戸建て住宅の寿命は何年?構造別の耐用年数や長寿命化のコツを紹介

  • Update: 2022-11-28
戸建て住宅の寿命は何年?構造別の耐用年数や長寿命化のコツを紹介

戸建て住宅を購入する際に「建物の寿命はどれくらいあるのだろうか」と疑問に思う人や「今住んでいる戸建て住宅はあと何年安心して住めるのか」気になる方も多いでしょう。少し前の住宅は「20~30年が寿命」と言われていました。しかし、近年は住宅の品質が向上したため「入居後の使い方によって寿命は決まる」というのが常識になりつつあります。

そのため、住宅を長持ちさせたいのであれば、事前に長寿命化のコツを抑えておくことが大切です。

そこで本記事では、構造別に戸建て住宅の寿命を紹介します。住宅の寿命を延ばすコツも紹介しているので、併せて参考にしてみてください。

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戸建て住宅の寿命

まずは、戸建て住宅の寿命について確認しましょう。リフォームの有無によって寿命がどのように変化するのかも併せて解説します。

住宅構造別の寿命

住宅の寿命は、構造によって異なります。住宅構造別の寿命の目安は以下のとおりです。

住宅構造 寿命の目安
木造 30~80年
鉄筋コンクリート造(RC造) 40~90年
鉄骨造 30~60年

表を確認するとわかるように、寿命の目安には大きな開きがあります。これは、設計や住み方によって、寿命が変化するためです。また、住み続けられる住宅であっても、築30年前後で解体されるケースも珍しくありません。

メンテナンスをした場合の住宅の寿命

木造の住宅は定期的なメンテナンスをしなければ、寿命は30年程と言われています。しかし、定期的にメンテナンスを行ったり、不具合が生じた箇所をリフォームしたりすれば、80~100年ほど住み続けることも可能です。

メンテナンスは、築年数が浅いうちから定期的に行うことが大切です。何か不具合が見つかったら、早急に対処しておきましょう。早いうちから対応しておけば、修繕費を最小限に抑えることにもつながります。

住宅性能表示制度を参考にできる

戸建て住宅の寿命を図るには、住宅性能表示制度を活用するといいでしょう。住宅性能表示制度とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて制定された制度のことです。新築住宅が持つ基本性質に共通の基準を設けて、第三者が明確に判断できるようにと制定されました。

住宅性能表示制度にある項目のうち「柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)」では、住宅劣化についての対策レベルに応じて3段階の等級を設定しています。これを「劣化対策等級」と呼び、大規模改修が必要な築年数など住宅の寿命に関わる内容を把握できます。なお、各等級の目安となる築年数は以下のとおりです。

  • 劣化対策等級1:25~30年
  • 劣化対策等級2:50~60年
  • 劣化対策等級3:75~90年

最近の建売住宅は、ほぼすべてが最高等級である劣化対策等級3以上を保有しています。つまり、一般的な建売住宅の多くが寿命75~90年ほどのポテンシャルを持っているのです。

戸建て住宅を長寿命化させるコツ

戸建て住宅を長持ちさせるためには、メンテナンスとリフォームを定期的に行わなければいけません。良い状態を少しでもキープすることで、住宅の寿命を延ばせます。つまり、住宅を資産として大切にすれば、長寿命化が期待できるでしょう。

ここでは、戸建て住宅を長寿命化させるコツを紹介します。

メンテナンスサイクルの考え方

建物は劣化状況に応じて、部位ごとにメンテナンスをすることになりますが、一般的には15年ごとのサイクルが目安とされています。

つまり、15年・30年・45年・60年のタイミングで、必要なメンテナンスを計画的に実施することが重要になり、60年が経過する頃には、大規模なリフォームがともなうメンテナンスが必要になる可能性が高くなります。

そのときには、建て替えるのか、あるいはリフォームするのかという判断を迫られるタイミングになるでしょう。

過去には、建て替えをするかどうかの判断をするタイミングといえば30年程度を目安にすることが一般的でした。しかし、現在の住宅の性能であれば、30年程度ならリフォームをすることで住み続けることが十分可能です。とはいえ、メンテナンスを継続して実施することは必要で、そこにコストをかけることが長寿命化するうえでポイントになるでしょう。

メンテナンスとリフォームにかかる費用相場

必要なメンテナンスやリフォームは、築年数によって異なります。ここでは、築15年・30年・45年・60年の4段階に分けて、メンテナンスやリフォームの必要箇所や費用の目安について解説します。なお、住宅の状態や工事内容によって費用が大幅に変わる可能性もあるため、参考程度にご覧ください。

◆築15年の場合

築15年の場合は、外壁や屋根をはじめ、雨風にさらされる場所に傷や汚れが目立つ頃です。この時期にお手入れを行っておくと劣化のスピードを抑えられるため、出来る限りのメンテナンスをしておきましょう。

工事内容 費用
外壁(シリコン系塗料など) 約100~130万円
屋根 約35万円
クロスの張り替え 3~6万円
キッチンの交換(入れ替え費用のみ) 40万円

◆築30年の場合

築30年になると、大幅なリフォームを検討する時期です。構造部分をはじめ、住宅の劣化が気になるでしょう。今までどれくらいのメンテナンスを行ってきたかによって、必要なリフォームも異なります。

工事内容 費用
ユニットバスの交換 約90万円
洗面化粧台の交換 約15万円
外壁や屋根の塗装 約110万円

◆築45年の場合

築45年になると、さまざまな箇所の修繕が必要となります。現行の新耐震基準に該当していないため、安全性も考慮すべきでしょう。

工事内容 費用
耐震改修 25~200万円
外壁 50~350万円
トイレの交換 15~60万円
バリアフリー 1~60万円

◆築60年の場合

築60年になると、全面的なリフォームを実施する場合が一般的です。床や壁、天井などをすべて取り払って間取りから造り直す「スケルトンリフォーム」を行う人も多いでしょう。費用は大きくかかるものの、ライフスタイルに合わせた間取りに変えられたり、耐震性の高い住宅へと進化させたりできます。

工事内容 費用
耐震補強 150~300万円
スケルトンリフォーム 1,000~1,500万円

戸建て住宅の長寿命化にはホームインスペクションが不可欠

戸建て住宅の寿命を延ばしたいのであれば、ホームインスペクションを活用しましょう。ホームインスペクションとは、建物に精通した専門家が住宅を診断するサービスのことです。

戸建て住宅の約8割は、新築の施工時に不具合が生じているとの報告があります。実際に弊社の内覧会同行サービス(引渡し前チェック)でも、給水管の水漏れにより水たまりや換気扇ダクトのつけ忘れ、断熱材の外れといった不具合が見つかっております。

弊社のホームインスペクションでは、現時点で発生している修繕箇所の指摘だけではなく、将来改修すべき箇所やその時期、費用などの具体的なアドバイスも可能です。物価価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジができるため、ぜひご利用を検討してみてください。