木造住宅の耐用年数!建売住宅の寿命や長寿命化のコツも紹介

  • Update: 2022-11-24
木造住宅の耐用年数!建売住宅の寿命や長寿命化のコツも紹介

「木造住宅の寿命ってどれくらい?」

戸建住宅の購入や売却を考えるときに、頭をよぎるこんな疑問。世間では20~30年程度という漠然としたイメージが定着していますが、実はこの数字、課税や融資など政策上の「法定耐用年数」が独り歩きしたものであって、建物の実際の「寿命」ではないことをご存じでしたか。

  • 耐用年数とはなにか?
  • 具体的にどれくらいの寿命が期待できるのか?
  • どのように扱えば長寿命化が図れるのか?

今回はおもに、木造住宅の3つの疑問についてご説明したいと思います。とくに、長寿命化には欠かせない「ホームインスペクション」の重要性について、ぜひ参考にしてください!

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木造住宅の耐用年数とは

建物を評価する際に重要視される耐用年数ですが、まずは耐用年数の定義――「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」について、詳しくみてゆきましょう。

法定耐用年数は22年

一般にいう耐用年数は、厳密には「法定耐用年数」といいます。これは、課税の公平性を担保するための税法上の指標です。

法定耐用年数は、建物の構造・用途・規模に応じた期間が規定されており、木造住宅は新築から22年となっています。

固定資産である建物も、時間の経過とともに価値が失われる「減価償却資産」とみなされ、法定耐用年数に基づく減価償却費、すなわち資産の価値に応じて、課税額が算定されます。
これまでは、住宅ローンの担保価値を評価する際には、法定耐用年数が考慮されていましたが、2022年の税制改正により”事実上撤廃”となりました(*1)。

このほか、耐用年数に達するまでは、所有した建物を賃貸する場合に減価償却資産として経費に計上することができます。

(*1)長嶋修「住宅ローン控除「築年数緩和」の重すぎるリスク――築年数要件は事実上撤廃、中古の利点と問題点」東洋経済ONLINE(2022/2/18)

物理的耐用年数に明確な定義はない

物理的耐用年数は、経年劣化をする建物の主要構造材(柱や梁など)が、本来の性能を維持できる期間です。

木造住宅の劣化を促す要因には、施工技術の精度、木材の品質、雨水・湿度・大気中の汚染物質・害虫といった気候や環境のほか、メンテナンスの状況などがあげられます。このため、立地や施工の条件が異なる建物に、物理的耐用年数という一律の指標を設定するには限界があり、あくまでも目安として捉える指標になります。

物理的耐用年数の捉え方は幅広く、明確な定義は曖昧なのが実情です。むしろ、日常的なメンテナンスによって、物理的耐用年数はいくらでも延伸できるという専門家の指摘もあります(*1)。

(*1)小松幸夫「建物の寿命と耐用年数」『鑑定おおさかNo.46』(大阪府不動産鑑定士協会、2016年3月)

経済的耐用年数は20~25年

経済的耐用年数は、不動産市場で建物の資産価値を維持できる期間です。新築されてからこの期間内に売買が成立すれば、建物の価格が不動産評価額に反映されやすくなります。

不動産鑑定では、木造住宅の経済的耐用年数を、法定耐用年数に基づき20~25年程度とし、築25年を超えると評価額はゼロと査定するのが慣例化しています。この背景には、築20年を超えた木造住宅は担保価値が失われ、住宅ローン控除や登録免許税軽減の適用外になることがありました。

しかし、経済的耐用年数は、立地や間取り、デザイン、仕様、メンテナンスの状況なども含む指標であるため、税法上の法定耐用年数をベースにした指標でありながら、市場の需要に応じて変動する要素をもちあわせる点に特徴があるともいえます。

2022年の税制改正では、法定耐用年数に関わらず、中古住宅の住宅ローン控除の適用範囲が緩和されましたが、これにともなって経済的耐用年数にも影響が及ぶものとみられます。

このように、一概に耐用年数といっても、視座によって定義がさまざまであることをご紹介しました。とくに、法定耐用年数は、実際の建物の使用可能期間とは無関係であり、建物の寿命は、物理的耐用年数に相当することが、おわかりいただけたかと思います。

では、次に木造住宅の寿命についてみてみましょう。

木造住宅の平均寿命は65年以上

建物の寿命に関するある調査研究によると、2011年における木造住宅の平均寿命は「65年」という報告があります(*1)。ただし、この調査では、寿命の定義を「ある建物が竣工してから解体されるまでの時間」としており、物理的耐用年数とは完全に一致するものではありません。

しかし、同調査では1977年および2006年との比較で、平均寿命が増加傾向にあることを示し、2011年調査では1997年調査に比べて、寿命が20年以上も延びていることを明らかにしています。現在も、建築技術や品質管理の向上にともない、物理的耐用年数は長期化しているのは事実です。

こうした建物の長寿化を助長した背景のひとつが、2000年から開始された国交省の「日本住宅性能表示基準」制度です(*2)。現在は、建売住宅のほとんどにこの制度が適応されており、主要構造材の劣化を軽減する基準「劣化対策等級」は、75~90年の寿命を保証する最高等級3を獲得しています。

(*1)小松幸夫「建物の寿命と耐用年数」『鑑定おおさかNo.46』(大阪府不動産鑑定士協会、2016年3月)

(*2)「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、10分野(34事項)の評価方法基準に則って、住宅の性能を第三者が一律に評価・保証できる仕組み

近年の建売住宅が数多く満たす『フラット35S(金利Bプラン)基準』

フラット35Sは、全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」の制度の一つであり、省エネルギー性など技術水準のレベルが一定以上の住宅を購入するときに利用することができます。

要するに、この基準を満たしている住宅は長寿命に係わる性能が高く、この基準をひとつの目安にすることで、建売住宅を効率的に選択できるようになり、購入後に後悔するようなことも減らせます。

フラット35S(金利Bプラン)」の基準は6項目あり、そのなかに「劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅」が含まれています。

近年の建売住宅では「フラット35S(金利Bプラン)」の基準を満たすものも多く販売されてことからも、長寿命化の傾向にあることがわかります。

建物の平均寿命について

国土交通省から、建物の平均寿命に関する興味深いデータが発表されています。このデータには、2013年に早稲田大学の小松幸夫教授によって発表された論文「建物の平均寿命実態調査」から、木造住宅における平均寿命の過去の調査結果との比較について記載があります。
この調査結果とは以下の通りです。

平均寿命の過去の調査結果と比較

このデータからもわかるように、木造住宅の平均寿命は徐々に延びていることがわかります。

複数検査の実施

住宅建築において複数の検査が実施されるようになったことが、品質を確保するうえで有効に働いているといえます。

まず、建築基準法に基づき行政やあるいはそれに代わる指定確認検査機関によって「中間検査」「完了検査」が実施されます。

建築の流れ

そしてこれら検査に合格することで、「中間検査合格証」や「検査済証」が交付されるなど、いわゆる「違法建築」による住宅はつくれない仕組みとなっているのです。

また、住宅会社が瑕疵担保責任保険へ加入する際には保険法人によって「基礎検査」「構造体検査」が実施されます。

基礎配筋工事_構造体検査

その他にも社内検査が独自に行われるなど複数の検査が実施されるため、一定の品質は得やすい環境にあるといえるでしょう。

ただし、地域によっては建築基準法に基づく「中間検査」は不要とされていたり、また瑕疵担保責任保険に加入しないケースもあったりする点では注意が必要です。
また、隠れて見えなくなる部分についてのチェックは難しく、第三者性の観点からリスクが潜んでいる住宅があることは知っておくとよいでしょう。

建売住宅を長寿命化するためのコツとは?

チェックポイント

建売住宅の寿命を左右する要素として非常に大きな意味を持つのは「メンテナンス」です。
建物のメンテナンスを行うことで長寿命化が図れ、一方行わなかった場合には60年という寿命は期待できないでしょう。

ちなみに建売木造住宅で必要となるメンテナンス費用をご紹介すると、おおむね以下のような目安となります。

  • 30年:850万円程度
  • 50年:1,100万円程度

メンテナンスサイクルの考え方

建物は劣化状況に応じて、部位ごとにメンテナンスをすることになりますが、一般的には15年ごとのサイクルが目安とされています。

つまり、15年・30年・45年・60年のタイミングで、必要なメンテナンスを計画的に実施することが重要になり、60年が経過する頃には、大規模なリフォームがともなうメンテナンスが必要になる可能性が高くなります。

そのときには、建て替えるのか、あるいはリフォームするのかという判断を迫られるタイミングになるでしょう。

過去には、建て替えをするかどうかの判断をするタイミングといえば30年程度を目安にすることが一般的でした。しかし、現在の住宅の性能であれば、30年程度ならリフォームをすることで住み続けることが十分可能です。とはいえ、メンテナンスを継続して実施することは必要で、そこにコストをかけることが長寿命化するうえでポイントになるでしょう。

建物の寿命を縮める原因「雨漏り」

木造住宅にとって水分は大敵で、カビの発生や木材の腐朽につながる原因になります。
とくに気を付けておきたいのは雨漏りで、木造住宅において雨漏りが発生すると致命的なダメージを受けてしまうため十分な注意が必要です。

築30年で全体の40%が雨漏りに

さくら事務所の過去のデータから雨漏りの発生率を見てみると、築5年あたりから増え始め、30年を経過する頃には全体の40%程度に達していることが明らかとなっています。

築5年で雨漏りがあるという点は、不思議に感じる人もいるかもしれません。
これは、新築当初からすでに雨漏りがあり、5年程度を経過して表面化したと考えられるのではないでしょうか。

雨漏りは、発生してすぐに現れるとは限らず、時間をかけて表面化することは珍しくありません。そのため、気が付いたときには被害が甚大なものになっていることもあるのです。
ただし、新築時に発生する雨漏りは、完成した後に確認することは難しく、工事中のチェックが重要なポイントになります。

瑕疵担保責任の期限が切れる前の9年目が要チェック

また、雨漏りについてもうひとつ重要なポイントとなるのが、瑕疵担保責任の期限が切れる前の9年目のチェックです。
瑕疵担保責任とは、欠陥や不具合が見つかった場合に売主が負わなければならない責任のことで、法律により引き渡しから10年間を保証期間として定められています。
つまり瑕疵担保責任の及ぶタイミングで雨漏りが発見できれば、売主の責任で修理してもらえるというわけです。
これが例えば11年目に発見された場合、高額な修理費用を自己負担しなくてはいけないことにもなりかねません。

新築でも8割に欠陥!ホームインスペクションで漏れのない調査を

中古住宅の購入の際は、ホームインスペクションのご検討を!

ここまで、建売住宅の寿命についての解説をしてきましたが、皆さんに改めてご理解いただきたいことは、「そもそも新築だから施工ミスはゼロ」といった事実はないことです。

私達さくら事務所が提供している新築工事チェック(建築途中検査)サービスでは、建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が工事段階から複数回の検査を行いますが、2019~2020年にかけて、大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く集計・分析した結果、おおよそ8割近くで不具合が発生していることがわかっております。

また、住宅完成後の内覧会同行(引渡し前チェック)サービスでも、給水管水漏れによる床下の水たまりや、換気扇ダクトの付け忘れ、断熱材の外れなど、新築でも施工不良は多く見られるなど、おそらく多くの人が新築に抱くイメージとは大きくかけ離れた施工状況だと予想されます。

ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの改修アドバイスまでサービスに含まれ、物件価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジができるため、ご利用の検討を強くおすすめしております。

新築住宅の場合、インスペクションを入れるベストなタイミングは『申込み後~契約前』となり、他の時点でも入れることは可能ですが、注意点も多いため、お急ぎの方はまずは一度お問合せください。

業界No.1!経験年数20年以上のプロ集団が提供

さくら事務所は、国内におけるホームインスペクション普及のパイオニア的存在であり、これまでご依頼実績は業界No.1(累計57,000件超)、満足度98%(Google口コミ☆4.8)と非常に有り難い評価をいただいております。

弊社理念の核でもある「第三者性・中立性」を保持しながら、建築・不動産・防災・マンション管理など、あらゆる難関資格を持つメンバーが連携、サービスご利用後にもあらゆる住まいのご相談に対応するための「永年アフターフォローサービス」もご用意これから暮らす住まいの安心に加え、心強い建築士と末永いお付き合いをいただける内容となっております。

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