り主の不動産会社に連絡するのではなく、まずはマンションの所有者で構成するマンション管理組合で情報共有をしてみよ う。不具合の事象がいくつかの住戸で確認される場合、構造や地盤など建物全体の問題である可能性も高くなりますが、他に同じような問題のある住戸や見つか らないなら、構造の不具合ではなく、一住戸だけの施工精度の問題であることが多いでしょう。
■「共用部分」のチェックポイント
(1)廊下や階段などの共用部分の壁や天井などに0.3mm以上で深いひび割れがないか確認
今回のマンションでは住民が外部の手すりのずれを発見したことから傾斜が発覚しました。こうしたずれ、ゆがみはあるかどうかチェックしてみましょう。
万 が一、当てはまる事象を確認したら、まずは管理組合として売り主に調査を依頼してみましょう。主要構造部や雨漏りを防止する部分には「住宅の品質確保の促 進等に関する法律(品確法)」によって10年間の保証が義務付けられているほか、各社のアフターサービスで外壁タイル不具合や設備関係の不具合については 2年間程度の保証があることが一般的です。