物件探しをする人の多くは、日常的に不動産ポータルサイトを使っていることと思います。ですが、ちょっと待って。検索方法によっては、おトクな物件をみすみす見逃してしまっていることも…。
膨大な量の情報が掲載されたポータルサイトでお目当ての物件を見つけるためにはどうすればいいのでしょう。今回は特に「中古戸建て」に関して、不動産業界に精通した私たちさくら事務所だからこそお伝えできる、おトクな物件を探し出すテクニックをお教えいたします!
テクニック①駅からの距離は“プラス5分”で考えろ
「徒歩10分」も「徒歩11分」も体感はたいして変わらない
これはかなり基本のテクニックです。検索条件に「駅からの徒歩分数」がありますよね。多くのサイトでは、最寄り駅から3分以内、5分以内、7分以内…といった感じで項目が並んでいます。
仮に、駅から徒歩10分以内の中古戸建てを探しているとしましょう。この時、いいなと思う物件が「徒歩11分」だった場合、どうですか?
ほとんどの方は、徒歩11分でも構いませんよね。道中の信号の数によっては「徒歩10分」のところが12分かかるところもありますし、10分も11分も体感としてはたいして変わりません。また、薄暗い裏道を通っての10分より、明るい大通りを通っての11分のほうがいいという考え方もありますよね。
徒歩10分以内で探す場合は15分まで、徒歩15分以内で探す場合は20分まで広げる。ちょっと広めに範囲を考えておけば、希望の物件が見つかりやすくなりますよ。
テクニック②「最寄り駅の周辺の駅も検索ターゲットにすべし」
物件に紐付けられる駅の数は決まっている
東京都内は特に多いのですが、複数路線が通る駅がありますよね。たとえば品川駅はJRのほか、京急線も通っています。また、品川駅の近くには都営浅草線の高輪台駅、同じく泉岳寺駅と、徒歩圏内に駅がいくつもあります。
どのポータルサイトもそうなのですが、物件に対して登録できる(紐付けられる)駅の数には限りがあり、基本的にはJRの駅が優先され、そしてJRの中でもターミナル駅が優先される傾向があるのです。
品川駅から徒歩15分圏内の物件なのに
「品川駅から徒歩15分以内」の検索条件でヒットしない!?
これはつまりどういうことか。
たとえば、「品川駅から徒歩15分以内」という条件で物件を探している人がいるとして、その人の全ての希望を満たす物件が品川駅から徒歩13分くらいのところに立地しているのに、それがヒットしないということが起こり得るのです。
実はその物件、品川駅から徒歩12分ほどのお隣にある高輪ゲートウェイ駅から徒歩1分のところに立地。「品川駅から徒歩15分以内」という条件に当てはまっているのですが、この物件には高輪ゲートウェイ駅しか紐付けられていないため、品川駅を起点に検索する限りはヒットしないということです。
希望している駅がある場合は、その周辺も視野に入れて検索をかけると、このような取りこぼしを抑えることができます。
テクニック③「物件価格は“プラス500万円”で考えろ」
物件価格に端数はつきもの。価格交渉ができることも!
大切な検索条件のひとつに物件価格があります。ほとんどのサイトは500万円刻みになっていますよね。たとえば3,000万円まで払っていいと考えている人は、下限を「2,500万円以上」、上限を「3,000万円未満」などとして検索します。
ところが、不動産事業者が根付けする時のポイントとして、3,500万円、4,000万円というキリのいい値付けをすることは少なく、多くは3,080万円などと端数をつけた値付けをするのです。
3,000万円で買おうと思っている人が価格以外全ての条件に当てはまる物件を見つけ、その金額が3,080万円だった時に、「買わない」という判断を下すことはあまり考えられませんよね。ですので、価格を検索条件に入力する際は“プラス500万円”で数字を入れておくことをおすすめします。
テクニック④「築年数は制限をかけない!」
築年数よりも「メンテナンスされているかどうか」のほうが重要!
中古戸建ての場合、多くの人が「築10年以内」と条件をつけて検索します。中古であっても、比較的築浅の、新しい物件を求める傾向があるようです。
では、築10年でまったくメンテナンスがなされていない物件と、築20年ですが外壁や屋根もしっかりとメンテナンスされ内装のリフォームも済んでいる物件、どちらが住みやすいでしょうか。現物を見てみないとわかりませんが、後者のほうが住みやすい可能性も十分に考えられます。
ここで大事なのは、築年数よりも、これまでどういうメンテナンスが行われてきたか、つまり「メンテナンスの履歴」を見るということなのです。
メンテナンスの履歴は、ネット情報で大体の内容を把握することができます。物件をどのようにメンテナンスしてきたかというのは不動産の売り主にとってアピールポイントになるので、ポータルサイト上でも公開されていることが多いのです。中古車の修理履歴と同じことですよね。
結論としては、築年数に関しては制限をかけないこと。いくら古くても、メンテナンスがしっかりされているお買い得な物件は多く存在しています。
テクニック⑤「“戸建て”だけで探すな」
リフォーム前提で「古家付きの土地」を買うのもおすすめ
これは一見的外れなアドバイスに感じるかもしれませんがお付き合いください。
日本の不動産における価格評価は、木造住宅の場合、基本的には築20年程度経つと価値が残っていないというふうに判断されます。これは税法上の減価償却の考え方に基づいています。メンテナンスがしっかりなされていれば別かもしれませんが、そうでない築22年以上の物件は、建物価値がないと評価されているのですね。
そのような物件を不動産業者が売りに出す際、「中古戸建て」ではなく「古家(ふるや)付きの土地」、つまり建物が乗っかった状態の土地として販売するという方法をとることがあるのです。仮にこうした物件を買って、リフォームして住むことができたら、トータルで考えるとかなり費用を抑えられる可能性があります。「中古戸建て」での検索では絶対に見つからない掘り出し物の物件です。
ただし、その建物がリフォームに耐えられないほど古くなっている可能性もあります。リフォームをする前提で古家付きの土地を購入する際は、私たちのような第三者機関によるホームインスペクションを活用いただくことをおすすめします。
戸建てを探すなら土地も見ろ、土地を探すなら戸建ても見ろ
実はこの探し方、逆も然りです。土地を探す場合は、中古戸建てにも注目を。購入後に建物を取り壊して希望の形の土地にすることができればいいのですから。戸建てを探すなら土地も見ろ、土地を探すなら戸建ても見ろ、ということです。
ちなみにですが、売り主が戸建てを売る際に「中古戸建て」として売るか、「古家付きの土地」として売るか、ここに明確な基準はありません。売り主の判断によって決められます。
戸建ての売り主は、建物の引き渡しをしてから一定期間、建物に関する修復義務を負います。引き渡し直後にシロアリの被害が見つかった場合や雨漏りが起きていた場合などは売り主が対応しなくてはいけません。
ただし、これは売り主が「中古戸建て」として販売した場合のみ。「古家付きの土地」として販売した場合、この義務を免責としているケースがほとんどです。そのため、築年数が浅い物件でも、特別な事情があり、義務を負いたくない売り主が「古家付きの土地」として物件を売ることは稀にあります。
テクニック⑥「なるべく多くのポータルサイトでお気に入り条件の登録を!」
不動産業界に出回る前の情報がポータルサイトで得られることも!
不動産を探す際、不動産業者の担当者に頼んでおけば物件を紹介してくれると考えている方は多いはず。でも、この方法だけでは不十分なのです。
それはなぜか。不動産業界には、会員各社がアクセスできる「レインズ」という物件情報サイトがあり、レインズに載った物件は全社が取り扱うことができるという運用となっています。不動産の情報を一元化することでスピーディーな不動産売買を目指すためのシステムとして、レインズは開発されました。ところが、世に存在するすべての物件情報がレインズに載っているわけではないのです。
たとえば売り主A氏が不動産業者B社に物件の売却を依頼したとしましょう。A氏とB社との契約内容にもよりますが、B社がこの物件の情報をレインズに登録するまでには、5日ないしは7日間の猶予が認められているのです。
B社としては、この売却案件を是が非でも自社の売上につなげたい。そこで、レインズに載せるまでのタイムラグを有効に使いたいと考えます。ここで何をするかというと、その物件情報をB社取扱物件としてポータルサイトに載せて集客を図るのです。
これはつまり、物件情報の集積であるレインズには載っておらず、不動産ポータルサイトだけに載っている情報があり得るということ。こうした物件の情報を得るためには、なるべく多くのポータルサイトで「お気に入り条件」を登録しておくのがおすすめ。メールなどで通知をもらえるようになっている場合は、通知を受けるようにしておくとベターです。
不動産業者からの情報をただ待つのではなく、自らも複数のサイトに網を張り、レインズに載る前の最新情報を取りにいきましょう。これが買い逃しを少なくするためのコツです。
検索条件を少し変えるだけで、思いもよらない物件に出会える可能性が広がります。不動産ポータルサイトを上手に活用してみてください!