中古住宅を購入する場合、分かりやすい指標としての「築年数」を気にする人が多いようです。しかし、購入後に後悔が少ない、納得のいく物件選びをするためには当然、築年数だけではなく、建物(構造)面・土地面・他の部分など、様々な側面からその物件を検討したうえで住宅を購入する必要があります。
本記事では、中古住宅の購入時にはぜひ検討していただきたいホームインスペクション(住宅診断)の話も踏まえ、業界No.1のさくら事務所が誇る住宅のプロ(ホームインスペクター)が、建物(構造)面・土地面それぞれの側面から、今後、中古住宅を購入する人は、買ってはいけない住宅の特徴について徹底解説いたします。人生における大きな買い物で後悔することがないよう、ぜひ参考にしてみてください!
建物(構造)面での注意点
最初に、中古住宅の購入を検討している方は建物(構造)において、以下の項目に注意してください。
- 建ぺい率、容積率が違反している
- 増築している
- ひどい劣化や不具合がある(基礎に大きなひび割れ・建物の傾き・雨漏り・シロアリ等)
- 屋根の状態
- 旧耐震基準+耐震補強できない
- 連棟式で隣地の建物とくっついている。(単独で解体ができず、建築確認も2棟で一つの建物)
中古住宅を購入後、後悔しないためにも注意点を確認しましょう。
①建ぺい率、容積率が違反している
建ぺい率、容積率が違反している中古住宅は、購入するべきではありません。なぜなら、建築基準法に違反しているからです。
例えば、建物を建てる場合、敷地の面積に対し建物規模の上限が定められています。そのため、規模の上限を超える建物を建ててはいけません。将来的に建て替えをする場合には、従来よりも小規模な建物になることもあるでしょう。
建ぺい率とは、敷地に対する建物の割合のことです。容積率は敷地に対する延床の割合のことを指します。2つの上限の割合は、地域によって異なるため、事前に確認する必要があります。
中古物件を購入する人は、市区町村役場のHPや電話などで確認しましょう。また、不動産屋に確認方法もあります。
②増築している
増築している中古住宅は、購入するべきではありません。なぜなら、雨漏りの可能性が高くなったり、耐震性に悪影響を及ぼしたりとリスクがあるからです。
例えば、サンルームがある中古住宅の場合、継ぎ目から雨漏りを起こすことがあります。さらに、上記で解説した建ぺい率、容積率が違反している場合、最悪のケースでは取り壊しをする必要になることもあるでしょう。増築する際は、確認申請という届け出をするべきことがあります。
中古住宅を購入する人は適切な増築が行われているのか、念入りに確認してください。
③ひどい劣化や不具合がある
増築している中古住宅は、購入するべきではありません。なぜなら、鉄筋やコンクリートに悪影響が出ていると構造上の不安につながるからです。
例えば、基礎や壁にひび割れなどの劣化や不具合がある場合、建物の安全性に影響を及ぼします。また、さまざまな不具合につながるリスクもあるでしょう。そのため、ひどい劣化や不具合がある中古物件には注意する必要があります。
以下では、具体的な事項について項目ごとに見ていきましょう。
●基礎に大きなひび割れ
基礎に大きなひび割れがある中古物件は、根本から修繕することが難しくなっています。ひび割れが悪化する原因として、地盤沈下によるケースもあります。この状態が悪化した場合、さらにひび割れの範囲が広がり、安全性に問題が生じるでしょう。
中古物件を購入する人は、基礎にひび割れがないのか確認してください。一人で判断できない際は、不動産屋に聞いてみましょう。さらに、ひび割れの原因を知りたい人は専門家に相談し、アドバイスをもらってください。
●建物の傾き
建物の傾きは地盤沈下によって、起こっている可能性があります。地盤沈下を起こす原因として、川や海を埋め立てた場所であり、地盤が緩んでいるケースもあるでしょう。傾いた建物は、修繕への費用や生活を送る上でストレスがかかります。
建物の傾きに関しては、内見の際に窓やドアを確認しながら、判断してください。また、過去の地図を確かめることで地盤沈下につながる要因が分かることもあります。建物の傾きを確認しながら、理由を明確にしましょう。
●雨漏り
雨漏りがある中古物件は建物の骨組みを劣化させ、腐食やシロアリの発生などにつながるリスクがあります。一見、雨漏りの痕跡が無い場合でも内見で確かめることができます。
雨漏りを確認する方法として、内見の際に天井や窓枠をチェックしてください。さらに、シミ等に触れることで感触から木材の腐食に気付けるケースもあるでしょう。内見の際には念入りに雨漏りがないのか、見てください。確認できない場合は、専門家に確認してもらうことをおすすめします。
シロアリ
シロアリがある中古物件は柱や土台が食害を受けている可能性があり、災害等において倒壊へつながるリスクを負っています。また、シロアリによって、構造耐力が低下していることもあり得るでしょう。
中古物件を購入する前にシロアリのチェックを忘れないようにしてください。現在のシロアリの有無に関しては専門家に確認してもらいましょう。目視だけでは判断が難しいため、床等を確かめてもらうことで物件の正確な状態を把握できます。
④屋根の状態
中古住宅を購入する際は、屋根のチェックを忘れないようにしましょう。なぜなら、屋根の状態によって雨漏りにつながる可能性があるからです。また、建物に影響を与えるケースもあります。
例えば、屋根が劣化したことでひびや破損している場合、その隙間から雨等の水分が入り込んでくることがあります。結果、雨漏りにつながり物件全体に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。そのた、屋根のチェックを忘れずにするようにしてください。
⑤旧耐震基準+耐震補強できない
「旧耐震基準+耐震補強できない」に関しては耐震補強に手間がかかったり、範囲が広くなったりすることがあるため注意しましょう。また、耐震性に不安な部分があり、大地震が起きた際に倒壊する危険性があります。
例えば、耐震補強する場合に手間だけではなく、時間や費用がかかるケースもあります。状況によっては耐震補強が大規模になることもあるため、さまざまな面で負担が増えるリスクがあるでしょう。そのため、中古物件を購入する際には、事前に詳細を確認してください。
⑥連棟式で隣地の建物とくっついている(単独で解体ができず、建築確認も2棟で一つの建物になっている)
連棟式で隣地の建物とくっついている中古住宅は、購入するべきではありません。なぜなら、単独での建て替えができないケースがあるからです。また、建物の解体の際には隣地の所有者の同意が必要になります。
例えば、自らの建物を解体する際には隣地の所有者の同意が必要です。隣地の所有者との人間関係が良くない場合は同意を得られずに、解体できない可能性があります。
そのため、連棟式の建物は隣地所有者との人間関係を含め検討しなければなりません。
建物の劣化診断はホームインスペクション(住宅診断)のご検討を
続いて、土地面での注意点に入る前にホームインスペクション(住宅診断)の紹介をさせてください!
過去に千葉大学大学院小林秀樹研究室の草処章一郎氏とさくら事務所で行った、中古住宅における構造別・築年数別の瑕疵発生率の研究では、例えば建物の傾きだけのお話をすると、なんと築30年の中古戸建ではなんと「約半数」もの建物が傾いていることがわかりました(築年とともに指数関数的に増加し、新築でも20軒に1軒の確率で傾きが発生)。
専門知識が必要となる劣化診断や不具合の発見は、住まいの専門家でない限り、もれなく確認することは難しいと言わざるをえません。ホームインスペクションでは、主に非破壊の目視調査で確認できる範囲で建物のコンディションを把握、推測できるので売買のリスクを減らしながら取引を行うことができます。
さくら事務所には、厳しい研修をくぐり抜けた業界経験10年以上のホームインスペクター(住宅診断士)が多数在籍し、完全中立・第三者の立場から調査・アドバイスをいたします。建物状況調査のように、1居室を抜粋した限定的な範囲の調査にとどまることなく、100以上の調査項目で廊下や水まわりを含む全居室が調査対象で、かつ、その場で建物についてのアドバイスも差し上げます。
「欠陥住宅」の見極め判断がご不安な方や、リフォームや修繕の時期と費用の目安などの中立的なアドバイスを求められている方は、まずはお気軽にご相談ください。
注意しないとリフォーム費用が増加する危険が…
中古住宅を内見する際に注意点を確認しなければ、購入後にリフォーム費用が増加するケースもあります。なぜなら、住宅を内見しただけでは住宅の状況を正確に把握できないからです。
例えば、中古住宅の内見を行った場合、壁や床などを含めた全ての箇所を確認できません。また、雨漏り等の問題が起こった場合に、リフォームやリノベーションが済んでいると原因の特定が遅れるリスクがあります。中古住宅を購入する際はホームインスペクションを利用し、建物の状況を確認してください。サービスを利用することで購入後のトラブルを回避ができ、後悔することが無くなるでしょう。
土地面での注意点
次に土地面において、以下の項目に注意してください。
- 高い擁壁上にある
- 隣地が崖(がけ)
- 地盤沈下している
- 災害の危険地域
- 中古住宅を購入する際はハザードマップ(※国や自治体が作成したもの)を確認し、リスクが高い地域を避けましょう。
- 前面道路の所有者が不明
- 再建築不可
- 境界線でもめている
- 水道・下水・ガス(ライフライン)の配管が、隣接地から引き込まれている(又は隣接地の配管が敷地下に埋設されている)
中古住宅を購入後、後悔しないためにも土地面の注意点を確認しましょう。
⑦高い擁壁上にある
高い擁壁上にある中古物件は、購入しないようにしてください。なぜなら、土地が支える擁壁(※土地が道路よりも高い場合に崩壊を防ぐ構造物)の強度が不十分な可能性があるからです。
例えば、未許可等の擁壁の場合、強度が足りずに崩れることがあります。また、劣化によりやり替えを行うケースもあり、費用がかかってしまいます。擁壁のやり替えの費用は、土地の高さや広さによって、異なります。
そのため、高い擁壁上にある中古物件は慎重に検討する必要があるでしょう。
⑧隣地が崖(がけ)
隣地が崖(がけ)にある中古物件は、購入しないようにしてください。なぜなら、崖を支える石垣等が崩壊する恐れがあるからです。
例えば、建物の隣地に川が流れている場合、石垣で崖を支えていることがあります。崖は災害時に崩壊するリスクがあり、安全面で不安が残ります。
そのため、隣地が崖の中古物件は危険があることを理解しておきましょう。また、過去に崖が崩れたケースが無いのか、確認してください。場所によっては、崩れやすい場所の可能性もあるでしょう。
⑨地盤沈下している
地盤沈下している中古物件は、購入しないようにしてください。なぜなら、地盤沈下している物件は安全性に問題があるからです。
例えば、建物構造の強度がある場合であっても、地盤沈下していると建物が傾く可能性があります。さらに、建物の傾きによって体調に悪影響を及ぼすリスクもあります。
そのため、中古物件を購入する際は地盤沈下について確認しましょう。仮に分かりにくい場合は専門家に依頼し、調査してもらうことをおすすめします。
➉災害の危険地域
災害の危険地域にある中古住宅は、注意する必要があります。災害の危険地域にある場合、住宅が損壊するだけではなく、住人の命に危険を及ぼすリスクがあるからです。
例えば、建物の近くに大きな川がある場合、大雨で氾濫する可能性があります。また、建物の裏側に山がある場合は土砂崩れのリスクがあるでしょう。
中古住宅を購入する場合はハザードマップ(※国や自治体が作成したもの)を確認し、リスクが高い地域を避けましょう。
⑪前面道路の所有者が不明
前面道路の所有者が不明な物件は、注意しなければなりません。なぜなら、道路が破損した際に勝手に補修することができないからです。また、ガス管や水道管の掘削時に許可が取れません。
例えば、何かしらの理由で道路が破損した場合、簡単に補修できません。将来、道路の所有者が判明した際に費用を請求されることもあります。
そのため、中古物件を購入する際は道路の所有者の有無を確認してください。また、不動産屋に確認すると素早く把握できるでしょう。
⑫再建築不可
再建築不可の中古物件は、購入を控えるべきでしょう。なぜなら、原則的に建て替えができずに修繕しながら維持する方法しかないからです。
将来的に築年数が古くなった場合、劣化したとしても建て替えができません。また、土地等の資産価値が落ちてしまいます。再建築不可の理由としては、「道路に2m以上接道していない」や「建築基準法で認められない」などが挙げられます。
中古物件を購入する方は再建築不可なのか、確かめることが大事です。
⑬境界線でもめている
境界線でもめている物件は、注意する必要があります。隣接した住人との仲が悪くなり、苦痛な日々を送らなければならなくなるからです。
例えば、境界線が原因でトラブルになった場合、その後も気まずい関係が継続します。また、購入者は精神的なストレスが溜まり、体調を崩すことも起こり得るでしょう。
そのため、物件を購入する前に土地の境界線を確認してください。境界線が分かりづらい時は、不動産屋に確認し、明確にしましょう。
⑭水道・下水・ガス(ライフライン)の配管が、隣接地から引き込まれている(又は隣接地の配管が敷地下に埋設されている)
水道・下水・ガス(ライフライン)の配管が隣接地から引き込まれている中古物件は、慎重に検討しなければなりません。なぜなら、隣人とのトラブルが起こる可能性があるからです。
例えば、配管の工事をする場合、隣人に十分な説明をしなければクレームにつながることがあります。また、スムーズに工事が進まないケースもあるでしょう。
そのため、中古物件を購入する際は事前に水道・下水・ガス(ライフライン)の配管を確認しておく必要があります。
その他の注意点
上記では買ってはいけない中古住宅を建物と土地に分け、見てきました。最後にその他の注意点として、以下の項目に注意が挙げられます。
- 騒音や振動はないか
- 日当たり、風通しは良いか
- 治安の良し悪し
実際に現地へ足を運び、自ら確認することをおすすめします。確認した結果、不明点がある場合は不動産屋の担当者に質問し問題を解決してください。
騒音や振動はないか
1つ目は、騒音や振動の有無の確認です。なぜなら、壁やコンクリートにひびが入ったり、体調に崩したりと悪影響を及ぼす可能性があるからです。
例えば、前の道路の交通量が多い場合、騒音や振動の影響を受けやすくなります。また、何かしらの工事が多い場所でも影響を受けやすく、建物や身体に悪影響を及ぼすことがあるでしょう。
そのため、内見の際に建物だけではなく、周囲の状況を確認してください。不動産屋に詳しい状況を聞く方法も有効な手段です。
日当たり、風通しは良いか
2つ目は、日当たりや風通しの良さについてです。生活環境によって、日常生活に支障をきたしたり、建物にひびが入ったりと悪影響を及ぼすからです。
例えば、日当たりが良くない生活環境の場合、体調不良に陥ることがあります。また、風通しが良くない状況も重なると、湿気により建物の劣化につながります。
そのため、内覧をする際は日当たりや風通しの良さを確認してください。内覧者は時間帯をずらしながら、数回ほど足を運びましょう。
治安の良し悪し
3つ目は、治安の良し悪しについてです。住む地域によって、トラブルに巻き込まれるリスクがあります。
例えば、物件の近隣でトラブルが多い場所では、何かしらの理由で巻き込まれる恐れがあります。さらに、危険な目に遭うリスクもあるでしょう。
そのため、内覧の際には周囲の治安についても確認してください。確認する方法としては、不動産屋に確かめたり、知人から情報収集したりすると良いでしょう。また、インターネットを利用する方法もあります。
事故物件
事故物件の中古住宅は、購入するべきではありません。なぜなら、近隣の住人と良好な人間関係を築けないことがあるからです。また、親族や友人も事実を知ることで、避ける可能性があるでしょう。
例えば、過去に何かしらの理由で事故物件になっている場合、近所の住人は明確な理由を知っており、避ける住人もいます。そのため、中古住宅を購入する際は事故物件の有無を確認することが大事になります。
事故物件の有無は物件の詳細が記載された資料を見たり、不動産屋の担当者に聞いたりすると確認できます。
物件選びに失敗しないための事前の準備について
物件選びを行う際は、失敗しないために事前の準備が大事になります。なぜなら、内見当日に気になる点を把握した上で、購入手続きに進めるからです。
事前に準備することについては、「チェックリストを用意する」・「知識ある友人や知人に同行してもらう」・「ホームインスペクションを利用する」の3つが挙げられます。チェックリストは、さまざまな場面で活用できるため便利です。リストを作成する際には、メモ帳やスマホのアプリを活用してください。
上述になりますが、ホームインスペクションは、ホームインスペクター(住宅診断士)が第三者の立場で住宅の状況等を見極め、的確なアドバイスを行うことを指します。購入を検討している物件がある場合、ホームインスペクションを利用することで、ひびや建物の傾きなど現在の状況を把握することが可能です。ぜひ業界No.1の実績がある弊社をご検討いただけると幸いです。
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さくら事務所は、国内におけるホームインスペクション普及のパイオニア的存在であり、これまでご依頼実績は業界No.1(累計67,000件超)、満足度98%(Google口コミ☆4.8)と非常に有り難い評価をいただいております。
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