交通至便で暮らしに便利なカルチャーの街 中野区の地形や災害リスクを知っておこう!

  • Update: 2021-11-12
交通至便で暮らしに便利なカルチャーの街 中野区の地形や災害リスクを知っておこう!

東京23区の西方に位置し、新宿区に隣接する中野区。東西に走るJR中央線を中心に地下鉄丸ノ内線が南に、北には西武新宿線、都営大江戸線が走り、都心へのアクセスも抜群です。また区内には15駅を有するため、区全体が総合的に住みやすいことでも知られています。

中野区といえば、ポップカルチャーの発信拠点である「中野ブロードウェイ」をはじめ、味のあるお店が集う商店街も現存する、多面的な魅力を放つ街でもあります。

人口は23区内では中ほどではあるものの、利便性の高さから人口密度は都内3位。また交通アクセスのよさから他地域に通勤・通学する住人も多く、夜間人口がやや多い区です。リーズナブルな物件も多く、若者カルチャーの発信地として人気であるため、単身世帯の20歳代、30歳代人口が比較的多く暮らす傾向にあります。

都心に近く便利でありながら、比較的リーズナブルに暮らせる中野区について、東京都のホームインスペクターが地形の特徴を解説します。土地の高低差などの地形の特徴を中心に交通や災害リスクを含めた中野区の物件選びのポイントをお伝えします。中野区での住まい選びにぜひお役立てください。

中野区の地形や地盤の特徴と災害リスク

東京の西側に広がる「武蔵野台地」とは、北を入間川、東は荒川、西を多摩川にはさまれ、南の東京湾に向かって扇状に広がっている台地をいいます。台地は台形状の形をしており、周囲より一段小高いという地形の特徴を持っています。その武蔵野台地の真ん中あたりにあるのが中野区です。区内はさらに小さな沼袋、野方、中野、幡ケ谷、落合の台地に分かれています。

地盤の安定した「武蔵野台地」にある中野区

武蔵野台地も火山灰(ローム層)からなる高台の平坦地(主に、下図で「台地」の地域)となっています。地表面は黒土で 、その下に火山灰の赤土である関東ローム層が堆積している箇所が多くなっています。黒土も火山灰から成りますが、植物の腐食を含んでいるため柔らかく、地表から厚く層となっている場合には住宅の基礎が接する地盤としては適していません。

台地面は安定した高台となっており、地盤沈下や、地震の揺れ、液状化、大規模な水害などの災害リスクが比較的小さい地盤といえます。中野区で台地面に位置するところは、地盤が安定している点で土地選定の基準となり得るエリアです。

一方、台地面でも浅い谷やくぼ地部分(主に、下図「台地上の凹地・浅い谷」の地域)には注意が必要です。周辺に川がなくとも、雨水が集積し、排水されずにあふれ出てしまう「内水氾濫」の危険性があるからです。

台地の間を流れる5つの川

中野区には台地の間を北から流れる江古田川、妙正寺川、旧桃園川(暗渠化)、善福寺川、神田川の5つの川があります。東の縁(へり)にあるのが神田川で、神田川の支流である旧桃園川は地中に埋設されて見えない暗渠となっています。

川沿いでは河川によって削られた「谷底低地」と呼ばれる、台地部分より低い部分が広がっています(主に、下図「盛土地」の地域)。川沿いの低いエリアでは、河川の氾濫や洪水のリスクが高まるため注意が必要です。
谷底低地には、川の流れにより運ばれた土砂である軟弱な泥や砂が再堆積している場所も少なくありません。

このような場所の地盤は軟弱で、地震の際に大きく揺れやすい特徴があります。谷底低地には枯れた植物が堆積し「腐植土」と呼ばれる植物が溜まってできた土地が分布している可能性も高いのです。また以前は沼地で植物が溜まってできた「腐植土」は水を含んだスポンジのような土で、地盤沈下を引き起こしやすいことを頭に入れておきましょう。

台地と川沿いの標高差のある部分は土砂災害の危険が

高台の台地部分と低地の川沿いには標高差が生まれ、斜面部分は土砂災害(がけ崩れ)が懸念されます。(主に、下図「台地の斜面」の部分)。土砂災害警戒区域(イエローゾーン)が指定されている箇所もありますが、区域指定がなされていないがけ地もあります。標高差がある斜面では、大雨や地震時の土砂災害(がけ崩れ)の可能性も視野に入れておきましょう。

加えて、傾斜のある斜面に家を建てる、購入する場合のリスクも知っておく必要があります。斜面を宅地に造成する際には、山側を削り、谷側を埋めたひな壇型の宅地を作るケースが考えられるからです。土砂を人工的に埋め立てて作られた宅地造成では、地盤に問題があることも。地震時の宅地地盤の崩壊や地盤沈下、擁壁の倒壊などの災害リスクをよく確認し、対策を練らなければなりません。

中野区の地形の特徴
国土地理院「地理院地図」に土地条件図を表示して抜粋。
図中に地形の名前(紫色文字)、左下に地形の凡例を追記

火災に弱い?中野区ならではの街づくりの特徴を総チェック!

JR中央線を中心に私鉄も複数走る中野区には、東西に新青梅街道、青梅街道、早稲田通り、南北方向に山手通り、環七通り、中野通りといった幹線道路が通っています。そのため、渋谷駅や新宿駅、池袋駅など都心の主要駅からのバス路線もあり、都心へのアクセスのよさが際立っています。

ここからは、利便性が高い中野区の街の姿、都市計画から見える「住みよさ」と防災リスクについて紹介します。

住居系の用途地域が8割以上を占める

都市を住宅地、商業地、工業地などに区切り、効率よく分類したのが「用途地域」です。用途地域はそれぞれの用途に合わせ、土地の使い方、建築物の建て方などに一定のルールが設けられています。中野区の場合、鉄道の駅周辺と主要道路沿いは商業系の用途地域となっています。JR中央線、丸の内線沿いに商業用地が多い傾向です。

それ以外は住居系の用途地域であり、区全体の8割弱を占めます。区の北側が低層の住居系で、中央と南側の中高層の住居系が多いのが特徴です。中でも、早稲田通りの北側は住宅系用地が多く存在しています。住居系の中でも、低層が4割程度となっています。23区内でも公園や緑が少ないことでも知られており、人口密度が高い要因の1つにもつながっているとみられています。そのため、2009(平成21)年より「中野区みどりの基本計画」を策定し、防災機能を有する大規模公園の整備などを進めています。

4m未満道路(狭あい道路)は23区内ワースト

道路の幅が4mに満たない狭あい道路が多いのも、中野区の課題の1つです。23区の中で最も割合が高く、中野区内で4割を占めています。建築基準法では、家を建てる土地は道路に接していなければならないと決まっています。4m幅以上の道路に2m以上接している必要があるため、建て替え時には敷地の後退(セットバック)を考慮しなければなりません。敷地面積が減るため建物のボリュームも減ることになります。

また、道路や隣地の採光、通風などの環境を保つための斜線制限というルールもあります。斜線制限により、建物の高さが規制されて、2階や3階部分の天井の高さに影響がある地域があります。狭あい道路は緊急車両も通行しにくいなど、防災面でもデメリットとなります。

火災のリスクが高い中野区

安定した地盤にある中野区は、地震の際の建物倒壊被害が少なく、災害のリスクも低いと考えられてきました。ところが、低層住宅が密集するエリアの「火災」リスクが指摘されるようになっています。公園が少なく、狭あい道路の割合が高いことは火災時の延焼が考えられ、火災リスクに影響を及ぼしています。東京都の地域危険度測定調査では、周辺の区と比べて火災危険度が4以上(5段階)の地域が多いと判断されました。

実際に、都の防災都市づくり推進計画において大和町、野方、南台が整備地区に、南台、弥生町が重点整備地域に指定されるなど改善が求められています。また、区の北側である西武新宿線沿いは、市街地における延焼のしにくさの目安となる建物の「不燃化率」が低いエリアです。

野生生物や害虫の被害が報告されている地域も

区内には、ハクビシンやアライグマが生息している地域もあります。さらに、シロアリ外来種のアメリカカンザイシロアリの被害も報告されています。湿気を好む在来種のシロアリとは異なり、乾燥を好むのが外来種の特徴です。家の柱や家具などの乾燥した木材でも、食べられてしまいます。建物に破損・隙間がないようにし、非木造化も検討するなど、建物全体でのシロアリ対策が必要になります。長期間放置すると被害も拡大し、費用も高額となります。早期発見、駆除が重要です。

区の特徴を考慮した防災対策は専門家の助言をあおごう

中野区は強固な武蔵野台地に位置し、一見すると安心して暮らせるエリアだといえるでしょう。けれども、低地や谷、台地と谷の境、造成や擁壁を施した場所、地盤が弱い箇所は、一見して判断が難しい部分でもあります。

川沿いの谷底低地や台地と低地の間の傾斜部分など、リスクのある箇所も存在しています。しっかりした地盤調査、地盤改良などの対策を考える必要があります。また、住宅密集地ならではの道の狭さや住宅を建てる上でのルールなども知っておかなくてはなりません。ハザードマップなどの確認を含め、しっかりと準備や対策を講じることは大前提となってきます。けれども、住宅など建築物や地形・地盤の知識は幅広く、すべてを網羅するのは難しい面もありますよね。

そこで検討したいのがホームインスペクション(住宅診断)です。当社では、第三者としての立場を守りつつ、住宅そのものの診断だけでなく、地盤の揺れやすさを考慮した耐震性アドバイス、ご希望地点の災害リスクのアドバイスなど、不動産・住まいの総合不動産コンサルティングサービスを多数ご提供しています。

厳しいトレーニングをくぐり抜けた精鋭ホームインスペクター(住宅診断士)が、ご相談に応じます。調査技能はもちろんホスピタリティや使命感を兼ね備えた建築士が客観的にアドバイスを行っています。

お問い合わせから当日まで迅速かつ丁寧に行える本部体制を整備し、お待たせすることがなく、本部専任の建築士も在籍しています。

「宅地建物取引士」「マンション管理士」など、建築士以外の国家ライセンス保有者が在籍し、建物以外にも契約やマンション管理など幅広いご相談対応・フォローが可能なのは、さくら事務所ならではでございます。

中野区で新築、ご購入をご検討の方は、お気軽にご相談ください。