【9月1日 防災の日】日本最古の銅像は◯◯◯◯◯が低く、あの有名な銅像たちは◯◯◯◯◯が高い!

  • Update: 2020-08-25
【9月1日 防災の日】日本最古の銅像は◯◯◯◯◯が低く、あの有名な銅像たちは◯◯◯◯◯が高い!

2020年の夏は、昨年 私たちが思い描いていた夏と大きく変わってしまいました。

新型コロナ感染拡大の影響で、日本各地を巡ることさえも「自由に、気ままに」手放しでできないと感じている方も少なくないと思います。

そんな方々と同じ気持ちの、さくら事務所のとあるホームインスペクター(住宅診断士)は、日本各地を旅する気分になりたい…… と“オンライン旅行”と称し、コンピューターのマウスをカチカチ、全国をモニター上で巡っておりました。

そのインスペクターは幅広い建物に関する知識と経験を持ちますが、最近は特に「自然災害に強い建物」を増やすべく災害リスク対策に関するアドバイスをご提供する新サービスを開発しています。そして、ふと思いつきました。

「日本各地に建つ銅像の災害リスクは一体どうなっているのだろう?」

そこで、今回は、さくら事務所ならではの視点「災害リスク(主に水害)の高低」から、日本各地の銅像をご紹介します。

調べた「災害リスク」は【洪水/津波/土砂災害】についてです。
注)日本全国全ての銅像を調査したわけではなく、あくまでも独断と偏見で選ばせていただいた銅像に対する災害リスクです。

普段、皆様が「銅像」を見る時とは違う視点でお楽しみください!

災害リスクの低い場所に建つ「銅像」3選!

① 日本武尊像(石川県金沢市)

日本武尊像国の特別名勝に指定された石川県金沢市にある日本庭園・兼六園。

その真ん中に建つのが「明治紀念之標(めいじきねんのひょう)」、通称「日本武尊像(やまとたけるのみことぞう)」、別名「金仏様(かねぶつさま)」です。

この像は、1877(明治10)年、西南戦争で戦没した石川県の兵士 400名の慰霊を目的として建てられました。日本武尊が天皇の血を引く人物ということからか戦時中の金属供出を免れたり、進駐軍から撤去の指示を受けたにもかかわらず「金仏様は仏様である」と食い止めたりしたことで、今日まで残り「日本最古の銅像」の称号を与えられています。

日本最古の銅像は、人々に守られたこともありますが、洪水、津波、土砂災害といった災害リスクが低い場所に建てられたこともその所以かもしれません。

② 行基菩薩像(奈良県奈良市)

近鉄奈良駅前にある噴水の中に置かれた台座に立って、東大寺の方角を向いている僧侶の像が「行基菩薩像」です。

この行基は「知識結(ちしきゆい)」という仏教信仰に関する事業を行う集団を形成。

近畿地方を中心に数々の社会活動を行ったと伝わっています。

その「知識結」は、橋・堤防・用水池・道・船着場などの整備を行った他、仏教を学ぶための道場や寺院も建設したそうです。740年には、東大寺の奈良の大仏造立責任者として招へいされたと言われます。

そんな当時の「建築のプロ」行基菩薩像がある場所が、洪水、津波、土砂災害全ての範囲外というのも何か神秘的なものを感じずにはいられません。

③ 伊達政宗騎馬像(宮城県仙台市)


宮城県仙台市の観光スポットとして有名な仙台城跡。仙台藩主・伊達政宗が築城し、そこには「伊達政宗騎馬像」が建てられています。

実は、この銅像 2代目だということをご存知でしょうか。初代の銅像は、昭和10年に設置されましたが、戦時中の昭和19年に金属を集めるために撤去されました。

そして、戦後、バラバラの状態で宮城県塩竈市で発見され、胸像だけが残り、そちらは現在、仙台市博物館で公開されています。

この2代目「伊達政宗騎馬像」が洪水や津波、土砂災害でバラバラになることは考えにくく、いつまでも凛々しく仙台の街を見つめていると考えられます。

2. 災害リスクの高い場所に建つ「銅像」は……

① 洪水のリスクが高い場所にある銅像

渋谷のハチ公このところ、ほぼ毎年発生する集中豪雨や局地的な大雨。

そして台風による大雨や地震による堤防決壊などによっても発生する「洪水」。その「洪水」により浸水するリスクが高い銅像を調べてみました。

※「洪水」に対し、市街地内を流れる側溝や排水路、下水道などから水が溢れる水害は「内水(または内水氾濫)」と呼びますが、今回は「内水」のリスクは含みません。

まずは、さくら事務所のある渋谷の駅前と言えば「ハチ公像」。

ここは最大浸水予想が【1〜3m】の場所で、トップクラスで洪水リスクの高い場所です。

② 津波のリスクが高い場所にある銅像

貫一お宮像津波のリスクは、当然 海の近くが高く、海の近くの銅像といって多くの方が思い出すのは静岡県熱海市にある「貫一お宮之像」ではないでしょうか。

尾崎紅葉が書いた明治時代の代表的な小説「金色夜叉」にある「熱海海岸の場」という間貫一が宮を足蹴にする有名なシーンの銅像です。

この場所で津波の最大高さが【5〜10m】と予測されています。

この「貫一お宮之像」と津波の最大高さは同程度の場所にありながら、「貫一お宮之像」よりわずかに高い場所に位置し、一方で高い位置に逃げやすいところにある銅像があります。

高知県の桂浜公園内にある「坂本龍馬像」です。避難のことも考えると「坂本龍馬像」の方が少しだけ安心に感じられます。

③ 土砂災害のリスクが高い場所にある銅像

神奈川県の小田原駅西口ロータリーに建つのは、小田原城を治めた戦国大名北条氏の祖「北条早雲公像」。この場所は、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に位置します。

同じく「鎌倉の大仏」も土砂災害警戒区域(イエローゾーン)にあります。

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に隣接する場所にある銅像は、津波リスクもある「坂本龍馬像」です。

3. 災害リスクの高い場所にある銅像、考えられる対策は?

では、これら災害リスクの高い場所にある銅像にできる対策は、どんなことがあるでしょうか。

これらの銅像を皆様がこれから購入しようとしているお家や、今お住まいのご自宅など「建物」に置き換えてみてください。

● 洪水リスクが高い場所にある銅像への対策

まずは銅像を想定浸水深より高くすることが大切です。

お住まいに置き換えた場合、高い位置が確保できれば、そこに大切なものを避難させておくことができます

1階の高さまで浸水が予想されている場合は、貴重品などは2階に置くようにしましょう。

また、浸水(洪水により建物などの中に水が侵入すること)しないように、銅像の周囲をグルっと塀で囲むこともお薦めです。銅像を塀で囲むと、銅像が見えなくなってしまいますが…。

建物であれば塀で囲ったり、家の前にある道路より少し高い玄関ポーチに設計することも有効です。

家の前にある道路より低いところを作らないようにしましょう。

● 津波リスクが高い場所にある銅像への対策

津波に関しては、残念ながら津波が来ない高台への移転が最善の対策と言えます。

それが難しければ、鉄筋コンクリートで基礎をガチガチに固め、銅像は水の抵抗を受け流せる「イルカ」のような体型にするか、水の抵抗に耐えられるようにものすごく分厚い身体にするしかなさそうです……。

もはや誰の銅像なのかわからなくなってしまいますね…。

● 土砂災害リスクが高い場所にある銅像への対策

これも…… 土砂災害のリスクが低い場所へ移転するしか方法がなさそうです。

お住まいの場合、移転が難しければ、寝室は崖と反対側の2階にするなど家の中でもより安全な場所で日常生活を送るようにしましょう。

いかがでしたでしょうか。

災害は起こった時にそのリスクに気づいても、対応できないことがあります。

今、お住まいのご自宅にどんな災害リスクがあるのか、そしてそれを知った上でどんな対策が考えられるのか、当社では災害や建物の専門家がアドバイスするサービス『災害リスク現地調査』もご用意しています。

ぜひ皆様の命を守るために、お気軽にご相談ください!