木造住宅の耐用年数!建売住宅の寿命や長寿命化のコツも紹介

  • Update: 2024-06-20
木造住宅の耐用年数!建売住宅の寿命や長寿命化のコツも紹介

「木造住宅の耐用年数ってなに?」

「木造住宅は長く住み続けられるのだろうか?」

木造住宅を購入予定の方の中には難しい言葉がわからず、不安に思うこともあるはずです。実際、耐用年数と寿命の違いが把握出来ずに、混乱している方もいるでしょう。

なお、木造住宅の寿命はメンテナンス次第で延ばすことが可能です。しかし、その事実を知らないまま過ごしていると、後悔したり早いタイミングでの建て替えが必要になったりします。

そこで本記事では、木造住宅における耐用年数の概要や寿命との関係性を解説します。寿命を延ばす方法や建て替えの判断基準についても解説しているので、併せて参考にしてください。

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木造住宅の耐用年数は3種類

建物を評価する際に重要視される耐用年数ですが、まずは耐用年数の定義――「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」について、詳しくみてゆきましょう。

法定耐用年数

一般にいう耐用年数は、厳密には「法定耐用年数」といいます。これは、課税の公平性を担保するための税法上の指標です。

法定耐用年数は、建物の構造・用途・規模に応じた期間が規定されており、木造住宅は新築から22年となっています。

固定資産である建物も、時間の経過とともに価値が失われる「減価償却資産」とみなされ、法定耐用年数に基づく減価償却費、すなわち資産の価値に応じて、課税額が算定されます。 これまでは、住宅ローンの担保価値を評価する際には、法定耐用年数が考慮されていましたが、2022年の税制改正により”事実上撤廃”となりました(*1)。

このほか、耐用年数に達するまでは、所有した建物を賃貸する場合に減価償却資産として経費に計上することができます。

(*1)長嶋修「住宅ローン控除「築年数緩和」の重すぎるリスク――築年数要件は事実上撤廃、中古の利点と問題点」東洋経済ONLINE(2022/2/18)

物理的耐用年数

物理的耐用年数は、経年劣化をする建物の主要構造材(柱や梁など)が、本来の性能を維持できる期間です。

木造住宅の劣化を促す要因には、施工技術の精度、木材の品質、雨水・湿度・大気中の汚染物質・害虫といった気候や環境のほか、メンテナンスの状況などがあげられます。このため、立地や施工の条件が異なる建物に、物理的耐用年数という一律の指標を設定するには限界があり、あくまでも目安として捉える指標になります。

物理的耐用年数の捉え方は幅広く、明確な定義は曖昧なのが実情です。むしろ、日常的なメンテナンスによって、物理的耐用年数はいくらでも延伸できるという専門家の指摘もあります(*1)。

(*1)小松幸夫「建物の寿命と耐用年数」『鑑定おおさかNo.46』(大阪府不動産鑑定士協会、2016年3月)

経済的耐用年数

経済的耐用年数は、不動産市場で建物の資産価値を維持できる期間です。新築されてからこの期間内に売買が成立すれば、建物の価格が不動産評価額に反映されやすくなります。

不動産鑑定では、木造住宅の経済的耐用年数を、法定耐用年数に基づき20~25年程度とし、築25年を超えると評価額はゼロと査定するのが慣例化しています。この背景には、築20年を超えた木造住宅は担保価値が失われ、住宅ローン控除や登録免許税軽減の適用外になることがありました。

しかし、経済的耐用年数は、立地や間取り、デザイン、仕様、メンテナンスの状況なども含む指標であるため、税法上の法定耐用年数をベースにした指標でありながら、市場の需要に応じて変動する要素をもちあわせる点に特徴があるともいえます。

2022年の税制改正では、法定耐用年数に関わらず、中古住宅の住宅ローン控除の適用範囲が緩和されましたが、これにともなって経済的耐用年数にも影響が及ぶものとみられます。

このように、一概に耐用年数といっても、視座によって定義がさまざまであることをご紹介しました。とくに、法定耐用年数は、実際の建物の使用可能期間とは無関係であり、建物の寿命は、物理的耐用年数に相当することが、おわかりいただけたかと思います。

木造住宅の耐用年数=寿命ではない

木造住宅の法定耐用年数は22年であるものの、必ずしも建物の寿命と一致するとは限りません。法定耐用年数はあくまで税金を納める際に使用する基準であり、建物の寿命を算出したわけではないからです。

木造住宅の平均寿命は法定耐用年数よりも長いと言われており、メンテナンス次第でさらに延ばすことも可能です。ここでは、木造住宅の寿命について詳しく解説します。

木造住宅の平均寿命は65年

建物の寿命に関する調査結果によると、2011年における木造住宅の平均寿命は約65年でした。

この調査は寿命の定義を「建物が竣工してから解体されるまでの期間」としており、物理的耐用年数と完全に一致するものではありません。とはいえ、木造住宅の法定耐用年数よりも大幅に長く住み続けられると想定出来ます。

なお、同調査は1997年と2006年にも実施されており、それぞれの寿命は以下のように発表されています。

調査年

1997年

2006年

2011年

木造住宅の平均寿命

43.53年

54.00年

65.03年

参照:【指針参考資料1】住宅に関する価格評価手法

表を見てわかる通り、木造住宅の平均寿命は増加傾向です。現在も日々建設技術や品質管理が向上していることから、物理的耐用年数は長期化していると言えるでしょう。

メンテナンス次第で寿命は延ばせる

適切なメンテナンスを行っていると、木造住宅をはじめとする建物の寿命を延ばせます。たとえば耐久性の高い木造住宅を購入したとしても、何もメンテナンスしていなければトラブルは発生しやすいです。

ここで長期優良住宅を例にみてみましょう。長期優良住宅とは長期間にわたり良好な状態を維持できるよう、様々な基準を満たす住宅を指します。長期優良住宅は維持保全計画と呼ばれる書類の作成と計画に沿ったメンテナンスが求められます。つまり適切なメンテナンスを実施することが長期的に良好な状態を保つための前提条件なのです。

木造住宅の寿命を延ばすメンテナンスとリフォームの方法

チェックポイント

ここからは、木造住宅の寿命を延ばすために欠かせないメンテナンスの種類や注意点を解説します。メンテナンスサイクルの考え方についても解説しているので、併せてチェックしてください。

メンテナンスサイクルの考え方

建物は劣化状況に応じて、部位ごとにメンテナンスをすることになりますが、一般的には15年ごとのサイクルが目安とされています。

つまり、15年・30年・45年・60年のタイミングで、必要なメンテナンスを計画的に実施することが重要になり、60年が経過する頃には、大規模なリフォームがともなうメンテナンスが必要になる可能性が高くなります。

そのときには、建て替えるのか、あるいはリフォームするのかという判断を迫られるタイミングになるでしょう。

過去には、建て替えをするかどうかの判断をするタイミングといえば30年程度を目安にすることが一般的でした。しかし、現在の住宅の性能であれば、30年程度ならリフォームをすることで住み続けることが十分可能です。とはいえ、メンテナンスを継続して実施することは必要で、そこにコストをかけることが長寿命化するうえでポイントになるでしょう。

具体的なメンテナンスの種類

木造住宅で必要とされる具体的なメンテナンスの種類は、以下の通りです。

メンテナンス内容

修繕の目安(年数)

外壁・屋根の塗装

15

水回りの設備交換

15

ベランダの防水

15

給排水管の入れ替え

30

クロスの張替え

30

建具の張替え

30

地盤や土台、基礎の補修

45

木造住宅のメンテナンス内容と修繕の目安

メンテナンスの具体的な内容は木造住宅の状態によって異なります。上記の表を参考に、築年数ごとの目安にしてください。

ちなみに、木造住宅で必要となるメンテナンス費用の目安は以下の通りです。

  • 築30年:850万円程度
  • 築50年:1,100万円程度

とはいえ、メンテナンス内容によって費用目安は異なります。メンテナンスを依頼するまえに、見積もりを出してもらってから工事を進めていきましょう。

寿命を伸ばすなら雨漏り・水漏れには注意

木造住宅の寿命を延ばすためには、雨漏りや水漏れには細心の注意が必要です。木造住宅にとって水分は大敵で、雨漏りや水漏れによって水分が付着すると、カビが発生したり木材が腐朽したりします。

とくに建物にとって重要な構造部分の木材が腐食すると強度に影響を及ぼし、耐久性が著しく低下するでしょう。さらに雨漏りや水漏れで湿度の高い状態が続くとシロアリや害虫が発生し、建物に甚大な被害が生じる恐れが高まります。そのため、木造住宅に長く住み続けたい場合は、雨漏りや水漏れが起きないように定期的なメンテナンスが必要です。

瑕疵担保責任の期限が切れる前の9年目が要チェック

また、雨漏りについてもうひとつ重要なポイントとなるのが、瑕疵担保責任の期限が切れる前の9年目のチェックです。
瑕疵担保責任とは、欠陥や不具合が見つかった場合に売主が負わなければならない責任のことで、法律により引き渡しから10年間を保証期間として定められています。
つまり瑕疵担保責任の及ぶタイミングで雨漏りが発見できれば、売主の責任で修理してもらえるというわけです。
これが例えば11年目に発見された場合、高額な修理費用を自己負担しなくてはいけないことにもなりかねません。

木造住宅の建て替え時期の判断基準

木造住宅は適切なメンテナンスを行っていると、寿命を延ばすことが可能です。とはいえ、状況に応じて建て替え時期を判断する必要があります。具体的な判断基準は以下の通りです。

  • 建物の状態や修繕コストを考慮する
  • ホームインスペクションで建物の状態を把握する

それぞれの判断基準について解説します。

建物の状態や修繕コストを考慮する

木造住宅の状態や修繕コストを考慮した上で、建て替え時期を判断しましょう。たとえば、構造部分に大きなトラブルが見られない場合は、リフォームを選択したほうがコストを抑えられる可能性が高いです。気になる部分だけをリフォームすると、費用を抑えながら快適な暮らしを取り戻せます。

反対に、耐震基準に適合していない場合や構造部分に劣化が見られるときは、建て替えを検討したほうがいいでしょう。耐震性や構造部分に問題があると、今後安心出来る暮らしは実現しにくいです。費用面での負担は大きくなりますが、安全な日々を送るためにも建物の状態に応じた対応が必要です。

ホームインスペクションによる建物の状態把握

木造住宅の状態をしっかりと把握するためには、第三者のプロに調査依頼するのもひとつの有効な手段です。とくに「自分では建物の状況を把握出来ない」「専門家の意見が聞きたい」といった考えをお持ちの方におすすめしたい方法です。

そのような場合には、さくら事務所のホームインスペクションがおすすめです。ホームインスペクションとは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が第三者の立場で住宅の劣化状況や不具合の調査などを行い、アドバイスをするサービスです。修繕すべき箇所やおおよその費用目安なども把握でき、今後のメンテナンスに活かせます。木造住宅に長く住み続けたいとお考えの方は、ぜひさくら事務所のホームインスペクションをご活用ください。

新築でも8割に欠陥!ホームインスペクションで漏れのない調査を

中古住宅の購入の際は、ホームインスペクションのご検討を!

ここまで、建売住宅の寿命についての解説をしてきましたが、皆さんに改めてご理解いただきたいことは、「そもそも新築だから施工ミスはゼロ」といった事実はないことです。

私達さくら事務所が提供している新築工事中ホームインスペクション(第三者検査)サービスでは、建物に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が工事段階から複数回の検査を行いますが、2019~2020年にかけて、大手ハウスメーカーや地元の工務店まで幅広く集計・分析した結果、おおよそ8割近くで不具合が発生していることがわかっております。

また、住宅完成後の内覧会同行(引渡し前チェック)サービスでも、給水管水漏れによる床下の水たまりや、換気扇ダクトの付け忘れ、断熱材の外れなど、新築でも施工不良は多く見られるなど、おそらく多くの人が新築に抱くイメージとは大きくかけ離れた施工状況だと予想されます。

ホームインスペクションとは、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどの劣化状況や、新築時の施工不良などについて、建物に精通した専門家のホームインスペクターが診断するサービスです。改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などの改修アドバイスまでサービスに含まれ、物件価格の約0.2%の費用追加でリスクヘッジができるため、ご利用の検討を強くおすすめしております。

新築住宅の場合、インスペクションを入れるベストなタイミングは『申込み後~契約前』となり、他の時点でも入れることは可能ですが、注意点も多いため、お急ぎの方はまずは一度お問合せください。

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