現役パパママホームインスペクターが子育てしやすい住まいのポイントを紹介!

  • Update: 2023-03-29
現役パパママホームインスペクターが子育てしやすい住まいのポイントを紹介!

4月から新生活を迎える方も多いのではないでしょうか。特にお子様を育てていらっしゃるご家庭では、例えば保育園・幼稚園に、また小学校・中学校など学校へ進学するタイミングでもあると思います。新たな生活に入るタイミングだからこそ、ここで今一度子育てしやすい住まいのポイントを確認・整理してみました。いま子育て真っ只中のプロが、子育てしやすい住まいのポイントについてご紹介します。子育て世代のご家庭にはぜひ参考にしていただければと思います。

事故やトラブルが起きがちなところとは

子どもは赤ちゃんのときから好奇心旺盛にいろいろなものに興味を持つものです。特に自分で歩けるようになった後の子どもは、身の回りに潜むキケンなどわかるわけもなく、「見たい!」「触りたい!」と向こう見ずに動いてしまいます。

 

もちろん子どもの性格や行動力にもよりますが、思ってもみない行動で子どもがケガをしたりトラブルになったりすることがありますので、注意しておきましょう。

 

例:鍵のつまみ(サムターン)を回したくなる

トイレや洗面室のドアに取り付けられている鍵は、子どもの手が届く高さにあり、なおかつ「カチッ」と回す手ごたえも感じられるため、回してみたくなる子どもが多いようです。

 

「子どもがトイレの内側から鍵をかけて開けられなくなった!」

「浴室の内側から鍵をかけて開けられなくなった!」などのトラブルは多く耳にします。

 

言葉で説明しても、どうして閉まったのか理解できない小さな子どもは、言われていることが理解できずうまくできないことが多いと思います。

 

こういったときに備えて確認しておきたいのが、浴室やトイレ、洗面室のドアの鍵が、外側からコイン(10円玉や100円玉など)を差し込んで開けられる製品かどうか。外側からコインで回せる場合は、たとえ子どもが鍵を閉めた場合でも、大人が開錠できるので安心です。

ドアカギが外側から開けられない製品だった場合は、子どもが成長するまで、トイレ内側のつまみが回らないようカバーを取り付けるなどしておくといいでしょう。

 

玄関ドアのサムターンは特に注意

なお、特に注意が必要な鍵は、玄関ドアの鍵(つまみ・サムターン)です。

ちょっと郵便を取りに、一瞬外に出たところ、子どもが好奇心でサムターンを回してしまい、大人が家から閉め出されてしまった・・・ということがあり得ます。

 

マンションの場合、玄関ドア以外から中に入れない間取りの場合も多く、玄関ドアの鍵を開けることでしか宅内に入る方法がないことも。

 

また閉め出された場合、家の中にいる子どもに言葉でサムターンを開けるよう伝えても、最近の玄関ドアのサムターンは、不正侵入を防ぐため、飛び出たボタンを押しながら回さないと動かないロック機能つきなど、動かすのに少し工夫が必要な製品が増えています。そのため子どもがサムターンに手をかけているのに、ドアを開けられないケースもあります。

子どもがつまみを回すことに興味を持ち始めたら、玄関ドアから外に出るときは、どれだけ一瞬でも鍵をポケットに入れて外に出るか、ドアが閉まってしまわないよう取り外しが簡単なストッパーをドアに挟むなどして対策しましょう。

 

知らぬ間に背が伸びていて起きるトラブル・キッチンのリスク

そもそもキッチンに子どもが入らないように、ベビーゲートを出入口に取り付けている方もおられると思います。逆に取り付けておらず、子どもがキッチンに立ち入れる場合には、調理中の包丁(+まな板)を置く位置に注意しましょう。

 

お父さんやお母さんは調理中、まな板と包丁は、自分の体に近い方が切りやすいのでカウンター手前側の端に寄せて置き、調理する方が多いと思います。

コンロを含むキッチンカウンターの高さが床から75センチ~90センチくらいの場合、3~4歳くらいの子どもだと、まだカウンターの上を直接見ることはできません。

 

ちょっと手を止めてトイレに行くなどキッチンを離れた隙に、小さな子どもがキッチンに入ってしまったら・・・。小さな子どもの目線ではカウンター上がまったく見えないため、自分の頭越しにちょっと見えているまな板の端や包丁の柄を万が一引っ張ってしまうことがないとも限りません。まな板が落ちてくれば上に載せている包丁も一緒に落下して非常に危ないのです。

 

ですから、子どもの身長が伸びてカウンター上にある危ないものが見えるようになるまで、キッチンには入口にゲートを取り付けておくのが安心です。もしゲートを取り付けられない場合は、調理中にキッチンを少しでも離れるときには、まな板と包丁は壁側に寄せて万が一子どもの手が届かないようにしておきましょう。

部屋数が足りない!リフォーム?住み替え?

子どもがまだ小さいころでも、先々、一人一部屋を用意するかどうか迷うご家庭も多いのではないでしょうか。

 

子どもが2人いる場合、子ども2部屋、親御さん1部屋を割り当てるなら3LDK以上が必要となりますが、利便性が良い地域で、特にマンションを選ぶ方は、選択肢が2LDKになってしまうこともあると思います。

 

また、小さな子どもがいるご家庭では「今は子どもがリビングで遊んで寝室も一緒だからいいけど、もう少しすると手狭になってしまう」と、間取りは、住み替えを検討する理由にもなることがあります。

 

仮に75平米、3LDKの住戸が4000万円だった場合、6畳の個室は、広さで単純計算すれば約520万円分(6畳=1.62平米)。1部屋の値段はなかなか大きなものです。

 

なお、2LDKを3LDKなどに変更する場合、外から採光しようとすると、もともとの窓の数・位置に合わせてしか壁を作れないため、部屋数は増えても、ドアを閉めると自然採光は取れない「無窓居室」とするケースも多いでしょう。

 

そんな、「部屋数が足りない」を根本から解決するには住み替えやリフォームを選択することになりますが、「個室」である必要がない場合は、家具を利用して「独立感」「個室感」を作る選択肢もあります。

 

子ども専用で必要なスペースは、小さなときは「衣類や勉強道具・おもちゃをしまう場所」「寝るところ」、小学生以上になると「集中して勉強できる場所」となりますが、これらをまとめて叶えてくれるのは「ロフトベッド」です。

ベッドの下にデスクと箪笥を置けるため、ベッド+収納+勉強スペースが約2メートル×1メートル程度のスペースで納まります。

 

子どもが複数いらっしゃるご家庭では二段ベッドを置き、デスクを2つ並べることでも同じ床面積の使い方にはなりますが、ロフトベッドの場合、コンパクトなスペースでも「自分専用の居場所」という雰囲気が出るのがポイントです。

 

扉や壁がなく個室ではないものの、「お子さん専用スペース」を作ってあげられます。

 

なお、テレワーク導入が進み、「リビングの一角ではなく、少しでもいいから自分専用デスクが欲しい」という方も、ロフトベッド+下にデスクという家具の置き方に変更することでプチ書斎を作ることができます。

 

広さ・間取りを求めて住み替えやリフォームを考えるとき、家具を活用して上下の空間を使うことも一度検討してみてはいかがでしょうか。

壁に落書きされた!どうしたらいい?

未就学児がいるご家庭では、目を離したすきに子どもが壁に落書きをしてしまった・・・ということは珍しくないのではないでしょうか。

 

鉛筆などで少し書かれた場合は、消しゴムやメラミンスポンジなどで壁紙表面が削れない程度に優しくこすったり、中性洗剤を少し使って拭いたりすると取れることがありますが、油性など汚れを取りづらいペンを使われたり、大きな面積で書かれてしまったときは、もとのキレイな状態に戻すのは簡単ではありません。

壁紙を張り替える選択肢も頭に浮かびますが、自分で壁紙を張り替えるのはとても大変で綺麗に仕上げられないかもしれません。また、リフォーム会社に壁紙の張替えを頼むのも、その一部分だけのために数万円かけることには躊躇するでしょう。

 

そうすると、残った手段は「落書きを隠す」になりますが、その方法は主に2つあります。

 

1つ目は、額を壁に掛けたりして、その下の落書きに目が行きづらくなるようにする方法です。印刷した写真や、お子さんが書いた絵などを100円ショップの小さな額に入れ、それをいくつか掛けていくと、汚れ隠しではなく意図的な見せ場に変身します。

 

2つ目は、壁全面ではなく、一部だけに壁紙を「アクセント」として重ねて貼る方法です。落書きされた位置や大きさにもよりますが、10センチ前後の幅の「トリム(トリムボーダー)」と呼ばれる帯状の壁紙を床と水平に貼ると、デザインのように見せることができます。

 

DIYしやすいシールタイプの貼って剥がせるトリムボーダーも売られていますので、気軽に試せるのがこの方法の良いところです。

 

なお、落書きの面積が大きいときは、トリムより貼る手間はかかりますが、その位置から下半分または上半分に壁紙を重ねて貼り「アクセントクロス」のように見せるという方法もあります。

 

ここからはイクメンホームインスペクターの視点で住まいのチェックポイントについてご紹介します。

子どもの事故予防について

ベランダやバルコニーからの転落事故の防止

まずマンションや戸建ての1階以上の部分で気をつけたいのは、ベランダやバルコニーからの転落事故です。

チェックポイントとしては、ベランダやバルコニーの手すりが危険な状態になっていないかのチェック。また子どもの転落防止のため、室外機は少なくとも手すりから60cm以上離すことを推奨します。

 

腰窓からの転落事故の防止

ベランダやバルコニーからの転落の他にも腰窓からの転落も気をつける必要があります。

チェックポイントとしては、腰窓の近くに子どもが登れてしまうような家具を置かないように工夫したり、もしもやむを得ない事情で家具を置く必要性がある場合は、子どもの転落防止の観点から、窓が全開にならないようにストッパーを付けることを推奨します。

 

ブラインドなどのヒモに子どもの首が絡む窒息を防止

転落以外でも気をつけたいポイントは他にも多くあります。ブラインドなどのヒモに子どもの首が絡む窒息もそのひとつです。

チェックポイントとしては、まず子どものクビに絡まないようにヒモを短くしておくこと。またあらかじめ力を入れると、ヒモが外れるタイプにあらかじめ変更しておくことも大事です。

 

ドラム式洗濯機の中に子どもが閉じ込められる事故に注意

ドラム式洗濯機を使用している場合、万が一子どもが中に入ってしまうことを想定しなければいけません。

チェックポイントとしては、洗濯後はドラム式の扉は開けておかずに必ず閉めることを心かげることと、そもそも洗濯機はドラム式ではなく縦型にすることも検討の余地があります。

 

浴槽に残り湯を溜めると子どもが入って溺れる危険性がある

意外だと捉えられるかもしれませんが、危険性は捨てきれません。そのため子どもが小さなうちは残り湯は溜めないことを推奨します。

 

大開口のガラスは、子どもが目測を誤って衝突する可能性がある

ガラスへの衝突対策としては、ガラスに衝突防止のシールを貼って対策することが望ましいです。

 

コンセントにはカバーを付ける

子どものハイハイ時期は、子どものちょうど目の高さにコンセントがあり、それが気になって遊んだり穴になにか突っ込んだりする危険性があります。そのため子どもが小さいうちはコンセントにカバーを付けることで不慮の事故を抑止しましょう。

 

そのほかにも以下のようなことが考えられますので、それぞれ出来る範囲で対策をしておくことを推奨します。

・扉のアンダーカットに子どもの指が挟まって骨折する危険性

・洗剤や裁縫道具、電池は子どもの手が届く範囲に置かないように工夫する

・子どもがつかまり立ちを始めたときは、壁の突起物(フック)などでけがする可能性があるので要注意

・窓の指詰め防止機能は必ず使用する

・テレビが低い位置にあると、つかまり立ちの時に倒される危険性がある

 

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

もしこのコラム内で挙げたポイントのひとつでも該当された方は、今からでも対策していただくことをおすすめします。何もなければそれでよく、何かが起きてからでは遅いわけですから、少しでもこれからの生活を豊かに送るためにお役立てれば幸いです。