6月に入り、梅雨が本格化する時期になりました。
雨は住まいの大敵。普段生活していて気にならなくても、ホームインスペクション(住宅診断)の現場では、相次ぐ雨や台風などの大雨の後、天井やサッシ周りからのシミや水滴などを発見してしまうことがあります。
雨漏りには、『室内からでも発見できる被害』に加え、『普段見ることのない天井裏や屋根裏、床下を見ないと発見できない被害』もあるのをご存知でしょうか。
今回はホームインスペクター(住宅診断士)がホームインスペクションの現場で実際に発見した雨漏り・浸水事例をもとに、見えないところでどんなトラブルが発生するのかをご紹介します。
天井裏の雨漏り
天井・屋根裏を調査した際に発見した雨漏りの跡です。屋根の棟部分に取り付けられている棟板金が破損し、その部分から漏水が発生してしまっていました。漏水した範囲の木材はやわらかくフカフカになっていたため、屋根本体を含めた木材部分を交換することに。
雨漏りから派生するシロアリ被害
灰色になっている箇所があるのを、お分かりいただけるでしょうか。この灰色になっているところは、アリの通り道である蟻道(ギドウ)と呼ばれるシロアリの移動用トンネルです。雨漏りは終息していたものの、腐食した木材が白アリ被害を招いてしまった事例です。
雨水を含み柔らかくなった木材や壁は、シロアリにとって食べやすく、この部分を中心に被害が拡大することも少なくありません。発見後は全体に消毒をし、木材の一部を交換し補修を行いました。
床下浸水
給水管からの漏水が原因となり床下浸水をしている事例です。床下浸水は生活をしていくうえで、深刻な悩みと言えます。放置しておくと、カビなどの異臭や木材の腐食の原因にもなるためです。
この事例では、土台と呼ばれる木材の一部を交換し、床下内部に異臭があったため消毒をすることになりました。
以上の事例はいずれも天井隅やクローゼット下部、キッチン、洗面所などの点検口から調査をした結果、発見することができました。ご自分で『開けて見る』だけでも確認できますし、また『顔を入れて懐中電灯で覗き込む』とさらに範囲を拡大して確認することができます。
点検口があることで、住宅診断士(ホームインスペクター)などの専門家による詳しい検査やメンテナンス等の作業も可能となります。
ご自宅に点検口がない場合は是非、設置をご検討してみてはいかがでしょうか。
普段生活していてはわからない、天井・屋根裏、床下への被害。このように被害が進行してしまっていると、部分交換だけでなく大がかりな屋根全体の交換などもやむを得なくなることもあります。
ぜひ自宅の定期点検を行い、早期発見、被害防止につなげましょう。