耐震基準を裏付けるのは、過去の地震被害と研究の成果

  • Update: 2019-08-29
耐震基準を裏付けるのは、過去の地震被害と研究の成果

マイホームを購入するにあたって「耐震性の高い、丈夫な家」を重視する声は年々増えています。日本各地で大きな地震が頻発している昨今、住宅購入を検討する方の「耐震」への関心はますます高まっていくことでしょう。

「耐震」という言葉は日常的になっていますが、改めて「耐震基準とはどのようなものか」。また「住宅の耐震性はどのように検証されるのか」を考えてみたいと思います。

今回は日本の耐震基準や、その基準を満たした住まいを手に入れるために知っておきたいことをご紹介します。

倒壊、ライフライン停止、液状化…地震被害を振り返る

近年は大きな地震が日本各地で頻発しています。どの地震も非常に大きな爪痕を残しているのですが、巨大地震として特に認知されているのが「東日本大震災」、そして特定の年代以上の方には記憶に残る「阪神淡路大震災」。そして建築法規における転機となったのは、更にさかのぼる1978年の宮城県沖地震でした。

記憶にも新しく猛威をふるった東日本大震災は、2011年3月11日に発生した巨大地震。日本周辺における過去最大の地震とも呼ばれています。最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7で、震度6強の観測も多くの地域でありました。この地震では巨大な津波が発生し、多くの尊い命が奪われました。

1995年に発生した阪神淡路大震災も、被害規模が大きく犠牲者は6,434人にまで達しています。

建築における耐震基準に大きく影響を与えた宮城県沖地震では、ブロック塀などの倒壊被害、都市ガスの供給停止、土地の液状化などによる大きな被害が相次ぎました。

大規模地震の被害で、耐震基準はどう変わったか?

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法規上の耐震基準はこのような大きな地震の発生・被害を受けて、より改良されていきました。建築基準法・制定時での耐震基準が1950年に決まりましたが、その後、宮城県沖地震の発生によって、1981年には「新耐震基準」として改定。さらに2000年にも木造住宅に関する部分が改定されています。

尚、1981年の法改正の前の耐震基準を「旧耐震」、それ以降の耐震性を「新耐震」と呼んでいます。

戸建を購入する方にはなじみ深い用語になっているかと思いますが、「旧耐震」と「新耐震」はどの様に違うのでしょう?

その違いは「耐えられる地震の規模」への言及です。

「旧耐震」は震度5程度の地震に耐えられることを基準にしており、震度6及び7といったさらに大規模の地震に対しては触れられていませんでした。しかし新耐震では震度6~7についても記載があります。新耐震では震度5レベルで「ほとんど損傷しない」、震度6~7においては「崩壊、倒壊しない」とされています。

2000年には木造建築物において大きな改正が行われ、構造部材の接合部の金属部品の規定や壁の配置などが盛り込まれました。

耐震基準を裏付ける「実物大」建物の振動実験

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耐震基準は過去の地震被害を受けて新たに作られていることをお伝えしました。こうした「大きな地震に耐えられる家」という基準はどのような根拠・裏付けで制定するのでしょうか。

実は、国の関連施設や大学、大手民間企業の持つ施設などで「実物の建物を揺らす」という実験が行われているのです。地震を発生させる大型の特殊な機械の上に家一棟を建て、その家をまるごと揺らす試験です。試験は非常に大掛かりですが、実際の家のどの部材がダメージを受けるかなどが非常に良く現れる試験なので貴重な試験となります。

尚、今では地震の試験装置も高性能化して、様々な振動パターンを建物に加えることも可能。過去に起きた大きな地震のデータだけでなく、今後来ることが予測される地震の揺れ方をいくつも想定して揺らす実験なども行われることがあり、どのくらいの時間でどのあたりが大きく壊れるのか、または耐えることができるのかといった精度の高いデータ取得が可能です。

実際に建てられる住宅の耐震強度は?

近年の住宅は過去の被害や実験をもとにした耐震基準で建てられていますが、法律通りの基準(1.0倍)で建てると震度7などの強震では大きく破損する可能性が高いのです。そのため、修繕しながら大切に住み続けられるよう、耐震強度を1.25倍や1.5倍に強めた基準で設計するメーカーも増えています。

日本のすべての住宅が「法律の基準通りに建てられている」はずなのですが、この基準通りの強度を実現するのに不可欠な条件は「設計通りに施工されていること」。実際は施工ミスや手抜き工事などが潜んでいる可能性もあるのです。

設計通りでなければ、期待される耐震性を発揮することはできず、震度6~7の地震が起きたとき、建物が崩壊、倒壊する恐れもあるでしょう。

「大地震から命を守りたい」と考えて建物を選ぶなら、施工が設計図通りに行われていることは必須条件。残念ながら施工する職人、現場監督にも耐震設計の知識がない場合も珍しくないため、専門知識を持った第三者のホームインスペクター(住宅診断士)による新築工事チェックをおすすめします。

自分の大切な住まいが「絵にかいた餅」にならないよう、しっかり施工の段階までチェックしてもらうようにしましょう。